京都

伏見稲荷周辺

AROUND FUSHIMI INARI

「おいなりさん」で商売繁盛を祈願し、仏像・庭園巡りを堪能

JR京都駅の南東に広がるエリア。全国各地に鎮座する稲荷神社の総本宮で「おいなりさん」として親しまれる伏見稲荷大社は、五穀豊穣・商売繁盛の神として1300年の歴史を誇る。朱塗りの鳥居がトンネルのように続く千本鳥居は、京都を代表するフォトスポットとして欠かすことができない。堂々たる建築物が立ち並ぶ東福寺は紅葉の名所としてその名が知られ、秋には一帯を紅く染め上げ息をのむ美しさが広がる。また、紅葉シーズン以外には東福寺本坊や光明院、芬陀院などの寺院で、禅寺ならではの枯山水庭園と心静かに向き合うこともできる。一方、泉涌寺では仏像をテーマに参拝をしてみよう。美人祈願で名高い楊貴妃観音や、身代りのご利益がある釈迦如来、極楽浄土に導いてくれる阿弥陀如来など、人びとから信仰を集めてきた仏様が参拝者を迎えてくれる。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    伏見稲荷大社
    全国各地に約3万社ある稲荷神社の総本宮
    全国各地に鎮座する稲荷神社の総本宮。初詣の参拝者数は例年三が日で250万人以上と西日本一を誇ることからも、その信仰のあつさがうかがえる。本殿参拝後は朱い鳥居が連なる千本鳥居をくぐり、奥の院にもお参りしよう。
    鳥居がトンネルのように続く千本鳥居
  • spot 02
    稲荷山のお山めぐり
    朱色の鳥居に導かれ、「お山めぐり」でパワー充電
    商売繫盛などのご利益で信仰を集める伏見稲荷大社の本殿や奥社奉拝所を参拝したあとは、山中の塚や祠を巡拝する「お山めぐり」でさらなるパワーを授かろう。巡拝ルート上には新池の近くに鎮座する「熊鷹社」や、眼病平癒のご利益がある「眼力社」などの社が点在。途中、「三徳社」あたりはこう配がややきつくなるが、登り切った先の「四ツ辻」からは、西山の山並みや京都南部を一望できる。ベンチも設置されているので、景色を眺めながら休憩をするにはぴったりだ。ここから道は二手に分かれるが、どちらからでも山頂に向かうことができるので、行きと帰りでコースをわけるのもいいだろう。起点となる奥社奉拝所から稲荷山山頂の「一ノ峰」まで、一周約4kmおよそ2時間のコースで、家族連れやお年寄りなど多くの人が参拝している。稲荷山の木々や鳥のさえずりに癒やされながらの「お山めぐり」で心身ともにリフレッシュを。
    階段や坂道もあるので、歩きやすい服装で出かけよう
  • spot 03
    伏見稲荷参道商店街
    お稲荷さんゆかりのグルメやグッズを扱う商店街
    伏見稲荷大社の参拝後は食事、甘味、お土産、神具などを扱う店舗が20店以上立ち並ぶ商店街をのぞいてみよう。門前名物として人気の「いなり寿司」は、稲荷神のお使いであるキツネの好物が、いつの頃からか油揚げであると考えられたことにちなむもの。特に伏見稲荷大社界わいで販売されるいなり寿司はほとんど形が三角形で、これはキツネの顔や耳の形をイメージしているとも、神様が降臨した稲荷山を模しているともいわれている。また店頭に並ぶ「すずめの焼き鳥」は実った米などの穀物をついばむスズメを退治する意味があり、五穀豊穣を叶えてくれるグルメというわけだ。ほかにも神様にお供えする神器などを扱う神具店や、400年の歴史をもつ味わい深い土人形「伏見人形」、キツネをモチーフにしたグッズなど神社とゆかりの深い商品が多数そろう。散策の合間の一服に、旅のお土産選びにぜひとも立ち寄りたい。
