兵庫

播磨(姫路・龍野・赤穂)

HARIMA (HIMEJI, TATSUNO, AKO)

歴史に文化、文学、動物園、映えスポットまで、見どころの多さに、何度も訪れたくなる

兵庫県南西部の瀬戸内海沿岸、姫路市から県西端の赤穂市までは、城郭や寺院といった歴史・文化的施設はもちろん、動物園などエンターテインメント性あふれるスポット満載のエリア。白鷺城の名で知られる国宝・姫路城を中心に北には動物園や撮影スポット満載のテーマパークがある姫路市、隣にはそうめんと醤油の名産地・たつの市。さらに西へひと足延ばして赤穂市へ行けば、赤穂浪士ゆかりのスポットなどを巡りながら、瀬戸内の穏やかさも感じることができる。地域それぞれに興味深いスポットが多く、じっくり、そして何度も訪れたくなるエリアだ。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    姫路城周辺
    城を取り囲むように日本庭園や美術館が点在する散策エリア
    白鷺城の愛称でも親しまれる姫路城の周辺エリアには、古くから親しまれる観光名所がたくさん。いろんな施設を巡りながら、街の歴史や美しい自然に触れて、辺りを散策してみよう。
    姫路城を見ながら散歩するぜいたくな時間
  • spot 02
    姫路城
    400年の歴史を誇る、世界遺産
    世界的に美しい木造建築と認められた、真っ白な漆喰壁(しっくいかべ)が特徴の姫路城。城内を歩いたり、天守内を見学したりしながら、400年の歴史に触れてみよう。
    近くに立つとその迫力に圧倒される大天守
  • spot 03
    姫路城西御屋敷跡庭園 好古園
    姫路城を借景とする日本庭園で、水のせせらぎを感じながら草花を愛でる
    姫路城の西に位置し、姫路エリアの観光スポットとしてもはずせないきれいな日本庭園。映画や時代劇の撮影にも使われる大きな庭園を歩きながら、表情が異なる9つの庭で黄昏の時間を。
    錦鯉が優雅に泳ぐ「御屋敷の庭」
  • spot 04
    双樹庵
    日本古来の建築美と茶の庭を眺めながら、お抹茶を味わう
    西御屋敷などの跡地に広がる日本庭園「姫路城西御屋敷跡庭園 好古園」内にある茶室。裏千家の第15代家元の設計・監修により、京都の数奇屋大工が技術の粋を傾けた本格的茶室で、天守への礼を尽くすという意味を込めて姫路城の天守閣に向かって設計されている。お茶室では緑が美しい庭を眺めながら、お抹茶とお菓子をいただける。双樹庵の建物を囲むように広がる「茶の庭」は、玄関前の小庭や広間の庭、小間の庭につくばいや灯籠などが配置され、ほっとひと息つける日本古来の庭園だ。茶室内の4畳半には円窓と柳障子の窓があり、そこから見える木々や植物も相まって品格ある空間を演出してくれる。お抹茶を嗜みながら、優雅な時間をゆったりと過ごしてほしい。
    お抹茶とお菓子1席500円
  • spot 05
    姫路文学館
    姫路城と播磨ゆかりの文学者について学べる博物館
    ユニークな近代的建築が特徴の文学館。北南に分かれた2つの建物では姫路城にまつわる歴史や物語、さらに播磨地方にゆかりのある作家・学者の人生や心に響く言葉など、新しい知識との出合いがある。
    円形に設計された北館
  • spot 06
    姫路市立美術館
    シックな赤レンガ建築に引き寄せられる美術館でアートな時間を
    姫路城の東側に位置する歴史的建築の美術館。多ジャンルの作品を所蔵し、数々の作家を紹介する企画展を開催しているため、一年を通してたくさんの芸術作品と巡り会える。
    姫路城を背景に13点の彫刻作品が展示される前庭から望む景観が美しい
  • spot 07
    姫路市立動物園
    開園から70年を迎えた歴史ある動物園で、生き物に癒やされよう
    姫路城の東隣にある動物園は、古くから地元民にも愛されるアットホームな施設。子どもと一緒に利用できるアトラクションで遊んで、自由気ままに暮らす動物たちを鑑賞しながら、園内を散策しよう。
    正面入り口では動物の看板がお出迎え
  • spot 08
    姫路セントラルパーク
    動物たちと急接近するサファリでスリル満点のドライブ旅
    甲子園球場48個分の広大な敷地で暮らす約190種1200頭羽の動物たちを見て、遊園地などのアクティビティで遊び尽くそう!
