石川

兼六園周辺

AROUND KENROKUEN GARDEN

城下町金沢の中心とその周辺には、見逃せないスポットがめじろ押し

兼六園の周辺は、城下町金沢のまさに中心エリア。外様大名では最大の100万石の財力を誇った加賀藩のお殿様が住み、政務・軍事の中核拠点でもあった金沢城の周縁に、今は金沢21世紀美術家や尾山神社といった文化施設、神社、公園緑地などが集まっている。スマホを片手に、効率良くエリア内の各施設を巡ってみよう。金沢城公園の隣にある兼六園は、庭園や景勝地の国宝に位置づけられる特別名勝だ。前田家5代綱紀が金沢城東側の丘陵地に「蓮池庭(れんちてい)」を築庭したのが始まりで、13代斉泰の時代に現在の姿に。風雅な庭園には歴代藩主の美学が息づいており、その結晶といえる庭園美が訪れる人々を魅了する。また、初代利家以来の居城だった金沢城は、1881年(明治14)に焼失したしたものの、古文書や古地図、古写真などをもとに2001年(平成13)に城郭の一部が復元され、往時の威容がよみがえっている。どちらも武家の薫りを感じさせる観光スポットだ。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    兼六園
    大名の美意識を集約した「日本三名園」のひとつ
    城下町金沢のシンボル的な存在が兼六園である。加賀百万石の美意識を集約した江戸時代の代表的な大名庭園で、水戸の偕楽園(かいらくえん)、岡山の後楽園(こうらくえん)とともに「日本三名園」と称され、国の特別名勝に指定されている。
    兼六園でいちばんの撮影スポットとなっている霞ヶ池と徽軫灯籠、虹橋
  • spot 02
    成巽閣
    大名家の暮らしぶりが垣間見える優美な奥方御殿
    兼六園の小立野料金所から西へ海鼠(なまこ)塀づたいに歩いて約2分、風格ある塀重門を構えるのが前田家13代・斉泰(なりやす)が幕末の1863年(文久3)に嫡母(父の正妻)の眞龍院の隠居所として造営した成巽閣の正面入り口である。ちなみに、裏口は兼六園と直結している。国重文である成巽閣は、1階が武家書院造り、2階が数寄屋風書院造りと趣が異なり、建物内は往時の藩主一族の暮らしぶりをうかがわせる。なかでも目を見張るのが、1階の「謁見の間」だ。上段と下段を分ける欄間は、梅や椿の枝にとまる極楽鳥を檜の一枚板を両面から透かし彫りにし、極彩色の岩絵の具で彩った名工の作。2階の「群青の間・書見の間」は、天井と壁面に顔料の群青(ウルトラマリンブルー)を用いるだけでなく、障子にオランダ渡りのギヤマンをはめ込み、床柱も木目を意匠化するなど奥方御殿ならではの華やかなしつらえ。さらに、邸内の庭は国名勝に指定されており、とりわけつくしの縁(えん)庭園を眺める「つくしの緑」は20mにわたって柱がなく必見だ。
    金沢城の巽(東南)にあることから、創建当初は巽御殿(たつみごてん)という名称だった成巽閣
  • spot 03
    金澤神社
    「金沢」の地名の由来となった泉が湧く、前田家の天満宮
    兼六園の南に隣接する、菅原道真を祀る神社。前田家11代・治脩(はるなが)が1794年(寛政6)に藩校明倫堂を建てた際、その鎮守社として創建した。江戸時代、徳川家が源氏の末裔を称したのに対して、前田家は学問の神である菅原道真の末裔を名乗り、家紋も道真にちなんだ梅鉢紋にしたといわれている。かつて藩主が朝夕の兼六園散策に合わせて領内の平和と繁栄を祈願した社は、現代では受験生とその関係者が学業上達を祈願する場となっていて、ふだんは静かなこぢんまりとした境内には、受験シーズンになると数多くの参拝者が集まる。境内の西には「金沢」という地名のルーツになった泉「金城霊澤(きんじょうれいたく)」が湧き、地元に伝わる民話『芋掘り藤五郎譚』では、藤五郎という芋掘りが山芋をこの沢で洗うといつも砂金が残っていたため「金洗いの沢」と呼ばれるようになり、これがやがて「金沢」になったという。泉は柵で囲われているので水を汲むことはできないが、境内の手水舎が泉と同じ地下水源から水を汲み上げていて、飲用も問題なくできる。
    国登録有形文化財の金澤神社の拝殿
  • spot 04
    石川県観光物産館
