神奈川

鎌倉

KAMAKURA

古都の風情とおしゃれな観光地の顔を合わせ持つ人気の町

相模湾に面したさほど広くないエリアに数多くの見どころがある鎌倉。歴史ある古刹が点在する一方、おしゃれなカフェやブティックもあり、老舗の料理屋と話題のスイーツ店が並ぶ、新旧がうまく溶け合って独特の雰囲気を醸し出す、ほかにはない町だ。12世紀終わりから約250年続いた鎌倉時代にたくさんの寺が建てられたが、それらの多くが今の鎌倉のメインの見どころだ。各所に点在しているので、効率良く歩くには移動方法を含め、スタート地点やまわり方を事前にしっかり確認しておきたい。鎌倉駅や鶴岡八幡宮の周辺はそれほどでもないが、周辺は山がちな場所が多く、歩くときには思った以上に上り下りがある。歩きやすい靴と服装で訪れたい。また、鎌倉は海沿いのエリアもおすすめ。季節問わずマリンスポーツに興じる人が多く、波乗りの姿を横目に、海岸線のおしゃれなカフェでのんびり過ごすのもいいだろう。鎌倉の海岸からは江の島、伊豆半島、富士山の見える絶景スポットも多い。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    鶴岡八幡宮
    はずせない鎌倉観光の筆頭スポットのひとつ
    鎌倉観光ではたくさんの神社仏閣のなかからどこを散策しようかと考えるものだが、鶴岡八幡宮は別格。若宮大路の参道、段葛(だんかずら)を進んだ先の雪ノ下・大臣山のふもとにあり、鎌倉幕府を開いた初代征夷大将軍・源頼朝ゆかりの神社としてぜひ訪れたい鎌倉を代表する史跡のひとつだ。
    本宮・楼門。門上の扁額「八幡宮」の八の字は八幡様のお使いである鳩の形になっている
  • spot 02
    鎌倉国宝館
    不時の災害から貴重な文化遺産を守る
    鎌倉・鶴岡八幡宮境内にある市立博物館。1923年(大正12)の大正関東地震で多くの社寺が倒壊し、貴重な文化財が失われたことを教訓に設立された。鎌倉市内と近郊にある社寺から貴重な文化財の寄託を受けて、保管・展示を行う。
    須弥壇の各辺に3軀ずつ並べられた鎌倉国宝館所有の十二神将像は、彫刻展示室では特に目立つ存在
  • spot 03
    若宮大路
    由比ガ浜から鶴岡八幡宮まで一直線に延びた参道
    相模湾の由比ヶ浜から鶴岡八幡宮までまっすぐに延びた若宮大路。全長は約1800mで途中に3基ある鳥居は、由比ヶ浜に近いほうから一ノ鳥居、二ノ鳥居と続き、八幡宮前のものは三ノ鳥居。二ノ鳥居から一段高くなった参道を段葛(だんかずら)という。
    春に満開を迎える桜のアーチは絶景だが、冬の段葛も風情がある
  • spot 04
    小町通り
    観光客で賑わう鎌倉の人気ストリート
    小町通りは鎌倉駅東口から鶴岡八幡宮へ続く目抜き通り。長さ約360mの商店街は鎌倉観光のメインスポットだ。テイクアウトグルメや和雑貨、おしゃれカフェのほか、バラエティに富んだ店舗が並び、常に観光客で賑わっている。
    平日も雨の日も、いつでも観光客があとを絶たない商店街
  • spot 05
    豊島屋 本店
    関東人ならみんな知ってる鳩の形のおいしいお菓子
    誰もが知る鎌倉を代表する銘菓・鳩サブレー。明治30年頃に外国人からもらったお菓子に感銘を受けた初代が崇敬する鶴岡八幡宮にゆかりのある鳩を模して生み出した。原材料は、バター、卵、小麦、砂糖といたってシンプル。その潔さこそが飽きのこない深い味わいとなって愛され続ける理由だろう。今や都内デパートでも見かける鳩サブレーだが、若宮大路の本店ではそれ以外の商品にも注目したい。一歩足を踏み入れるとそこはまるでアミューズメントパーク。季節商品と合わせて、「鎌倉五山」や「段葛(だんかずら)」など鎌倉にちなんだ名前の銘菓が100種類以上もそろう。また銘菓だけでなく現4代目社長考案の文房具やバッグなどの「鳩これくしょん」も充実している。ほかの店舗やネットでは見られない商品の並ぶこの店は、鎌倉観光にははずせないスポットだ。
    本店限定の箱入り鳩サブレーと落雁「小鳩豆楽」。どちらも定番鎌倉土産
  • spot 06
    鎌倉紅谷 八幡宮前本店
    リスが多い鎌倉ならではの銘菓
    東京・神楽坂の老舗和菓子店「紅谷」の和菓子職人だった初代と洋菓子職人だった2代目が、1954年(昭和29)に2人で鎌倉の北条泰時小町邸跡地に創業したのが始まり。和に洋の要素を加え、鎌倉らしさをテーマに作った最初の菓子「鎌倉だより」は鶴岡八幡宮の大銀杏をイメージしたもの。その後、鎌倉に多く出没するリスにヒントを得て、リスの好物クルミを用いて作った「クルミッ子」が人気となり、「鎌倉紅谷」の看板商品に。クルミがぎっしり詰まった自家製キャラメルをバター生地のクッキーで挟み、かわいいリスのプリントされたセロファンで包まれたお菓子は、今や鎌倉を代表する銘菓になった。「クルミッ子」は職人の手仕事で仕上げられており、素材の状態に合わせて練った生地を1晩寝かせ、焼き加減もその日の天候で調整している。自家製キャラメルの絶妙なほろ苦さは職人技が光る味わいだ。手間ひまをかけ、こだわりを持って作り上げた職人の誇りが小さな一粒の「クルミッ子」になっている。
