湖東・彦根

KOTO / HIKONE

国宝・彦根城と湖東三山で歴史的建造物に出合う

琵琶湖の東部に位置する彦根エリアといえば、国宝「彦根城」が名高い。かつて2万5000以上あったといわれる全国の城のなかで、天守が現存し、国宝に指定されているものは5つだけ。そのうちのひとつが彦根城だ。天台宗の名刹「西明寺」「金剛輪寺」「百済寺」の3つを総称する「湖東三山」は、国宝や重要文化財の宝庫。湖西のメタセコイヤ並木とともに日本紅葉100選に名を連ね、四季折々の美景で人々を魅了する。伊勢神宮の祭神・天照大神の親神を祀り、縁結びや長寿のご利益で信仰を集める近江国第一の社、多賀大社も人気。お土産には門前名物・糸切り餅を忘れずに。また、東近江の五個荘は、天秤棒をかつぎ、全国を渡り歩いて商いにいそしんだ「近江商人」発祥地のひとつ。近江商人を育んだ上質な屋敷を見学し、錦鯉の泳ぐ風情ある街並みを歩いてみよう。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    彦根城
    江戸初期の城郭の姿を今に伝える、井伊家ゆかりの名城
    関ヶ原の戦いで徳川方の武将として活躍し、彦根藩主となった井伊家が築いた彦根城。国宝天守をはじめ、4つの櫓(やぐら)と全国の城のなかで彦根城だけにしかない馬屋が重要文化財となっており、見ごたえのある城だ。
    3種の破風を配した華麗な天守
  • spot 02
    玄宮楽々園
    4代目彦根藩主が造営した大名庭園から彦根城天守を仰ぎ見る
    彦根藩4代目藩主の井伊直興が、1677年(延宝5)から2年の歳月をかけて造営した下屋敷と池泉回遊式の大名庭園の総称で、現在は庭園を玄宮園、屋敷を楽々園と呼んでいる。。彦根城から下りてきたあとなら、黒門口そばの西口から左手にある「楽々園」へ。幕末に活躍した大老・井伊直弼の生誕地だ。直弼の父・直中の時代には現在の10倍もある壮大な建物だった。現在は書院や地震の間など一部が残っている。玄宮園側の入り口をくぐると、右手の建物は、彦根藩の賓客をもてなした「鳳翔台」。現在は気軽に抹茶をいただける場となっている。庭園は4つの中島や意匠の異なる橋が架かり、池のほとりを歩くと変化に富む景色が待ち受ける。いちばんの見どころは池越しに望む彦根城天守で、晴天で風のない日は池が水鏡となって天守を映す。国の名勝庭園から国宝天守を望めるのは日本でここだけだ。
    玄宮園は隣接する楽々園とともに国の名勝に指定
  • spot 03
    彦根城博物館
    彦根城表御殿を復元した博物館で「井伊家の赤備え」を見学
    1987年(昭和62)、彦根市の市政50周年を記念して建てられた博物館。彦根藩の政庁と藩主の住まいを兼ねた彦根城表御殿の跡地に建物をよみがえらせた。代々彦根藩主を務めた井伊家に伝わる美術工芸品や古文書から彦根や彦根藩に関する資料まで、収蔵点数は9万1千件を超える。見どころのひとつが、機能性と芸術性を兼ね備えた武器・武具の数々。「井伊の赤備え」と称された井伊家の甲冑をはじめ、太刀、短刀、鞍などが展示されている。館の中央にある、200年前に建てられた、大名御殿のなかで唯一現存する能舞台も見逃せない。また、木造棟は、平面の古絵図や立体的な図面、鳥瞰図など調査で得た貴重な資料を元に、藩主が暮らした「奥向(おくむき)」を復元している。井伊家の栄華を垣間見ることで、彦根城をより身近に感じさせてくれる博物館だ。
    彦根城の表門口から入って右手の建物が彦根城博物館
  • spot 04
    彦根城屋形船
    井伊家の藩主専用船を再現した船で彦根城内堀を巡る
    江戸時代、彦根藩の藩主を代々務めた井伊家は160隻以上の軍船を保有していたという。\井伊家藩主の専用船を現代によみがえらせたのが、「彦根城屋形船」。当時の絵図面や幕末に撮影された古写真をもとに忠実に復元した「掃部(かもん)丸」「中将(ちゅうじょう)丸」「万千代丸」「柳王丸」という名の4つの船を備える。乗船は藩主が使用する舟着場のあった玄宮園前の乗り場から。桜と紅葉のシーズンには予約がベターだが、通常期は空きがあれば乗船可能だ。船頭さんのユニークなガイドを聞きながら内堀を巡ると、堀のほとりを散策するのとはまた異なる視点で彦根城の魅力に触れることができる。船旅のハイライトは、船上から仰ぎ見る彦根城天守。城郭を囲む石垣の造りも見どころだ。四季折々の色彩のなか、内堀に住む白鳥の親子やカモが憩う姿も見られ、時の流れがゆったりと感じられる。
