神奈川

小田原・真鶴町・湯河原

ODAWARA / MANAZURUMACHI / YUGAWARA

相模湾に面し、城や温泉街に癒やされるエリア

神奈川県の南西部に位置する見どころも多い3つのエリア。北から南へ小田原、真鶴、湯河原と続く。城下町の小田原、山地帯で日本のリビエラとも呼ばれる真鶴半島、「薬師の湯」といわれる癒やしの温泉地・湯河原とそれぞれ魅力的な特徴をもつ。江戸時代、東海道屈指の宿場町として栄えた小田原はもともと漁業が盛んで、900年以上も前からかまぼこ作りが続けられてきた。現在も小田原港のエリアでは新鮮な魚介料理や買い物を楽しむことができ、食の街・小田原としても地位を高めている。真鶴町は昔から日本の鉱石として名高い本小松石の産地で、市街地の北側の山は採石場が多い。豊かな自然にはぐくまれ、海沿いの丘陵ではミカン栽培も多く行われている。湯河原は万葉集にも名が出てくるほど歴史ある温泉地で、東京の奥座敷ともいわれ、古くから文人墨客に愛されてきた。現在も小規模の高級宿が多く、存在感を示している。

recommend spot

エリアの見どころ

  • spot 01
    真鶴町立中川一政美術館
    多彩な芸術活動を貫き通した中川一政の世界を堪能する美術館
    97歳で亡くなるまで精力的に作品を作り続けた芸術家、中川一政の作品を集めた美術館。画家としてスタートすることを決めた20代の頃の作品から絶筆までがそろい、真鶴に住みつねに挑戦し続けた中川一政の仕事を通観することができる。
    森のなかにたたずむ美術館の建物は「公共建築百選(旧建設省)」に選ばれている
  • spot 02
    小田原城址公園
    四季折々の花が美しい国指定史跡の都市公園
    戦国大名・小田原北条氏の居城となり、日本最大の中世城郭に発展した小田原城。本丸、二の丸を中心に城址公園として整備され、歴史スポットあるいは花を愛でる憩いの公園として人々に愛されている。さまざまな史跡を巡りかつての小田原の姿を想像しつつ、その美しい自然を楽しみたい。
    正面入り口から入ってすぐのところにある馬出(うまだし)門
  • spot 03
    小田原城
    難攻不落としても知られる名城
    上杉謙信や武田信玄の攻撃を防ぎ、難攻不落の名城としてその名を全国にとどろかせた小田原城。明治期に入り解体されたが、本丸と二の丸を中心に城址公園として整備され、1960年(昭和35)には天守閣が江戸期の姿に復興。かつての美しい姿がよみがえり、城下町として栄えた小田原のシンボルとして人々に親しまれている。
    本丸の広場から見た小田原城の天守閣
  • spot 04
    小田原漁港/漁港の駅 TOTOCO小田原
    相模湾や伊豆近海の恵みが水揚げされる漁港
    水深が深く四季を通じてさまざまな漁獲がある相模湾。小田原漁港はこの好漁場で獲れた魚のほか、伊豆近海、全国各地の水産物が水揚げされている。2019年(令和元)には、お土産や地元の食材を購入できる、海沿いの施設「漁港の駅 TOTOCO小田原」も開業し、観光客と地元客とで賑わっている。
    小田原漁港は消費圏のすぐ近くに造られた港だ。JRの早川駅にも近く、第2・第4土曜開催の朝市には多くの人が集まる
  • spot 05
    とと丸食堂
    海鮮たっぷりの丼と定食が人気の行列店
    「漁港の駅 TOTOCO小田原」2階に入る豊富な丼メニューで人気の店。食券を購入するとその食券の番号で料理のでき上がりが知らされるシステムなので、食券を購入したら席を確保して待とう。メニューは海鮮丼に定食、そば、ラーメンと多様だが、人気ナンバーワンは「とと丸頂上丼」(2580円)と名づけられた、山盛りの海鮮丼。旬の魚がご飯とともに富士山のようにびっしりと盛りつけられた丼だ。食べきることができるかと心配になるほどのボリュームだが、醤油にゴマだれ、仕上げは濃厚魚介出汁と味変を楽しみながらいただけば、するっと入ってしまう。平日でもお昼どきは満席になる人気店なので、週末は行列覚悟で。数量限定メニューもあるので、目的の料理があるなら早めに訪れよう。テラスでの食事も可能なので、過ごしやすい日は海を眺めながらいただこう。
