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大津

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琵琶湖と山の峰が織りなす風光明媚な歴史の町

滋賀県大津市は、大きな琵琶湖の南部に、湖に沿うように西から南へと細長く街が延びて位置している。比叡山を隔てて西に隣接する京都市からも近い。山と湖が近く、そこに街が溶け合った美しい風景は、古来、多くの和歌や俳句に詠まれ、絵に描かれてきた。現在では琵琶湖を一望できるスポットとして、びわ湖テラスや比叡山山頂、湖上を遊覧するミシガンクルーズなどが人気だ。世界遺産・延暦寺の門前町である坂本は、里坊の石垣と街並みが調和して美しい。また、都の鬼門を守ってきた日吉大社と明智光秀ゆかりの西教寺をつなぐ山の辺の道ではのどかな風景を堪能できる。比叡山麓の坂本から、天智天皇を祀る近江神宮、数々の伝説が残る三井寺(園城寺)、『源氏物語』ゆかりの石山寺など、いずれの社寺も京阪電車の沿線なので移動が便利。さらに南に向かえば、雷伝説で知られた岩間寺も。山と湖が奏でる風景とともに、歴史ある街を味わいたい。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    横川
    延暦寺最奥の地で疫病退散を祈願、本格的なおみくじ体験も
    西塔へは、東塔から北へおよそ6km。木々の緑に囲まれ鮮やかな朱色の映える横川中堂が迎えてくれる。最澄の弟子であり、天台密教の教えを唐から日本にもたらした円仁が創建。堂内には聖観世音菩薩が祀られており、円仁が始めたことにちなむ写経体験もできる。横川中堂を出ると、辺りは33体の石仏が並ぶミニ西国観音霊場。その先には、元三大師堂が現れる。平安中期は火災や建物の老朽化で荒廃した横川、そこに登場したのが良源だ。強い法力を持つ僧で、正月3日に亡くなったため元三大師と呼ばれ親しまれている。疫病が流行した際に祈祷をすると、良源は鬼のような姿に変化し病魔も退散したという。\また、横川はおみくじの発祥の地でもある。まず、悩みを打ち明け、僧侶がくじを引き、その結果をもとに相談にのってくれる。こちらも、良源のもとに、人びとがあらゆる相談を持ってきたことにちなむ慣習だ(予約制)。
    石垣の上に建つ横川中堂は、遣唐使船をイメージ
  • spot 02
    坂本ケーブル
    日本一の長さを誇るケーブルカーで比叡山延暦寺へ
    1927年(昭和2)に延暦寺の表参道として開業し、ふもとの「ケーブル坂本駅」から終着の「ケーブル延暦寺駅」までの約2kmをわずか11分で結んでいる。両駅舎は大正ロマン漂う、国の登録有形文化財。階段状のホームで待ち構えるヨーロッパ調の洗練された車体は、大きな窓が印象的だ。進行方向(山手)を背にした座席配置で、いざ出発するとうしろへ引っ張り上げられるような感じが楽しい。幻想的な雰囲気を醸し出すトンネルを抜け、峡谷に立ついくつもの橋梁を渡るときには山の深さを味わえる。上りと下りの2両のケーブルカーが行き違うために造られた線路「ターンアウト」は、鉄道ファンならずとも興味が湧くところ。急こう配の山中を進むにつれ眼下に現れる雄大な琵琶湖に心躍り、車窓からは目が離せない。目的地に運んでくれる乗り物にも魅力を感じるひとときだ。終着駅から延暦寺の中心・根本中堂のある東塔地域までは徒歩約8分。
    「福号」と「縁号」が活躍中のケーブルカー
  • spot 03
    本家鶴㐂そば
    比叡山延暦寺の門前町・坂本で知られた名物の手打ちそば