    1日に6-7便運航している。屋根があるので雨の日も安心
  • spot 05
    夢京橋キャッスルロード
    江戸時代の城下町を再現した観光ストリート
    彦根城の中堀に架かる京橋は、一千石以上の武士が住んでいた内堀と中堀の間の第二郭(かく)と中級以下の武士や商人、職人が住んでいた中堀と外堀の間の第三郭をつないでいた橋。城下町時代、京橋界隈の本町は商業が発展し、活気のみなぎる町だったという。近代化にともなって江戸時代の面影は次第に失われていったが、昭和後期、景観再生のために京橋から延びる本町通を整備したのが「夢京橋キャッスルロード」。通り沿いは、白壁や格子窓の町家風の建物に統一され、江戸時代の伝統的な街並みが新たに造られた。通りの両脇には彦根銘菓として知られる老舗和菓子店や近江牛の有名店、湖魚料理を味わえる店といった飲食店や土産物店が軒を連ねており、彦根城散策の前後にぜひ立ち寄りたいスポットだ。
    城下町の雰囲気を感じられる夢京橋キャッスルロード
  • spot 06
    ちゃんぽん亭総本家 彦根駅前本店
    滋賀のソウルフード・近江ちゃんぽんを発祥地で味わう
    彦根のご当地グルメから知名度を上げ、今や滋賀のソウルフードとなった「近江ちゃんぽん」。豚骨ベースの長崎ちゃんぽんとは異なり、和風だしがベースであること、具材を手鍋で煮込んで仕上げること、途中でお酢をかけて味の変化を楽しめることなどが特徴だ。近江ちゃんぽんを提供する店は多くあるが、彦根城観光と合わせて本場で近江ちゃんぽんを堪能するなら、発祥地に建つ「ちゃんぽん亭総本家彦根駅前本店」へ。1963年(昭和38)に創業した麺類食堂「麺類をかべ」の味を引き継ぎ、1988年(昭和63)をかべの跡地にオープンした「近江ちゃんぽん」を代表する店だ。近江鶏のガラや道南産の昆布、6種類の削り節などの特選素材をブレンドし、農林水産大臣賞に輝いた特級金印醤油で仕上げたスープは、滋味深い味わい。県内の契約農家から仕入れた新鮮な野菜と、赤身と脂身のバランスが良い「かぶり肉」が旨味と甘味を引き立てている。イチオシは、定番の近江ちゃんぽんに野菜をたっぷりと載せた「近江ちゃんぽん 野菜大盛」。滋賀の大地の恵みを存分に味わいたい。
    近江ちゃんぽん野菜大盛870円
  • spot 07
    あゆの店きむら 彦根京橋店
    母なる湖、琵琶湖に育まれた湖魚や鮎料理を堪能
    琵琶湖で獲れる湖魚といえば、ビワマス、ニゴロブナ、本モロコ、イサザ、ゴリ、小鮎、スジエビ、ハスなどがある。なかでも琵琶湖にだけ生息する小鮎は、成魚でも10cm以下と小ぶりだ。この小鮎や本モロコなどの小魚を甘辛く炊いた料理や、ニゴロブナと塩、飯を乳酸発酵させて作る奈良時代発祥の「鮒寿し」は、滋賀の郷土料理として親しまれている。彦根城界隈で湖魚料理を味わうなら、鮎の養殖を手がける水産会社直営の「あゆの店きむら 彦根京橋店」がおすすめ。店内では湖魚の佃煮や鮒寿司などの自家製品を販売している。店奥にある食事処の人気は「あゆ雑炊膳」。干した鮎だけで煮出しただしがベースの雑炊に焼鮎を1尾分載せたもの。鮎の塩焼き、小鮎の佃煮や小エビと豆の炊き合わせなどの小鉢が付いて、琵琶湖の恵みを享受できる御膳となっている。
    「あゆ雑炊膳」1650円。香りが良いことから鮎の別名は「香魚」
  • spot 08
    多賀大社
    伊勢神宮の祭神・天照大神の親神を祀る近江国第一の社
    「お伊勢参らばお多賀へ参れ、お伊勢お多賀の子でござる」。古来詠まれた歌にあるように、多賀大社は、伊勢神宮の祭神・天照大神の親神を祀る。延命長寿や縁むすび、厄除けのご利益で信仰を集める近江第一の社を参拝しよう。
