加賀本多博物館

博物館/科学館

5万石の知行を誇った筆頭家老・本多家の貴重な伝承品を展示

100万石の石高を誇った加賀藩では、重臣クラスになると大名に匹敵する知行を有することも少なくない。加賀本多博物館では、加賀藩の筆頭家老・本多家に伝わる名品の数々を展示している。

藩から別格の待遇を受けた本多家伝来の貴重な品々が並ぶ} 藩から別格の待遇を受けた本多家伝来の貴重な品々が並ぶ

初代は徳川から前田まで6度も主家変え

兼六園の小立野料金所から西へ歩いて約4分、国立工芸館に隣接する3棟の赤レンガの建物の一角を占めるのが加賀本多博物館だ。3棟はかつての陸軍兵器庫で、いずれの建物も国重文に指定され、手前の2棟に石川県立歴史博物館が、いちばん奥に加賀本多博物館が入る。本多家は5万石の知行を誇った加賀藩の筆頭家老であり、全国の大名の3分の2が5万石以下だったなか、家臣でありながら5万石を与えられ、破格の待遇を受けた家柄だ。その加賀本多家初代の本多政重は、徳川家の重臣・本多正信の次男で、6度も主家を変えた異色の経歴をもつ。徳川家を出奔後、大谷吉継に仕え、関ヶ原の戦いでは西軍・宇喜多秀家の配下として戦い、その後、福島正則、前田利長の臣下を経て、直江兼続の養子となって上杉家に仕えたが、最終的に加賀藩に落ち着いた。

3棟並ぶ赤レンガ倉庫のうち、加賀本多博物館が1909年(明治42)築と最も古い} 3棟並ぶ赤レンガ倉庫のうち、加賀本多博物館が1909年(明治42)築と最も古い

5万石の価値を持つ本多家の家宝

赤レンガの近代的な外観に対し、本多家に代々受け継がれてきた品々を展示する同館の中は武家博物館という言葉がぴったりくる。入り口から奥に向かって3つの展示室が連なり、展示品は季節によって変わるものの、約2000点の収蔵品のなかからおおむね第1展示室に調度品、第2展示室に掛け軸や絵図、第3展示室に武具類が並ぶ。年間を通じて展示されているものもあり、なかでも本多家随一の家宝とされるのが第2展示室にある「村雨の壺」だ。「5万石の壺」の通称で知られるこの壺は、徳川幕府から越中領のうち22万石の返還を求められた際、政重の働きでこれを撤回させた功績により贈られた。しかし、家伝によれば、本来は5万石が加増されて知行10万石となるはずだったが、政重が固辞したため、代わりにこの壺を貰い受けたと伝えられている。

いわゆるルソンの壺であり、本多家随一の家宝である「村雨の壺」} いわゆるルソンの壺であり、本多家随一の家宝である「村雨の壺」

華やかな刺繍を施した火事装束。火事の際に当主が着用し、消火の指揮をとった} 華やかな刺繍を施した火事装束。火事の際に当主が着用し、消火の指揮をとった

ほぼすべての展示品が当時の実物

武具類も貴重な品が並ぶ。政重所有のものでは、大判75枚で購入した備前長船兼光の太刀や大十文字槍、関ヶ原の戦いで着用したと伝わる色々威(いろいろおどし)二枚胴具足などは必見だ。特に、展示物のほとんどが保存状態のよい実物である点が同館の価値を高めているが、なかには明治に入って仇討ちに使われた太刀など物騒なものもある。また、同館の立つ「本多の森公園」は兼六園と隣接し、藩政期から緑濃い森に覆われた本多家の上屋敷跡であり、ほかに石川県立歴史博物館や国立工芸館、石川県立美術館が並ぶ。さらに、崖下にある中屋敷跡は「本多公園」として整備され中村記念美術館が、家臣たちの住んだ下屋敷跡には鈴木大拙館と、約33万0578平方メートル(10万坪)と伝わる本多家の敷地跡には文化施設が集中している。同館と合わせて、緑に包まれた広大な本多家敷地跡の施設を巡ってみるのもおすすめだ。

刀剣類には実際に使用したものもあれば、黒漆に蒔絵を施したものもある} 刀剣類には実際に使用したものもあれば、黒漆に蒔絵を施したものもある

甲冑も実際に使用したものを展示する。右が政重が関ヶ原の戦いで着用したと伝わる色々威二枚胴具足} 甲冑も実際に使用したものを展示する。右が政重が関ヶ原の戦いで着用したと伝わる色々威二枚胴具足

スポット詳細

住所
石川県金沢市出羽町3-1 いしかわ赤レンガミュージアム第3棟 map map 地図
電話番号
0762610500
時間
9:00-17:00(最終入館16:30)
休業日
12-2月の木、年末年始(12/29-1/3)、資料の展示替え・整理の期間
料金
【入館料】
[一般]400円
[大学生]300円
[高校生以下]無料
駐車場
あり
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり(akarenga_Wi-Fi)
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
乳幼児の入店

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 加賀藩の重臣だった
    4.0 投稿日 : 2023.04.02
    兼六園の南側の文化施設が多いエリアにあります。赤煉瓦の建物が並んでおり、石川県立歴史博物館とこちらを合わせて赤レンガミュージアムになっています。加賀藩の重臣だった家に伝わった武具などを展示しており、武家分化に興味があるかで関心度合いが変わると思います。
  • 本田正信の血筋の家柄です
    5.0 投稿日 : 2022.04.04
    徳川家康公の股肱の臣 本田正信の血筋に当たり、前田家家臣団の石高ではトップ(ただし筆頭家老ではない)の家柄です。県立博物館に併設した赤煉瓦の博物館です。館内の資料は殆どが撮影禁止ですが、武具などは可能でした。
  • 赤レンガのおしゃれな博物館
    3.0 投稿日 : 2022.02.14
    赤レンガのしゃれた建物の中に県立博物館と加賀本多博物館が入っている。単独で訪れることもできるが、両方見るなら共通券がお得。本多家は加賀藩の重臣だったそうで、当時の武具など貴重な資料が多数展示されている。この手のサムライ博物館はどこにでもあるが、この本多博物館は展示品のレベルが高い。

TripAdvisorクチコミ評価

もっと見る

アクセス

map map 地図

最寄り

          周辺の駅はありません。 周辺のバス停はありません。 周辺の駐車場はありません。 周辺のインターチェンジはありません。

          このスポットを共有

          back

          クリップボードにコピーしました