    比叡山延暦寺への参拝や坂本の町巡りで、多くの人が訪れる老舗そば店が「本家鶴きそば」だ。京阪・坂本比叡山口駅のほど近く、1716年(享保元)に創業し、門前町の坂本で300年を超える歴史を紡いできた。もとは延暦寺の賄い方をしていた初代の鶴屋喜八が、参拝者にそばをふるまったことに始まるという。職人が毎日の気温や湿度に気を配り、手間暇かけて作られる少し細目の手打ち麺は、のどごしと風味が良く、そばつゆはこくのあるまろやかな味わいで思わず笑みがこぼれるおいしさだ。人気は「天ざるそば」だが、3種の具材をのせた「近江結味(おうみむすび)そば」も評判だとか。最後にいただくそば湯は身も心もホッとするやさしい温かさ。テーブル席や座敷席があり、季節の移ろいを感じられる築山枯山水の庭園や、離れの座敷では窓越しの石垣も見どころなので、そばとともに味わいたい。
    築130年の風格ある店構え。国の有形登録文化財
  • spot 04
    日吉大社
    平安京の表鬼門の守護を担い、比叡の山懐に鎮座する古社
    古来「山王さん」と親しまれ栄えてきた日吉大社は、全国の山王神社の総本宮。比叡山の山裾に広がるおよそ42万平方メートルの境内には、西本宮や東本宮をはじめ多くの社殿が立ち並び、見逃せない文化財がたっぷり。
    表参道の大通り・日吉馬場に立つ鳥居
  • spot 05
    近江神宮
    天智天皇が愛しんだ湖の都・大津京の跡地にたたずむ雅な社
    かつて琵琶湖畔に造営された大津京の名残の地に、天智天皇が神として鎮まる近江神宮。地元の人々に愛され、今や百人一首のかるたの聖地としても多くの人が訪れる緑深き神域へと足を踏み入れよう。
    楼門を抜けた先にたたずむ社殿
  • spot 06
    三井寺(園城寺)
    天智・天武・持統の三天皇ゆかりの古刹は、日本屈指の文化財の宝庫
    長等山中腹の広大な境内に多くの伽藍が立ち並び、西国三十三所観音霊場のひとつでもある名刹・三井寺。飛鳥時代から知られる湧き水や、金堂をはじめ圧倒的な数と歴史を秘めた文化財、琵琶湖の眺望も見逃せない。
    荘厳な姿の金堂は桃山時代の代表的建築
  • spot 07
    石山寺
    平安の王朝人も憧れた風光明媚な観音霊場の古刹
    琵琶湖から流れ来る瀬田川のほとりにて、奈良時代からの歴史を刻んできた石山寺。観音霊場として平安の王朝人もたびたび訪れ、『源氏物語』ゆかりであるとともに花と月の美しさでも名を馳せている。
    巨大な硅灰石の上にそびえる多宝塔
  • spot 08
    ミシガンクルーズ
    外輪船「ミシガン」で琵琶湖をのんびりクルーズ
    琵琶湖の南湖を遊覧する外輪船「ミシガン」。クラシカルな船体と360度を見渡せる湖上からの大パノラマに心躍らせ、のんびりゆったり湖を渡りゆくクルージングを満喫しよう。
    大津港で出港を待つ、白く輝くミシガン
  • spot 09
    びわ湖バレイ/びわ湖テラス
    地上1100m、天空のテラスから望む圧巻のレイクビュー
    標高1100mのテラスからさえぎるものの何もない琵琶湖のパノラマを望める「びわ湖テラス」。全国から訪れる人が絶えない滋賀県屈指の人気スポットだ。ロープウェイやリフトでの空中散歩やカフェタイム、アクティビティを楽しもう。
    テラスカフェから窓越しに琵琶湖を望む
  • spot 10
    琵琶湖
    日本一の広さを誇る湖を、陸と湖上から満喫
    豊かな水をたたえる琵琶湖は、世界でも数少ない古い湖。昔から人はさまざまな水の恩恵を受け、いくつもの城を築き、ほとりにくつろいだ。四季折々に異なる表情を見せる湖を巡り、雄大な自然を満喫しよう。
    湖上から望む比叡の霊峰と湖岸の街並み
  • spot 11
    瀬田の唐橋
    琵琶湖の水をひとつに束ねて流れる川に、ひときわ優美に架かる橋