    「クルミッ子10個入り(缶)」。銀杏型サブレ「鎌倉だより」。クッキー缶「petit paquet(ぷてぃぱけ)」
  • spot 07
    段葛 こ寿々
    おいしい蕎麦とわらび餅の店
    デパートの催事などではわらび餅でおなじみの「こ寿々」だが、実は手打ち蕎麦の店。鶴岡八幡宮の参道・若宮大路沿いに蕎麦処「段葛 こ寿々」は店を構える。意外にも北鎌倉での創業が1992年(平成4)、本店をここに移したのが1995年(平成7)と比較的新しいことに驚かされる。すでに老舗の風格たっぷりで、週末には「鎌倉といえば、こ寿々で蕎麦を食べて帰る」と、のどごし抜群の打ちたて蕎麦を目当てに観光客が長蛇の列を作る。2階席もあり、土・日曜、祝日を除く昼過ぎから夕方の時間帯なら貸し切りで蕎麦懐石弁当も楽しめる。こだわりの本わらび粉を使ったわらび餅は、はじめは江戸前の辛口蕎麦の締めにと提供されていたものが評判を呼び、別に売店ができるほどの人気となった。きな粉と黒蜜ともよくからみ、びっくりするほどねっとりした自慢のわらび餅。癖になる食感で、いまや立派な鎌倉名物のひとつになっている。
    いちばん人気「こ寿々そば」1180円。シソの葉、海苔、三つ葉、大根おろし、ユズ、天かすが載った冷たい蕎麦
  • spot 08
    鎌倉まめや 小町通り店
    豆本来の味を楽しめる豆菓子専門店
    自然の恵みをたっぷり受けて育ったこだわりの豆を原料にした豆菓子専門店。安全安心をモットーに体にやさしい豆菓子作りを心がけている。1954年(昭和29)、神奈川県二宮町の名産、落花生の加工卸として始まり、茅ケ崎に移転後、1988年(昭和63)小町通りに店を開き、2000年(平成12)に「鎌倉まめや」と名乗るようになった。店舗に入ると目に飛び込んでくるのは色とりどりの豆菓子。種類の多さにテンションも上がるが、聞けばフレーバーは70種類以上もあるという。マヨネーズ、わさび、チェダーチーズなどのビールのお供から、お茶受けにぴったりのきな粉やカフェラテ、ブルーベリーヨーグルトなど甘いものまで豊富にそろう。季節商品もあってどれを買おうか迷ってしまうが、うれしいことにそのほとんどが試食可能。ちょっと長居してじっくり好きな味を選びたい。
    いろいろな味があって、ついつい手が伸びる
  • spot 09
    陽雅堂
    鎌倉土産に、特別な日のお祝いに、大人気の鎌倉彫
    鎌倉彫は、鎌倉時代中期に禅宗とともに宋から伝わり、宋の美術工芸品を参考に仏師たちが寺院の仏具を木彫漆塗りで作ったのが始まり。室町時代に入ると茶道具などに好んで使われるようになり、明治時代には茶托やお盆など一般の人たちにも日常使いとして広められていった。陽雅堂の商品は北海道産のカツラの木を使い、天然の漆を重ねて肉厚に仕上げられている。店内に入るとお盆や手鏡、ブローチや帯留めなど、さまざまな草花をモチーフにした品が目に飛び込んでくる。高級なイメージの鎌倉彫だが、ショーケースには比較的値段の手頃な箸(2000円台-)も並んでいた。鎌倉彫らしい刀痕を残しながらも軽くて使い勝手も良さそうだ。壁に並んだ鎌倉彫の桐下駄は、店主が選んだこだわりの鼻緒が使われ、履くとその気持ち良さにとりこになるという。ひっきりなしに客の出入りがあるが、鶴岡八幡宮の門前という好立地だけが理由ではなさそうだ。
    刀痕が美しい文様を作る典型的な鎌倉彫のお盆。丸盆には牡丹、十六角盆には椿、鉄線があしらわれている
  • spot 10
    鎌倉市農協連即売所
    「鎌倉やさい」発祥の直売所
    自分たちが生産した彩り豊かな野菜を、自分たちの手で直接販売する。今やブランドとして定着した「鎌倉やさい」の生みの親ともいえる鎌倉市農協連即売所。1928年(昭和3)から続くファーマーズマーケットだ。
    さまざまな色や形の唐辛子が種類豊富にそろう
  • spot 11
    杉本寺
    734年(天平6)、奈良時代に創建された鎌倉最古の寺
    奈良時代に建てられた、鎌倉で最も古い天台宗の寺院で、3体の十一面観音が御本尊。鎌倉時代に開設された坂東三十三観音霊場の第1番目の札所(ふだしょ)だ。入り口から続く石段の両脇には「十一面杉本観音」と書かれた白旗がはためく。
    今にも武士が現れそうな苔むした鎌倉石の階段と両脇にたなびく白い奉納のぼり
  • spot 12
    報国寺
    日常を忘れられる竹林の散策路
    鎌倉に行ったら必ず立ち寄りたい報国寺は「竹の庭」として広く知られるフォトジェニックな寺。ミシュラン・グリーンガイドの格付けでは、北鎌倉の東慶寺とともに鎌倉ではたった2か所だけ3つ星の評価を得た。その美しい景観は一見の価値あり。
    約2000本の孟宗竹の竹林は圧巻
  • spot 13
    大仏ハイキングコース
    木々の間から鎌倉の町を見下ろす尾根道のハイキング
    歴史と文化の町鎌倉は、小さな山と森に囲まれた地であり、気軽に楽しめるハイキングコースがすぐ近くにある。見どころが広範囲に点在する鎌倉では、公共交通機関で移動するには不便なところもあり、実は歩いたほうが効率がいいことも。ハイキングは楽しみながら移動する方法でもある。
    賑やかな鎌倉市内にあるとは思えないほど静かな森を歩く
  • spot 14
    銭洗弁財天 宇賀福神社
