兵庫

三田・丹波・篠山

SANDA / TAMBA / SASAYAMA

世界を魅了するショコラに出合える三田、日本の原風景を存分に満喫できる丹波・篠山。

神戸市から北へ、六甲山系の山々を抜けると三田市、その先に丹波篠山市がある。古くから農産物の一大生産地として知られてきたこのエリアは今、場所ごとに異なる個性があり、兵庫県の深みを感じさせる地域となっている。三田市では世界的に有名なパティシエのショコラが味わえ、また、三田市からほど近い神戸市北区には大型アウトレット施設がある。丹波篠山市では、のどかな郷の風景のなかに、民藝や古き良き日本に触れられる施設が点在している。特に丹波篠山では歴史や自然、文化などをしっかりと感じるため、時間を割いてぜひ街の散策も楽しんでみたい。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    神戸三田プレミアム・アウトレット
    西日本最大級規模を誇るアウトレットセンター
    「開放感のあるプレミアムな大人の街」をコンセプトにした大型アウトレット。ショッピングやグルメを楽しんだら、近隣の立ち寄りスポットにも足を延ばして三田周辺を遊び尽くそう。
    アメリカの高級住宅地をイメージした大人の街並み
  • spot 02
    道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク大沢
    北区の農産物や神戸名物が勢ぞろいする道の駅
    ホテル、遊園地、温泉などを併設する、西日本最大級の道の駅。なかでも注目は、地産地消&農業促進をテーマした「FARM CIRCUS(ふぁーむ さーかす)」。地元食材を使ったメニューが自慢のフードコートやマーケットを併設し、春はイチゴ、夏はスイートコーン、秋は北神栗カボチャ、冬はちぢみホウレンソウなど、北区の季節の農産物を味わい尽くせる。訪れたなら、六甲山ミルクのソフトクリームに自家製ジャムを練り込んだ「神戸いちごのソフトクリーム」をぜひ。濃厚なミルクソフトとイチゴの甘酸っぱさが絶妙で、イチゴジャムのつぶつぶ感もいいアクセントとなっている。イベントも充実していて、苺やトマト、お米などの地元特産物品をテーマにしたイベントなど、季節の農産物を主役にしたイベントを2、6、10月に開催予定。そのほか、旬の野菜を使った調理体験の食育イベントにも注目を。
    「神戸いちごのソフトクリーム」480円
  • spot 03
    ROZILLA
    大人の秘密基地がコンセプトのショコラトリー
    大人の秘密基地をイメージしたチョコレート専門店。小山シェフの幼少期の思い出が詰まった路地裏と、夢中になった映画『ゴジラ』が店名の由来となっている。「想像力を働かせれば、何にでもなれる」というシェフの思いが込められた空間は、好奇心がそそられる、魅惑のチョコレートの世界。多彩な商品のなかでも人気が高いのは、シェフのスペシャリテであるチョコレートサブレ「円(まどか)」(320円-)。ホロホロ食感のサブレとミルクチョコレートでシンプルに仕上げた。そのほか、厳正な温度管理がなされるボンボンショコラの専用の販売ブース「1000‰(パーミル)」には、世界のカカオと相性のいい素材を組み合わせた約30種のショコラが並ぶ。いずれもこだわりの逸品ばかりだ。店内には、胎内をイメージしたというセミナースペース「a.ZITTO(あじと)」も併設。地上とつながる天窓にも注目を。
    高級感あふれる店内には自然・人・時を象徴するモチーフが随所に
  • spot 04
    夢先案内会社 FANTASY DIRECTOR
    ゲストの自由な発想をカタチにするデコレーションケーキ専門店
    誰もが子どもの頃に憧れた「お菓子の家」。そのお菓子の家の夢を叶えるべく、2017年(平成29)にデコレーションケーキの専門店としてオープン。重厚な扉を開けて入ると、シンプルな外観からは想像できないファンタジーな世界が広がる。ショーケースには、ショートケーキをはじめ、動物をモチーフにしたキュートなケーキやフルーツタルトなど色鮮やかなケーキが並び、心が弾む。店を代表する「Fantasy Dream-2段生クリームデコレーション-」は、ケーキが2段に重なった、夢のようなイチゴのデコレーションケーキ。弾力がありながらシュワッと溶けるようなジェノワーズ生地と、軽い口溶けの生クリームのバランスが絶妙だ。宝石のようにあしらったマカロンのデコレーションもポイントで、特別な日に楽しむのにぴったりなデザイン。オーダーメイドで注文もできるが、ショーケースのケーキの購入もできる。
    扉を開けるとデコレーションケーキの別世界が!