    京阪・唐橋前駅から東へ歩いてすぐに橋の欄干が見えてくる。琵琶湖から流れ出る唯一の川・瀬田川に渡された橋のひとつ、大橋・小橋からなる「瀬田の唐橋」だ。古くから京都と東域を結ぶ交通の要衝で、また、672年(天武元)の壬申(じんしん)の乱以降、幾度となく戦乱の舞台になり、「唐橋を制する者は天下を制する」といわれたほど、天下取りを目指す武将にとっても特に重要な橋だった。伝説「俵藤太(たわらのとうた)のムカデ退治」の場所、そして「急がば回れ」の語源でもある唐橋。江戸時代には、近江(滋賀)の特に優れた景勝地を讃える「近江八景」の「瀬田の夕照(せきしょう)」として人気を博し、松尾芭蕉の俳句や歌川広重の浮世絵でさらに知られるようになる。ゆるやかに反るアーチ状の優雅な橋は、川の両岸にある遊歩道から眺めるのもおすすめ。現在では琵琶湖を一周するサイクリングルート「ビワイチ」の出発地点のひとつとしても注目される。
    水辺の風情に華やかさを添える優美な橋
  • spot 12
    ガーデンミュージアム比叡
    天空の庭園で印象派の陶板名画と花々の競演を満喫
    比叡山山頂に広がるのは、四季折々の花のなかにフランス印象派の名画が点在する庭園美術館。季節の花を愛で、絵画を楽しみながらの天空散歩で夢心地気分に。山頂からの大パノラマも堪能したい。
    ゴッホの『ひまわり』が迎えるプロヴァンスゲート
  • spot 13
    旧竹林院
    僧侶が隠居生活を送った元里坊には、心癒やされる庭園が広がる
    坂本に残る格調高き里坊(さとぼう)のひとつ、旧竹林院。清流がほとばしる庭園は広大な面積を占め、日本に2つだけという茶室の1つが配される。建物内から眺め、さらに散策したくなる魅力満載の空間だ。
    深山幽谷の趣ある回遊式庭園
  • spot 14
    滋賀院門跡
    白亜の壁に囲まれた、里坊のなかで最も高い格式を誇る寺院
    日本仏教の母山と称される比叡山。山には修行の場「山坊」があり、山懐には静かに余生を過ごす高僧の「里坊(さとぼう)」が造られた。里坊の最高峰・滋賀院門跡は、狩野派の襖絵や小堀遠州作と伝わる庭園が見どころ。
    白壁とのコントラストが美しい勅使門(写真提供:比叡山延暦寺)
  • spot 15
    西教寺
    風光明媚な比叡山東麓に、明智光秀を弔う古刹を訪ねて
    西教寺は明智光秀一族の菩提寺としても知られる。比叡山の山懐に広がる開放的な境内には、荘厳な本堂や客殿などの伽藍が立ち並び、唐門を額縁に見立てて望む琵琶湖の景色も必見。
    総門の先には樹々がトンネルとなり空を覆う
  • spot 16
    岩間寺
    元正天皇の念持仏「汗かき観音」が鎮座する深閑の古寺
    古来、観音霊場のひとつとして栄えてきた岩間寺には、霊験あらたかな観音菩薩や不動明王が祀られる。本堂、不動堂、太子堂などの立ち並ぶ境内はすがすがしく、山々のパノラマを望む展望台や大樹などの見どころも満載。
    巡礼者の焼香の香りが漂う本堂
  • spot 17
    びわ湖大津プリンスホテル
    湖畔のリゾートホテルで琵琶湖の大パノラマに感動
    地上136m、38階建ての「びわ湖大津プリンスホテル」は琵琶湖のランドマーク的な存在。カフェタイム、ランチ、ディナーのほか、レストランからの圧巻のレイクビューもお楽しみの、とっておきのリゾートホテルだ。
    なぎさ公園からびわ湖大津プリンスホテルを望む
  • spot 18
    琵琶湖ホテル
    全室レイクビュー! 豪華客船をイメージしたホテルで至福のくつろぎを
    大津港のすぐ目の前にある「琵琶湖ホテル」は、2022年(令和4)で開業88周年を迎えた老舗ホテル。豪華客船をイメージした建物がすぐ目の前の琵琶湖と調和した、大津エリアのシンボル的な存在だ。
    びわ湖浜大津駅側から見た琵琶湖ホテル。琵琶湖にあわせたブルーを基調としている
  • spot 19
    三井寺力餅本家
    三井寺の参拝帰りに立ち寄りたい、弁慶の怪力由来の力餅