    ドライブスルーではライオンの群れも
  • spot 09
    太陽公園
    世界の石像とゴージャスなお城! 撮影スポット満載のテーマパーク
    世界中の石像や建造物が見事に再現され、旅行気分を味わえるテーマパーク。本格的な石像や不思議な写真を撮れるトリックアート、SNS映えするレンタル衣装も充実しているので撮影しながら園内を巡ろう。
    白鳥城の広場はベスト撮影スポット
  • spot 10
    書寫山圓教寺
    西の比叡山で1000余年の歴史の重みを体感する
    比叡山、犬山と並ぶ天台宗三代道場のひとつで、季節によってさまざまな山の表情を見られる大寺院。深い歴史を感じ、多くの建造物を見ながら、独特の空気感にのまれてみるのもいい。
    映画の舞台にもなった3つの堂
  • spot 11
    はづき茶屋
    参拝の途中には圓教寺内の茶店でホッとひと息
    書寫山圓教寺内にある、昔ながらの茶店。ロープウェイ山頂駅から徒歩15分、または境内を走るマイクロバスで5分ほど進むと、境内の中心部分にあり、岩山の上に建つ摩尼殿(まにでん)の向かいで営業していて、基本的には土曜と日曜を中心に店を開けている。自然に囲まれた店は、下町の定食屋のような、昔ながらの懐かしい雰囲気の落ち着いた空間。ランチ利用にも人気の店で、うどんやそば、おでんもそろえ、店内に入ると甘い出汁の香りが漂っている。店が山上にあるため、肌寒い時期にはうれしいあたたかな山菜うどんが店主のおすすめで、透き通った関西風出汁とシャキシャキの山菜、とろとろの昆布で親しみ深いほっこりする一杯。また、大根や練り物など5種を盛り合わせた生姜醤油で食べる姫路おでんも、訪れた際にはぜひ食べてほしいメニューだ。店頭や店内では、地元の名物品や圓教寺の参拝の記念になる商品も販売しているので、チェックしてみて。
    歴史を感じる建物の1階が店になっている
  • spot 12
    揖保乃糸資料館 そうめんの里
    「揖保乃糸」の歴史や秘密が詰まった資料館へ
    全国的に愛されるそうめんブランド「揖保乃糸」のすべてがわかる施設には、展示室に売店、レストランを併設。伝統と歴史に触れたあとには、きっとそうめんを食べたくなっているはず。
    大きな看板と揖保乃糸のロゴが目印
  • spot 13
    龍野城
    白壁に続く櫓と、平家の本丸御殿を望める山麓の城
    白壁や武家屋敷が残り、播磨の小京都ともいわれる龍野城と城下町。山のふもとに立つ城内は緑も美しく、春は桜、秋は紅葉の名所。城内を歩いて、自然と歴史を感じてみよう。
    遠くからでも見える二層の隅櫓
  • spot 14
    うすくち龍野醤油資料館
    たつのの地で生まれたうすくち醤油の歴史を約2400点の資料から学ぶ
    全国的に親しまれる醤油醸造メーカー、ヒガシマル株式会社が運営する資料館。400年以上の歴史をもつ龍野醤油造りの工房の内部に潜入した気分で、さまざまな用具や資料を見てみよう。
    もろみを造っていた仕込み蔵の樽
  • spot 15
    赤穂城跡周辺
    赤穂城跡とゆかりのある人物たちの痕跡をたどる
    大阪市内から車で約2時間、海と山に囲まれた赤穂市の観光名所でもある赤穂城跡。城の歴史をさかのぼりながら、ゆかりのあるさまざまな人物たちの関連するスポットも訪れてみよう。
    赤穂城跡には12の諸門があった
  • spot 16
    赤穂城跡
    「日本100名城」に選ばれた城跡で、赤穂城の歴史をさかのぼる
    約200年もの間、赤穂藩の居城として使用されていた赤穂城は、全国的にも珍しい特殊な設計が見どころ。美しい庭園や迫力のある石垣、天守台からの景色を見ながら、当時の御殿を想像してみよう。
    天守台の上から眺める本丸御殿跡
  • spot 17
    花岳寺
    義士たちの先祖が眠る、浅野長直創建の寺院