    「絵馬通り」に面して建つ石造りの鳥居
  • spot 09
    多賀や
    平和な世と長寿を願う、多賀大社の門前名物
    多賀大社の門前名物といえば、なめらかなこし餡を包んだ餅に、赤と青の3本の線をあしらった「糸切餅」。長く伸ばした餅を包丁ではなく三味線の糸で切るのは、刀や槍など武器を使うことのない平和な世と長寿への願いが込められている。かつて糸切餅を作る店は界隈に20軒ほどあったが、現在は3軒のみ。糸切餅の本家本元が、多賀大社の鳥居前に構える「多賀や」。三重県境の旅籠屋に始まり、200年を超える時を紡ぐ店だ。糸切餅の歴史は江戸時代に端を発するが、「不易流行」の心得により進化し、昭和時代に現在の形状が完成したという。線の色が赤と青なのは、鎌倉中期、蒙古軍撤退を祝して多賀大社に献上された船印にちなんだという説が有名。もうひとつ、大阪で腕を磨いて多賀に戻った和菓子職人がタニマチをしていた相撲取りの化粧まわしの色にヒントを得た、という説も伝わっている。
    米粉100%で作る多賀やの糸切餅650円(10個入)
  • spot 10
    百済寺
    湖東三山の最南、「最後の山城」の趣を残す近江の最古級寺院
    聖徳太子が創建した百済寺は近江で最も古い寺院のひとつで、湖東三山の最南地に位置する。宣教師ルイス・フロイスが「地上の天国」と讃えた、美しき城郭寺院を訪ねてみよう。
    「赤門」と呼ばれる朱塗りの総門。くぐれば入試合格のご利益が!?
  • spot 11
    佐和山城跡
    石田三成が5層の天守を構えた佐和山城の城跡を巡る
    彦根にそびえる標高232.5mの佐和山。関ケ原の戦いに敗れた石田三成のあと、徳川方の井伊直政が城主となったが、彦根城の築城により廃城。城跡を訪ね、武士たちも眺めたであろう眺望を楽しもう。
    山の中腹に立つ「佐和山城跡」の看板が目印
  • spot 12
    金剛輪寺
    国宝本堂で重文の仏像群を間近に鑑賞できる湖東三山の名刹
    湖東三山のひとつに名を連ねる金剛輪寺。国宝の本堂「大悲閣」をはじめ、重要文化財の三重塔、二天門、寺を開いた行基みずからが彫った秘仏の本尊・聖観世音菩薩などの仏像群で名高い。近江随一と称される国の名勝庭園も見どころだ。
    江戸時代に建立された「黒門」こと総門
  • spot 13
    西明寺
    国宝本堂と三重塔、国の名勝庭園が見事! 湖東三山の苔の寺
    湖東三山のひとつに名を連ね、紅葉名所としても知られる西明寺。鎌倉時代に建てられた国宝の本堂と三重塔のほか、頭上に十二支の動物を載せた十二神将、国の名勝庭園「蓬莱庭」など見どころの多い古刹だ。
    鎌倉後期、飛騨の名工が釘を1本も使わず建てた総檜造の三重塔
  • spot 14
    永源寺
    葦葺きの本堂や岩崖の十六羅漢も見どころ、近江随一の紅葉寺
    フォトジェニックな紅葉のトンネルで名高い永源寺。風情ある葦葺きの大屋根を冠した本堂をはじめ、禅の教えが込められた見どころが点在しており。秋でなくても訪れたい名刹だ。
    総門手前の手水鉢「洗耳水」には禅の教えが込められている
  • spot 15
    五個荘近江商人屋敷
    近江商人を育んだ屋敷と錦鯉の泳ぐ風情豊かな町並みを探訪
    天秤棒をかつぎ、全国を渡り歩いて商いにいそしんだ「近江商人」発祥地のひとつ、五個荘。豪商の屋敷を訪ね、かたわらの水路に錦鯉が泳ぐ町をそぞろ歩いて、近江商人の精神や暮らしぶりを垣間見てみよう。
    車の往来が多くないため、ゆったりと歩ける
  • spot 16
    外村繁邸
    第1回芥川賞候補となった、滋賀を代表する作家・外村繁の生家
    『草筏』が第1回芥川賞候補となり、のちに池谷賞や野間文学賞を受賞した滋賀を代表する作家・外村繁(とのむらしげる)の生家。明治時代、全国長者番付に名を連ねた豪商・外村宇兵衛家の分家で、繁の父・吉太郎が呉服木綿問屋として財をなした。三男であった繁は一時家業を継いだが、文学を志すため弟に譲り、東京で井伏鱒二や太宰治など仲間とともに作家活動に勤しんだという。広大な屋敷は、1901年(明治34)に京都の大工により建てられたもの。家族や番頭、使用人たちが暮らした大きな主屋は、2階の客間、水屋(台所)、風呂場など部屋の随所に華やかさではなく質の良さを重視した近江商人の心意気が感じられる。繁が帰省時に執筆した小部屋や蔵の中にある「外村繁文学館」も必見だ。