    石川ならではの味覚と伝統工芸品を買うならここ!
    「兼六園下・金沢城」バス停そばにある石川県観光物産館は、兼六園観光後に立ち寄るのにぴったりのお土産購入スポットだ。地元の食や工芸品の老舗が集まっており、1階フロアには地酒、海産物、伝統工芸品などが所狭しと並び、どれを買おうか悩みながら見て回るのも楽しい。また、2階、3階には石川の伝統文化にちなんだ6つの体験コーナーがある。職人が懇切ていねいに教えてくれる和菓子手づくり体験(1700円)をはじめ、加賀八幡起上(おきあが)りの手描き体験(1200円)、砂彫りガラス体験(1880円~2140円、材料により異なる)、金箔貼り体験(1250円~1850円、材料により異なる)、小さな締太鼓づくり体験(小650円、大750円)、お抹茶の自服体験(700円、お菓子付き)など、どれもチャレンジすれば格好のお土産話になること間違いなし。ほか、菓子文化ギャラリー、観光宿泊案内所も併設している。
    1階の石川の老舗有名店販売フロアで、ゆっくりとショッピングを
  • spot 05
    金沢城公園
    外様随一の大大名・前田家の居城は、城下町金沢のシンボル
    外様大名最大の石高を誇った前田家の居城が金沢城である。江戸時代、金沢の人口は約12万人を数え、江戸、大坂、京都に次ぐ大都市だった。巨大な門や櫓(やぐら)の復元が進み、2008年(平成20)、国史跡園に指定された。
    2001年(平成13)に復元された、右から菱櫓、五十間長屋、橋爪門続櫓の威容
  • spot 06
    玉泉院丸庭園
    立体的な庭園構成と意匠性の高い石垣群が見どころ
    玉泉院丸庭園は金沢城公園の西側に位置し、藩主が楽しむプライベートな中庭として整備された。2015年(平成27)、江戸末期の姿を元に再現され、高低差のある立体的な構成や意匠性の高い石垣群が見どころとなっている。
    高台からは、すり鉢状になった庭の特徴を一望できる
  • spot 07
    国立工芸館
    日本海側唯一の国立美術館が工芸の町・金沢に
    日本海側唯一の国立美術館であるだけでなく、国立唯一の工芸・デザイン専門美術館である国立工芸館。東京から金沢に移転開館したことにより、金沢の文化観光の新たな拠点になっている。
    明治の陸軍施設を利用した国立工芸館の建物。向かって右が「旧陸軍金沢偕行社」、左が「旧陸軍第九師団司令部庁舎」
  • spot 08
    尾山神社
    金沢に近代の到来告げた独創的デザインの社
    目抜き通りから少し入った場所に鎮座する尾山神社は、街の中心部にありながらも静寂さを保つ神域。江戸から明治へ大転換する時代に、伝統と文明開化それぞれの影響を受けて造られた社は、兼六園と並ぶ金沢のシンボルとなっている。
    国重文の神門は日没から22時までライトアップされ、ギヤマンの五彩が美しく輝く
  • spot 09
    加賀てまり 毬屋
    色糸が鮮やかな模様を描く、金沢ならではの伝統工芸品を販売
    "尾山神社から徒歩すぐの場所に位置する「加賀てまり 毬屋」は 全国でも珍しい""てまり""の専門店だ。加賀てまりとは、鮮やかな色彩と、ぬくもりのある手触りが特徴の郷土玩具。振るとやさしい鈴の音が響き、よく鳴ると「持っている人の運が良くなる」といわれている。加賀藩前田家3代・利常のもとに徳川家から嫁いだ珠姫が持参したものが始まりとされ、女性が結婚する際、母親が幸せを願って持たせる習慣が根付いていった。現代では、日本人の美意識を繊細な柄と色使いで表現するインテリアとして人気を集めている。また、毬屋には、ひと針ひと針思いを込めて作りあげられた加賀てまりのほか、裁縫には欠かせない""ゆびぬき""を、美しい模様で彩る「加賀ゆびぬき」が並び、見ているだけでも心が安らぐ空間だ。"
    カラフルで女性に人気の伝統工芸品。写真中央右の「梅鉢紋」は2万4750円、左の「六つ菊」は1万3200円
  • spot 10
    加賀友禅会館
    武家文化のなかで育った加賀友禅の個性と技を体験できる
    金沢に数ある伝統工芸のなかで最も華やかさに満ちているのは加賀友禅だろう。加賀友禅会館では、その魅力と歴史、制作工程を幅広い展示によって発信。彩色を体験できるコーナーもあり、加賀友禅を身近に感じられる。