    赤穂城跡の北側に位置する、赤穂藩の歴代藩主であった浅野家・永井家・森家の菩薩寺。赤穂藩の武士であった大石良雄など、四十七義士と浅野長矩公を祀る義士墓所がある。赤穂市の文化財に指定された山門「塩屋惣門」をくぐり境内に入ると、正面に大きな2代目名残の松があり、その奥に本堂がたたずむ。本堂の内部に入り見上げてみると、赤穂最大の画人である法橋義信(ほっきょうよしのぶ)の作品『竹に虎』が天井一杯の大きさで展示されている。本堂でのお参りを終えたら、本堂の南西方向にある報恩堂ものぞいてみよう。ここには、金色の千躰観音像が奉納されていて、無数に並ぶ観音像は壮観だ。境内には義士墓所、宝物館、義士木像堂がある。義士木像堂は「新西国第31番霊場」「瀬戸内観音7番霊場」となっている。
    迫力のある二重屋根の本堂
  • spot 18
    赤穂大石神社
    四十七義士の石像が迎えてくれる武将にゆかりのある神社
    旧赤穂城内にあたり、大石内蔵助(くらのすけ)邸宅跡に鎮座する、大石内蔵助をはじめとした赤穂藩の四十七義士を祀る神社。当時、赤穂藩の藩主であった浅野内匠頭(たくみのかみ)が刃傷事件を起こしお家取り潰しにあったが、義士たちがその敵討ちに成功したことから、大願成就や心願成就のご利益を受けられるといわれ、全国から参拝者が訪れている。四十七義士の石像が立ち並ぶ参道を歩いて鳥居をくぐると、両脇には恵比寿様と大黒様が鎮座。さらに境内の奥へ進むと義士史料館や義士宝物館がある。赤穂大石神社には変わったおみくじや参拝方法があり、水にひたすと文字が浮かび上がる水みくじ、吉凶と四十七義士にあてはめた運勢がわかる義士みくじ、直したい物事などを漢字一文字で紙に印し浄化する一文字流しなど、さまざま方法で自身の運勢も占ってみては。
    義士たちに一礼して鳥居をくぐろう
  • spot 19
    伊和都比売神社
    瀬戸内海に向かって鳥居がそびえ立つ古社でお参り
    赤穂城跡から千種川(ちくさがわ)を渡り、御崎(みさき)の温泉街にたたずむ神社。創建当時は、海上にある八丁岩に祀られていたが、播磨赤穂藩の初代藩主であった浅野内匠頭長直(あさのたくみのかみながなお)が現在の場所へ移したと伝えられている。瀬戸内海に面した神社は、海に向かって建つ鳥居との絶景も見どころで、古くから帝国海軍が参拝に訪れていたことから、航海安全や大漁祈願のご利益を求める参拝者も多い。また、縁結びのご利益が期待できる「姫守」も若者の間で話題となり、幅広い年齢層の参拝者で平日でも賑わっている。境内には、浅野内匠頭の刃傷事件があった1701年(元禄14)頃の氏子から、藩の平穏と安泰を願って寄進をされた石造りの手水鉢も設置されている。広がる海を眺めながら、その深い歴史について感じてみてほしい。
    晴天の日は鳥居の間から小豆島も望める
  • spot 20
    SAKURAGUMI
    ナポリの本格ピッツァとオーシャンビューを満喫
    県内随一ともいわれる、絶品の窯焼きピッツァが人気のイタリアンレストランは、赤穂藩にゆかりのある伊和都比売(いわつひめ)神社のほど近くに店を構え、自慢のテラス席はきれいな瀬戸内海を一望できる特等席だ。「真のナポリピッツァ協会」の認定店でもあり、ランチ時にはナポリ料理のコースをメインに、テイクアウトも可能なピッツァももちろん楽しむことができる。ナポリから自社で直輸入する粗挽きの粉と天然酵母、赤穂の塩を掛け合わせ、職人の手捌きだけで形成されるピッツァには、100%水牛のミルクから作られたぜいたくなチーズを使用。薄い見た目とは裏腹に、弾力がありながらも歯切れのいい生地と、チーズなどトッピングするすべての具材にこだわりを感じられる、至福の一枚をぜひ味わってほしい。
    水平線を見ながらのぜいたくランチを
  • spot 21
    姫路藩和船
    風流な城の愛で方、姫路城の内堀を和船に乗ってのんびりと