  • spot 05
    兵庫県立有馬富士公園
    有馬富士をシンボルとした兵庫県内最大級の都市公園
    標高約374mの有馬富士の雄大な自然を感じられる公園では、四季折々の花々で彩られるガーデンや福島大池を散策するのがおすすめ。棚田や茅葺き民家など昔ながらの日本の原風景を感じられるのも魅力だ。
    有馬富士を背景に広がる福島大池
  • spot 06
    兵庫県立 人と自然の博物館
    西日本最大級規模の自然史系博物館
    広大な公園と一体となった、地元で親しまれ続けている博物館。兵庫県に生息する野生動物や水中の生き物、植物など兵庫県の自然を楽しく体験しながら学んだら、緑いっぱいの公園で思いきり遊ぼう。
    2022年(令和4)にオープンした新収蔵庫棟コレクショナリウム
  • spot 07
    兵庫陶芸美術館
    美しい丹波焼の世界へ誘ってくれる美術館
    中世から続く「日本六古窯」のひとつである「丹波焼」。丹波篠山(ささやま)の立杭(たちくい)地区にある「丹波焼の里」には、陶磁器専門の美術館や陶芸体験を楽しめる施設などが点在。まず最初に丹波焼の歴史に触れられる美術館へと訪れよう。
    展示棟と管理棟をつなぐ道にはかわいい丹波焼の世界が広がる
  • spot 08
    篠山城大書院
    江戸時代の姿を完全再現し復元した大書院
    篠山城築城とほぼ同時に建てられた「篠山城大書院」。藩の公式行事などに使用された建物は、明治の廃城令後も城建物のなかで唯一残された貴重な建築物。城跡から読み取れる往時の歴史に思いを馳せよう。
    おもに藩主の生活場所だった二の丸御殿跡と大書院
  • spot 09
    篠山城下町ホテルNIPPONIA
    明治時代の趣が残る城下町の分散型ホテル
    城下町に広がる歴史的建造物などを修復したホテル。まちのなかに9棟20室の客室が点在している。明治時代に建てられた元銀行経営者の旧邸宅「ONAE(おなえ)」をはじめ、元お茶屋の「SAWASHIRO(さわしろ)」や、江戸末期の長屋「NOZI(のじ)」など、それぞれに趣の異なる滞在が愉しめる。「ONAE」には、邸宅の雰囲気が残るレトロモダンなレストラン「LE UN(ルアン)」をそなえ、レストランのみの利用も可能。地産地消をテーマとした本格フレンチが味わえると人気を集めている。食の宝庫とされる丹波篠山の黒大豆や丹波栗、丹波松茸などをふんだんに使用し、地元の素材を五感で味わえるフレンチコースに舌づつみを。京町家にも見られる虫籠窓や荒格子など、当時のたたずまいが残る空間で、シェフが腕をふるう豪華なコースを堪能しよう。
    外観は当時のままで趣たっぷり
  • spot 10
    丹波篠山市立歴史美術館
    日本最古級の元裁判所が美術館に
    かつては裁判所として使用されていた美術館。その名残が感じられる館内に足を踏み入れば、まるで明治時代にタイムスリップしたかのような気分になれるはず。美術館と合わせて篠山城跡などが残る歴史深い城下町をまわろう。
    裁判所の頃の姿がそのまま残っている
  • spot 11
    丹波伝統工芸公園 立杭 陶の郷
    陶芸体験もできる「丹波焼の郷」の名スポット
    里山に囲まれた丹波焼の郷では、陶芸体験をぜひ。豊かな自然に恵まれ、静かな時間が流れる立杭だからこそ、自分の思うままに作品作りに没頭できるはず。窯元の職人になった気分で、自分好みの丹波焼を作ってみよう。
    多彩な丹波焼が販売される「窯元横丁」
  • spot 12
    ユニトピアささやま
    丹波篠山の森と湖に癒やされるリゾート地