    1階で黒留袖、色留袖、訪問着などのほか、加賀友禅オブジェ(右手前)も展示
  • spot 11
    金沢21世紀美術館
    現代アートを身近に感じられる、公園のような美術館
    触れて遊べる作品や目が釘付けになってしまうアートなど、多彩な現代美術作品が並び、小さな子どもから大人まで多世代が楽しめる美術館。金沢観光では絶対はずせない、感性を刺激するスポットに足を運んでみよう。
    ガラス張りの開放的な外観が特徴
  • spot 12
    金沢能楽美術館
    金沢に伝わる能楽「加賀宝生」の美と伝統を紹介
    加賀藩が能を広く奨励したことで、金沢の能は「加賀宝生」として独自の発展を遂げて定着した。全国唯一の公立能楽専門美術館である金沢能楽美術館では、そうした加賀宝生の伝統と貴重な美術品を紹介している。
    百万石通りに面する金沢能楽美術館。奥には金沢21世紀美術館が見える
  • spot 13
    金沢・クラフト広坂
    現代感覚で仕上げられた金沢の伝統工芸を幅広く展示・販売
    金沢21世紀美術館そばにある「金沢・クラフト広坂」は、金沢の伝統工芸に現代のエッセンスを融合した商品を数多く扱うギャラリー&アンテナショップ。金沢には20を超える希少な伝統工芸が職人や作家の手によって受け継がれており、それらの品を一堂に集めて販売している、全国的に知られている加賀友禅はもちろん、キジの羽毛や金箔を用いて鮎釣りの道具とした加賀毛針や、強靱な保存性から多くの書家に愛されている二俣和紙など、現在では作り手の少なくなっている工芸品も置いている。来店の多い女性客に人気なのは、色合いがカラフルな加賀お細工物、加賀水引細工、加賀繍(ぬい)、加賀手まりなど。リーズナブルな価格帯の品が多い。若手作家によるクラフト作品を4週間ごとに紹介するコーナーもあり、人生に彩りを与えてくれる愛着を持てる品と、ここならきっと出合えるはずだ。
    白を基調としたクリーンな店内で、現代感覚にあふれた品々を販売している
  • spot 14
    鈴木大拙館
    ZENを海外に広めた鈴木大拙の思想に触れる
    マインドフルネスという概念で、欧米のライフスタイルやビジネスにまで影響を及ぼすようになった「禅(ZEN)」。鈴木大拙館(すずきだいせつかん)は、禅をはじめ東洋思想を西洋に広めた鈴木大拙の考えや足跡に理解を深め、来館者に思索の場を提供している。
    白い箱が水面に浮かぶかのように見える思索空間棟
  • spot 15
    西田家庭園・玉泉園
    兼六園より古い、藩主も愛でた上級武士の庭園
    藩の上級武士である脇田家が4代約100年をかけて完成させた玉泉園は、兼六園の完成より120年近くも古い歴史ある池泉回遊式庭園。歴代藩主も愛でた美しい庭と茶室は一見の価値がある。
    西田家庭園・玉泉園の正面入り口。東側には加賀友禅会館が隣接する
  • spot 16
    石川県立美術館
    石川県の美術・工芸の粋を鑑賞できる
    藩政期から豊かな文化的土壌をはぐくんできた石川県の、美術・工芸の粋を紹介する石川県立美術館。兼六園をはじめとする文化施設へ徒歩移動できる文化ゾーンに位置し、一帯は「兼六園周辺文化の森」とも呼ばれている。
    兼六園と向かい合う立地の石川県立美術館
  • spot 17
    加賀本多博物館
    5万石の知行を誇った筆頭家老・本多家の貴重な伝承品を展示
    100万石の石高を誇った加賀藩では、重臣クラスになると大名に匹敵する知行を有することも少なくない。加賀本多博物館では、加賀藩の筆頭家老・本多家に伝わる名品の数々を展示している。
    藩から別格の待遇を受けた本多家伝来の貴重な品々が並ぶ
  • spot 18
    いしかわ生活工芸ミュージアム(石川県立伝統産業工芸館)
    石川の伝統工芸を網羅するミュージアム
    百万石文化が花開いた藩政期、加賀藩は工芸を盛んに奨励し、それが今も優れた伝統工芸として受け継がれている。石川県立伝統産業工芸館は、石川の風土が育てた36業種すべての伝統工芸を紹介する。
