東京

両国・錦糸町・亀戸

RYOGOKU / KINSHICHO / KAMEIDO

徳川時代の面影を残すかつての江戸の東端

隅田川の東岸に位置する下町エリア。なかでも両国・錦糸町付近は江戸時代に「本所(ほんじょ)」と呼ばれ、1657年(明暦3)に起きた明暦の大火の後、急速に開発が進んで江戸有数の繁華街となった場所だ。当時、隅田川は武蔵国と下総国の境界を流れていたことから、大火の後に隅田川に架けられた橋は「両国橋」と名づけられ、橋の東側の地域も「両国」と呼ばれるようになった。一方、亀戸天神社で知られる亀戸は、江戸時代から亀戸大根の栽培が盛んな農村だった。現在、それぞれの駅前はいずれも賑やかな繁華街となっており、多くの飲食店が立ち並ぶ。両国国技館のある両国にはちゃんこを出す店が多く、街の名物となっている。錦糸町・亀戸にはかつて職人が多く住んだことから、伝統工芸品の江戸切子を制作する工房が点在している。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    両国国技館
    数々の名勝負が繰り広げられてきた両国の名所
    両国に建てられた2代目の国技館として、両国駅前に誕生した大相撲の開催地。格闘技の興行やコンサートなどにも使用されており、数々の名勝負や名演奏の舞台となってきた多目的ホールだ。
    両国駅から徒歩2分のところにある印象的な建物
  • spot 02
    旧安田庭園
    両国散策の際に立ち寄りたい潮入池泉回遊式庭園
    小島が浮かぶ池の周囲に木々や岩、石灯籠を配した風情ある日本庭園。初夏の新緑や秋の紅葉など、季節の移り変わりを感じつつ池の周囲を散策できる。心静かに時を過ごせる人々の憩いの場だ。
    心字池(しんじいけ)が青い空を映す。カモが泳ぎ、岩の上でカメがひなたぼっこをする様子も眺められる
  • spot 03
    刀剣博物館
    奥深い日本刀の世界を垣間見られる専門博物館
    かつて日本では武家政権が長く続き、日本刀を製造する技術が高度に発達してきた。単なる武器にとどまらず、古来信仰の対象となり、美術品としての価値も認められている。そんな日本刀の名品が一堂に会するのが、両国の刀剣博物館だ。
    国宝や重要文化財クラスの日本刀を多数所蔵する刀剣博物館
  • spot 04
    回向院
    あらゆる生命を供養する、両国を代表する寺院
    隅田川西岸の本所にある回向院は、貴賤の別なく多くの無縁仏や動物を供養してきた寺院。開創以来の歴史を物語る、さまざまな史跡や遺物に囲まれている。見どころ多い境内をひと巡りしてみよう。
    赤い山門が目印。左右の仁王像は2019年(令和元)に安置されたもの
  • spot 05
    すみだ北斎美術館
    墨田区の偉大な浮世絵師・葛飾北斎の作品とその生涯を紹介
    生涯に数多くの作品を発表し、西洋の芸術家にも大きな影響を与えた浮世絵師・葛飾北斎。生まれ住んだ墨田区にあるすみだ北斎美術館では、絵に取りつかれた天才の作品を多数収蔵し、その魅力を発信している。
    建築家の妹島(せじま)和世が設計した斬新なデザインの建物。スリットが入っており四方からアクセスできる
  • spot 06
    錦糸公園
    散策や運動、ピクニックが楽しい人々の憩いの場
    芝生に寝転んだり、桜の下のベンチでスカイツリーを眺めたり。安心して子どもを遊ばせられる遊具がファミリーにもうれしい。緑豊かな錦糸公園は、住民や通勤者にとってのオアシス的存在だ。
    カラフルな遊具の向こうに東京スカイツリーがそびえる
  • spot 07
    すみだ江戸切子館
    墨田区が誇るガラスの伝統工芸「江戸切子」の工房兼ショップ
    江戸切子は、江戸・東京で生産される切子加工を施したガラス製品のこと。江戸時代後期、ビードロ問屋を営んでいた加賀屋久兵衛という人物が、外国人が持ち込んだガラス製品に、彫刻や切り込みなどの細工を施したのが始まりといわれる。「すみだ江戸切子館」は、職人が手作りした切子製品の展示・販売を行う墨田区認定の工房兼ショップ。江戸切子の歴史や制作工程、代表的な紋様について解説し、昔から使われてきた道具類を展示している。色鮮やかな切子製品は、色ガラスを透明なガラスに被せた二重ガラスの表面を削り、磨いて光沢と透明感を出したもの。併設の工房で作業が行われ、職人が紋様をカットしたり、手磨きをしたりする様子を窓越しに見学できる。公式サイトから予約すれば江戸切子のカット体験も可能。見学後は近くのカフェ「すみだ珈琲」を訪れよう。こだわりの自家焙煎コーヒーを、すみだ江戸切子館の切子のカップで味わえる。