    国宝や重要文化財を多数所蔵する天台寺門宗の総本山・園城寺(三井寺)の参拝後に立ち寄りたいスポットが、三井寺の仁王門から徒歩約12分、京阪びわ湖浜大津駅のすぐ近くに暖簾を掲げる「三井寺力餅本家(みいでらちからもちほんけ)」。1869年(明治2)の創業以来親しまれてきた看板商品の「力餅」は、つきたてのやわらかな餅をちぎって串にさし、蜜をからめ、抹茶をブレンドした青大豆きな粉をまぶしたもので、添加物不使用のやさしい味わい。その昔、比叡山延暦寺の荒法師・弁慶が、延暦寺の僧を引き連れて三井寺と対立し、美しい音色で名高い三井寺の銘鐘を戦利品として比叡山まで引きずって持ち帰ったが、鐘をついたところ「イノー、イノー(去のう=関西弁で「帰ろう」の意)」と響いたため、後年三井寺に返したという逸話が語り継がれている。そんな弁慶の怪力にちなんで考案されたのが「力餅」だ。2日間の日持ちはするが、最もおいしく食べられるのはできたてのうち。店奥の喫茶スペースで庭を眺めながら抹茶やコーヒーとともに味わえるので、まずはイートインを楽しみ、そのあと手土産を買って帰るのがおすすめだ。
    力餅と抹茶のセットは800円
  • spot 20
    びわ湖大津館
    国内外のセレブをもてなした旧琵琶湖ホテルをリニューアル
    昭和初期、滋賀県初の国際観光ホテルとして誕生した「琵琶湖ホテル」。移転・新設後の旧本館は、現在「びわ湖大津館」としてレストランでのランチ&カフェや、イングリッシュガーデンを楽しめる文化施設となっている。
    建物は大津市指定有形文化財。唐破風(からはふ)や玄関扉など細部の装飾にも注目
  • spot 21
    大津港
    クルーズや湖岸の散歩を楽しめる琵琶湖観光の玄関口
    琵琶湖の西岸にある大津は、古くから湖上交通の要衝だった都市。大津港は、赤いパドルが目印の「ミシガン」をはじめとする琵琶湖クルーズの乗船場として、また観光客から地元民まで憩いの場としても親しまれている。
    港に停まっている船は琵琶湖最大のチャーター船「ビアンカ」
  • spot 22
    叶 匠壽庵 寿長生の郷
    一日たっぷり楽しみたい、自然豊かな丘陵地に広がる和菓子の郷
    「叶 匠壽庵(かのうしょうじゅあん)」は、滋賀県発祥の和菓子店。丘陵地に広がる「寿長生の郷(すないのさと)」では、四季折々の豊かな自然のなか、モーニング、カフェ、ランチ、ショッピングまで多彩に楽しめる。
    菓子売場には代表銘菓「あも」をはじめとした和菓子が並ぶ。隣には休憩できるホールも
  • spot 23
    ぐるっとびわ湖島めぐり
    琵琶湖に浮かぶ4つの島を巡るスペシャルクルーズ
    「ぐるっとびわ湖島めぐり」は、刻一刻と表情を変える琵琶湖の絶景をはじめ、4つの島の歴史や文化、自然まで満喫できる人気のプラン。湖国の恵みを詰め込んだ特製弁当も付く、約8時間のとっておきのクルーズへ。
    360度のパノラマビューを楽しめるmegumi号2階のデッキ
  • spot 24
    アウトドアスポーツクラブ オーパル
    気分爽快! 琵琶湖の湖上でアクティビティ体験
    琵琶湖の魅力に触れるなら、アウトドアスポーツアクティビティがおすすめ。海とは異なり波がおだやかなので初めての人も安心。筒状のビニールの中に入って湖上に繰り出す「ウォーターチューバー」を体験してみよう。
    ウォーターチューバー
  • spot 25
    公人屋敷(旧岡本邸)
    江戸時代、比叡山延暦寺を支えた寺務方の屋敷を見学
    比叡山の東麓に広がり、延暦寺や日吉大社の門前町として古くから栄えた坂本には、特権を与えられ寺務を担った僧侶「公人(くにん)」の屋敷が残る。江戸時代の趣をとどめる屋敷の内部を見学してみよう。
    比叡山へと向かう坂道の途中に立つ。入館料は大人100円と格安
  • spot 26
    義仲寺
    木曽義仲と松尾芭蕉、異なる時代に生きた2人の墓を守る寺
    旧東海道沿いに立つ義仲寺(ぎちゅうじ)には、平安時代末期の武将・木曽義仲と、江戸時代初期の俳人・松尾芭蕉、時代も生き方も異なる2人の墓が並ぶ。歴史ファンや俳句愛好家も訪れる聖地を訪ねてみよう。
    義仲寺は青モミジや紅葉の隠れ名所でもある。こちらは芭蕉や弟子の像を安置する翁堂
