加賀市

KAGA CITY

湯のまち情緒あふれる加賀温泉郷と、洗練された伝統工芸が魅力

石川県の南部に位置する加賀市。かつて加賀藩の支藩、大聖寺藩領だったエリアで、加賀百万石前田家ゆかりの歴史と文化が息づいている。北陸随一の温泉地「加賀温泉郷」を擁し、湯の曲輪(がわ)と呼ばれる風情ある町並みの残る「山代温泉」、渓谷添いに湯宿の立ち並ぶ「山中温泉」など、個性豊かな温泉街が点在する。また日本海に面する「橋立」は、かつて北前船主集落として栄華を誇った地区。歴史ロマン漂う町並み散策が楽しみな界隈だ。このエリアのもうひとつの特徴は伝統工芸品の産地であること。日本を代表する色絵磁器の九谷焼は加賀市が発祥地だ。また山中漆器は山中温泉を中心に生産されており、漆器生産額は日本一。エリア内にはこうした伝統工芸の工房やギャラリーなどが多く、工芸をテーマとした旅も楽しい。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    山中温泉
    開湯1300年、四季折々の渓谷美に彩られた風情あふれる温泉街
    山中温泉は松尾芭蕉が逗留(とうりゅう)した際に草津、有馬と並ぶ「扶桑(日本)三名湯」と讃えた温泉地。渓谷・鶴仙渓(かくせんけい)や芭蕉ゆかりの施設など見どころが多く、山中漆器の産地としても知られる。
    温泉街の南にあるこおろぎ橋。山中温泉のシンボルで、総檜造
  • spot 02
    山中座
    漆器と民謡、山中温泉に息づく文化の魅力が凝縮した交流施設
    山中温泉の観光拠点として2002年(平成14)にオープン。地元の伝統工芸・山中漆器の技術を生かした内装や、伝統芸能・山中節が定期上演される舞台など、山中温泉の薫り高い文化に気軽に接することができるスポットだ。
    山中温泉総湯菊の湯(女湯)に併設。写真右の棟が山中座
  • spot 03
    山中温泉総湯 菊の湯
    地元客も憩う共同浴場で名湯をゆったり堪能
    温泉街のなかほどで、ひときわ目を引く天平風入母屋造りの建物が「山中温泉総湯 菊の湯」だ。総湯とは、北陸地方での共同浴場の呼び名のこと。山中温泉では旅館に内湯がなかった昭和初期まで、湯治客は総湯を利用していたという。山中座の左隣に女湯、広場を隔てた別棟に男湯があり、それぞれ大きな浴槽にたっぷりと湯をたたえている。松尾芭蕉が絶賛したという温泉は無色透明で肌にやさしく、手足を伸ばしてゆっくり浸かれば、心も体も解きほぐれていく。早朝から地元の常連客で賑わっており、のんびりとした加賀の方言に耳を傾けながらの湯あみもまた一興だ。男湯の前には温泉玉子を手作りできる湯壺があり、男湯の受付で卵を購入して入浴前に浸けておくと、温泉から上がった頃にちょうど食べ頃となっている。
    風格あるたたずまいの男湯。深い浴槽で体の芯まで温まる
  • spot 04
    鶴仙渓川床
    鶴仙渓を望む特等席で癒やしのスイーツタイム
    春の新緑、秋の紅葉と四季折々の渓谷美に彩られる鶴仙渓に、毎年4月1日から11月30日までの期間、風流な川床が設けられる。心地良い清流の水音とやわらかな木漏れ日のなかに、赤い傘を広げた座敷席、ベンチを並べたペアシートが並び、すがすがしい風景に思わず深呼吸。席に座って見上げれば、空中回廊のように対岸へとのびる「あやとりはし」が渓谷の緑に映え、趣豊かな景色は見飽きることがない。川床では地元出身で「料理の鉄人」として知られる道場六三郎氏が監修した特製スイーツ「川床セット」を楽しめるほか、近隣の飲食店で川床弁当(要予約)を購入し、絶景とともにランチタイムを満喫することもできる。ぜひ、楽しんでみたい。なお、雨天や川の増水時は中止となるので、お出かけ前に確認を。
    渓流の音に耳を傾けながら風流なひとときを
  • spot 05
    山中温泉 芭蕉の館
    松尾芭蕉の足跡や人柄に触れ、庭園美に心癒やされる