    見て、撮って、食べてうれしい「とと丸頂上丼」。お皿があるので食べこぼしの心配もない
  • spot 06
    かまぼこ通り
    進化し続ける小田原かまぼこの聖地
    小田原名物として有名なかまぼこ。その発祥の地ともいえるのが、全国に名を馳せる有名かまぼこ店が軒を連ねるかまぼこ通り。ほかに老舗の和菓子店や料亭、乾物屋などもあり、お土産探しの名所としてはもちろん、食べ歩きを楽しめるスポットだ。その歴史と伝統を感じながら散歩したい。
    かまぼこ通りの入り口。2つの通りに老舗かまぼこ店が点在している
  • spot 07
    鈴廣かまぼこの里
    小田原名物のかまぼこの魅力をさまざまな施設で発信
    小田原の老舗かまぼこ店「鈴廣」が手がけるかまぼこのテーマパーク。特産品であるかまぼこがどうやってできるかを学び、実際にかまぼこ作りを体験し、伝統的な板かまぼこからユニークなプリントかまぼこまで、さまざまな商品を購入することができる。子どもから大人まで楽しめるスポットとして、県内外から多くの人が訪れる。
    かまぼこ、ちくわ手作り体験教室の様子。職人がていねいに教えてくれる
  • spot 08
    神奈川県立 生命の星・地球博物館
    地球に関わる膨大な資料をユニークな展示法で紹介する
    地球誕生から現在までの悠久の歴史を、ストーリーを追ってわかりやすく展示している博物館。1万点にも及ぶ実物標本のコレクションは圧巻で、岩石や動物、植物などと実際に対峙してさまざまなことを感じ、学ぶことができる。
    小田原ではぜひ立ち寄りたい見どころのひとつ
  • spot 09
    小田原文化財団 江之浦測候所
    日本文化を再確認するアート施設
    現代美術作家・杉本博司氏が設立した「公益財団法人小田原文化財団」が運営する、2017年(平成29)10月に一般公開をスタートした芸術文化施設。ミカン畑の斜面を生かした展示施設は複数の要素で構成されており、庭園や建築、美術作品を楽しむことができる。
    この美術館を特徴づける「光学硝子舞台と古代円形ローマ劇場写し観客席」と「冬至光遥拝隧道(とうじこうようはいすいどう)」
  • spot 10
    箱根湯本
    箱根で最多の宿数を誇るエリア最古の温泉地
    箱根温泉の玄関口として多くの観光客を迎える箱根湯本。箱根十七湯のなかで最も歴史が古く、宿泊施設の数も最多。土産物店やレストランなども多く、箱根温泉の中心地としての機能も果たしている。標高は100m程度だが、早川沿いなど風光明媚な景色も見られ、ゆっくりと散歩を楽しみたい魅力にあふれている。
    駅前を走る国道1号沿いに連なる商店街
  • spot 11
    箱根湯寮
    箱根の自然に囲まれた優雅な日帰り温泉
    さまざまな温泉施設のある箱根湯本。日帰りで気軽に楽しめる温泉施設でおすすめなのが、塔ノ沢の静かな環境に立つ箱根湯寮だ。玄関までの趣あるアプローチは木々に囲まれ、その古民家風の建物はまるで高級旅館のような雰囲気。大浴場「本殿 湯楽庵 大湯」では、内湯はもちろん、岩風呂、見晴湯、サウナなどさまざまな温泉があり、箱根の自然に囲まれ極上の時間を過ごすことができる。畳敷の「休息房」や「うたたね房」など休憩室も充実。特別な時間を過ごしたいときにおすすめなのが、19室用意された貸切個室露天風呂「離れ湯屋 花伝」。誰にも気兼ねせず露天風呂に入り、食事もセットになったプランにすれば、まるで優雅な旅館に宿泊したかのようにリラックスした時間を過ごすことができる。
    誰にも気兼ねせずに温泉を楽しめる貸切個室露天風呂
  • spot 12