    兼六園小立野口に隣接し、西側入り口が兼六園内に直接通じる石川県立伝統産業工芸館
  • spot 19
    石川四高記念文化交流館
    「四高」の歴史と石川ゆかりの文学者を紹介
    旧制高校「四高(しこう)」を紹介する博物館と、石川ゆかりの文学者を紹介する博物館の2つで構成される石川四高記念文化交流館。一見、異質な組み合わせに思えるが、ともに近代以降、金沢のトレンドをけん引した存在といえる。
    市役所の斜め向かい、金沢の中心にたたずむ石川四高記念文化交流館
  • spot 20
    金沢市立中村記念美術館
    茶道盛んな金沢ならではの茶道具と工芸の美術館
    藩政期から茶道が盛んな金沢には、城下町の個性を象徴したかのような茶道具と工芸の美術館がある。旧家伝来の茶道具や金沢の伝統工芸品など、古くから愛されてきた茶の湯の美を鑑賞してみよう。
    市中心部にありながら緑とせせらぎに包まれる金沢市立中村記念美術館
  • spot 21
    ターバンカレー総本店
    うまみとコクが凝縮する金沢カレー
    金沢市役所から百万石通りを西に歩いて2分に位置する、金沢カレーの専門店。金沢カレーとは、スパイスを効かせた粘りのある濃厚ルーでライスが見えなくなるほど覆い、そのルーの上に揚げたてのフライ(おもにトンカツ)をトッピングし、付け合わせに千切りキャベツを添える金沢で50年以上前から愛されているご当地カレーのことだ。ボリュームに小中大の選択肢があり、ステンレス皿に盛り付け、先割れスプーンかフォークで食べるのも特徴だ。1971年(昭和46)創業の同店は金沢カレーの老舗といえ、金沢カレーの元祖と語られることが少なくない。一方、金沢カレーといえばカツカレーが定番中の定番だが、同店のいちばん人気はカツ、ハンバーグ、ウインナーの載る「Lセットカレー」で、客の約60%がこれを注文していく。
    ボリューム満点でいちばん人気の「Lセットカレー〈中〉」(1250円)
  • spot 22
    貴船明神
    縁結びと縁切り、2つのご利益が伝わる小さな社
    尾山神社から西へ徒歩約4分、中央小学校南交差点を南に曲がってすぐ、立派な赤松に覆われているのが貴船明神(きぶねみょうじん)だ。縁結びで知られる京都・貴船神社の末社で、縁結びと縁切りの両方にご利益があると伝えられている。境内には大小の祠(ほこら)が並び、大きいほうが縁結びの「貴船社」、小さいほうが縁切りの「玉姫社」である。江戸時代、この近くに「加賀八家」のひとつ村井家1万6500石の屋敷があり、当主の浮気に苦しんだ奥方が臨終の際「世に女の嫉妬ほど辛いものはない。死後は男女の嫉妬を和らげ、守りたい」と遺言した。奥方の霊を弔う祠を、その後、浮気相手と手を切らせる神として女性たちがひそかに拝むようになったという。北側(高岡町方面)から来て「貴船社」を参拝すると縁結び、南側(香林坊方面)から来て「玉姫社」を参拝すると縁切りとされている。大正時代の記録によると「玉姫社」の中や周りはハサミや小刀だらけで、現代でもときおり、刃物が供えられているとか。
    鞍月用水(くらつきようすい)の川べりに造られた貴船明神
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旅のヒント

  1. その1

    兼六園周辺へのアクセスは、車の場合、同園の近く、石川県観光物産館の道を挟んで反対側にある大型立体駐車場「石川県兼六駐車場」をナビゲーションの目的地に設定して走行すると便利。北陸自動車道利用の場合は、金沢東ICで降りよう。そこから10-15分ほどで到着できる。

  2. その2

    北陸新幹線などJR利用の場合は、金沢駅東口(兼六園口)から「兼六園下・金沢城」バス停を経由する路線バスに。

  3. その3

    また、金沢駅東口(6番のりば)から15分おきに主要観光地そばのバス停を周回する城下まち金沢周遊バスが発着している。「兼六園下・金沢城」バス停に直行するなら、同バスの右回りルートに乗車しよう。所要15分で到着できる。

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