らい亭

その他和食

廻遊式(かいゆうしき)庭園をもつ鎌倉山の老舗料亭

おそらく「檑亭(らいてい)」を知らない鎌倉住人はいないだろう。あまりにも有名なのでハードルが高いと思われがちだが、敷地内には気軽に文化財や仏像を見ることができる散策路があり、鎌倉ならではのランチを楽しむことができる。

食事処として使用される本館は国登録有形文化財} 食事処として使用される本館は国登録有形文化財

瀟洒な住宅地、鎌倉山に立つ名店

鎌倉西部、標高100mの丘陵地に位置する「鎌倉山」は特定の山の名称ではない。実業家、菅原通済(すがわらつうさい)が昭和初期に開拓した別荘地のことを指し、のちに誰もが知る鎌倉を代表する高級住宅地になった。この鎌倉山の一角にあるのが通済の父、恒覧(つねみ)が別荘として使用していた名代、檑亭。鎌倉山の急坂を登ったてっぺんにあるので、鎌倉駅からはバスを利用しよう。バス停「高砂」で降りると大きな「檑亭」の文字が書かれた看板が目に入り、そばにあるひときわ目立つ山門が檑亭の入り口だ。

1770年(明和7) 建立の山門は、鎌倉の西御門にあった高松寺(こうしょうじ)から1931年(昭和6)に移築された} 1770年(明和7) 建立の山門は、鎌倉の西御門にあった高松寺(こうしょうじ)から1931年(昭和6)に移築された

重厚な雰囲気に多少気後れしながらも門をくぐり、まずは先払いの「食事券」として500円を支払う。「先払い?」と思うかもしれないが、中での食事代金はこの分を引いて清算される。その後、豊かな自然の広がる敷地内を散策しながら本館へと向かう。目の前に現れる予約客用の玄関は市内の青蓮寺(しょうれんじ)から江戸時代建立の庫裏(くり)を補修移築し、本館の建物は同様に江戸期の横浜にあった元養蚕農家を移転改築したものだという。非日常空間へと誘う起伏に富んだ庭園入り口と歴史ある建物に、どんな時間を過ごせるのかわくわくと胸が躍った。

入り口から一歩足を踏み入れるとむせぶような緑が広がり、まるで別世界に迷い込んだよう} 入り口から一歩足を踏み入れるとむせぶような緑が広がり、まるで別世界に迷い込んだよう

レトロな時代を体感できる本館「檑亭」

ゆるやかな坂を登った先にある本館の1階は小上がりのある昔ながらのたたずまいで、65の椅子席がある食事処。風情のある椅子とテーブルはすべて松くい虫によって枯れてしまった庭園の松の木を再利用し、昔からサステナブルな取り組みを行ってきた。予約なしにふらりと立ち寄ることができるうえ、遠くに海と鎌倉山の自然が広がる檑亭の日本庭園を眺めながらゆっくり食事を楽しめる。提供しているのは蕎麦メインのメニュー。料理はせいろ蕎麦1100円からあり、広大な庭園の高台に立つ本館でリーズナブルに食事をいただけるなんて、なんとぜいたくなことだろう。一品料理には、フキノトウ、タケノコ、三つ葉、梅など、季節ごとに庭で採れた食材がお目見えする。2階は3部屋の日本間とロビーからなり、予約制でいただけるのは蕎麦のほか、自慢の会席料理だ。数寄屋大工による2階部分のロビーは和洋折衷のしつらえで、どこかノスタルジックな印象。窓には国産最初期のステンドグラスがはめ込まれ、天気のよい日は窓の外に富士山まで見渡せる。天井近くには伊藤博文元首相の書がかけられ、明治初期の舶来もののシャンデリアも現役。まるでタイムトリップしたかのようなたたずまいに、ヒゲを蓄えた洋装の紳士たちがソファで和やかに談笑している姿が目に浮かんだ。

左/木のぬくもりたっぷりの1階部分右/蕎麦定食2750円} 左/木のぬくもりたっぷりの1階部分右/蕎麦定食2750円

左/文化財で埋め尽くされた2階のロビー 右/最初期のステンドグラスと窓の向こうの景色} 左/文化財で埋め尽くされた2階のロビー 右/最初期のステンドグラスと窓の向こうの景色