    岡田美術館
    東アジアの一級美術品を多数収蔵
    アートスポットが豊富な箱根で、必ず訪れたい美術館のひとつ。5階建ての巨大な建物には15室の展示室があり、日本画や中国・韓国陶器など、東アジアの美術コレクションを常時450点展示している。食事処「開化亭」や庭園、足湯カフェなど、展示以外も見逃せない見どころが盛りだくさんだ。
    歴史と伝統を感じさせる美術作品の数々に圧倒される
  • spot 13
    ポーラ美術館
    箱根の自然豊かな森でアートを堪能する
    印象派から気鋭の現代アーティストの作品まで幅広く展示する美術館。森に溶け込むように設計された現代的な建物ですばらしいコレクションの数々を堪能したあとは、国立公園の緑溢れる美しい「森の遊歩道」へ。自然との調和を感じながら作品を鑑賞したい。
    森と一体になったエントランスまでのアプローチ
  • spot 14
    箱根湿生花園
    春から秋まで湿原・湿地帯の多様な植物を見ることができる植物園
    湿原や湖沼に生育している植物を中心に、日本全国の湿地帯の植物を集め、1976年(昭和51)に日本で初めて造られた湿原植物園。順路をたどりながら歩けば、低地から高山の湿原へ順番に見ることができる。
    仙石原湿原を代表するノハナショウブ。見頃は7月上旬頃
  • spot 15
    湯河原温泉
    文化人が愛した万葉集にも歌われた温泉地
    関東の温泉として、唯一万葉集に歌われた歴史ある温泉地。湯のあたりがやさしく傷に効くと評判で、多くの文化人や作家、政治家が湯河原に居を構えたり滞在したりした。現在は藤木川から千歳川沿いに数多くの温泉宿が軒を連ねている。
    町の中を流れる千歳川沿いに温泉宿が並んでいる
  • spot 16
    鱗吉
    小田原かまぼこ発祥の店
    かまぼこ通りでぜひ立ち寄りたいのが、小田原かまぼこ発祥の店といわれている鱗吉。魚店として1781年(天明元)に創業した店で、小田原北条氏が出入りの業者に使用させた家紋の「三つ鱗」を現在唯一受け継ぐかまぼこ店である。初代吉右衛門の「吉」と合わせて鱗吉という屋号を名乗り、手作りや天然素材にこだわったかまぼこ作りを行っている。商品は2018年(平成30)に農林水産大臣賞を受賞した「伊達巻」をはじめ、「小田原板かま」などが有名だ。隣接するスペースには囲炉裏を囲む、足湯のあるテーブルがあり食事も可能。かまぼこはもちろん、干物や小田原おでんなどを神奈川のおいしい日本酒と一緒に味わうことができる。食べ歩きメニューもそろえており、「じねんじょ棒 」や「いわし揚げサンド」などが人気だ。
    串に刺さった食べ歩き用の揚げかまぼこ
  • spot 17
    籠淸 本店
    かまぼこ通りで必ず立ち寄りたい名店
    かまぼこ通りでひときわ風格のある建物が1814年(文化11)創業の籠清本店。かつてこの地は漁師町であり千度小路(船頭小路とも)と呼ばれていたが、関東大震災で被害を受け、1924年(大正13)に再築されて現在にいたる。伝統的な外観に対し店内は現代的で、100種以上の商品がガラスケースにずらりと並んでいる。なかでも2020年(令和2)に農林水産大臣賞を受賞した「鳳凰」は最高級の素材を昔ながらの手法で職人が一つひとつ手付けした板付き蒲鉾。ほかにも揚げかまぼこのセットやおでんの具などが売れ筋だ。かまぼこ通り全体で取り組んでいる食べ歩きメニューも充実し、注文すると「玉ねぎ棒」「いわし棒」などをその場ですぐに揚げて熱々を食べさせてくれる。200年の歴史をもつ味を堪能してみよう。
    食べ歩き用のかまぼこはその場で揚げるので7-8分かかる
  • spot 18
    真鶴岬
    豊かな自然、手つかずの森が広がる景勝地はジオパークに認定