    山中温泉総湯菊の湯の向かいに、かつて松尾芭蕉が宿泊した泉屋という宿があった。1689年(元禄2)に『奥の細道』の旅で山中温泉を訪れた芭蕉は、この地を気に入り、9日間にわたって滞在したという。芭蕉が泊まった泉屋はもう残っていないが、菊の湯から通りを一本入ったところに、泉屋に隣接していた宿・扇屋を修復した「山中温泉 芭蕉の館」がある。1905年(明治38)の建築で、山中温泉の旅館建築としては最古だという。2階の展示室では芭蕉の真筆複製をはじめ、多数の俳諧史料を展示している。なかには芭蕉が身に着けていた頭陀袋(ずだぶくろ)のレプリカも。芭蕉や周囲の人々の様子がうかがえる充実した展示となっている。1階には山中漆器の人間国宝・川北良造氏の作品などが並ぶほか、端正な美しさを漂わせる庭園も一見の価値あり。庭を望む濡れ縁を雁行型に配してあり、日本建築ならではの風情を感じさせる。時間を忘れて過ごしたくなる、とっておきのスポットだ。
    2階和室は展示室。松尾芭蕉に関する史料が並ぶ
  • spot 06
    山中うるし座
    山中漆器を展示販売。木地挽き(きじびき)体験にもチャレンジを
    石川県加賀市に受け継がれる山中漆器を展示・販売する施設。山中漆器の歴史は安土桃山時代にまでさかのぼり、ろくろを使った高度な木地挽き技術は日本一ともいわれる。光が透けるほどの薄挽きや、生地の表面に模様を刻む加飾挽きなど、繊細な技術は山中漆器の真骨頂だ。一方で樹脂製素地を用いた近代漆器の生産も盛んで、木製の伝統漆器と合わせた生産額は全国1位となっている。「山中うるし座」には地元漆器メーカー約40社の商品が一堂に集い、きらびやかな蒔絵を施した茶道具からふだん使いの器まで幅広い品ぞろえ。木目を生かしたワイングラスやスタイリッシュなアクセサリーなど、個性的なアイテムも多い。隣接する「山中漆器産業技術センター」では工房見学のほか、木地挽きろくろ体験(要予約)が可能。伝統の技に触れ、山中漆器の魅力をより深く感じてみたい。
    手にしっくりとなじむ山中漆器。木の温もりが魅力だ
  • spot 07
    ろくろの里 工芸の館
    山中漆器が誇る日本一の技術、挽物(ひきもの)ろくろを体験
    賑やかな山中温泉街から南に2kmほど離れた菅谷地区。豊かな自然に囲まれたこの地域には、古くから山中漆器の木地師が多い。木地師とは、ろくろを使って椀や盆といった円形の木地を作る職人のこと。この木地に塗りや蒔絵を施して漆器となる。山中では透けるような薄挽きや、ろくろを回しながら模様を刻む加飾挽きといった独自の技が受け継がれ、その高度な技術は全国でもトップクラスだ。木地師のまち菅谷地区で、木地挽きを見学・体験できるのが「ろくろの里 工芸の館」。明治初期に建てられた趣ある古民家が工房とギャラリーになっている。木の香りが漂う工房で汁椀作りにチャレンジ。ろくろに木材を固定して回転させ、カンナを使って削り出していく。カンナの動かし方や力加減が難しいが、職人のていねいなサポートもあり、オリジナルの汁椀が完成。後日、漆を塗って乾燥させたものを着払いで届けてくれる。自分の手で削り出した器は愛着もひとしおだ。
    職人に教わりながら木地挽きを体験できる(汁椀3000円-)
  • spot 08
    山代温泉
    歴史と文化に彩られた、いにしえよりの温泉地
    加賀市内3つの温泉地で最も規模が大きな山代温泉。開湯1300年という歴史のなかで、九谷焼の故郷、多くの文人墨客が逗留した湯治場、神仏が宿る場所といった多彩な個性が育まれ、誘客の大きな魅力となっている。
    通りを挟んで古総湯と総湯が向かい合う湯の曲輪
  • spot 09
    山代温泉古総湯
    ステンドグラスの輝く浴場で、明治期の温泉文化を体感
    古くから「総湯」と呼ばれる共同浴場があった場所に建つ。時代とともに建て替えられてきたが、情緒ある明治期の総湯を復元した「古総湯」として2010年(平成22)にオープンした。モデルとなったのは、1886年(明治19)に建設された共同浴場で、残っていた当時の資料をもとに外観や内装を再現。2階に休憩所を設けた造りだけでなく、浴室の壁や床に使用した九谷焼のタイルや拭き漆の壁板、随所にステンドグラスがあしらわれたデザインなど、細部にいたるまで当時のままを目指した。さらに、温泉に浸かって楽しむだけの湯浴み(ゆあみ)という当時の入浴方法にもこだわり、浴場にはシャワーもカランもはなく、石けん類の使用は不可。温泉の歴史や文化を楽しめる体験型の温泉博物館といった趣向だ。文人墨客がこぞって訪れた明治の頃に思いを馳せながら、源泉100%の湯を堪能したい。そばにある現在の「総湯」にも立ち寄り、古今を比較するのもおもしろい。