    丹波篠山の大自然に囲まれたリゾートスポットで、人気のアスレチックやサイクリングで体を動かし、湖を眺めながら丹波篠山グルメを味わう特別な時間を過ごそう。1日の終わりには温泉を満喫してリフレッシュ。
    矢代湖の湖畔でゆったりとくつろごう
  • spot 13
    河原町妻入商家群
    令和に再現された江戸時代の街並み
    丹波篠山藩の城下にある江戸の街並みが保存されたエリア。国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された150年以上前の情景をイメージしながら町を歩き、古民家を改装したショップやカフェを訪ねてみたい。
    河原町通り。夕暮れどきの通りは特に風情を感じる
  • spot 14
    丹波古陶館
    焼物に興味がある人は必見の美術館
    丹波篠山市産の名品として知られている丹波焼。800年以上の歴史をもつ日本有数の古い窯で焼かれた物のうち、創成期から江戸末期まで作られたものは「古丹波(こたんば)」と呼ばれ、その素朴で独特な風合いと重厚感から多くの愛好家がいる。
    中世の古丹波の壺がずらっと並ぶ。時代の変遷をたどりながら鑑賞したい
  • spot 15
    篠山能楽資料館
    丹波篠山に伝わる日本の文化を継承する
    能好きで知られていた5代藩主の青山忠良が、1861年(文久元)に市内の春日神社に奉納した能舞台は、国の重要文化財に登録されるほどの立派なもので、現在でも毎年元日と春の1日に奉納される能には全国から愛好家が集まってくる。河原町通りにある丹波古陶館の2代目館長の中西通氏の父は、丹波焼の蒐集家であるのと同時に能楽師範であった。その関係で中西通氏は昭和30年代から能楽美術の蒐集を始め、1976年(昭和51)に丹波古陶館と郵便局を挟んで隣に篠山能楽資料館をオープンした。室町時代に成立し猿楽といわれた能、狂言に関する史料、華やかな装束、能楽の楽器などが展示されている。なかでも能面のコレクションは、その数も質も他に類を見ないほど充実している。古くは室町時代から江戸時代に作られた面が常時30~50点展示されている。表情が変わらないことを「能面のよう」というが、喜怒哀楽の表現されたそれぞれの能面を目の前にすると、心の底にしみ入るような感情が伝わってくる。一つひとつの面をじっくり、時間をかけて鑑賞してみたい。
    全国でも有数の能面のコレクションをもつ資料館
  • spot 16
    小田垣商店
    丹波篠山の特産品・丹波黒大豆の老舗
    現在12代目が営む黒豆の「小田垣商店」は大規模改修を行い、2021年(令和3)にリニューアルオープンした。老舗の風情を残しながら美しく生まれ変わり、新たにカフェ「小田垣豆堂」を併設。極上の黒豆スイーツを味わえる。
    大玉丹波黒豆の乾燥豆(300g 1565円ほか)は兵庫県丹波篠山市産の黒豆
  • spot 17
    御徒士町武家屋敷群
    江戸時代の武家の生活を垣間見られる
    篠山城の西側、江戸時代の風景が見られる一角が御徒士町だ。明治の世になり篠山藩がなくなると、江戸詰めの家臣を中心に青山家の家来の多くが篠山の地をあとにした。しかし御徒士町に住んでいた人々はこの地にとどまり、代々引き継がれてきた家をしっかり手入れしてきた。
    御徒士町通り。塀が通りから離れ幅が広くなっているのは火事の延焼を防ぐため
  • spot 18
    青山歴史村・丹波篠山デカンショ館
    篠山藩の歴史と文化を体験できる人気スポット
    篠山城の堀の北側に、ガラスケースに入った白い踊り子が飾られている。これは丹波篠山の有名な祭「デカンショ踊り」のモニュメント。その奥に茅葺き屋根の大きな建物が見える。ここは篠山藩の歴史を知るためのスポットの入口だ。