    約15万年前に起こった何度かの噴火活動により形成された真鶴半島は、温泉町箱根や歴史の町小田原とは違うありのままの自然が魅力。半島の先端にある真鶴岬は潮風が心地よく、自然歩道の散策や磯遊びに最適な場所だ。
    三ツ石周辺は高波が多く荒々しい
  • spot 19
    報徳二宮神社
    偉大な先人、二宮尊徳翁の人生や功績を知り、学べる神社
    小田原で生まれた二宮尊徳翁(幼名・二宮金次郎)を祭神として1894年(明治27)に創建された神社。小田原城二の丸小峰曲輪の一角にあり、日々、翁をしのび慕う人々の参拝が絶えない。鳥居をくぐると正面に御社殿。神明造りで周囲を深い緑に囲まれ、凛とした気配を漂わせている。拝殿の礎石は天保の大飢饉の際、尊徳翁が小田原城内の米蔵を開かせ人々に米を配り、結果、小田原藩の領内から餓死者を一人も出さずに済んだという、その米蔵の礎石が使われている。鳥居脇にある二宮金次郎像は1928年(昭和3)、昭和天皇即位御大礼記念として中村直吉氏より寄進されたブロンズ像。製作者は鋳造師・3代目慶寺丹長。同じ像が約1000体作られ、全国の小学校などに配られたが、戦時中の金属の供出により、今残っているのはこの一体だけという貴重なものだ。ほかに二宮尊徳翁像も立つ。神社に隣接する「報徳会館」には和食レストランやカフェもあり人気。「報徳博物館」では、二宮尊徳翁の実績や思想・方法論を学ぶことができる。
    背後の森に溶け込むような美しい御社殿。1994年(平成6)には創建百年記念奉告祭を斎行
  • spot 20
    魚市場食堂
    地元漁師もお気に入り、相模湾の魚のうまさを知る市場の食堂
    小田原漁港に面した「小田原魚市場」は早朝から仲買人たちが行きかう活気あふれる場所。この市場内の2階に「小田原魚市場食堂」がある。早朝は市場を利用する漁師や仲買人たちが食事をし、午前10時頃からは一般客が訪れて営業時間(~15時)中はいつも大賑わい。「うちの料理は頭から尾まであますところなく魚を使う。それで有名になったんですよ」と話すのは武藤社長。定食や単品メニューがずらりとそろい目移りするが、おすすめは「大漁定食」(2200円)。この日の献立は、刺身4切れにキンメの煮付け、フライ3点盛りに小鉢、香の物、あら汁とご飯が付く。ボリューム満点で加えて魚の鮮度が半端じゃない。舌を押し返すような弾力のあるマグロやブリに大感動!「魚の目利きが選びます。素材には自信があります」(社長)。食堂は昭和30年代にオープン。「せり」のすぐ上で食べられる店は全国にもそんなに多くない。人気店のため、魚が早くなくなって閉店してしまうこともあるのでお早めにどうぞ。市場が休日の水曜は休業。
    「大漁定食」。刺身はブリとマグロ、フライはエビ、アジ、マグロ。味も鮮度も抜群
  • spot 21
    小田原フラワーガーデン
    広大な敷地いっぱいに熱帯植物やバラ、梅が花開く
    四季折々に咲き誇る花々のなかを散策するのにぴったりな「小田原フラワーガーデン」。敷地面積4万2188平方メートル(東京ドームの面積とほぼ同じ)のなかに、温室やバラ園、梅園、池、広場などが点在し、花や木々を自由に観賞することができる。メインの施設は「トロピカルドーム温室」(入園料200円)。小田原市環境事業センターゴミ焼却施設の余熱を利用し、1年中温室内を22℃に保っている。エントランスホールから温室内に入ると、目の前にど~んとトックリヤシが目に入る。その向こうにはハイビスカスや旅人の木と呼ばれるオウギバショウが見上げるように伸びる。気分は一気に熱帯へ。パパイヤやバナナもたわわに実っている。隣の「サボテン温室」にはさまざまな形のサボテンが植えられて、今度は砂漠地帯へ旅をしているよう。このほか約160品種360本が植えられた「バラ園」、公園の半分を占める「渓流の梅園」などいつ訪れても世界の花々を愛でることができる。ワンちゃん連れの人も多く、家族そろって楽しんでいるのを見ているとこちらもシアワセになる。
    熱帯植物を観賞しながら歩道に沿って1周できる「トロピカルドーム温室」