    明治時代に流行したステンドグラスがモダンな雰囲気。九谷焼のタイルの絵柄は地元作家が一枚一枚手描きしたもの
  • spot 10
    六方焼 惚八
    100年以上のロングセラー。昔ながらの焼きまんじゅうに舌鼓
    惚八は山代温泉の中心、総湯のほど近くで営業する、地元で人気の菓子店だ。看板商品の六方焼は、先祖代々の製法を受け継いでいる。水を加えず卵とはちみつで小麦粉を練った生地でこし餡を包み、焼き上げる。100年以上の超定番。余計な甘みを加えないシンプルな製法だからこそ、素材にはこだわり、卵は地元の養鶏場で毎朝選ぶ新鮮なもの、小麦粉と小豆は北海道産などを吟味している。生地は形を作るのがやっとなほどのやわらかさで、餡を包むのにも熟練の技を要する。手早く天板に並べ、表裏、さらに四方をこんがり焼くので「六方焼」という。卵のふくよかな香りの生地、なめらかなこし餡の素朴でいて飽きのこない味わいは、お茶のお供など日々のおやつにぴったり。生地がカリッとした焼きたてを味わいたいなら朝10時過ぎに訪れよう。また、時間が経つほどに生地とこし餡がなじみ、表面はサクッ、中はふんわりの食感に変化する。こちらの味もおすすめだ。
    六方焼はその日の天候や気温、湿度によって材料の配分、焼き上げ時間を調整。サクッふわの食感を守る。焼きたて1個120円、個包装1個140円
  • spot 11
    れん 永昌堂
    殿様も愛した羊羹(ようかん)、その味を200年守り続ける
    山代温泉の中心街、湯の曲輪に暖簾(のれん)を掲げて200年余り。旅の僧侶から技法を学び売り出した羊羹が評判になり、以降、代々の主人が製法と伝統を受け継いでいる。そんな歴史は店の看板にも刻まれており、大きく描かれた梅の紋は、大聖寺藩10万石、前田家のもの。御用菓子商いを務めたことから藩主家の紋を掲げることを許され、藩政期から令和の現代まで長らく使用しているという。現在9代目が作る看板商品の「練(ねり)羊羹」の材料は小豆、寒天、砂糖のみ。シンプルなだけに素材の質が味を大きく左右することから、北海道あずきをていねいに炊いて餡を作り、さらに国産の糸寒天、純度が最も高い白ザラメを加えてじっくり練り上げる。手間を重ねて完成する羊羹は、一口食べればわかる雑味のない上品な甘さとすっきりとしたあと味。地元では「れんの羊羹」と親しまれ、何世代にもわたって買い求める客が少なくない。
    1か月に5000本売れるという練羊羹は378円。日持ちするので手土産や贈答品にも最適
  • spot 12
    魯山人寓居跡 いろは草庵
    北大路魯山人、陶芸家としての出発点。山代の住まいを公開
    大正から昭和にかけて活躍した多才な芸術家、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。のちに陶芸家や料理家として活動する契機となったのが山代温泉滞在である。この地で魯山人が身を寄せた建物を当時の風情のまま公開している。
    山代温泉街の中央、湯の曲輪(がわ)に面する一等地にある。場所も建物も魯山人が滞在した当時のまま
  • spot 13
    九谷焼窯元 須田菁華
    暮らしを豊かにする器を作り続ける、九谷焼の名窯(めいよう)
    山代に窯を開いたのは130年前。初代・須田菁華は、北大路魯山人に陶芸の手ほどきをし、その才能を開花させるきっかけを与えたことでも知られる。現在は、1981年(昭和56)に須田菁華を受け継いだ4代目が、茶碗や湯飲み、酒器といった生活の道具を中心に多彩な器を作り続ける。使って楽しく、勝手が良く、料理がおいしく感じることを基本とした器は、どれも美しさの中に素朴さやおおらかさを感じさせる。一つひとつ微妙に形や柄、色合いが異なり、それがまた魅力となって眺めるほどに心が弾む。これこそが手仕事のおもしろさであり、初代から変わらない須田菁華らしさだろう。足の力で回す蹴ろくろや登り窯を使う昔ながらの作陶を続けるのも、自然のままで嘘のない器でなければ愛着を持って長く使える道具にはならないという信念があるからこそ。人の手で作るというぜいたくを味わってみるのにふさわしい器だ。
    初代から受け継いだ形、絵柄を今も守り続けている。日常に役立つ器を何世代にもわたって繰り返し作る工芸職人の神髄がここにある
