京都

一乗寺・修学院

ICHIJO-JI TEMPLE / SHUGAKUIN

江戸時代の文化人が愛した風光明媚な地で名庭巡りを堪能

東山三十六峰の最北・比叡山の裾野に広がるこのエリアは、江戸時代に花鳥風月を愛した文化人たちが山荘を営んだ地で、彼らをひきつけた自然の魅力を今も感じることができる。その代表ともいえるのが修学院離宮で、洛北の自然を巧みに取り入れた壮大な風景は「王者の庭園」と呼ぶにふさわしい。天皇家ゆかりの曼殊院では庭園や建築の意匠のすみずみに宮中の雅を感じることができるだろう。起伏のある山沿いの道をたどった先に現れる詩仙堂は白砂にサツキの大刈込みが配される庭として名高い。ときおり境内に響きわたる「鹿おどし」の音に耳を傾けながら、季節の草花が彩りを添える園内を歩いて巡ることができる。圓光寺では木々が織りなす庭園美とともに、水琴窟の一滴一滴の奏でる澄んだ音色が心を和ませてくれるに違いない。散策の合間にカフェでひと休みしたあとは、このエリアならではの名物・雲母漬を買って、旅を締めくくろう。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    詩仙堂
    閑雅なる洛北の庭園に、「鹿おどし」の音が響き渡る
    文人の石川丈山(いしかわじょうざん)が隠棲した山荘に始まる。寺名の由来となった「詩仙の間」で風流に触れ、凹凸のある山麓の地形を生かして造られた庭園で、四季折々の風景を楽しみながら癒やしのひとときを過ごそう。
    開放的な空間が心地いい
  • spot 02
    圓光寺
    悟りの境地を表す庭園で心を整え無心になる
    徳川家康が開いた学問所に始まる寺院。悟りへといたる過程を表すという庭園は、山の自然と溶け合って四季折々に麗しい情景をつくり出す。日本最古の木版活字や絵画の数々など、見どころがたっぷり。
    周囲の山々を取り込んだおおらかな造りの「十牛之庭」
  • spot 03
    曼殊院
    王朝の雅が香る洛北の名刹で、公家文化の粋に出合う
    平安時代に始まり、歴代皇族が入寺した格式ある門跡寺院。桂離宮にも通じる雅趣に富んだたたずまいとさまざまな意匠、狩野探幽をはじめとする名だたる絵師が手がけた襖絵や庭園など、見どころが多い。
    樹形が美しい鶴島の五葉松。京都を代表する名木だ
  • spot 04
    修学院離宮
    洛中洛外を眼下に見る、後水尾上皇が築いた王者の庭園
    江戸時代初期、後水尾上皇が比叡山麓に造営した山荘。広大な敷地に上・中・下3つの離宮から構成され、自然と建物の調和が絶妙。建物は自由闊達な建築様式である数寄屋造の代表事例とされる。
    上離宮に大きく広がる浴龍池(写真提供:宮内庁)
  • spot 05
    赤山禅院
    比叡山の山麓で都の鬼門封じを担う天台宗の古刹
    比叡山の西のふもとに建つ延暦寺の塔頭。天台座主の安慧(あんね)が、天台宗の鎮守神として赤山大明神を祀ったのが始まり。古くから方除けの信仰を集める。福禄寿殿は「都七福神まいり」の札所となっている。
    福禄寿のお姿みくじに運勢を占ってもらおう
  • spot 06
    一乗寺中谷
    宮本武蔵ゆかりの地で味わう和洋菓子の二刀流
    詩仙堂や圓光寺、宮本武蔵ゆかりの「一乗寺下り松」へと続く道の途中にある和菓子店。三代にわたり受け継がれる名物「でっち羊かん」をはじめとする伝統的な和菓子のほか、若女将が手がける洋菓子もラインナップされている。人気の「絹ごし緑茶てぃらみす」は、若旦那自慢の白餡と若女将お得意の豆乳スイーツ、それぞれのいいとこ取りに日本茶専門店「柳桜園茶舗」の抹茶をたっぷりとプラスした逸品。枯山水庭園をイメージした折箱入りというものも奥ゆかしい。テレビなどでも多数紹介されたこともあり、お取り寄せでは数か月待ちという人気ぶりだが、お店では店頭にあれば、いつでも購入可能。絹ごし豆腐のように滑らかで、甘さ控えめのすっきりとした味わいだ。カフェスペースでは、和菓子や洋菓子とのセットメニューやパフェのほか、「いろどりごはん」と称する季節の軽食もいただける。なかでも9月下旬から翌年6月下旬まで味わえる白味噌雑煮は、京都ならではと好評だ。
    豆乳プリン、わらびもち、豆乳ジェラートなどがぎっしりと詰まった「わらびもちパフェ」
  • spot 07
    雲母漬老舗 穂野出