    姫路城の楽しみ方の1つ、内堀を和船で巡る体験はいかがだろう。姫路城の堀は江戸城と同様にらせん状であることが特徴だ。城を中心に内堀、中堀、外堀と三重の堀がらせん状に取り囲んでいた。城にいちばん近い内堀を和船に乗ってゆっくりと進む船旅のコースは、桜門橋西側の乗船場から姫山原生林と動物園の間の1.4kmを約30分かけて往復する。乗客は腰にライフジャケットを着け、編笠を被って出発。高いところで約11mあるという石垣は船から見上げると迫力があり、姫路城が西国の外様大名ににらみをきかせる役割であったことがうかがえる。船頭さんによる石垣の解説や歴史話に耳を傾けながら、いつもと違う目線で眺める姫路城。特に桜の時期は花見を兼ねての優雅な船遊びが楽しめる。船が運航されるのは春と秋の限られた時期なので、「姫路藩和船文化協議会」のウェブサイトなどで確認しよう。小雨でも欠航となるため注意したい。当日9時から現地でのみ予約ができる。
    船頭の清水長八さんが櫓(ろ)を漕ぎ、赤い欄干の城見橋と姫路城が見えるベストスポットへ
  • spot 22
    あずきミュージアム
    「あずき愛」があふれるあずきをテーマにした博物館へ
    日本の食文化に興味がある人はぜひ訪ねてほしい博物館。あずきの植物学的な知識に加え、あずきに関わる歴史や文化についても学べ、訪れた人はあずき1粒から見えてくる世界の広さ、深さに驚かされることだろう。
    2009年(平成21)にオープンしたあずきミュージアム。そのシンボルといえるのが高さ約6mのあずきの模型
  • spot 23
    灘菊かっぱ亭
    姫路おでんとおいしいお酒。酒造直営店の居酒屋へ
    全国にご当地おでんはいろいろあるが、おでんにショウガ醤油をつけて食べるのが姫路流。姫路市とその周辺はショウガと醤油の生産地だったため、ショウガ醤油を加える習慣につながったと考えられている。姫路おでんを気軽に食べられる居酒屋、灘菊(なだぎく)かっぱ亭は、姫路の老舗蔵元「灘菊酒造」の直営店。JR姫路駅から徒歩約3分と近く、地元の人も観光客も立ち寄りやすい便利な場所にある。灘菊名物の「大串おでん」は、かつて姫路の浜で塩を作っていた労働者たちの胃袋を満たした名物おでんを復活させたもの。牛すじ、卵、ゴボウ巻など1串でボリューム満点だ。ショウガ醤油味の「大串黒おでん」がいわゆる姫路おでんで、ピリッとしたショウガが味のアクセントに。もう1つの「大串白おでん」は灘菊オリジナルの酒粕味で、酒粕に味噌や醤油をプラスしたタレが爽やかな風味。「昼呑み限定 ちょい飲みセット」や「3種飲み比べ」といった日本酒メニューもあり、おでんとともに灘菊のお酒ははずせない。
    手前が「大串黒おでん」、奥が「大串白おでん」(各580円)。昼には大串おでん定食(800円)も
  • spot 24
    あなご料理専門店 柊本店
    播磨伝統の味、国産穴子の上物を味わえる姫路の有名店
    国内有数の穴子の産地として知られる播磨灘。兵庫県民はうなぎよりも穴子を好むともいわれ、姫路市内には特産品の穴子を扱う料理店が数多くある。柊(ひいらぎ)はそのなかでも名の知られた専門店。使う穴子は国産にこだわり、播磨灘など瀬戸内海でその時期に最もおいしい穴子が獲れるところから仕入れている。早朝から本社工場で職人の手によって焼かれた穴子は、ふんわりとやわらかく、脂がのって肉厚。上品な味わいの秘伝のタレがさらにおいしさを引き立てる。ランチで訪れるなら、いちばん人気の「穴子づくし御膳」(3500円)がおすすめだ。穴子の刺身、焼き穴子、蒸し穴子、穴子のだし巻きなど多彩な味を楽しめる。「穴子ひつまむし」(2970円)も好評で、まずそのまま食べたあと、薬味を入れて、最後に出汁をかけて3通りの食べ方で穴子を味わい尽くす。柊本店があるのは姫路市道十二所前線の北側で、JR姫路駅からは徒歩約10分。姫路駅前にはキュエル姫路店もあり、こちらでも豊富な穴子料理のメニューがそろう。
    写真は夜の部で味わえる「上穴子重」(2640円)。秘伝のタレをかけた焼き穴子を堪能する
  • spot 25
    甘音屋 姫路駅北店
    姫路菓子の新定番、手土産にしたいモダンな創作和菓子
