義仲寺

寺院

木曽義仲と松尾芭蕉、異なる時代に生きた2人の墓を守る寺

旧東海道沿いに立つ義仲寺(ぎちゅうじ)には、平安時代末期の武将・木曽義仲と、江戸時代初期の俳人・松尾芭蕉、時代も生き方も異なる2人の墓が並ぶ。歴史ファンや俳句愛好家も訪れる聖地を訪ねてみよう。

義仲寺は青モミジや紅葉の隠れ名所でもある。こちらは芭蕉や弟子の像を安置する翁堂} 義仲寺は青モミジや紅葉の隠れ名所でもある。こちらは芭蕉や弟子の像を安置する翁堂

時代を越えて守り継がれた墓

JR東海道線膳所(ぜぜ)駅から徒歩6分ほど。ときめき坂を下り、旧東海道と交わる道を左折するとほどなくして山門が現れる。平安時代末期、平家討伐のため兵を挙げて都入りした木曽義仲が、源頼朝の命により上洛した源義経や源範頼の軍勢と激突、宇治川の戦いで敗戦したのちここ粟津(あわづ)の地で討死。「義仲寺」の名は義仲の亡骸を埋葬したことに由来する。のちに側室の巴御前が尼僧となり、この地に草庵を結んで義仲を供養するも、時代の移ろいとともに荒廃。時は戦国の世となり石山寺参詣の折に立ち寄った近江守護職・佐々木六角が荒れ果てたこの地を憂い、寺を再建した。さらに300年もの歳月を経て江戸時代初期になると、景勝地であった大津を愛する俳人・松尾芭蕉がたびたびこの地を訪れるようになる。芭蕉は大坂で亡くなったが、生前に残していた「骸は木曽塚に送るべし」という遺言に従って義仲の墓のそばに芭蕉の墓が立てられたのだという。

芭蕉の生きていた頃は山門の辺りまで琵琶湖だった。かたわらに立つお堂は巴地蔵堂} 芭蕉の生きていた頃は山門の辺りまで琵琶湖だった。かたわらに立つお堂は巴地蔵堂

池には20匹ほどのイシガメが生息しており、境内をのっそり散歩する姿を見られることも} 池には20匹ほどのイシガメが生息しており、境内をのっそり散歩する姿を見られることも

小さな境内に見どころが凝縮

芭蕉の墓が立てられたあと、火災や、琵琶湖の大洪水、大東亜戦争などにより再び荒廃したが、1965年(昭和40)、三井寺から独立して単立寺院となったのを機に堂宇の修復や境内の整備がなされていった。国の史跡に指定された境内には見どころがぎっしりあるので、寺務所でもらえる境内見取図を手に順に巡ってみよう。山門をくぐると右手に御朱印の受付や土産物を販売する寺務所、その奥に史料やゆかりの品を展示する「史料観」があり、芭蕉が旅の道中で使った椿の杖や、芭蕉の句の版木、芭蕉の句を世に広めた功労者でもある蝶夢上人の肖像画などが並ぶ。史料観の奥に立つのが本尊・聖観世音菩薩を祀る本堂で、木曽義仲が「朝日(旭)将軍」と称されたことから「朝日堂」と呼ばれている。本堂の手前に巴御前を祀る巴塚が立ち、木曽義仲の墓、松尾芭蕉の墓が少し間隔を空けて並んでいる。

史料観に展示されている芭蕉愛用の杖} 史料観に展示されている芭蕉愛用の杖

木曽義仲の享年はわずか31歳。こちらは胴塚で、京都の法観寺に首塚がある} 木曽義仲の享年はわずか31歳。こちらは胴塚で、京都の法観寺に首塚がある

芭蕉は享年51歳。墓の背後には芭蕉が俳句の会を開いたという無名庵が立つ} 芭蕉は享年51歳。墓の背後には芭蕉が俳句の会を開いたという無名庵が立つ

翁堂と境内の句碑を巡る

池のほとりに立つ「翁堂(おきなどう)」は、堂内を見渡せる正面に回って見学を。中央には芭蕉翁坐像、左右には蕉門十哲に名を連ねる内藤丈草と向井去来の木像、側面に蝶夢上人の胸像が安置されているほか、天井の「四季花卉(かき)図」も必見。シャクヤクやカキツバタ、ハスなど12種の草花が描かれており、作者は伊藤若冲だ。毎年5月の第2土曜には、270余年の歴史を有する伝統行事「奉扇会(ほうせんえ)」が翁堂で営まれ、芭蕉翁坐像が手に持つ如意棒を扇子に替える。境内には芭蕉のほか弟子やゆかりの人々の俳句が刻まれた句碑が20ほどあり、注目は芭蕉直筆の文字が刻まれた「行春をあふミ(おうみ)の人とおしみける」の句碑。静ひつな空気に包まれた境内をそぞろ歩き、いにしえに思いを馳せて一句詠んでみるのもいいだろう。

翁堂内部。壁の上部には三十六俳人の画像がかかる} 翁堂内部。壁の上部には三十六俳人の画像がかかる

芭蕉直筆の文字が刻まれた句碑。かたわらに立つのが芭蕉の好んだバショウの木} 芭蕉直筆の文字が刻まれた句碑。かたわらに立つのが芭蕉の好んだバショウの木

スポット詳細

住所
滋賀県大津市馬場1-5-12 map map 地図
エリア
大津エリア
電話番号
0775232811
時間
[3-10月]9:00-17:00
[11-2月]9:00-16:00
休業日
月(祝の場合は開門)
料金
【拝観料】
[一般]500円(団体400円)
[高校生・中学生]200円(団体150円)
[小学生]100円(団体50円)
駐車場
なし(近くのコインパーキングを利用)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
0-30分
乳幼児の入店
ペットの入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 義仲と芭蕉の墓
    3.0 投稿日 : 2022.06.03
    JRの膳所駅から少し歩いた旧東海道沿いに、木曽義仲と松尾芭蕉の墓がある。義仲は平家追討のため、京都まで快進撃したが、味方であるはずの頼朝に疎まれてこの辺りで戦死したらしい。芭蕉は義仲を慕っていて、遺言で義仲の墓の側に葬ってもらうように言い残した。
  • 歴史ファン、古典文学ファンにおススメ
    4.0 投稿日 : 2021.07.12
    木曽義仲と松尾芭蕉のお墓がある、歴史ファン、古典文学ファンにおすすめのお寺です。芭蕉は義仲の熱狂的ファンだったので、遺言で「義仲の墓の傍に葬ってくれ」と言い残したらしいです。芭蕉は大阪で死んだんですが、亡くなったその日のうちに、弟子たちがここ大津まで遺体を運んだそうな。ご苦労なこってす。
  • 木曽義仲と芭蕉の墓所
    4.0 投稿日 : 2020.04.11
    平安時代末期に、平氏討伐の途中から源頼朝らと敵対し、当地(粟津の戦い)で敗れた信濃源氏の武将木曽義仲の墓所(木曽塚)が在ることに由来して、「義仲寺(ぎちゅうじ)」と命名されたお寺です。大津市馬場地区の旧東海道沿いの境内には、朝日将軍と呼ばれた木曽義仲に因む朝日堂(本堂)を初め、義仲の供養塔の右隣には、江戸時代に度々滞在した芭蕉の遺言に従って建てられたと言う芭蕉の自然石の墓が並んでいます。芭蕉と...

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アクセス

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最寄り

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