  • spot 27
    至誠庵
    ふなずしをはじめとした琵琶湖の幸が味わえる石山寺門前の名店
    ふなずしをはじめ、川えび、鮎、うなぎなど、母なる湖・琵琶湖の恵みを生かした自家製の逸品を販売する至誠庵。店内には食事処も併設しており、石山寺の参拝帰りに立ち寄りたい一軒だ。
    「自家製ふなずし」1080円。マイルドな味わいでふなずし初心者も食べやすい
  • spot 28
    浮御堂(満月寺)
    「近江八景」のひとつ「堅田の落雁」で名高い湖上のお堂
    「近江八景」のひとつ「堅田の落雁(らくがん)」で名高い浮御堂(うきみどう)。正式名称は「海門山 満月寺」だが、琵琶湖に浮かんでいるかのようなお堂のたたすまいから浮御堂の通称で呼ばれている。芭蕉も愛でた景勝地を訪ねてみよう。
    石橋を渡って浮御堂へ。琵琶湖側の正面に回って千体仏に手をあわせよう
  • spot 29
    本寿院ながら茶房
    三井寺境内、喧騒から逃れた別天地で心ほどける一服を
    近江八景のひとつ「三井の晩鐘」で名高い三井寺の境内に、江戸時代の僧坊を再生した「本寿院(ほんじゅいん)ながら茶房」がある。香り高い朝宮茶を使った甘味や日本茶でひと休みしてはいかが。
    ロールケーキと朝宮上煎茶のセット1000円。ケーキ皿や茶器は信楽焼を使用
  • spot 30
    大津市歴史博物館
    パノラマビューも必見!大津の歴史と魅力に触れるミュージアム
    古くから東西を結ぶ交通の要衝であり、たびたび歴史の表舞台となった大津。歴史資料、絵画、仏像など数多の文化財を展示する大津市歴史博物館で、悠久の時を超えて大津が紡いできた歴史や文化に触れてみよう。
    1990年(平成2)に開館、「大津れきはく」の愛称で親しまれている。隣の市民文化館にはカフェもある
  • spot 31
    志じみ釜めし 湖舟
    石山寺の門前で味わう、シジミを炊き込んだ滋味豊かな釜飯
    琵琶湖だけに生息しているセタシジミは、遥か昔から親しまれてきた伝統食材。琵琶湖から京都・宇治へと流れてゆく瀬田川の西岸に建つ石山寺の門前界隈は、縄文時代のものとされる日本最大級のシジミの貝塚が発見された場所であることにちなみ、門前名物のひとつがシジミ料理だ。石山寺東大門から徒歩すぐの「志じみ釜めし 湖舟(しじみかまめしこしゅう)」では、シジミを炊き込んだ釜飯やシジミ汁のほか、鮒ずし、ビワマスなど琵琶湖の幸が楽しめる。セタシジミは環境の変化により年々漁獲量が減っているため、釜飯に使用するのはほかの産地のものだが、シジミ汁にセタシジミを使用。店主の井上さん曰く、「セタシジミは肉厚でぷりっとした食感が特徴で、とてもよい出汁がでるので身を食べるよりも汁物に適していると思います」。シジミの出汁にカツオ出汁をあわせ、味噌も赤味噌と地元産の味噌の2種をあわせ、より深みのある味わいに仕上げているという。また、琵琶湖の幸のほか、近年復活したうなぎ料理も評判。琵琶湖産の天然うなぎや、「うなぎ坂東太郎」をはじめとした国産ブランドうなぎを扱っており、シジミ料理とあわせて注目しておきたい。
    炊きたてで運ばれてくる釜飯のフタを開けると、湯気とともにシジミの香りが立ち上る
  • spot 32
    比叡ゆば本舗 ゆば八 大津本店
    比叡山延暦寺御用達! 滋賀県産大豆100%で作るゆば専門店