    頼朝ゆかりの名水で、ご利益を求めて銭洗い
    鎌倉一有名な金運スポット。洞窟内の奥宮にある湧き水でお金を洗うと何倍にも増えるといわれ、ご利益を求める参拝客があとを絶たない。12日に一度めぐってくる弁財天ゆかりの巳(み)の日には使いの蛇が願いを叶えてくれるといわれ、さらに賑わいをみせる。
    湧き水でお金を洗って金運・財運アップを祈る
  • spot 15
    建長寺
    鎌倉最大級の名刹
    鎌倉市内に5つある臨済宗の禅寺(建長寺、円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄明寺)は「鎌倉五山」の名で親しまれ、建長寺はそのなかでも第一位に列せられる大本山。入ってすぐの総門から三門、仏殿、法堂(はっとう)が国の重要文化財に登録されている。
    東日本最大の規模を誇る山門
  • spot 16
    明月院
    「悟りの窓」と「アジサイ」で知られる北鎌倉の人気スポット
    梅雨時、明月院の境内には数千株のアジサイが咲き誇り、その美しい青色は「明月院ブルー」ともいわれ参拝客を魅了する。また、本堂の丸窓越しに眺める庭園は四季折々にさまざまな表情をみせ、鎌倉を代表する絶景のひとつといわれる。
    まるで額に入った風景画のような「悟りの窓」は必見
  • spot 17
    浄智寺
    杉木立と苔に覆われた自然豊かな境内
    浄智寺は室町時代までは数百人からの僧侶がいる大きな寺だったが、災害などによって小規模になっていった。昭和に入ると映画監督・小津安二郎をはじめ多くの著名人がこの地を愛し、暮らすようになる。作家・澁澤龍彦はこの寺に眠っている。
    手前の石段とともにひなびた風情が漂う山門
  • spot 18
    北鎌倉ぬふ・いち
    野菜の鮮やかな色合いと味の濃さが人気の秘密
    温暖な気候を利用して地産地消されてきた鎌倉やさい。都内でも有名レストランで使われ、野菜本来の味に注目が集まる。その魅力を熟知してメニューに反映させてきた地元レストランは多いが、そのなかでも特に高い人気を集めるのが「北鎌倉ぬふ・いち」だ。今どきのブームとは一線を画し、2006年(平成18)のオープン以来、使用する野菜のおよそ8割を地元の契約農家から仕入れ、それぞれ違う下味で最大限魅力を引き出している。また、その日に使われる15種類以上の野菜を毎日リストにしてゲストに知らせてくれるうれしいサービスも。鎌倉のレストランは自宅で営業しているところが多く、「ぬふ・いち」も北鎌倉の駅から歩いて7~8分、丘の上の一軒家を改装して店舗にしている。緑むす古都鎌倉の街道を散策し、歴史ある寺巡りのあと、まるで友人宅にでも招かれたような気分になれるレストラン。ほっとひと息つける空間で、おいしい鎌倉やさいを使った料理をぜひご堪能あれ。
    作家ものの青皿に15種類以上の色とりどりの野菜が映える。「スープカリー」は1800円(税込)
  • spot 19
    鎌倉長谷寺
    長谷観音の名でも親しまれる人気の寺
    「花の寺」として一年中四季折々の花が境内を彩り、「海が見える寺」として鎌倉でも有数の景勝地。由比ヶ浜が一望できる眺望散策路は初夏には見事な「アジサイ路」となる。良縁地蔵も若い女性たちに大人気。
    長谷寺は浄土宗系の単立寺院。正式名称は「海光山慈照院長谷寺」
  • spot 20
    高徳院
    露座の大仏を拝める日本を代表する観光名所
    国内外問わず、鎌倉を訪れる年間2000万人もの観光客のほとんどが立ち寄る人気スポットの浄土宗・高徳院。奈良県東大寺の大仏とともに日本で知らない人がいないといわれる鎌倉大仏がご本尊だ。
    鎌倉で唯一、国宝に指定されている仏像
  • spot 21
    鎌倉文学館
    洋館を活用した鎌倉ゆかりの文学者たちの博物館
    鎌倉市長谷にある文学館は、加賀百万石藩主前田利家の系譜である旧前田侯爵家の別邸だった建物を利用して開館した。夏目漱石、芥川龍之介、川端康成ら300人以上の鎌倉ゆかりの文学者たちの直筆原稿や手紙、愛用品などを収集保存し、幅広く展示している。
    本館は2000年(平成12)に国の登録有形文化財に登録された
  • spot 22
    極楽寺
    癒やしたっぷり。鎌倉唯一の真言律宗の名刹
    極楽寺は鎌倉市極楽寺にある真言律宗の寺で、大和国(奈良県)生まれの名僧・忍性(にんしょう)が開山。小さい境内ながら季節を感じられ、春の桜、夏のサルスベリやアジサイ、秋の彼岸花、冬の沈丁花や梅など、四季折々に楽しめる。また、複数の霊場札所を務め、御朱印を求めて多くの人が訪れる。
    山門は閉じているが、脇のくぐり戸からかがんで入る
  • spot 23
    由比ガ浜
    「鎌倉の海」といえば由比ガ浜
    夏には広い砂浜に海の家が立ち並び、カラフルなパラソルのもと、多くの人で賑わう由比ガ浜。鎌倉の海のなかでも最も長く遠浅な砂浜が続く人気のビーチだ。波も周辺に比べて比較的穏やかなので、子どもから大人まで安心して遊べる関東有数の海水浴場。
    都心からのアクセスも良いビーチ・リゾート
  • spot 24
    大船観音寺
    インパクト抜群! やさしい微笑みの巨大観音