  • spot 22
    曽我の里 別所梅林
    3万5000本が咲き誇る梅の名所。例年2月には「梅まつり」を開催
    神奈川を代表する梅の名所として知られている曽我の梅林。そのなかでも別所地区に広がる梅林は、観光の利用にも便利な施設が整えられ、さまざまな楽しみ方のできる魅惑のフィールドとなっている。
    別所梅林から眺める富士山には気分が高揚する
  • spot 23
    山安小田原駅前店
    専門工場で加工された世界の魚の干物が小田原駅前に大集合
    小田原土産といえば干物がはずせない。小田原で干物が作られるようになったのは江戸時代、地場産のアジやカマスを開き干しにして保存食として売り出したのが始まりとか。一方で、小田原北条氏(1495-1590年)の頃からという説もあり、いずれにせよ古くから小田原の干物は世に知られていた。「山安小田原駅前店」は1863年(文久3)創業、「小田原ひもの」の老舗「山安」の直営店。小田原駅東口からすぐの場所にあり、店名を大書した看板を掲げているのですぐにわかる。店は間口が狭く奥行が深いうなぎの寝床タイプ。左右には入り口から奥まで冷凍庫が設置され、どちらを向いても魚・魚・魚!干物の種類は約85種類、詰め合わせのギフトを入れると100種類近くになる。売れ筋商品は「金目鯛開き干し」(3枚入り1080円)。1枚約30cmの大きさは食べごたえ十分。また「極上ホッケ開き干し」(550円)、「極上真アジ開き干し」(2枚500円)なども人気だ。冷蔵庫で2-3日、冷凍庫で1~2か月の保存ができる。小田原と北海道釧路にある自社工場で、徹底した品質管理のもと、下処理から包装まですべて一貫生産を行っている。
    1日の加工枚数は、約20万枚。魚の種類と数に圧倒される
  • spot 24
    柳屋ベーカリー
    10種類以上のあんこがそろう小田原名物のうす皮あんぱん
    小田原城址公園の近く、東海道(国道1号線)に面して暖簾を掲げる「柳屋ベーカリー」は1921年(大正10)創業の老舗パン店。店の前に「うす皮あんぱん」の幟が立ち、看板メニューのうす皮あんぱんを求めて全国から連日ファンが訪れる。あんぱんは丸く厚みがあって、てのひらに載せるとずっしりと重い。あんの種類は現在12種類。「こし」「つぶし」「くろまめ」「ずんだ(枝豆100%)」「宇治まっちゃ」「うぐいす」「赤しそ」……。ほかに栗など季節の餡も登場する。「あんこは80g、生地は20gで合計約100gで作っています。あんこをたっぷり食べてもらいたくて」と話すのは柳田一郎社長。現在3代目を受け継いでいる。どれも人気だが、特に「幻のくろまめ」といわれる黒豆のあんぱんは作るとあっという間に売り切れる。午前中のうちに買いにいくのがベストだ。あっさりした甘さで、一度に2つ、3つと食べられるあんぱんは、卵を使用していないのでアレルギーのある人も安心して口にできる。多いときは1日1000個以上売れるといううす皮あんぱん。小田原土産にはずせない。
    球体に近いうす皮あんぱん。中にはあんこがたっぷり。左上から時計回りに「くろまめ」「こし」「栗白」「うぐいす」「つぶし」
  • spot 25
    小田原おでん本店
    小田原食材のおでん種が45種類、古民家で味わう極上のおでん
    数寄屋門にぶら下がる小田原提灯に「小田原おでん」の墨文字。なんとも風流なエントランスに迎えられて店内に入ると、おでん鍋を囲むL字型のカウンターが待っている。2006年(平成18)11月にオープンした「小田原おでん」はもともと小田原の老舗蒲鉾店が所有していた一軒家だったのを、天井、廊下、梁や床柱をそのままに社長が意匠を手がけ、全15席のカウンターとテーブル席、個室、離れなどのあるおでんの店にしたもの。純和風な艶のある雰囲気にも圧倒されるが、昆布とカツオでとった出汁で煮込んだおでんの味は筆舌に尽くしがたいほどすばらしい。つみれ、白はんぺん、地アジ雑魚ちくわなどのおでん種は小田原の老舗蒲鉾店11社をはじめ、豆腐店、こんにゃく店、青果店、精肉店など地元商店が仕入れ先。「小田原おでん」のために作られたオリジナルの種も多い。現在昼夜あわせて45種類のおでん種が用意されている。ぜひ食べてほしいのは「小田原すじ」。ホタルジャコが原料の昔作りのすじ鉾は歯ごたえと風味がひと味違う。