    今から1200年ほど前、伝教大師が中国からもたらした「ゆば」は、植物性たんぱく質を豊富に含むことから、比叡山延暦寺をはじめとする寺院において精進料理の素材として重宝されてきた。大津の観光中心部に暖簾を掲げる「比叡ゆば本舗 ゆば八」は、比叡山延暦寺御用達のゆば専門店だ。ゆば作りは、一晩水に漬けた大豆をすり潰して豆乳を作り、沸騰させないよう湯せんでじっくり温めながら表面にできる薄い膜をすくい上げるもので、大豆のうまみと甘みが凝縮している。原料は、滋賀県産の大豆100%、そして水のみ。原料も工程もシンプルだからこそ天候や気温、湿度の影響を受けやすく、一つひとつの工程で熟練の職人による時間やタイミングの見極めが欠かせない。店内には、看板商品であるきめ細かな生ゆばのほか、乾燥ゆば、ゆばカレー、お湯をそそぐだけのお吸い物やにゅうめん、シフォンケーキなどバラエティ豊かなゆば商品が並ぶ。炊いたご飯に混ぜるだけで和食店のような本格派のちらし寿司が楽しめる「湯葉ちらし寿司の素」もおすすめだ。食卓の主役になり得る至極の生ゆば、そしてゆばの魅力が光るアレンジゆば、ぜひ味わってみてほしい。
    濃厚でやや歯ごたえのある昔ながらのゆば「おさしみゆば」は2枚入り702円
  • spot 33
    立木観音(立木山安養寺)
    800段の石段を登って厄除けの観音様を参拝
    42歳の厄年にあたっていた弘法大師が、立木のままの霊木に観世音菩薩を刻み建立したことに始まる。約800段の石段を登って、厄除けにご利益のある観音様「立木(たちきさん)」へお参りしよう。
    立木山境内。本堂には本尊の立木聖観世音菩薩を祀り、1~2月は参拝者で賑わう
  • spot 34
    延暦寺
    最澄が開いた日本仏教の母なる山、霊峰比叡を巡る
    都を守護する山として敬われてきた比叡山。山全体に広がる天台宗の総本山延暦寺は、世界遺産にも登録されている。境内は東塔、西塔、横川に分かれ、延暦寺全体の総本堂でもある根本中堂は東塔に位置する。
    鴨川の丸太町橋付近から望む比叡山。かなり大きく見える
  • spot 35
    西塔
    あの弁慶も住んでいた、静けさに包まれた厳粛な修行の場
    延暦寺東塔からは北へおよそ1㎞。朱が鮮やかな2つのお堂が迎えてくれる。念仏の修行をする常行堂と、法華経の法華堂だ。それぞれは渡り廊下で結ばれており、悟りにいたる道筋は異なっても、最終的に行きつくところは同じであることを建物の形で教えているという。この2堂は合わせて「にない堂」と呼ばれ、別々のものでない「二でない」が転じたとか、弁慶が廊下の下に肩を入れて堂宇を担ぎ上げたとか諸説が伝わる。その先の石段を下りると釈迦堂。信長の焼討ち後、秀吉が三井寺から移築した鎌倉時代の建築で、比叡山最古の堂宇となる。東塔の根本中堂と同じく、内部は本尊の釈迦如来の祀られている内陣が外陣より低い天台様式だ。境内では、修行中のため静寂を保つ旨の注意書きを見かける西塔。心静かに参拝したい。
    にない堂前の杉林では、苔が青々と輝やいている
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旅のヒント

  1. その1

    京都駅から琵琶湖の西部へ向かう場合は、湖西線を利用する。JR琵琶湖線では湖の南部から西部へは直接行けないので、JR山科駅でJR湖西線に乗り換える。また、大津エリアは山中や山麓に建てられた社寺も多く、広い境内には階段や坂道もあるため、歩きやすい靴を履きたい。

  2. その2

    びわ湖テラスへは車の利用が便利だが週末や連休は特に混雑する。公共交通機関を利用する場合は、電車、バスともに本数が限られているため事前確認が必要だ。

  3. その3

    比叡山の車道ドライブウェイは歩行者、自転車ともに通行が禁止されているため、山内の移動は車かシャトルバスの利用となる。山を歩きたい場合は、歩道が示されたマップを手に入れたい。

  4. その4

    西教寺へはJR湖西線・比叡山坂本駅や京阪・坂本比叡山口駅からバスを利用すると便利だが、本数が少ないので事前確認は必須。

  5. その5

    岩間寺へは車の利用が便利だが、毎月の縁日(17日)にはJR琵琶湖線の石山駅前からシャトルバスが運行されるので、駐車場はバス専用となる。運行予定は公式サイトで確認を。

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