    高さ25m、幅19m、重さ1915tほどもある巨大な胸像の観音様は大船のシンボル。JR大船駅のすぐ横の小高い山の上に鎮座し人々を見守る。神奈川県民にとって大船駅から拝める観音様の大きなお姿は日常に溶け込む当たり前の風景だ。
    人との大きさの違いに驚く
  • spot 25
    稲村ケ崎
    鎌倉・湘南を代表する岩礁の岬
    稲村ケ崎は海水浴場として名高い由比ガ浜とサーファーに人気の七里ガ浜を分ける岬。歴史的には鎌倉時代後期、武将・新田義貞が鎌倉攻めを行った場所として有名。城壁のように三方を山に囲まれた鎌倉を攻めあぐねた義貞が海中に太刀を投げ入れて竜神に祈ったところ、潮が引いて陸地が現れ一気に攻め込んだという伝説が残る。
    国道134号沿いから迫り出した岬にある稲村ケ崎公園
  • spot 26
    稲村ヶ崎温泉
    おしゃれな観光地に希少な温泉
    レストランを経営していた先代が井戸を掘って調べたところ、たまたま希少な「モール泉」が確認されたという稲村ヶ崎温泉。もともとモール泉は世界でもドイツのバーデンバーデンと北海道の十勝川温泉の2か所にしかなかったかなり貴重な温泉資源。「美肌の湯」「清涼の湯」ともいわれ、石鹸を使わなくても肌に溜まった角質や毛穴の汚れを取り除く効果とともに、疲労回復、神経痛にも効果絶大だ。保湿効果があり、殺菌効果も高い松林の有機物を含んだ植物性の温泉は、海の前にありながら塩分を含まないさらりとしたお湯。江ノ島電鉄の「稲村ヶ崎」駅から徒歩約7分の映画の舞台にもなるおしゃれな地にこんな希少な温泉があったとは。しかも鎌倉で天然温泉は唯一ここだけ。低めの水温なので湯舟は加温しているが、いっさい加水無しで水風呂は源泉のままだ。目の前に広がる鎌倉の海と空の絶景を眺めながら、滅多に出合えないお湯を堪能しよう。
    2階のお風呂はオーシャンビュー。天気のいい日は江の島や富士山まで見える
  • spot 27
    七里ガ浜
    のんびり磯の空気を味わいたい七里ガ浜
    「七里ガ浜」は江ノ島電鉄、通称「江ノ電」(以下江ノ電)が走る海岸線で、鎌倉市南西部、相模湾に面した2.9kmの浜。すぐ目の前には江の島があり、天気のいい日は富士山まで見渡せる。「日本の渚100選」にも選ばれた鎌倉を代表する海岸のひとつ。
    江の島を背に、波に乗るサーファーたち
  • spot 28
    Pacific DRIVE-IN 七里ヶ浜
    七里ガ浜でいちばん海に近いカフェ
    七里ガ浜にはフォトジェニックな絶景カフェがめじろ押し。ハワイやオーストラリアのパンケーキなど、海辺に似合う料理を食べられる店も多い。なかでも、「Pacific DRIVE‐IN(パシフィックドライブイン)」は七里ガ浜で 最も海沿いにある人気カフェ。店内からも海は見渡せるが、テラス席なら愛犬と一緒に過ごせるのもうれしいポイントだ。冬でも天気のいい日は海風が感じられるテラス席はとにかく気持ちいい。7割の客がテイクアウトのランチボックスをテラス席や車中、または浜辺で、海を眺めながら楽しんでいる。冬場は土・日曜、祝日以外10時開店だが夏は朝8時から営業しており、常にサーファーをはじめ、多くの地元客で賑わっている。朝早い時間から元気な鎌倉湘南女子がハワイを感じさせるボリュームたっぷりの朝食をぺろりと平らげる姿を見られるかもしれない。
    370台を備える「七里ヶ浜海岸駐車場」の中央に位置する
  • spot 29
    おもちゃのちょっぺ~
    昔ながらの懐かしいおもちゃ屋さん
    JR鎌倉駅東口のロータリー左にある小町通り商店街を入るとすぐ、レトロな風情の「おもちゃのちょっぺ~」はある。創業は1924年(大正13)。鎌倉の住人でこの店を知らない人はいないだろう。昔から「ちょっぺ、ちょっぺ」といわれて子どもたちに親しまれていたという。間口の狭い入り口を入ると、そこは子どもにとっても大人にとってもワンダーランド。4代目店長、今さんが「品ぞろえは大手さんにも負けない」というように、店じゅう、最新のアニメキャラクターから、おなじみのトミカ、仮面ライダー、シルバニアファミリーや昔ながらのけん玉、コマ、紙風船まで、いろいろな時代のおもちゃがごちゃまぜに所狭しと並べられている。店頭に飾られたプラレールのジオラマには大仏様や鳥居も飾られ、鎌倉の風情たっぷり。湘南モノレールや江ノ電のオフィシャルショップなので、オリジナル商品も充実している。あふれるおもちゃのなかから欲しいものを探すわくわく感で、あっという間に時間が過ぎることだろう。
    江ノ電グッズなどここでしか買えない商品は鎌倉みやげにも
  • spot 30
    旭屋本店
    昔から鎌倉で人気の老舗和菓子店