    江戸切子の技を現代的なデザインに生かした「オールドグラス」シリーズが並ぶ
  • spot 08
    ORI TOKYO カフェ
    北斎の作品に囲まれてお茶やランチを。両国の和モダンカフェ
    「すみだ北斎美術館」から歩いて約2分。暖簾をくぐり、引き戸を開けて中に入ると、壁の棚一面に葛飾北斎の代表作『富嶽三十六景』が並べられている。これらは通常よく目にする版画ではなく、多くの色糸を使って複雑に織り込まれたジャガード織り。店内では落ち着いた風合いの「織り」の作品を展示、販売するほか、カフェスペースが設けられ、作品をゆっくり鑑賞しながらお茶や食事を楽しむことができる。カフェでは牛肉をメインにしたランチメニューのほか、光サイフォンで淹れたコーヒーや季節ごとのスイーツなどがそろう。夏季に登場する八ヶ岳の天然氷を使ったかき氷は評判が高く、イチゴや桃など果肉たっぷりのソースが絶品だ。注文を受けてから焼く「みたらし団子」は持ち帰りもできる。また、「すみだ北斎美術館」企画展とのコラボメニューも用意され、美術館の帰りに立ち寄る人も多い。場所は両国駅から徒歩約10分。江戸東京博物館からも数分と近いので、両国界隈の散策の途中、ひと息入れるのにおすすめのカフェだ。
    カフェの定番スイーツ「アイス最中」(700円)。北海道あずきと濃厚バニラアイスを挟む最中の皮がフロランタンに仕上げられている
  • spot 09
    すみだ珈琲
    江戸切子のカップでいただくスペシャルティコーヒー
    地場産業としてガラスの製造業が盛んだった墨田区。この地で国の伝統工芸品でもある江戸切子のカップでコーヒーを提供する店がある。JR錦糸町駅から徒歩約10分。蔵前橋通り沿いに立つ古い木造の建物を改装して2010年(平成22)にオープンしたすみだ珈琲は、自家焙煎のスペシャルティコーヒーの専門店。もっと気軽に江戸切子に触れてほしいという想いから店内で使うカップとして採用。温かい飲みものにも使えるオリジナルの江戸切子のカップを開発した。コーヒーのオリジナル商品も話題となり、徐々に地元墨田区を代表するコーヒー店に。店内で味わえるコーヒーは、浅煎り、やや深煎り、深煎りの「すみだブレンド」と「本日のおすすめ珈琲」ほか、約7種類。「定番のチーズケーキ」や人気の「コーヒーソフトクリーム」と一緒に、豊かな味わいのコーヒーを心ゆくまで味わいたい。
    「すみだブレンド」(550円)と「コーヒーソフトクリーム&ゼリー」(630円)。写真のコーヒーカップは七宝紋の江戸切子
  • spot 10
    ちゃんこ巴潟
    大相撲を支えてきた味、秘伝のちゃんこに舌つづみ
    ちゃんこ鍋発祥の地とされる両国で、老舗のちゃんこ鍋の名店へ。厳選された食材を使い、手間と時間を惜しまないていねいな仕事で支度された鍋料理を味わえる。創業から45年以上、受け継がれ、磨かれてきた味をいただく。
    「国見山ちゃんこ」(1人前3630円、写真は3人前)。手前に並ぶのが店自慢のいわしのつみれ。最後にすった白ごまを入れて味のアクセントに
  • spot 11
    -両国- 江戸NOREN
    歴史ある旧駅舎が「美味しさと文化の今を江戸空間でつなぐ」施設へ
    両国駅の旧駅舎コンコースをリニューアルし、江戸情緒を感じさせる空間で食事を楽しめる集合施設が誕生した。両国駅西口に直結した便利な場所にあり、食の魅力だけでなく、町の情報をここで入手することもできる両国観光の拠点となる施設だ。
    施設内の中央にある土俵がシンボル。その周囲や2階に人気の食事処がそろう
  • spot 12
    駄菓子とおかしのみせ エワタリ
    菓子問屋の町として賑わった錦糸町で懐かしい駄菓子を大人買い
    関東大震災後の東京市の区画整理で、神田の菓子製造業者とその関連業者が錦糸町の旧陸軍糧秣廠(りょうまつしょう)跡地に集団移転。これが錦糸町菓子街の始まりとなった。戦後は飴の製造が盛んに行われ、業者の数は数百軒に及んだというが、時代とともに菓子製造が家内工業から工場生産へと変わり、今残る製造所は数えるほど。50軒以上あった駄菓子問屋も4軒となり、その1軒がここエワタリ。創業は1950年(昭和25)。錦糸町駅北口から徒歩約1分と近く、北斎通りに面した3階建ての建物が店舗だ。小売りもしてくれる問屋で、1階はバラ売り、2階は箱売りのフロア。箱で買えば定価の2割引きと卸価格で購入できる。「ふ菓子」(鍵屋製菓)や「都こんぶ」(中野物産)、「ココアシガレット」(オリオン)、「キャベツ太郎」(やおきん)、「すももくん」(ミサキヤ)など、長く愛されてきた懐かしい駄菓子が並び、店に入ると大人も子どもも買い物に夢中だ。文化祭やお祭り用に買い求めにくる人も多い。