    入口の長屋門は19世紀初頭に建てられた藩士の屋敷にあったものを移築
  • spot 19
    特産館ささやま
    丹波篠山の郷土料理を味わえるJAの直営店
    篠山(ささやま)城跡から約300m北に位置するJA丹波ささやまの直営店で、レストランと特産品直売所からなる。都市と農村を結ぶ情報の発信基地として1986年(昭和61)にオープンした。丹波篠山市には黒豆や栗、山の芋、丹波篠山牛、ぼたん肉(猪肉)、米など数々の特産品があり、館内のレストラン「味の郷土館」ではそれらを使った料理を味わえる。オープン当時、地元の特産物を生かした郷土料理を考案する際に、NHKの『きょうの料理』などで知られた料理研究家・土井勝氏の指導を仰ぎ、現在あるメニューのいくつかは土井氏のアイデアによるものだという。なかでも人気があるのが「無文銭(むもんせん)弁当 篠山」(1870円)で、丹波篠山牛しぐれ煮や季節野菜の天ぷら、丹波篠山大納言あずきの寒天など、地元の食材を堪能できるぜいたくなオリジナルメニューだ。また、直売所には丹波篠山特有の気候で育った旬の農産物や特産品が並び、旅の土産を探すのにぴったりの場所となっている。
    蔵をイメージしたレトロな外観の「特産館ささやま」
  • spot 20
    清明堂
    丹波栗を使った和菓子が人気
    城下町の面影が残る丹波篠山(たんばささやま)にある和菓子店「清明堂」。1855年(安政2)創業の老舗で、現在は5代目のご夫婦が店を切り盛りしている。この店の看板商品は、なんといっても季節限定の「栗おはぎ」。丹波栗は粒が大きくて味が濃く、風味が強い高級品。この栗をていねいに裏ごしして作った栗餡で、地元産の餅米を包んだ「栗おはぎ」は栗餡と餅米のしっとりとした食感を楽しめる。同じ栗餡を巾着絞りにした「栗きんとん」も、丹波栗の自然の甘さを感じられる上品な一品。どちらも秋の販売を心待ちにする人も多い人気商品で、昼過ぎには売り切れになることもあるほどなので、秋に訪れる際は早めに購入しておきたい。このほか、春先には地元産のヨモギを使った「よもぎもち」、夏には「水ようかん」や「わらび餅」、羊羹をそのまま凍らせた「ようかんアイス」など季節の味を楽しめる。栗をまるごと1個入れた「栗まんじゅう」や、「黒豆羊羹」「栗羊羹」、丹波の黒豆を使った「おかき」など、いつ訪れてもおいしい味に出合える店だ。
    「栗おはぎ」(左)と「栗きんとん」(右)は9月の彼岸頃から11月上旬頃のみの販売
  • spot 21
    窯元やまの
    丹波焼のふるさとで陶芸体験
    日本六古窯のひとつ、丹波焼(丹波立杭焼)。発祥から800年以上の歴史をもつ。丹波篠山市今田町には約60の窯元があり「窯元やまの」はそのなかの1軒だ。ここでは体験専用の広い部屋で「手びねり体験」と「絵付け体験」ができる。体験したのは「手びねり体験」。湯のみや茶碗などを自由に作れるが、少し大きめの茶碗を作ることにした。まず講師が工程全体を実演で見せてくれるので、全体のイメージをつかみやすい。焼き上がったものは20%ほど縮むので、そのつもりで作るようアドバイスもしてくれる。ただ、見るのとやるのとでは大違いだ。まず土台になるよう丸くした粘土をろくろに置き、そのフチにひも状にした粘土を重ねていく。つなぎ目を消すように下から上へ表面をなめらかにし、厚さも均一に整える。40分ほどでなんとか茶碗らしくなってきた。最後に真上から見てきれいな円を描いているか確認。作業完了前のチェックで講師に手直しをしてもらうと、見違えるほどきれいな形になった。2、3日して少し乾燥したところで講師が高台(こうだい)を作ってくれるそうだ。この後焼成して30~45日後には手元に届く。どんな仕上がりになるのか楽しみだ。