    参拝者の立ち寄りスポットとして賑わう商店街
  • spot 04
    東福寺
    東山の大禅刹に京都最大の伽藍群が並び建つ
    紅葉の名所として名を馳せ、京都五山のひとつにも名をつらねる東福寺。室町時代に建立された国宝の三門、重厚な伽藍の数々や名庭「八相の庭」、さらには麗しい景色の渓谷など見どころにあふれた名刹を訪ねよう。
    臥雲橋から望む通天橋と渓谷のカエデ
  • spot 05
    光明院
    林立した立石が仏の世界を表現、重森三玲が手がけた名庭
    東福寺の六波羅門から南へ約2分歩くと左手に見えるのが、1391年(明徳2)に金山明昶(きんざんみんしょう)によって開かれた東福寺の塔頭・光明院だ。受付を済ませ、堂内を進んでいくと、1939年(昭和14)、重森三玲によって作庭された「波心の庭」が広がる。東福寺の方丈庭園と同時期に手がけられたもので、州浜型の枯池に三尊石組を3か所配し、それぞれ釈迦三尊、薬師三尊、阿弥陀三尊を表している。立石の多さに圧倒されながらも、さらによく見ると、起点となる三尊石組から小さな立石が仏の光のごとく斜線上に並ぶのがわかる。これは寺号の「光明」を表現しているという。また背後には雲紋になぞらえてツツジやサツキの大きな刈り込みを作り、その上には月をモチーフにした窓、壁、障子をもつ茶亭・蘿月庵(らげつあん)が建つ。サツキやツツジの開花の時期はもちろん、紅葉の時期には刈り込みの緑とカエデの赤、白砂の鮮やかなコントラストを楽しめる。
    「虹の苔寺」とも称され、苔と白砂の調和が見事だ
  • spot 06
    芬陀院
    水墨画家・雪舟が作庭し、重森三玲が復元した鶴亀の庭
    東福寺の伽藍への入り口となっている日下門を出て西へ進むと、すぐに左手に入り口が見えてくるのが芬陀院だ。元亨年間(1321-1324年)、一條内経(いちじょううちねつ)が定山祖禅(じょうざんそぜん)を招いて創建し、以来、一條家の菩提寺となった。室町時代には水墨画の大家である雪舟が逗留していたことから「雪舟寺」とも呼ばれており、「鶴島」「亀島」の石組を配した方丈庭園の南庭は、雪舟が作庭したと伝わっている。江戸時代中期の火災などにより一部荒廃したが、1939年(昭和14)に作庭家・重森三玲によって復元された。1969年(昭和44)には、茶道に造詣の深かった一條昭良(あきよし)の三百年忌を記念して、図南亭(となんてい)が再建され、露地庭園には昭良遺愛の勾玉(まがたま)の手水鉢と、崩家形燈籠(くずやがたとうろう)も残されているので、見逃さないようにしたい。
    雪舟が東福寺を訪ねたときは、芬陀院で寝起きをしていたという
  • spot 07
    勝林寺
    東福寺の北方を守護する毘沙門天、美しい花手水と御朱印で人気
    勝林寺の本堂へと続く階段を上がっていくと、右手に今やこの寺院の顔といっていい花手水が華やかに参拝者を迎えてくれる。1550年(天文19)、東福寺の第205世住持・高岳令松(こうがくれいしょう)によって創建され、本堂は大檀那であった近衛家の玄関が移築されたという格式高い塔頭だ。本尊・毘沙門天立像は平安時代後期の作とされ、長らく東福寺仏殿の天井裏に祀られていたが、東福寺の北方を守護するため、江戸時代にこちらに移された。脇侍として、向かって右には吉祥天像、左には善膩師童子像が祀られている。堂内は通常は非公開であるが、新春と秋には特別公開が行われ、櫟文峰(あららぎぶんぽう)による虎の大襖絵や、田村月樵(たむらげっしょう)による珍しい毘沙門天曼荼羅などを拝観することができる。寺務所で授与されるさまざまな種類の御朱印も人気で、座禅、写経、写仏、ヨガなどの体験プランも充実している。