  • spot 14
    九谷窯跡展示館
    3つの文化財を手がかりに、九谷焼の系譜をたどる
    1826年(文政9)から1940年(昭和15)まで九谷焼を生産していた国指定史跡の登り窯跡を公開。作り手側の視点から、今日まで続く九谷焼という磁器の歴史や魅力に迫る。ロマンあふれる展示が見もの。
    山代温泉古総湯から徒歩で約10分。作品鑑賞の場である美術館とは、ひと味違った展示がおもしろい
  • spot 15
    九谷焼体験ギャラリーCoCo
    プロの手ほどきで、オリジナル九谷焼を作ろう
    九谷焼発祥の地で、器に絵を描き、色を塗る絵付け工程の体験ができる。豆皿や茶碗など約20種から好みの器を選び、思いおもいの下絵を描いたあと、九谷五彩といわれる緑・黄・赤・紫・紺青の5種で色を付ける。筆などの道具や絵の具はすべてプロと同じものを使用する本格派。「絵の具の厚みが均一になるように広げる」、「たっぷり乗せて盛り上げ絵に立体感を出す」といったコツまで九谷焼作家が直接レクチャーしてくれる。約20種の絵柄見本や型紙も用意されており、初心者でも安心だ。年齢を問わず楽しめるため、子どもとのレクリエーションにも最適。あらかじめ描かれた下絵に色を塗る所要時間約30分の手軽なコースもあるので、観光の合間などに挑戦するのもいいだろう。できあがった作品は焼き上げられ、10日ほどで手元に届く。絵付け体験の料金は1500円からで、送料1000円が別途必要だ。
    下絵から描くコースの目安は90分ほど。じっくりと創作に打ち込む時間もいい思い出になる
  • spot 16
    石川県九谷焼美術館
    九谷焼発祥の地で、美しい伝統と魅力に触れる
    九谷焼は日本を代表する色絵磁器。石川県九谷焼美術館がある加賀市は、九谷焼のふるさととして知られる。館内に展示される数々の名品と、それらを引き立てる洗練された建築を存分に堪能しよう。
    館の前にはオブジェが点在する「古九谷の杜親水公園」がある
  • spot 17
    北前船の里資料館
    日本一の富豪村と呼ばれた橋立の北前船主屋敷
    江戸から明治にかけて、多くの北前船主たちが暮らした橋立。船主屋敷を活用した北前船の里資料館では、往時の繁栄ぶりを伝える資料を見ることができる。重要伝統的建造物群保存地区に選定された町並みも風情豊か。
    大広間「オエ」には北前船の模型を展示
  • spot 18
    北前船主屋敷 蔵六園
    大聖寺藩主ゆかりの庭園で季節の山野草を愛でる
    北前船主集落の面影を色濃く残す橋立で、ひときわ重厚な趣を見せるのが北前船主屋敷蔵六園だ。北前船主として財をなした酒谷家の屋敷で、江戸後期の建築と伝えられる。広い敷地に建坪約300坪(約990平方メートル)、総漆塗りという豪奢な屋敷が建ち、大聖寺藩主が滞在した部屋や土蔵などがほぼ当時のまま残る。主屋や門など11棟が国登録有形文化財だ。「蔵六」とは亀の異名で、屋敷を訪れた大聖寺藩主が庭で亀によく似た形の自然石を見つけて「蔵六園」と命名したという。その亀石をはじめ、北前船で運ばれた佐渡紅石(さどこうせき)、翡翠原石(ひすいげんせき)、鞍馬石(くらまいし)といった銘石を配した庭園は、手入れが行き届き見事。館主が丹精して育てる山野草が四季折々に彩りを添える。館内随所に古美術商を営む館主のコレクションが展示されているほか、庭を望む喫茶室で抹茶やコーヒーもいただける。
    重要伝統的建造物群保存地区の一角にある貴重な建物だ
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旅のヒント

  1. その1

    交通の中心はJR加賀温泉駅。路線バスや周遊バスが発着し、エリア内の主要な見どころへのアクセスをカバーしている。

  2. その2

    JR加賀温泉駅を拠点に観光スポットを周遊する「キャンバス」は、海まわり線と山まわり線に加え、空の便の利用者に便利な小松空港線もある。

  3. その3

    車の場合は、金沢方面からは北陸自動車道片山津IC、名古屋・大阪方面からは加賀ICを利用しよう。

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