    「手びねり体験」は1時間ほどでできる人気のアクティビティだ
  • spot 22
    ルーンカフェ
    天然酵母パンを味わえるベーカリーカフェ
    丹波焼の窯元が集まる今田町(こんだちょう)は、丹波篠山市の南部に位置する緑豊かな地。ルーンカフェはそんな今田町に、正元容子さんが2012年(平成24)にオープンした天然酵母のパン屋だ。前庭と店の奥には飲食スペースもある。江戸時代から続く窯元「正元(しょうげん)窯」の主で、道を挟んで店の向かいに工房を構えるご主人が制作活動に行き詰まったとき、少し離れていたほうがいいと思って始めたパート勤め。それがたまたまパン屋だったことが「ルーンカフェ」を始めるきっかけになったという。陶芸家でもある容子さんが作るパンはどれも創造性に富む。ライ麦以外はすべて国産小麦を使い、酵母は自作の発酵種。薪焼きの食パンとカンパーニュ、嚙むほどに味わい深いバケットのほか、フォカッチャやプレッツェル、地元の食材を使ったパンもある。季節によってパンの種類が変わっていくのもおもしろい。「焼き物とパンは共通するものがある。パンは待っていてくれる人がいるからやりがいがある」と語る容子さん。ショーケースに並んだパンについて、ていねいに説明する姿はパンへの愛があふれていた。
    ハード系のパンも種類豊富。もっちりとした食感で風味豊か
  • spot 23
    丹波竜化石工房「ちーたんの館
    丹波竜の研究拠点である恐竜博物館
    2006年(平成18)に篠山川の川原で丹波市内の地学愛好家の2人によって偶然発見された骨の化石。鑑定の結果、それは巨大恐竜の骨の一部であることがわかった。のちに丹波竜と呼ばれることになったこの恐竜は、日本と世界の古生物学上とても重要な発見であり、丹波市にとっては観光や地域資源の大きな目玉の誕生となった。
    巨大な丹波竜の骨格模型と実際に出土した化石のレプリカ
  • spot 24
    ろあん松田
    丹波篠山の山奥にひっそりとたたずむ蕎麦の名店
    兵庫県の丹波篠山にある丸山集落という小さな里山にミシュランが1つ星を付ける蕎麦店がある。ランチは一日限定6組(11:30~、14:00の各3組・2部制)の完全予約制で、蕎麦と地元で採れた野菜などを使ったこだわりの和食を提供している。
    8品からなるランチのコース「蕎麦ひとそろえ」7700円。数種提供される蕎麦の一品目は竹で編まれた美しい器に盛られた「もり蕎麦」
  • spot 25
    柏原旧市街
    住宅街の合間に歴史を垣間見られる城下町
    柏原(かいばら)藩の初代藩主はかの織田信長の弟である織田信包(おだのぶかね)。本能寺の変で歴史から消えた兄とともに、織田一族もその後歴史の第一線に名前を残すことはなかったが、信包から続く織田の名は(一時嗣子がなく天領となった期間があるが)明治にいたるまで、この丹波の地で続いていた。JR福知山線の柏原駅の北側の市街地が、柏原藩の城下町だったところ。城下といっても城があったわけではなく、今も残る柏原藩陣屋が実質的に城の役割を果たしていた。陣屋から東西に延びる通りは「大手通り」と呼ばれており、かつてはその先の篠山街道にぶつかる辺りに、城(陣屋)の正面玄関であった大手門があった。この大手通り沿いに、昔の屋敷が残っており(非公開)、織田信長を祀った健勲(けんくん)神社もあった。またかつて大手門があった場所の近くには江戸時代に建てられた3階建ての太鼓やぐらがある。最上階に置かれている太鼓は、時を告げるとき、火事や水害などの警報、登城の合図、参勤交代で殿様が帰藩したときなどに鳴らされていた。街を歩くとそこかしこで江戸の名残と出合うことができる。