    季節の花が美しい花手水。ツイッターなどで発信される入れ替え情報をチェックしよう
  • spot 08
    泉涌寺
    月輪山の懐に抱かれた皇室ゆかりの格式ある古刹
    創建は空海に始まり、鎌倉時代に四条天皇が埋葬されてから歴代天皇の菩提所となるなど、皇室との深い関わりから「御寺(みてら)」と称される泉涌寺。月輪山の澄んだ空気に満ちる境内に、仏殿や舎利殿、観音堂などがたたずむ。
    仏殿の天井に描かれる「蟠龍図」は、龍が雨を降らせることにちなみ火難除けを願ったもの
  • spot 09
    即成院
    現世極楽浄土が目の前に広がる荘厳なる空間
    交差点・泉涌寺道から東へと続く参道を進むと、やがて堂々たる総門が見えてくる。この門の手前に位置するのが即成院だ。992年(正暦3)に源信(げんしん)が伏見に光明院を建立し、のちの寛治年間(1087-94)に橘俊綱(たちばなのとしつな)が伏見の広大な山荘に移して「即成就院」と称したことに始まる。以後、さまざまな変遷を経て明治時代に現在地へ移転した。平安時代後期は、阿弥陀如来の導きによって極楽浄土へ生まれ変わることを願う「浄土信仰」が盛んであったことから、本尊として阿弥陀如来と二十五菩薩が祀られ、外陣からでもその様子がうかがえる。平安時代末期に『平家物語』にも登場する武将・那須与一(なすのよいち)が、この寺院で病気平癒と戦勝祈願を行い、出家をしたことでも知られており、本堂裏側には大きな供養塔が残るのでこちらも忘れずに参拝しよう。
    橘俊綱は平等院を創建した藤原頼通の子であることから、山門の上に鳳凰の姿が見られる
  • spot 10
    戒光寺
    人びとの災いを身代わりとなって救ってくれる「丈六さん」
    泉涌寺の総門から続くゆるやかな坂道を上っていくと戒光寺が見えてくる。1228年(安貞2)、後堀河天皇の勅願所として、曇照(どんしょう)が八条大宮に創建したことに始まり、室町時代の応仁の乱の被害の後、幾度かの移転を経て、1645年(正保2)に泉涌寺の塔頭となった。本尊の釈迦如来像は鎌倉時代を代表する仏師・運慶(うんけい)と湛慶(たんけい)親子の合作と伝わり、身の丈は約5.4m、台座から光背部を入れると約10mにもなる。江戸時代初期、後水尾天皇が皇太子だった頃、次の皇位をめぐって争いが起き、ついに刺客に狙われたが、この窮地を釈迦如来が身代わりとなって救ってくれたことから、「身代わりのお釈迦様」としての信仰にあつい。その際に血を流したと伝わり、確かに現在もお釈迦様のあごの下辺りには流れた血の跡も見ることができる。宋(中国)風の極彩色で彩られ、長い爪や流麗な衣を身にまとうなど仏画から抜け出してきたような美しい姿の仏様だ。(2022年1月から2023年3月頃まで、本堂の屋根を葺き替える大修理が行われている。)
    大きな仏様を祀ることから「丈六(じょうろく)さん」と通称される
  • spot 11
    雲龍院
    泉涌寺の別格本山、書院から眺める庭園美が見事
    泉涌寺の境内の一番南に位置する雲龍院は、1372年(応安5)、後光厳(ごこうごん)上皇によって創建され、北朝の天皇の帰依を受けて発展した寺院だ。兵火などで一時衰退したが、江戸時代初期に後水尾上皇の援助のもとで諸堂が再建されている。本堂には本尊・薬師三尊が祀られ、堂内には後水尾上皇寄進の写経机も並ぶ。さらに本堂に隣接した霊明殿は、後土御門天皇が使用した黒戸御所を譲り受けたもので北朝の歴代天皇の位牌が安置されている。庭園は苔庭に多くの樹木を配し、書院の正面に据えられた2つの大きな石は、豊臣秀吉が建立した方広寺大仏殿の礎石と伝えられる。北東部の「悟之間」にある丸窓を通してみる風景は、絵画的な美しさだ。さらに客殿の大石良雄直筆「龍淵」の書、「蓮華の間」の4つの障子窓から見える風景、台所に祀られる憤怒の形相で蓮の上を走っている珍しい大黒天など、見どころが多い。