    2400平方メートル強の広々とした敷地
  • spot 17
    中江準五郎邸
    「幻の百貨店王」と称された三中井一族の邸宅
    「幻の百貨店王」と称された三中井(みなかい)百貨店創業者中江家の四男中江準五郎の邸宅で、近代近江商人の典型的な本宅として公開されている。三中井一族の隆盛は、金堂に本部をおいた長男中江勝治郎が1905年(明治38)、三中井呉服店を発足させたことに始まる。朝鮮半島や中国大陸に20店舗余りの百貨店を次々に出店。現在の価値で5000億円に相当する莫大な富を築いたものの、敗戦によってすべてを失ったことが「幻」と呼ばれるゆえんだ。建物奥の蔵では、五個荘町の郷土玩具「小幡(おばた)人形」が常設展示されている。「小幡でこ」の名で親しまれるこの土人形は、飛脚をしていた初代細居安兵衛が京都で出合った伏見人形にヒントを得たもの。300年を超える歴史をもち、幾度も年賀切手のモデルに採用された郷土民芸品だ。琵琶湖の形を模した池泉回遊式庭園や、バラエティに富んだデザインの石灯籠15基、鞍馬石の大きな敷石も必見だ。
    1933年(昭和8)に建てられた
  • spot 18
    龍潭寺
    江戸初期の2つの名庭を擁する彦根藩主・井伊家の菩提寺
    佐和山城跡が残る佐和山のふもとにたたずむ、臨済宗妙心寺派の龍潭寺。彦根城主・井伊家の菩提寺で、「だるま寺」としても親しまれる。仏の世界を表す方丈南庭や小堀遠州ゆかりの書院東庭は必見だ。
    龍潭寺の拝観入り口。参道をしばらく進むと山門がある
  • spot 19
    藤井彦四郎邸
    日本経済の礎を築いた実業家の旧宅で和・洋の館を見学
    スキー毛糸の製造や人工絹糸(レーヨン)の輸入販売などにより一代で財をなし、日本経済の礎を築いたといわれる実業家・藤井彦四郎の旧宅。8155平方メートルを誇る敷地は、庭園、総檜造りの客殿、生家を移築し生活の場とした主屋、客殿洋館で構成され、近江商人の暮らしぶりや歴史を伝える資料館として公開されている。客殿に隣接し、迎賓館の役割を果たした洋館には、まるごと1隻購入したという豪華客船の調度品を活用。池泉回遊式の壮大な庭園は彦四郎自身の構想によるもので、アカマツなどの名木や珍しい石を配した趣き豊かな庭だ。得意先や皇族をもてなした客殿はぜいたくに、日常生活を営んだ主屋は質素に、と対照的な造りとなっており、倹約を大切にした近江商人の精神をうかがえる。土蔵や展示館には、商人の道中姿や帳場風景を再現。商いに使っていた道具や小間物類の展示、日本近代社会の父と称される渋沢栄一の書による扁額も見逃せない。
    上質な材を用い、洗練された客殿座敷
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旅のヒント

  1. その1

    彦根へは、JR琵琶湖線を利用して彦根駅へ。新幹線・米原駅から彦根駅までは1駅。多賀大社や近江商人屋敷のある五個荘への移動は、ローカル線の近江鉄道を活用するといい。

  2. その2

    彦根駅構内に彦根市観光案内所があるので、立ち寄ってパンフレットやマップなどを入手しておこう。

  3. その3

    湖東三山は、ぜひ3つセットで巡りたい。紅葉シーズンのみJR琵琶湖線彦根駅から湖東三山連絡シャトルバスが運行している。そのほかの季節なら車での移動がスムーズ。

  4. その4

    彦根城や湖東三山は石段が多いので、歩きやすい靴がおすすめ。

  5. その5

    佐和山城跡は電灯がないので、日が暮れる前に下山しよう。

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