    1905年(明治38)創業。駅から少し離れるが、鶴岡八幡宮のすぐそばに店を構える120年近く続く老舗店だ。お目当ての和菓子は夕方には売り切れていることも多く、それだけ愛されてきたことがわかる。すぐになくなってしまうため一日に数回作るという旭屋本店のいちばん人気は「豆大福(184円)」。自家製の北海道産のつぶ餡を、赤エンドウ豆を混ぜた無添加の餅で包んだ。甘さ控えめでちょっぴり塩味。しっかりとした豆の存在感と本物ならではのやわらかい餅の食感の相性もよく、長方形の餅からあんこがのぞくその姿も唯一無二の豆大福だ。「鎌倉源氏最中(税込200円)」も人気の定番商品。2代目の考案で1965年(昭和40)には全国菓子大博覧会で金賞を受賞している。この最中は当時、八幡宮の宮司に気に入られ、上宮の扁額に飾られた鳩型の文字を最中にかたどることが許された。また老舗でありながら新しい試みも忘れない。店先には5代目店主イチオシの「くずバー」の自販機が設置されている。葛粉とフルーツを固めて作った低カロリーのアイスキャンディで、全12種類のなかには、こちらも実朝、頼朝、政子など鎌倉ゆかりのネーミングを見つけることができる。
    左は「鎌倉源氏最中」。緑が実朝(こし餡)、茶が頼朝(つぶ餡)、ピンクが政子(白餡)。右は珍しい形の「豆大福」
  • spot 31
    大巧寺 おんめさま
    安産祈願の代名詞「おんめさま」は女性の守り神
    鎌倉駅から徒歩3分。大巧寺は観光客で賑わう鎌倉のメイン通り・若宮大路沿いのビルのはざまにありながら、しっくりと鎌倉の町になじんでいた。通り脇の山門の先は緑豊かな参道になっていて、小町大路に抜けるように静かな境内がある。もともと十二所にあった「大行寺」という真言系の寺だった大巧寺は、源頼朝がここで合戦の作戦会議を行い、大勝を収めたあと「大巧寺」と改められた。その後、日蓮宗に改宗し1320年(元応2)に現在の地に移転。室町時代の終わり頃、当時の住職が難産のために亡くなった女性を供養し、成仏させたことから大巧寺は全国でも珍しい特定の檀家をもたない安産・子宝祈願の寺として名を馳せるようになった。本堂横には安産腹帯守授与所があり、安産祈願にやってくる妊婦や、子宝祈願に訪れる若いカップルがあとを絶たない。毎月戌の日や大安の休日は混雑するが、これは犬がお産も軽く多産として安産の守り神といわれているため。戌の日には一日200人もの参拝客が訪れることもあるという。ご本尊の産女霊神(うぶすめれいじん)の産女(うぶめ)がなまっておんめさまと呼ばれ、大巧寺は安産祈願に訪れる人や鎌倉住人からも広く愛されている。
    大巧寺(おんめさま)はJR横須賀線及び江ノ電、鎌倉駅から徒歩3分という近さ
  • spot 32
    Osteria Gioia
    自家菜園の野菜が食卓に並ぶイタリアンレストラン
    「Osteria Gioia(おすてりあじょいあ)」(以下ジョイア)のオーナーソムリエは毎朝、自身の畑で自ら野菜を収穫。その日のうちに店に運ばれる採れたて野菜は、極上のイタリアンになって客に提供される。
    ランチコースの前菜は、自家製野菜をふんだんに取り入れた盛り合わせ
  • spot 33
    M’s Ark KAMAKURA
    鎌倉のキュレーションサイトの役割を担う観光の息抜きスポット
    1階にナッツ専門店の入るビルを中まで入っていくと床に穴が開いてガラス張りになっている箇所がある。聞けば床の下は鎌倉時代の遺構だという。当時若宮大路のこの辺りには北条氏本筋の屋敷があり、遺構は発掘調査によって出土した台所の陶器や貝殻、ゴミ棄て穴までもがそのままの姿で保存、無料公開されている。この建物は鎌倉の老舗蕎麦店・峰本が手がけた施設。鎌倉観光客に旅のヒントを供し、快適に過ごす手助けを目的に造られた。1階の遺構脇には鎌倉の年表ディスプレイの展示があり、鎌倉ゆかりの人物や訪れた著名人を源頼朝からオバマ元大統領まで幅広く紹介。隣にある「侍気分」は、戦国・幕末に活躍した人物をモチーフにしたしゃれた雑貨を取りそろえたショップで、鎌倉土産にもぴったりだ。2階は英語ナレーションによる鎌倉のメッセージ映像が流れるなか、無料Wi-Fi環境を整え、6か国語に対応する鎌倉観光情報を提供。目玉は有料トイレで、鎌倉一きれいなパウダールームを完備したトイレがたった100円で利用できる。鎌倉では珍しい発掘された遺構を間近に観て、広々ゆったりしたトイレも使える、穴場スポットといえるだろう。
    若宮大路沿い、鶴岡八幡宮の三ノ鳥居のすぐそばにある
  • spot 34
    鎌倉市川喜多映画記念館
    日本の映画界に貢献した川喜多夫妻の旧宅跡に建てられた記念館
    日本映画を世界に、世界の映画を日本に紹介してきた川喜多長政・かしこ夫妻の功績を紹介する常設展示と、年に4回の企画展示に加え、テーマに沿った映画上映やワークショップなどを開催。
    2010年(平成22)、記念館は小町通りから1本入った住宅街の一角に開館
  • spot 35
    納言志るこ店
    ていねいに煮たあずきがたっぷり入った名物志るこ
    行列の絶えない納言しるこ店は、小町通りの裏路地にある昔ながらの小さな店。ガラガラっと扉を開くとほのかに甘いあずきの香りが漂ってくる。訪ねたのは暑い夏の日だったが、毎朝女将が鉄釜で2時間かけて炊くという評判のあずきを食べたくて、迷わず「田舎しるこ(つぶ餡)」を注文した。運ばれてきたお椀には熱々ふっくら、大粒あずきがこぼれんばかりに入り、いい塩梅(あんばい)に焦げのついた餅が顔をのぞかせている。たっぷりのあずきはしつこくなく、白い湯気の立ち上るなか、はふはふしながらも箸はどんどん進んでいく。やわらかい小ぶりの餅は鎌倉の老舗和菓子店「大くに」のものを使用。甘いあずきと焼きたての餅の香ばしさを引き立てる口直しのきゃらぶきもいいアクセントになっている。あまりのおいしさにもう一品、冷たい抹茶あんみつをいただいた。こちらも鎌倉の老舗日本茶専門店「枝村園」の抹茶を使用し、あずきとのコラボを楽しめる絶品。この店の甘味を大佛次郎や川端康成など、多くの著名人たちが愛したというのにも納得がいく。次は「御膳しるこ(こし餡)」にしようか、夏に来るなら「氷あずき」を食べようか、と思いをめぐらせているとあっというまにお椀はからっぽになっていた。