    窓から椿、灯籠、楓、松がそれぞれ見える「蓮華の間」
  • spot 12
    今熊野観音寺
    東山の静寂なる空間で「頭の観音様」に願いを伝える
    十一面観音を本尊とする泉涌寺の山内寺院。西国三十三所観音霊場の第15番札所として、年間を通じて多くの参拝者が訪れる。平安時代末期の後白河法皇にちなむ頭痛平癒のご利益でも信仰される。新緑や紅葉も美しい。
    1712年(正徳2)に再建された本堂と、山上に建つ平安様式の多宝塔
  • spot 13
    稲荷茶寮
    お稲荷さんの境内で味わう日本茶専門店の抹茶パフェ
    朱の鳥居が続く千本鳥居で知られる伏見稲荷大社の無料休憩所「啼鳥菴(ていちょうあん)」の中に設けられた日本茶カフェ。伏見稲荷大社や東福寺の御用達をつとめる伏見の茶舗「椿堂(つばきどう)」が営んでいる。店内からは稲荷山を背景に四季折々に表情を変える庭園、八嶋ヶ池へと流れる川のせせらぎなどを見渡せ、自然を身近に感じることができる空間だ。日本茶を使った甘味や軽食がそろうなか、いちばん人気は朱の鳥居がちょこんとあしらわれた「稲荷パフェ」1400円。専門店ならではの濃厚な味わいの抹茶アイスクリームとともに北海道産の自家製餡、米粉で作った麩焼き煎餅、ポン菓子、白玉団子などがぎっしり入っていて、和の甘味を心ゆくまで堪能できる。稲荷大神は五穀豊穣のご利益があることから、パフェにはお米をふんだんに使い、飾りに見えるものもすべて食べることができる素材で作られている。伏見稲荷大社の風景をグラスの中にギュッと詰め込んだような、見ているだけでも楽しいパフェを参拝記念に味わってみよう。
    朱の鳥居は米粉と砂糖でできた「雲平(うんぺい)」という干菓子で作られている
  • spot 14
    来迎院
    大原の地に響きわたった仏教音楽「声明」の根本道場
    平安時代初期、慈覚大師(円仁)によって創建された天台宗の古刹。のちに良忍(りょうにん)によって再興され、声明(しょうみょう)の道場として大いに栄えた。本尊は平安時代の作として重要文化財に指定されている。
    寺院の山号「魚山(ぎょざん)」は、中国にあった声明の発祥の地の山の名前にならったものだ
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旅のヒント

  1. その1

    アクセスはJRもしくは京阪電車の利用が便利。京都駅からJR稲荷駅までの乗車時間は約5分だが、普通電車しか止まらないのでご注意を。

  2. その2

    このエリアはバスの本数が終日少ない。バスを利用する場合は時刻表や乗り場を事前にチェックすることをお忘れなく。

  3. その3

    伏見稲荷大社の門前は名物を扱う飲食店や甘味処が並ぶ。ランチやカフェタイムに合わせた訪問で時間を効率良く使うことができる。

  4. その4

    伏見稲荷大社の「お山めぐり」は約4kmのコースで2時間ほどかかる。アップダウンもあるので歩きやすい服装でチャレンジしよう。

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