    比叡山に向かう修行僧も楽しみに食した伝統の味
    修学院から比叡山延暦寺へと至る道は「雲母坂(きららざか)」と呼ばれている。名前の由来は諸説あるが、夕雲が覆い、都から見ると雲が生ずるように見えたことからその名がついたともいわれている。延暦寺に向かう勅使(ちょくし:天皇の使い)が用いたことから、別名「勅使坂(ちょくしざか)」とも呼ばれた由緒ある道だ。そんな地で名物として愛されてきたのが「雲母漬」( 860円-)だ。親指ほどの大きさの小茄子を京都独特の白味噌漬けにした漬物で、一子相伝にて代々伝わる製法を300年以上守っている。雲母坂は修学院辺りではゆるやかだが、比叡山に入ると急峻な山坂へと姿を変える。比叡山に向かう修行僧たちは、急坂を上る苦しさのなかでひとときの楽しみとして雲母漬を味わったという。ここでしか味わえない名物を、ぜひともお土産に持ち帰ろう。
    契約栽培で厳選した小茄子を使っている
  • spot 08
    一乗寺ラーメン街道
    有名店がしのぎを削る! 京都一のラーメン激戦区
    意外なことにラーメン好きの多い京都。なかでも洛北の一乗寺エリアには、京都ラーメン好きが足繁く通う人気店が数多く集まる。通し営業をしているお店も多いので、いつでも気軽に味わえるのがうれしい。
    東大路通沿いには人気店がずらりと並ぶ
  • spot 09
    天天有 本店
    有名店が立ち並ぶ一乗寺界隈で、老舗の風格を感じる一杯を
    ラーメン激戦区・一乗寺(いちじょうじ)。人気のラーメン店が立ち並ぶこのエリアのなかでも、とりわけ「京都ラーメン」の老舗として知られるのが天天有 本店だ。昔ながらのシンプルな京都ラーメンの味を求めてラーメン好きが足繁く通い、リピーターも多い店。ベースとなるのは鶏白湯スープで、甘みと奥深いコクを感じるやさしい味わい。こってりしすぎないので、夜中に食べても翌日に響かないのがうれしいところだ。好みに合わせて、麺の種類、麺の硬さ、タレの濃さ、ネギの量をセレクトでき、いずれのラーメンも「こってり(背脂と一味唐辛子入り)」味にすることが可能。さらに卵は、煮卵と温泉卵から好きなほうを選ぶことができる。まさにラーメン通が、自分好みの一杯を楽しめる店だ。
    中華そば煮卵入り700円。途中から紅ショウガを入れて味の変化を楽しむのもおすすめ
  • spot 10
    中華そば 高安
    ラーメン激戦区の一乗寺で行列の絶えない、魅惑の白濁スープ
    京都ラーメン好きのなかからも「やっぱり高安!」との声が上がる、一乗寺の人気ラーメン店。ご飯時をはずしても行列必至のその秘密は、豚骨と鶏ガラを長時間煮込んだ白濁スープ。クリーミーでコクはしっかりとありながら、脂っこさを感じさせない絶妙なバランスのスープは、老若男女問わず評判を集める。店内は清潔感があり、女性でもひとりで入りやすい雰囲気なのもうれしい。また、高安を語るうえで欠かせないのが、名物の「からあげ」だ。まず驚かされるのはその大きさ。一つひとつが非常にボリューミーで、一般的な唐揚げの2-3倍ほどはありそうなビッグサイズ。さくさく食感の「からあげ」を一口食べれば、肉汁が口の中いっぱいにじゅわっと広がるとともに、スパイシーなカレーの香りが駆け抜ける。自慢の中華そばと一緒にぜひ味わいたいひと品だ。
    中華そば800円。麺はスープとよくからむように調整された特注のもの
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旅のヒント

  1. その1

    アクセスは叡山電車または市バスを利用し、ゆるやかな上り坂を歩いて行くことになる。街なかからは少し離れているので、時間に余裕をもって訪問を。

  2. その2

    修学院離宮の参観は定員制で、事前申込みと当日申込みがある。年齢制限や申込みに必要な持ち物があるので、事前にウェブサイトをチェックしよう。

  3. その3

    叡山電車の一乗寺駅付近は、芸術系の大学が近いこともありアートな空気に包まれるエリア。カフェや雑貨店、ギャラリーなどが点在する。

  4. その4

    一乗寺ラーメン街道には行例の絶えない人気店も多数。お目当ての店には開店と同時に入店できるよう時間を調整するのがおすすめ。

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