    手前は季節関係なしの看板メニュー「田舎しるこ(つぶ餡)」700円。奥は夏に人気の「抹茶あんみつ」600円
  • spot 36
    力餅家
    鎌倉最古の和菓子屋は今も変わらず愛される本物の味
    江ノ電の踏切越しに鳥居が見える御霊神社から歩いて2分。「力餅家」は江戸時代の創業から300年以上続く現在9代目の老舗和菓子店だ。映画『海街ダイアリー』のロケ地として話題になるずっと前から多くの人を魅了してきた。鎌倉に滞在していた作家・芥川龍之介や長谷に住んでいた川端康成も常連だったという。太平洋戦争のあとに建てられた木造のバラックが当時のまま使われ、正面入り口に掲げられた昭和初期に活躍した書家の力強い揮毫、「力餅家」の暖簾が目印だ。看板商品「権五郎(ごんごろう)力餅」は添加物をいっさい使わず、できたての餅をきめ細やかなこし餡で包んだ和菓子。2~4月は餅が草餅になるというのでこの時期を心待ちにするファンも多い。権五郎力餅の賞味期限はその日いっぱい。日持ちが3日の求肥(ぎゅうひ)力餅もあり、こちらはお土産に。毎年近所の御霊神社で例大祭が行われる9月18日には、面掛(めんかけ)行列という神奈川県の無形民俗文化財に指定される行事が行われるが、このとき男たちが練り歩く際に被る鬼や爺、おかめなどの面を模した「福面まんじゅう」にも人気がある。カステラのような生地の中にあんこが入ったこちらもお土産にぴったりの商品だ。
    左の坂を上った先には成就院、極楽寺、右に進むと御霊神社がある
  • spot 37
    大船軒 茶のみ処
    人気の駅弁「鯵の押寿し」を食べられる茶飲み処
    鎌倉名物の駅弁といえば「鯵の押寿し」だろう。人気の押寿しをその場でいただける「大船軒 茶のみ処」はJR大船駅の西口から徒歩約5分。隣接する工場で作ったばかりの、駅弁とはひと味違うできたてをぜひ味わいたい。
    種類豊富な押寿しと昔ながらの「サンドウイッチ」は大船軒の看板駅弁
  • spot 38
    円覚寺
    寺域全体が史跡に指定される、約6万平方メートルもの鎌倉の巨刹
    1282年(弘安5)創建。臨済宗円覚寺派の総本山で鎌倉五山第2位に列せられる円覚寺は正式名称を瑞鹿山円覚興聖禅寺(ずいろくさんえんがくこうしょうぜんじ)と号する。本尊を宝冠釈迦如来とし、開基は北条時宗。
    重層門の山門は神奈川県の重要文化財。1785年(天明5)、江戸時代に再建された。中央には伏見上皇勅筆の扁額がかかっている
  • spot 39
    北鎌倉 葉祥明美術館
    画家・詩人・絵本作家の邸宅に招かれたような美術館
    葉祥明氏は1990年(平成2)、イタリア・ボローニャで国際児童図書展グラフィック賞を受賞した詩人でもある絵本作家。澄みわたる青空のもと、広々とした草原にぽつんと描かれた家や木々が印象的な葉氏の作品は、どこか哀愁が漂い見る者を魅了する。そんな葉氏の作品が一堂に会する美術館が北鎌倉の「明月院」にほど近い小川沿いにある。アメリカカエデの大木が立ち並ぶ庭の向こうにたたずむジョージア様式の美術館は、絵本に出てくる子どもたちの笑い声や息使いまで聞こえてきそうな邸宅だ。壁には葉氏の作品が掛けられ、生活の一部として作品はそこに存在していた。館自体が1冊の美しい絵本のようなコンセプトで、各部屋には登場人物の名前が付いており、初期の作品からドローイング、最近の作品まで、まるで部屋の住人たちがセレクトしたかのように部屋ごとにぴったりとあう作品が飾られる。葉氏の描く穏やかな風景は洋館の壁面にしっくりとなじみ、いわゆる普通の美術館で観るようなかしこまった鑑賞法とは一線を画し、作品は自然と染み入るように心に入りこむ。登場人物に招かれたような邸宅で、訪れる人は作品をより身近に感じ、包み込まれるような安らぎを覚える、そんな美術館だ。
    絵本の住人が住んでいる洋館というイメージで建てられた美術館
  • spot 40
    成就院
    目の前に由比ガ浜を一望できる鎌倉ならではの寺院
    以前は鎌倉を代表するアジサイ寺として名を馳せた成就院。創建800年の2019年(令和元)に参道の修復工事がなされ、山門へと続く石段の両脇に植えられていたアジサイは一部を除き、移植された。
    煩悩と同じ数の108段ある階段を上った先、東結界側の参道から見た由比ガ浜の海岸線
  • spot 41
    光明寺
    材木座海岸まで徒歩1分!鎌倉で最も海に近い大寺院
    1243年(寛元元)に創建された光明寺は第4代執権北条経時(つねとき)が浄土宗の僧・然阿良忠(ねんなりょうちゅう)上人を迎えて開いた関東総本山。遊行寺(ゆぎょうじ)、円覚寺、建長寺とともに湘南鎌倉4大寺に数えられる。
    現存する鎌倉最大の山門
  • spot 42