    左から時計回りにつみれ、イカスミつみれ、小田原なると、大根、地どりつくね
  • spot 26
    一夜城ヨロイヅカファーム
    相模湾を眺める美しいファームで味わう絶品スイーツ
    日本を代表するシェフパティシエの鎧塚俊彦さんがオーナーのファーム(農園)で、2011年(平成23)にオープンした。広々としたファームは史跡・石垣山一夜城を背後に相模湾を一望する風光明媚な土地で、春は湘南ゴールド、夏はブルーベリー、夏みかん、秋・冬には栗、レモンなど豊富な果実が実る。さらに野菜や数十種類のハーブ類が植えられており、鎧塚氏の「食材はすべて自分で作りたい」という考えを実現化させたファームといえる。敷地内にはレストランとパティスリー、ブーランジェリー、マルシェ(直売所)を備え、第一次産業とのコラボレストランとしても注目されている。レストランは4300円のコースランチを提供。1か月前から予約が可能だ。ケーキは常に15~20種類を用意してあり、季節ごとに半分ほど変わる。テラス席があるので、ペット連れでケーキやドリンクを楽しむことも可能。マルシェには地元小田原産の野菜をはじめ、梅で作ったジャムやクッキー、そのほか地場産品を置いている。
    季節によってさまざまなケーキが登場する。写真はレモンクリームがやさしい味わいの「ファームシトロン」
  • spot 27
    石垣山一夜城歴史公園
    日本史の舞台となった城跡。小田原市街、相模湾を一望
    豊臣秀吉が小田原城を攻略する際に築いた石垣城址を再整備。城郭が築かれていた一帯が国指定の史跡とされた。「かながわの景勝50選」「かながわの公園50選」にも選出されている。
    ゴロゴロと大小の岩が無造作に積み上がる石垣の跡
  • spot 28
    小梅堂
    100年以上の歴史ある「きび餅」は湯河原の定番みやげ
    島崎藤村や夏目漱石など明治、大正の文豪たちが好んで逗留した湯河原の旅館街に堂々とした一枚板の看板を掲げる「小梅堂」は1910年(明治43)創業。湯河原一の老舗和菓子店だ。築100年以上の歴史がある建物は、ヒノキや網代編みの天井、縦横に張り巡らされた竹や木の梁、太い柱などがどっしり重厚な雰囲気を醸し出し、そこにいるだけで心地よい。和菓子店であることを忘れて長居をしたくなってくる。名物はきび餅。初代小松清之介が湯河原に名物を作りたいと創製したのが始まりで、白玉粉にキビや砂糖を混ぜて蒸かし、餅にしてきな粉をまぶした素朴な味の菓子だ。一片を口に入れると、なんともふんわりとしてやわらかい口あたり。きな粉のほのかな甘みときび餅のハーモニーは緑茶のほかにエスプレッソなど濃いめのコーヒーにもよくあう。工場は店の奥にあり、できたてが次々とショーケースに運ばれてくるが、5箱、10箱とまとめて買っていく客も多く、見る間になくなっていく。往時の作家たちが足繁く店に通い、きび餅を頬張った。そんな姿を思い浮かべて味わいたい湯河原名物だ。
    「きび餅」(20個入り1100円)の消費期限は3、4日。冷凍保存なら2週間以内はオーケーだ
  • spot 29
    町立湯河原美術館
    湯河原にゆかりのある多くの画家の作品に触れることのできる美術館
    豊かな自然に囲まれ、温泉保養地としても名高い湯河原に魅せられた画家や作家、文化人は多い。竹内栖鳳(たけうちせいほう)はじめ日本を代表する画家の作品を常設展示するほか、現代日本画家・平松礼二の作品を展示する「平松礼二館」を併設している。
    湯河原散策のスポットとして欠かせない「町立湯河原美術館」
