鎌倉国宝館
不時の災害から貴重な文化遺産を守る
各寺の貴重な像が一堂に会する
鎌倉国宝館は大正関東地震のあと、1928年(昭和3)に地域の貴重な文化財の保護を目的に開館した。鶴岡八幡宮境内、白旗神社の横にあり、展示物だけでなく建物そのものが2000年(平成12)に国の登録有形文化財に登録され、2008年(平成30)には歴史的風致形成建造物に指定された。奈良の正倉院を模した高床式校倉造風の構造で、見逃すのはあまりにも残念。鎌倉国宝館には鎌倉市内や近郊の社寺所有の代表的な作品が寄託され、教科書に載るほど有名な円応寺の初江王(しょこうおう)坐像、浄智寺の韋駄天(いだてん)立像などの彫刻から、光明寺の絵巻物・当麻曼荼羅縁起(たいままんだらえんぎ)や建長寺の蘭渓道隆の自賛像まで、それぞれが国宝や重要文化財に指定される貴重な作品ばかり。八幡宮まで来て立ち寄らないのはもったいない穴場スポットだ。
露出展示された十二神将の生の迫力を味わおう
さほど仏像に興味のない人でも実際に館内に足を踏み入れれば、仏像の迫力に圧倒されるだろう。中央には仏像を安置するために一段高くなった朱色の須弥壇(しゅみだん)があり、そこには大町・辻薬師堂旧蔵の薬師三尊像と十二神将像(じゅうにしんしょうぞう)が展示されている。十二神将像はいずれも頭体幹部に二材以上の木を用いる寄木造。薬師如来や薬師経の信仰者を守る12人の武神で、それぞれ十二支に割り当てられている。これらの像は露出展示されており、まるでわたしたちと同じ空気を吸っていると感じられるほど真近に観覧できる。12軀のうち、8軀は平安時代末から続く仏師の一派、慶派による鎌倉時代の彫像で、4軀は江戸時代に補作されたもの。いずれも今にも動き出しそうな迫力で、どれも鎌倉時代に一般化した水晶製の玉眼がはめ込まれ、その力強い瞳には今にも吸い込まれそうだ。どの像も均整の取れた肉体をもち、時代を飛び越えた美しさを感じられる。広くはない館内なので30分程度で見て回れるとのことだったが、魅力的な像を前にあっという間に時間が過ぎてしまう。
鎌倉美術の歴史も学べる
彫刻展示室を堪能したあとは、年に6~7回展示替えが行われる特別展のコーナーで鎌倉美術の歴史に触れよう。壁面のガラスケース内ではおもに鎌倉ゆかりの仏教絵画や絵巻物、書跡、工芸品が展示されている。おもに寄託品の展示が多いが、鎌倉地域に伝わる優品を一度に数多く見られるのは鎌倉国宝館ならではといえる。展示されている文化財はいずれも中世以来の伝統を保つ貴重なものばかり。国宝5件43点、重要文化財75件872点をはじめ、約1000件5000点にのぼる作品のなかから、学芸員が趣向を凝らし、作品本来の魅力を伝える展示を随時繰り出している。彫刻展示と特別展示は隣り合わせに展開するが、室内には静かな空気が流れていた。
スポット詳細
- 住所
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神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-1(鶴岡八幡宮内)
地図
- エリア
- 鎌倉エリア
- 電話番号
- 0467220753
- 時間
- 9:00-16:30(入館は16:00まで)
- 休業日
- 月(祝の場合は翌平日)、展示替期間、特別整理期間、年末年始
- 料金
- [入館料]一般400-700円(展示会により異なる)
- 駐車場
- なし
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- あり(KOKUHOUKAN2022)
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 平均予算
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【昼】1-1,000円
【夜】1-1,000円 - 滞在目安時間
- 30-60分
- 車椅子での入店
- 可
- 乳幼児の入店
- 可
情報提供: ナビタイムジャパン
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