    称名寺(今泉不動)
    境内奥に滝のある、木立に囲まれた癒やしの寺
    818年(弘仁9)、空海が諸国巡行の折、この地で霊感を得て不動明王を彫り開山したといわれる今泉不動。1693年(元禄元)に増上寺の僧正から「今泉山一心院称名寺」の山号寺号を得て、浄土宗の「称名寺」となった。
    左に流れるのは繊細な「女瀧(めだき)」。右は女瀧とは水源の異なる「男瀧(おだき)」
  • spot 43
    檑亭
    廻遊式(かいゆうしき)庭園をもつ鎌倉山の老舗料亭
    おそらく「檑亭(らいてい)」を知らない鎌倉住人はいないだろう。あまりにも有名なのでハードルが高いと思われがちだが、敷地内には気軽に文化財や仏像を見ることができる散策路があり、鎌倉ならではのランチを楽しむことができる。
    食事処として使用される本館は国登録有形文化財
  • spot 44
    ル・ミリュウ鎌倉山
    リゾート気分を味わえる鎌倉山のおしゃれカフェ
    鎌倉市西部の小高い丘に位置し、昭和初期に開発されたときのまま今も瀟洒なたたずまいを見せる高級住宅地、鎌倉山。2010年(平成22)、東京・紀尾井町にあるフランス菓子の名店、ラ・プレシューズがこの地にオープンさせたカフェが「ル・ミリュウ鎌倉山」だ。鎌倉山の頂上にある真っ白な外観の店舗で、大きなガラス窓を設けた店内からも、そよぐ風が気持ちいいオープンテラス席からも、眼下に豊かな緑が広がり、天気のよい日は七里ガ浜の海まで一望できる。店に入ってすぐ目に飛び込むのは美しいケーキやチョコレートがお行儀よく並ぶショーケース。隣の工房で作られるパンを使ったランチのサンドイッチやブリオッシュのセットにこれら自慢のケーキのなかから好きなものを選ぶことができるのも人気のポイントだ。店内奥には焼きたてパンや焼き菓子、手作りジャムがそろっていて、お土産にもぴったり。店舗隣には植物や洒落た雑貨がセレクトされた「MILIEU SHOP(みりゅうしょっぷ)」があり、地元客、観光客問わず賑わいを見せる。リゾート感満載のあこがれの鎌倉山で、のんびりカフェタイムを楽しみたい。
    サンドイッチセット1870円にはサラダ、ドリンクに好みのケーキをチョイスできる
  • spot 45
    御成通り
    ふだん着の鎌倉に触れたいなら訪ねてみよう
    JR鎌倉駅の西口側は地元客が集まるのんびりした雰囲気のエリア。駅のすぐ脇から始まる御成通りは駅東側の若宮大路と並行して走る道。商店街になっていて、鎌倉の住人たちがふだん使いする店が並んでいる。
    県道311号線(由比ガ浜通り)側の御成通り商店街入り口ゲート。柱には「湘南人御用達」の文字が書かれている
  • spot 46
    コクリコ 御成通り店
    昔から鎌倉で人気の老舗クレープ店
    コクリコは鎌倉で人気のクレープ店で、店名のコクリコcoquelicot(こくりこ)はフランス語でひなげしのこと。与謝野晶子がフランスを訪れた際にひなげし畑を詠んだ歌から名づけられた。1972年(昭和47)創業時のコクリコは自家製マヨネーズもおいしいサンドイッチパーラーだった。その後サンドイッチ店はなくなり、今は小町通りに1号店、御成通りに2号店のクレープ専門店に。小町通り店は観光客の行列が絶えないが、御成通り店は地元客が多く、比較的待ち時間も少ない。コクリコのクレープは皮がパリパリと軽い食感で、一枚ぺろりと食べられる。店内にテーブル席もあるが、全品持ち帰り可能なのでランチタイムには買って帰る地元客も多い。一品が350~600円とリーズナブルなのも魅力で、夕方には学校帰りの学生たちの姿もよく見かける。今回いただいた「レモンシュガー」(350円)はレモン果汁と砂糖を使ったシンプルさが人気のメニューだ。食事にもなる「ゴーダチーズアンチョビオリーブオニオンスライス」(550円)や大人のクレープ「ラム酒シュガー(45度)」(350円)など50種類以上のラインナップから今日は何を食べようかと考えるのも楽しい。
    いい香りが漂う店内。一枚ずつていねいに焼いていく
  • spot 47
    古我邸
    鎌倉3大洋館のひとつ、古我邸で優雅にカフェタイム
    鎌倉文学館、旧華頂宮邸とあわせて「鎌倉3大洋館」のひとつである古我邸は長い間非公開だったが、築100年を迎え建物を改修後、2015年(平成27)にフレンチレストランとしてオープン。同時にガーデンカフェも併設された。
    瀟洒な洋館の裏手、池のほとりにガーデンカフェはある
  • spot 48
    一閑人
    野菜もたっぷり食べられるボリューム満点の一杯
    「一閑人(いちかんじん)」とは中国風の衣装を着た子ども・唐子(からこ)が縁についている器のこと。正確には「いっかんじん」と読み、暇人が井戸をのぞき込んでいる姿がかわいらしい遊び心のある焼き物だ。この名を冠したラーメン店が江ノ電・和田塚駅から徒歩2分の由比ガ浜大通り沿いにある。店を構えたのは2009年(平成21)。外観はカフェバーのような印象で、店内にはシャンデリアやかわいい小物が並べられ、ちょっとしたパラレルワールド。ここでいただくいちばん人気は店内で作っている自家製麺が評判の「つけ麺」だ。もちもちの麺と大きな叉焼が載ってボリューム満点。スープにはブタの背油やほたての貝ひもも入る。そのほか、店長のご両親が畑で栽培しているハバネロか青唐辛子を選べるエスニックな「辛い麺」にハマる人も多く、そこに追加でパクチーを頼む常連客も少なくないという。サイドメニューの「鎌倉サラダ」は毎日仕入れる色とりどりの野菜を使う。かぼちゃの一種、コリンキーなど珍しい鎌倉野菜も入るので、鎌倉を訪ねた旅行客も大満足。麺もたっぷり、野菜もたっぷりで、女性にも男性にもうれしいおすすめ店だ。