  • spot 30
    五所神社
    奈良時代から信仰されてきた湯河原の鎮守神
    遠くからでもよく見える楠の巨木が目印の五所神社。その圧倒される楠には神秘のパワーが宿るといわれ、パワースポットとしても知られている。社殿への参拝とあわせて七福神巡りも体験しよう。
    社殿は鳥居から階段を上った高台にある
  • spot 31
    エルルカンビス
    竹林に囲まれた一軒家のレストランで食べる至福のフレンチ
    湯河原は温泉や文学散歩だけでなく、知る人ぞ知るグルメの町。ヨーロッパを何か国も渡り歩いて修行を積んだ、熟練のシェフが作り出す湯河原フレンチを食べられるのがこの店。上等の食材を使ったオリジナル料理をエキゾチックな雰囲気のレストランでどうぞ。
    「アジの酢締めグリル」「トマトとアボカドのマリネ」「きゅうりのハチミツのピュレソース」
  • spot 32
    カフェレストラン 宮上倶楽部
    庭園とアートに囲まれたくつろぎの空間で過ごす
    奥湯河原の入り口、目立つ瀟洒な白い建物が「カフェレストラン 宮上倶楽部」。こだわりのコーヒー店としてオープンし、今はカジュアルフレンチとアフタヌーンティー、昼限定でうどんも提供している。玄関を入ると、庭園の美しさが目に飛び込んでくる。芝生のなかに池が配され、庭石やモミジ、桜、マキ、ツツジなど大小の庭木が日陰をつくり、花を咲かせている。レストランは、古別荘を取り壊して作り上げたもので、トロピカル建築の第一人者ジェフリー・バワの設計を思わせるエキゾチック、かつリゾートの風情もあわせもつ造り。アルベルト・ジャコメッティの彫刻やエミール・ガレのガラス作品などがさりげなく飾られているのもぜいたくだ。土・日曜、祝日限定、1日2組までが注文できる「アフタヌーンティーセット」(2950円)は、カヌレやマカロン、パンナコッタ、ローストビーフサンドイッチ、季節のフルーツなどを食べられる。湯河原産の野菜や足柄牛などできるだけ地のものを使い料理している。オーナーの堀川光子さんは、「低い山なみに囲まれた海、山、川のある湯河原は穏やかな温泉場です」と話す。「カフェレストラン 宮上倶楽部」でそれを体感できる。
    「アフタヌーンティーセット」は要予約。季節で内容が変わる
  • spot 33
    こごめの湯
    無色透明のやわらかな肌触りの温泉に浸かってひと休み
    鎌倉時代に「こごめの湯」、室町時代には「こごみの湯」と呼ばれてきた湯河原温泉。そんな古称をそのまま名付けた日帰り温泉は地元、観光客を問わずファンが多い。大きな浴槽と露天風呂で四肢を伸ばそう。
    サラサラと笹の葉擦れの音が聞こえる「小梅の湯」の露天風呂
  • spot 34
    幕山公園(湯河原梅林)
    湯河原の大自然で遊び、花を愛でるスケールの大きい公園
    湯河原を代表する公園で、通年アウトドアに親しむ人々が訪れる。特に紅白の梅が花開く季節は、梅見の人々で梅林が賑やかになる。BBQやキャンプもできるのでグループや家族連れにも人気だ。
    紅白の梅がバランスよく植えられた湯河原梅林
  • spot 35
    箱根湯本
    箱根で最多の宿数を誇るエリア最古の温泉地
    箱根温泉の玄関口として多くの観光客を迎える箱根湯本。箱根十七湯のなかで最も歴史が古く、宿泊施設の数も最多。土産物店やレストランなども多く、箱根温泉の中心地としての機能も果たしている。標高は100m程度だが、早川沿いなど風光明媚な景色も見られ、ゆっくりと散歩を楽しみたい魅力にあふれている。
    駅前を走る国道1号沿いに連なる商店街
  • spot 36
    箱根湯寮
    箱根の自然に囲まれた優雅な日帰り温泉