    初代藩主の織田信包の像。兄と比べるとだいぶ親しみやすい感じ
  • spot 26
    柏原藩陣屋跡
    江戸時代に建てられた殿様の屋敷を訪問
    柏原(かいばら)藩の藩主は城をもたない無城大名。これは戦がなく平和が続いていた江戸時代ならではの身分で、城の代わりに政務が行われていた場所が陣屋だ。柏原藩の陣屋は1714年(正徳4)に建てられたもの。その約100年後の1818年(文政元)に火災で全焼してしまったが、その後再建。明治に入って建物は小学校の校舎として利用された。大半の建物が壊されたなかで、陣屋の表御門にあたる長屋門(1714年に建てられ1818年の火災の焼失を免れた最古の建物)と陣屋の一部は現存している。陣屋の遺構がもともとあった場所に残っているのは全国的にも珍しく、現存する建物とその周辺は国の史跡となっている。ここを訪れるなら、まず通りを挟んで反対側にある柏原歴史民俗資料館にある陣屋全体のジオラマを見ることから始めたい。陣屋で残るのは「表御殿」の一部で、模型で見ると広大な陣屋のほんの一角に過ぎない。それを頭に入れてから実際に建物の内部に入って見れば、陣屋全体がどれほどのスケールであったかが想像できるだろう。なおこの歴史民俗資料館で入館料を払えば、その入場券で陣屋跡にも入場できる。
    檜皮葺きの屋根をもつ正面玄関。この表御殿は火災後の1820年(文政3)に再建された
  • spot 27
    ル・クロ 丹波邸
    「畑」という名前のカジュアルなフレンチレストラン
    柏原藩陣屋跡の長屋門の隣に立つレトロな洋館は、1885年(明治18)に氷上第一高小学校として建てられたもの。「黎明館(れいめいかん)」という名前で兵庫県の有形文化財にも登録されている歴史的な建物だ。現在地域のコミュニティセンターの役割も果たしているこの建物の1階に「ル・クロ丹波邸」がある。大阪に本店があるフランス料理店「ル・クロ」が2015年(平成27)にリニューアルされた黎明館にオープンした店。「ル・クロ」はパリにも出店していて、本場でも高い評価を得ている本格的なフランス料理店だが、ここでは「おはしで食べるフレンチ」をコンセプトに、地元産の野菜などを食材にして、調味料には味噌や醤油も使う斬新な料理を提供。畳が敷かれたテーブル席というダイニング空間もなかなか新鮮だ。「お箸を使って、かしこまらずにおいしい料理を食べてください」とシェフの安達さん。フランス料理というと、テーブルマナーを意識してしまいがちだが、ここでは箸を使うことで気軽に料理が楽しめる。
    平日プティコース(1980円)。メイン:鮮魚のロワイヤル、エビ、ムール貝、丹波の野菜添え、前菜:カツオのわら焼、デザート:ナッツとチョコレートのテリーヌ
  • spot 28
    パティシエ エス コヤマ
    極上のロールケーキなどがそろう「お菓子の国」
    世界のショコラティエが集まるパリの祭典で、8年連続最高位を獲得した小山進シェフ。彼の手がける、多彩なスイーツ店がそろうお菓子の複合施設で限定スイーツを味わおう。
    ファンタジックな世界観をもつ建物が点在する敷地内には、かわいい住人たちの姿が
  • spot 29
    柏原八幡宮
    境内に三重塔がある珍しい神社
    柏原(かいばら)の市街地を散策するときには、必ず訪れておきたい神社。長い石段を上った丘の上には、戦国時代に豊臣秀吉の命により再建された社殿と全国的に見ても珍しい神社境内に立つ三重塔が並んでいる。
    長い歴史を感じられる社殿。国の重要文化財に指定されている
  • spot 30
    イタリア料理 オルモ
    地元の食材を生かした上質なイタリアン
