浄智寺

寺院

杉木立と苔に覆われた自然豊かな境内

浄智寺は室町時代までは数百人からの僧侶がいる大きな寺だったが、災害などによって小規模になっていった。昭和に入ると映画監督・小津安二郎をはじめ多くの著名人がこの地を愛し、暮らすようになる。作家・澁澤龍彦はこの寺に眠っている。

手前の石段とともにひなびた風情が漂う山門} 手前の石段とともにひなびた風情が漂う山門

鎌倉時代にタイムトリップ

北鎌倉駅から鎌倉方面に歩いて5-6分。国道21号を一本入ったところに「鎌倉五山」のひとつ、浄智寺がある。鎌倉幕府五代執権・北条時頼の29歳の若さで亡くなった3男の菩提を弔うため1281年(弘安4)に創建。開山は日本人僧・南洲宏海(なんしゅうこうかい)だが、その後、宋から来た師である大休正念(だいきゅうしょうねん)と兀庵普寧(ごったんふねい)に譲ったので、開山には3人の名前が記されている。兀庵普寧はその後建長寺に移るが、もめごとが多くその名前から「ゴタゴタ」という言葉が生まれた人物として有名。惣門手前には苔に覆われた古い太鼓橋がかかり、左横には江戸時代、おいしい水が湧く10の井戸「鎌倉十井(じっせい)」のひとつとして、当時の人々に重宝がられた「甘露の井」がある。すぐそこが交通量の多い国道だというのに、入り口にはタイムトリップでもしたかのように静かな空気が流れていた。

太鼓橋の左に「甘露の井」がある} 太鼓橋の左に「甘露の井」がある

角が磨り減った石段はこの寺のいちばんの見どころ

杉木立が生い茂るなか、山門をくぐって参道の苔むした石段を上る。石段にはかつてこの辺りで採石されたやわらかい鎌倉石が使われていて、石の磨り減り具合に長い歴史が感じられる。石段の先にあるのは2階に蓮の花弁を模した花頭窓(かとうまど)がある鐘撞き堂の山門。鎌倉では珍しい唐様の鐘楼門だ。1679年(延宝7)に建立、2007年(平成19)に再建された。

山門脇は葛原岡(くずはらおか)ハイキングコースの入り口。ここから鎌倉大仏までは歩いて1時間ほど} 山門脇は葛原岡(くずはらおか)ハイキングコースの入り口。ここから鎌倉大仏までは歩いて1時間ほど

一度に三世の御本尊を拝めるありがたい仏殿

関東大震災で建造物のほとんどが倒壊し、仏殿である曇華殿(どんでげん)も昭和に入って再建された。御本尊は鎌倉仏像の特徴である衣服の袖を台座まで長く垂らした木造三世(さんぜ)仏坐像。過去・現在・未来を表す阿弥陀(あみだ)如来・釈迦(しゃか)如来・弥勒(みろく)如来は、三世にわたって願いを聞き入れてくれる。本堂の名前「曇華殿」は3000年に一度咲く優曇華(うどんげ)という 珍しい花の伝説からつけられた。曇華殿前には3本の巨木「ビャクシン」があり、鎌倉市の天然記念物に指定されている。曇華殿裏に回れば、鎌倉にある33か所の観音霊場のひとつ、観音菩薩像を拝むことができる。

曇華殿に祀られた本尊の木造三世仏坐像は神奈川県の重要文化財} 曇華殿に祀られた本尊の木造三世仏坐像は神奈川県の重要文化財

まだまだ楽しめる境内の散策路

仏殿を参拝したあとは、裏手に回って境内を散策しよう。竹林に囲まれた茅葺き屋根の書院とむせるような緑の庭は日本ならではのわび・さびの世界。裏山にはやわらかい鎌倉石の山を掘って作ったやぐらと呼ばれる祠(ほこら)がある。やぐらは平地が少なく山が多い鎌倉ならではの遺跡で、当時の僧侶が修行をしたり、位の高い人のお墓に使用されていた。やぐら内の最奥では鎌倉・江の島七福神の一柱で、大きなお腹と福々しい容貌で人気の布袋様が出迎えてくれる。といっても、浄智寺の布袋様は意外にスリムで、布袋様なら必ず背負っているはずの「堪忍袋」を持たない。その代わりにコミカルな笑顔で人々を幸せにする。福徳円満のご利益がある布袋様が指さしている先は幸せへの道しるべなのかもしれない。

茅葺き屋根の素朴なたたずまいの書院} 茅葺き屋根の素朴なたたずまいの書院

やぐらの横に狸。この辺りで交通事故に遭った狸のお墓といわれる} やぐらの横に狸。この辺りで交通事故に遭った狸のお墓といわれる

擦ると元気をもらえるという言い伝えがある布袋様のお腹はツルツルピカピカだった} 擦ると元気をもらえるという言い伝えがある布袋様のお腹はツルツルピカピカだった

スポット詳細

住所
神奈川県鎌倉市山ノ内1402 map map 地図
エリア
鎌倉エリア
電話番号
0467223943
時間
9:00-16:30
休業日
無休
料金
[拝観料]200円
駐車場
あり(10台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
滞在目安時間
0-30分
車椅子での入店
乳幼児の入店
ペットの入店
可(必ずリードをつけること)

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 北条時頼の三男宗政祀る
    4.0 投稿日 : 2022.05.08
    鎌倉五山第四位の臨済宗のお寺です。第一位の建長寺、第二位の円覚寺などが近隣にかたまって有ります。本尊は阿弥陀、釈迦、弥勒の三世仏です。過去、現在、未来をあらわすそうです。
  • 竹林や庭園を眺めていると癒されます。
    5.0 投稿日 : 2021.10.31
    北鎌倉駅で下車して、「円覚寺」⇒「東慶寺」⇒「浄智寺」の順番で参拝されることが多いと思います。山門までの参道や竹林や庭園を眺めていると癒されます。
  • [曇華殿(本堂)]裏手に 《鎌倉三十三観音霊場 第31番 聖観世音菩薩》と《子安観音》があること 今回の訪問で気づきました
    4.0 投稿日 : 2020.08.19
    [曇華殿(本堂)]裏手に 《鎌倉三十三観音霊場 第31番 聖観世音菩薩 像高:101...

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アクセス

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