約5万平方メートルに及ぶくつろぎの庭園散歩

ランチが終わってお腹いっぱいになったら梅林や竹林を抜けて敷地内を散策しよう。16人の阿羅漢「十六羅漢群」をはじめ、山門建立の際、崖を埋めて石壁を造り、そこに安置されたおよそ100体の無縁仏から名が付いた「百物崖」、五重塔や法隆寺夢殿を模した「八角堂」、そのほか石仏や石塔など、鎌倉らしい風景が点在する庭園は見どころ満載。敷地内にはロケなどにも使われる「寄付(よりつき)」や食事処で使う陶器を制作する「檑窯」もあり、庭園すべてがフォトスポットになっていて、フォトウエディングとして檑亭内で結婚記念の写真を撮ることもできる。落ち着いた空間の「露庵」は庭園の奥深い竹林脇にたたずむ和カフェだ。ここは土・日曜、祝日のみの営業で、コーヒーやそばだんご、甘酒などを提供する甘味処。ここでも食事券が使えるのがうれしい。GW~10月末はビアガーデンになり、自然豊かな緑の香りを感じながら1時間30分の飲み放題を楽しめる。

左上/お茶会の待合室にもなる「寄付」左下/竹林を散策すると見えてくる「百物崖」 右/本館からすぐの「八角堂」} 左上/お茶会の待合室にもなる「寄付」左下/竹林を散策すると見えてくる「百物崖」 右/本館からすぐの「八角堂」

「鎌倉山ビアガーデン」の飲み放題は「お通し&そば前肴セット(3段)」と、〆に本館でいただく「せいろ蕎麦」が付いて3980円} 「鎌倉山ビアガーデン」の飲み放題は「お通し&そば前肴セット(3段)」と、〆に本館でいただく「せいろ蕎麦」が付いて3980円

老舗料亭が作る「ハイカラ丼」

実は檑亭に足を踏み入れる前から気になっていたのが山門前の入り口に並んだお弁当。老舗料亭がランチ時に販売すると聞いて驚いた。前日までに予約が必要なお弁当もあるというが、山門前に並ぶのは丼もの。海老天を卵でとじた天玉丼やシラスの釜揚げ丼などがあり、この日の天丼は海老2尾、さつまいも、ナス、甘唐辛子、タケノコ2切れ入りで1100円だった。檑亭のおすすめは「ハイカラ丼」850円。甘辛い汁でとじた卵にコクのある天かすが入っていることからこの名が付いた。ハードルが高いと思っていた「檑亭」には値段が手頃なお弁当まであり、ご近所さんが気軽に利用できるところも長く愛される理由なのだろう。

鎌倉山を下りていく途中の公園で、まだほんのり温かいハイカラ丼をいただくのも鎌倉散策の楽しみ} 鎌倉山を下りていく途中の公園で、まだほんのり温かいハイカラ丼をいただくのも鎌倉散策の楽しみ

スポット詳細

住所
神奈川県鎌倉市鎌倉山3-1-1 map map 地図
エリア
鎌倉エリア
電話番号
0467325656
時間
11:00-20:30
[本館2F(会席料理)]11:00-20:30(御予約制)
[本館1F・庭園]11:00-16:00
[露庵(土日祝)]11:30-16:00
休業日
1/1-1/3、7月最終週月-木
※露庵は土日祝のみ営業
料金
入店時に「食事券」として500円かかるが、会計時にその500円が引かれ、飲食代の一部になる。
駐車場
あり(17台、大型バス3台)
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、Diners Club)
電子マネー/スマートフォン決済
可(楽天ペイ、メルPAY、d払い、auPAY)
Wi-Fi
あり(kamakura free wifi)
コンセント口
なし
喫煙
不可(喫煙場所はあるが屋外の1ヵ所、文化財保護により基本的に禁煙)
ベジタリアンセレクション
あり(要予約、会席料理のみ)
ハラル対応
あり(要予約、会席料理のみ)
英語メニュー
あり
平均予算
【昼】1,001-3,000円
【夜】10,000円以上
備考: 夜は会席料理のみで平均予算11,000-15,000円
滞在目安時間
60-120分
乳幼児の入店
備考
※山地で階段が多い為車椅子での入店は不可

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • お庭が綺麗
    4.0 投稿日 : 2022.09.18
    夕方訪問、最後のお客のようでした。とにかくお庭が素敵です。お料理は普通だと思いますが、御土産のかりんとうが美味しかったです。
  • お庭と眺めが最高
    4.0 投稿日 : 2022.06.14
    夕方6:00からお座敷で会席料理をいただきました。 お座敷から眺める鎌倉の街も素敵でした。会席は前菜、から始まりとてもボリューム満点でした。最後にお蕎麦と天ぷらがでてデザートで締めでした。お料理もとても美味しかったのですが、次々と出てくるお料理にせかされているようで、もう少しゆっくり味わいたかったです。
  • 建築設備の改修中
    3.0 投稿日 : 2021.03.23
    椿御膳(税込み3630円)をいただきました。ここは、お庭と景色で御代の大半ですか?天ぷら先付デザートでした。値段相応まで期待が高いが、建物を改修中で足場があったりトイレにボタンがないなど今の設備では、疑問が多くなります。

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アクセス

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最寄り

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