    「つけ麺 並もり」950円。「鎌倉サラダ」はこれで小サイズ。レタス、ルッコラ、ズッキーニなど8種類入って破格の280円
  • spot 49
    パティスリーMIWA
    地元客からの信頼も厚い、鎌倉の隠れた名店
    御成通りから長谷に向かう由比ガ浜大通りの一角にある「パティスリーMIWA」。鎌倉在住の友人からお土産にいただくほろほろと口どけのよいクッキー缶がおいしくて、かねてから訪ねたいと思っていた。MIWAは長年鎌倉の正統派洋菓子店「レ・ザンジュ」のグランシェフを務めてきた三輪シェフの店。彼の作り出す洋菓子はしっかり甘さが感じられる本格派だ。ショーケースには世界最高峰のチョコレートを使ったドイツ菓子・ザッハトルテやモンブラン、シュークリームといったおなじみのフランス菓子が並び、チョコレートも豊富にそろう。独自の配合でシェフは菓子に使用するオリジナルの生クリームを開発。MIWAのスペシャリテ「ソンシンショコラ」にも最高級のチョコレートにこの生クリームをあわせてガナッシュを作り、厳選したナッツとフルーツとを組み合わせた。直々に教えた弟子が200人はくだらないという洋菓子界の重鎮でありながら、気さくに近所の客と談笑するシェフの姿は印象的だ。真摯に菓子作りに向き合い、客を大切にする気持ちを忘れない。生ケーキを買って帰れなくても、そんなシェフの作るMIWAの焼き菓子を鎌倉土産にぜひ買って帰ろう。
    MIWAを代表するチョコレート菓子、「ソンシンショコラ」1本1700円。ソンシンとはソーセージという意味
  • spot 50
    鎌倉創作和菓子 手毬
    古都鎌倉で気軽に参加できる創作和菓子作りに挑戦
    うっとりするようなビジュアルの和菓子を自分で作ることができたら。そんな夢を叶えてくれるのが「鎌倉創作和菓子 手毬」だ。1時間程度の体験コースでも、自分でかわいらしい和菓子を作りだす喜びを味わうことができる。
    ため息が出そうなほど美しい練り切りたち。上段真ん中は「鎌倉創作和菓子 手毬」を代表する「市松手毬」(756円)
  • spot 51
    鎌倉はんこ
    鎌倉ゆかりの縁起の良い開運印鑑
    「鎌倉はんこ」は職人である3代目主人・月野氏夫妻がオーダーを受けてから一本一本手作業ではんこを作り上げる印鑑専門店。店は完全予約制で、職人と相談しながら一生使うことのできるはんこを作る。品質の高さで知られる山梨県・六郷で仕入れた木材や天然石などの印材のなかから自分にあうものを選んで、その後、書体や大きさを決めていく。印鑑ケースや予算など職人とじっくり話し合えるので、満足のいく自分だけの1本になる。「縁起の良い開運印鑑」をうたっている「鎌倉はんこ」では、すべてのはんこを鎌倉ならではの伝統ある神社で祈祷してもらい、姓名や方位の鑑定を受けて印面を彫り上げる。店内に並ぶ華やかな印鑑ケースも、古い着物の布などを使った工芸品で、ケースだけを買いにくる客も少なくない。また、向かいのビルの2階では、自分で考えたオリジナルデザインを印鑑にする「体験型オリジナルはんこ作り」も実施。熟練の職人が手彫りで仕上げてくれるので、初心者でも質の高いはんこを作ることができる。心を込めて作られたはんこは唯一無二の一生もの。体験には、昨今、評判を聞いた海外の観光客が訪れることもあるという。
    第63回全国推奨観光土産品審査会の最優秀である経済産業大臣賞を受賞
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旅のヒント

  1. その1

    JR鎌倉駅が多くの観光スポットの拠点となっているが、東京から向かうとひとつ手前の北鎌倉駅周辺にも有名寺院が点在している。北鎌倉駅と鎌倉駅の間は約3km。その間に人気スポットの小町通りなどもあるので、のんびり歩くのもいい。

  2. その2

    古い町なので主要道路を除き道幅は狭く、駐車場も限られる。休日は交通量も多いので渋滞が頻発する。休日、週末は車での訪問は避けたほうが無難。

  3. その3

    鎌倉と藤沢を結ぶ江ノ電では1日乗り降り自由のパスを発行している。江ノ電沿線の寺社や見どころを訪れるなら利用価値大。

  4. その4

    アジサイやモミジが名所になっているスポットは、ピーク時はかなりの混雑となる。入場制限を設けているところもあり、せっかく訪れても入場できないことがある。逆に時期をはずした寺の境内には静寂が広がり風情があるので、古都鎌倉を感じたい人にはおすすめ。

  5. その5

    鎌倉は観光地であるとともに住民が普通に暮らす町でもある。食べ歩きには十分気をつけ、ごみのポイ捨て、騒音などにも注意しよう。

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