    壁に描かれた巨大「うまい棒」がエワタリの目印だ
  • spot 13
    黄金湯
    次の世代に残せる銭湯を。東京未来型銭湯を体感する
    創業から約90年となる老舗銭湯が、スタイリッシュで機能的な銭湯へと生まれ変わった。やわらかいお湯、充実したサウナに加え、DJブースやビアバー、宿泊施設なども備わり、地元に根ざした銭湯文化の新たな可能性を広げている。
    清潔な洗い場。奥の壁の絵巻物のような銭湯絵は漫画家のほしよりこさんが描いた
  • spot 14
    ちゃんこ霧島 両国本店
    国技館はすぐそこ。相撲観戦のあとにはやさしい味のちゃんこを
    JR両国駅から徒歩約1分。国技館通りに面して立つビル一棟が、ちゃんこ霧島 両国本店だ。元大関の霧島、現・陸奥(みちのく)親方が営むちゃんこ料理店で、入り口には霧島関の優勝額が飾られ、のぼりがはためいている。霧島のちゃんこ鍋は、鶏ガラと豚骨でとった出汁をベースにした、醤油と味噌のあわせスープが特徴。豚肉、鶏肉、魚介類のほか、たっぷりの野菜、鶏ミンチ、タコ団子も入ってボリューム満点だ。隠し味には柚子胡椒。見た目よりもさっぱりした味わいで、どんどん箸が進む。鍋のサイドメニューとして人気なのが、手羽先の唐揚げや土俵をかたどった大きなおにぎり。陸奥親方の好みで豪快に分厚く切られた刺身も好評だ。各階にはカジュアルなテーブル席、錦絵が描かれた雰囲気のある個室などが用意され、8階は両国国技館を見下ろす展望階となっている。国技館の場所中は相撲観戦後に立ち寄る人で約300席ある店内がいっぱいになるという。観戦後の興奮をちゃんこ鍋で締めくくるには絶好の店といえるだろう。気軽に紙鍋で楽しめる昼ちゃんこもあるので、ちゃんこ鍋が初めてという人にはこちらもおすすめだ。
    陸奥部屋直伝のちゃんこ鍋(1人前3,520円、2人前から注文可)。グツグツと煮たてば、食欲をそそるにおいが立ち込める
  • spot 15
    サイゴンマジェスティック
    エスニックの激戦区、錦糸町で人気のベトナム料理店へ
    タイや南インド、バングラデシュ、中国湖南省など各国の味が集まり、グルメスポットとして注目が高まる錦糸町。サイゴンマジェスティックはそのなかで数少ないベトナム料理の店のひとつで、錦糸町駅北口から歩いて約2分と便利な場所にある。シェフは皆ベトナムの一流ホテル出身。この場所に店を開いて20年以上、本格的なベトナム料理を提供している。牛肉や鶏肉のフォー、生春巻き、バイン・ミーなどのおなじみのベトナム料理はもちろん、店のスタッフがおすすめするのは現地で人気の名物料理。「ブンボーフエ」はベトナム中部の都市「フエ」で生まれた料理で、「ブン」は米粉の麺、「ボー」は牛肉を指す。太めの麺はもちもちとした食感で、牛や豚を煮込んだ赤味がかったスープはあっさりしているのに濃厚なうまみを感じられる。ベトナム北部の首都ハノイ発祥とされる料理「ブンチャーオバマ」は、2016年(平成28)にオバマ米大統領がベトナムを訪問した際に食べたことで話題になった一品。細麺に炭火焼きの豚肉やつくね、たっぷりの野菜、ハーブが付いたベトナム風つけ麺で、辛味、酸味、甘みが絶妙なスープに付けて食べ進めると、複雑な味と食感のコラボが楽しめる。
    ベトナム式牛肉麺「ブンボーフエ」(1430円) には生野菜とハーブが付く
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旅のヒント

  1. その1

    JR総武線が東西に走り、西から両国、錦糸町、亀戸と駅が連続している。それぞれの駅から徒歩で行ける見どころがほとんどだ。

  2. その2

    JRの両国駅と都営大江戸線の両国駅の間は約500m離れており、徒歩6分ほどかかるので乗り換えの際は要注意。

  3. その3

    JR両国駅から錦糸町駅までは約2km、錦糸町駅から亀戸駅までは1kmちょっとなので、徒歩で移動することもできる。

  4. その4

    都営大江戸線の両国駅と錦糸町駅を結ぶ「北斎通り」の街路灯や公衆トイレには、葛飾北斎の作品103枚が掲示されており鑑賞しながら歩くことができる。途中には北斎がテーマのカフェもあり休憩にぴったり。

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