    さまざまな温泉施設のある箱根湯本。日帰りで気軽に楽しめる温泉施設でおすすめなのが、塔ノ沢の静かな環境に立つ箱根湯寮だ。玄関までの趣あるアプローチは木々に囲まれ、その古民家風の建物はまるで高級旅館のような雰囲気。大浴場「本殿 湯楽庵 大湯」では、内湯はもちろん、岩風呂、見晴湯、サウナなどさまざまな温泉があり、箱根の自然に囲まれ極上の時間を過ごすことができる。畳敷の「休息房」や「うたたね房」など休憩室も充実。特別な時間を過ごしたいときにおすすめなのが、19室用意された貸切個室露天風呂「離れ湯屋 花伝」。誰にも気兼ねせず露天風呂に入り、食事もセットになったプランにすれば、まるで優雅な旅館に宿泊したかのようにリラックスした時間を過ごすことができる。
    誰にも気兼ねせずに温泉を楽しめる貸切個室露天風呂
  • spot 37
    箱根登山鉄道
    風光明媚な景色を走る登山電車
    箱根の交通といえば登山鉄道。山の傾斜をスイッチバック方式で上る車体は箱根の代表的な景観のひとつであり、交通手段としてだけではなく、箱根の自然を楽しむアトラクションとしても人々に親しまれている。山の景色を楽しみながら、ゆっくりと箱根の旅を楽しみたい。
    全区間に見どころが満載!
  • spot 38
    岡田美術館
    東アジアの一級美術品を多数収蔵
    アートスポットが豊富な箱根で、必ず訪れたい美術館のひとつ。5階建ての巨大な建物は箱根最大級で、日本画や中国・韓国陶器など、東アジアの美術コレクションを常時約450点展示している。食事処「開化亭」や庭園、足湯カフェなど、展示以外も見逃せない見どころが盛りだくさんだ。
    歴史と伝統を感じさせる美術作品の数々に圧倒される
  • spot 39
    ポーラ美術館
    箱根の自然豊かな森でアートを堪能する
    印象派から気鋭の現代アーティストの作品まで幅広く展示する美術館。森に溶け込むように設計された現代的な建物ですばらしいコレクションの数々を堪能したあとは、国立公園に含まれる美しい森の遊歩道へ。自然との調和を感じながら作品を鑑賞したい。
    森と一体になったエントランスまでのアプローチ
  • spot 40
    箱根湿生花園
    春から秋まで湿原・湿地帯の多様な植物を見ることができる植物園
    湿原や湖沼に生育している植物を中心に、日本全国の湿地帯の植物を集め、1976年(昭和51)に日本で初めて造られた湿原植物園。順路をたどりながら歩けば、低地から高山の湿原へ順番に見ることができる。
    仙石原湿原を代表するノハナショウブ。見頃は7月上旬頃
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旅のヒント

  1. その1

    東京駅からはJR東海道線で小田原まで1時間30分程度。新幹線こだま号なら30分ほどで着く近さだ。小田原まで来れば真鶴まではJR東海道線で13分、真鶴から湯河原までは17分。

  2. その2

    新宿から小田原に行くなら小田急特急ロマンスカーに乗って。座る席で見える景色が違うので、大きな窓が魅力の前方・展望席を予約しよう。

  3. その3

    都内から車なら、東名高速道路を厚木ICで出て国道246号線を小田原方面へ向かうのが最短ルート。早く海を見たいなら、海老名JCTで左折、圏央道、茅ヶ崎方面へと進み、西湘バイパスに入って国道1号線に出て、小田原へ。30分ほど余計にかかるが、海の景色を堪能できる。

  4. その4

    帰りには小田原の「鈴廣かまぼこの里」に立ち寄ろう。風祭駅に直結していて大変便利。細工かまぼこなど珍しい商品も買えるほか、かまぼこやちくわの手作り体験もできる。

  5. その5

    海のイメージだけではなく、真鶴と湯河原はアートに力を入れている町でもある。毎年11月には「アート散歩」というイベントが行われ、自宅や店舗を開放し、思いおもいにアート作品を並べる。

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