    JR福知山線の柏原駅近くにある「木の根橋」は柏原町のシンボル。樹齢1000年ともいわれるケヤキの大樹の根っこが奥村川をまたいで自然の橋を形作った珍しい橋だ。町民が誇るこのケヤキのイタリア語「オルモ」を店名にしたレストランが町おこしの一番手として2000年(平成12)、駅から徒歩3分ほどの商店街に誕生した。町民の要望によってできた町内初の本格的なイタリアンレストランで、丹波に特化し、野菜は地場産、牛乳、卵なども地のものを使っている。マンマの味を大事にしてきたイタリア人のように、オルモも丹波を中心に自分たちが育った地域の豊富な食材を生かしたイタリア料理を地元客に提供する。車で半径10~20km圏内からの客が多く、町民に愛されているのがよくわかるレストランだ。ランチは前菜、パスタ、ドリンクからなる「ピッコロランチ」(1800円)、それに丹波地鶏のローストとドルチェが付く「オルモランチA」(3500円)、メインが黒毛和牛に替わる「オルモランチB」(4800円)の3種類。夜は4種類のコースがあり、ワインも楽しめる。古い町屋を改装したという日本家屋は、イタリア料理にしっくりとなじんでいた。席数が限られているので、ランチ、ディナーとも予約して訪れたい。
    「オルモランチコースA」前菜、パスタ、メイン、ドルチェ、ドリンクが付いて3500円。パスタは3種類から選べる
  • spot 31
    中島大祥堂 丹波本店
    丹波栗や黒豆など地元の素材を生かした和洋菓子店
    初代が干菓子店「尾張屋」を京都で始めたのは1801年(享和元)。その後屋号を「中島大祥堂」と改め大阪で菓子製造卸を開業。200年以上も経った2015年(平成27)には自社ブランドを立ち上げ、直接対面販売を行う本店を丹波の地に構えたところ人気店に。
    「丹波栗のしぼりたてモンブラン」(2750円)は数量限定
  • spot 32
    柏原歴史民俗資料館・田ステ女記念館
    柏原藩の歴史と柏原が生んだ女流俳人を知るスポット
    柏原(かいばら)藩の資料を展示した資料館と、この地出身の女流俳人・田ステ女(でんすてじょ)と田家伝来の資料を展示した記念館が、柏原藩陣屋跡の正面にある。藩主であった織田家の人々についてや、当時の経済や教育の状況など、5つのテーマで江戸時代の柏原藩の様子を知ることができる。展示室中央に柏原陣屋の復元模型がある。この模型をチェックしてから実際の陣屋跡を見学したい。隣接する田ステ女記念館は、江戸初期の1633年(寛永10)に柏原で生まれた女流俳人にまつわる資料が展示されている。『雪の朝 二の字二の字の 下駄の跡』という句を聞いたことがあるだろう。この句はステ女が6歳のときに詠んだ句とされ、幼少期よりその才能を認められた存在だった。ステ女が生まれた田家は、のちに多くの政治家や財界人を輩出した柏原きっての名家で、記念館にはステ女自筆の句集のほかに、田家にかかわる資料も多数展示されている。柏原ではステ女の名を冠した俳句のイベントが開かれている。
    柏原藩陣屋を復元した模型。現存するのはこのジオラマの右下の部分のみ
  • spot 33
    丹波旬菜 田舎家
    希少な「山の芋」料理がいただける柏原の和食店
    JR福知山線の柏原(かいばら)駅から徒歩3分のところに、70年もの間、地元の人たちに愛され続けてきた料理屋「丹波旬菜田舎家(たんばしゅんさいいなかや)」がある。テーブル席、座敷、カウンター席があり、どれも落ち着いて食事のできる雰囲気だ。ここでぜひ食べておきたいのが、丹波柏原産の「山の芋」を使った料理。あまり聞き覚えのない「山の芋」だが、11月中旬から12月中旬までに収穫される山芋の一種で、寒暖差が激しく霧の深い土地で採れるため「霧芋」とも呼ばれる。粘りが強く、すり下ろしても色が変わらず、濃厚な味わいが特徴。栽培に非常に手間がかかり収穫量も少ないため、たいへん貴重で高価なものだ。この店では、収穫時に契約農家から購入し、春先にはていねいに手ですり下ろして冷凍するというが、それでも夏には使い切ってしまうという。ランチメニューは定食と丼物が中心。近くのビジネス客がさっと食べられるように配慮している。夜は、期間・数量限定の「ローストビーフとろろ丼」や、和食の定番と創作料理と織り交ぜた、ミニ会席コース(2200円)やコース料理を酒と一緒に楽しみたい。利き酒師でもある店主の奥様に相談するのもいいだろう。
    季節限定の「ローストビーフとろろ丼」と「霧芋山かけそば」( 2024年1月現在ローストビーフとろろ丼はメニューにない)
  • spot 34
    丹波市立植野記念美術館
    加古川の河畔に立つ重厚な建物
    丹波出身の実業家、植野藤次郎氏(1922~1999年)が蒐集した中国美術やコンテンポラリーアート、パプアニューギニアの民族美術など1000点を超える個人コレクションを旧氷上町(現丹波市)に寄贈。美術館の建物も同氏と同氏が設立した財団によって建設され、1994年(平成6)に丹波地方のアートの拠点としてオープンした。大人向けから子ども向けまで、幅広いテーマの企画展や特別展を行っており、その合間に館の収蔵品である中国美術や郷土の作家の作品を展示するという、ちょっとユニークな運営をしている。展示もさることながら、外壁、内壁とも総花崗岩という、ギリシア神殿を思わせる巨大な石柱をもった建物自体が大きな見どころ。道路を挟んですぐ横を加古川が流れ、周辺には高い建物がないこともあり、建物の存在感は圧倒的だ。建物自体も美術品であるべき、という植野氏の考えが具現化された美術館は、館内に入ると目の前に4階まで吹き抜けになった空間が広がる。地方都市にあるとは思えないほどのスケールの美術館だ。
    美術館の正面から建物を見上げる。その存在感は圧倒的
  • spot 35
    道の駅 丹波おばあちゃんの里
    新鮮野菜や黒豆料理、ジェラートがおいしい丹波の旅の拠点
    地元丹波産の新鮮な農産物が豊富にそろう道の駅。ICを出てすぐの立ち寄りやすいロケーションにあり、丹波の黒豆を使ったお土産やグルメを求める多くの人で賑わう。
    大きな平屋建ての物産館。ジェラート店もこの建物の一角に位置する
  • spot 36
    丹波竜の里公園
    のどかな田園風景のなかに出現する巨大恐竜
    2006年(平成18)の夏、篠山川の川原で化石を探していた2人の地質愛好家が偶然に見つけた灰色の化石。それが日本の古生物学上、とても重要な発見となるとは、当時の2人は考えもしなかっただろう。発見現場とその周辺は見学用に整備され、家族で楽しめる恐竜をテーマにした公園が造られている。
    稲穂の向こうに恐竜が現れるちょっと不思議な風景
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旅のヒント

  1. その1

    電車で三田市、丹波篠山市エリアへ向かう場合は、JR宝塚線(福知山線)を利用。

  2. その2

    三田市方面へ車で向かう場合は、中国自動車道神戸三田ICが最寄り。

  3. その3

    丹波篠山市方面へ車で向かう場合は、中国自動車道吉川JCTより舞鶴自動車道に入り、丹南篠山口IC下車。

  4. その4

    丹波篠山市へ電車で訪れ、散策するならレンタサイクルが便利。JR篠山口駅、丹波篠山観光協会内の篠山観光案内所でレンタルできる。

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