    江戸時代後期、姫路藩主酒井家の歴代当主が茶の湯を好み、家老であった河合寸翁が産業振興のために和菓子作りを奨励した。そうした長い歴史をもつ姫路の和菓子の世界に、創作和菓子店・甘音屋(あまねや)が開業したのは2009年(平成21)のこと。手土産にふさわしい、新しい感覚の「おつかい菓子」が話題になる。その代表ともいえるのが「笑美玉」で、やさしいパステルカラーと多種のフレーバーが楽しめる最中はもらった人の驚きと笑顔が浮かんでくる愛らしい和菓子だ。栗入り三笠「焼音」や黒豆甘納豆「こだま」、播州かりんとう「果里」などの定番商品も、伝統の味を引き継ぎながら今の時代にあわせたデザインと発想で作られている。甘音屋は市内に3店舗を構え、姫路城観光の際に立ち寄れるのが姫路駅北店。姫路の歴史をテーマに考案されたどらやき「関ケ原」が購入できるのは姫路駅北店のみ。広畑区にある本店では土・日曜限定のお菓子が登場し、大津区長松店にはカフェが併設されている。
    和風マカロンのような球体最中、笑美玉(各1個152円)。12種類のフレーバーがそろう
  • spot 26
    姫路革細工本舗 おの
    姫路が誇る伝統産業、革細工の専門店で長く使える一品を探す
    姫路地域では、古くから白く鞣(なめ)された革が生産され、戦国時代には武具や馬具に用いられた。江戸時代には革細工職人によって凝った文庫(大切なものを入れる小箱)なども製作され、明治以降は巾着や草履、がま口といった日用品の細工物も作られるようになる。1993年(平成5)には「姫革細工」として兵庫県指定伝統的工芸品に指定された。姫路市内でも品ぞろえの豊富さで知られる姫路革細工本舗 おの。店内に入ると、白い革に細やかに彩色された小物類が所狭しと並ぶ。これらはみな職人の手作業で生まれた工芸品。上質な鞣し革を手揉みでシボ(しわ)を出し、模様を型押ししたあと、一つひとつ筆で絵付け。サビ(漆)を刷り込み、縫製して完成する。姫革細工の特徴は、軽くて丈夫。そして使い込むほどにツヤが出て味わいある色合いに。江戸時代から革細工を家業としてきた店主の小野さんは、「時代を超えて愛用される革細工。大事に使えば長持ちしますよ」と魅力を伝えている。
    姫路城が描かれた財布。昔から変わらない柄も多く、右は大正期に作られたものだがツヤが出ていい手触りに
  • spot 27
    龍野歴史文化資料館
    古い城跡に立つ資料館で豊かな文化と歴史の面影を探す
    龍野城内の一角にある歴史文化資料館では、古代から近世までの龍野の歴史を出土品、武具、民具などで詳しく紹介している。城巡りや町歩きの途中に立ち寄れば、小さな城下町の歴史の奥深さを実感できることだろう。
    館内に展示された「十二間筋兜」と「金箔押小篠籠手」。楠木正成が湊川の戦いで着用していたと伝わる
  • spot 28
    そうめん処 霞亭
    龍野名物のそうめんを温かいにゅうめんでいただく
    たつの市の名産といえば、手延そうめん。播磨地方がそうめんの一大産地になったのは、揖保川のおかげという。鉄分が少ない軟水で麺は白く仕上がり、流域で採れる良質の小麦や全国に名の知れた赤穂の塩と原材料に恵まれ、約600年の長い歴史を誇っている。龍野城から歩いてすぐの場所にある霞亭(かすみてい)は、にゅうめんのおいしい店。茹でたそうめんに熱い出汁をかけていただくにゅうめんが一年を通して人気だ。店いちばんのおすすめが「霞亭にゅうめん」。使っている麺は「揖保乃糸」の古(ひね)。ひねとは1年間熟成させた麺で、コシが強く、舌触りもなめらか。麺を彩る具は、錦糸卵、穴子、椎茸、自家製の梅干しなど地元の食材がたっぷりだ。冬季限定だが室津産牡蠣の入った「牡蠣にゅうめん」も好評。霞亭を営むのは桝本さんご夫婦。ていねいに作られた温かいにゅうめんと、温かいご夫婦のもてなしにひかれ、リピーターが多いというのもうなずける龍野の名店だ。
    「霞亭にゅうめん」(1000円)の味のポイントは甘く煮た梅干し。甘酸っぱさが食欲をそそる
  • spot 29
    末廣醤油
    醸造文化が息づく町でこだわりの淡口醤油を手に入れる
    2019年(令和元)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された龍野城下の古い町並み。市内に8軒ある醤油メーカーの1つ、末廣醤油があるのは「門の外」と呼ばれる地区で、町家造りの建物が並ぶ昔ながらの町並みに溶け込むように醤油工場がある。末廣醤油の創業は1879年(明治12)。国産大豆、国産小麦を使用し、天然醸造の淡口(うすくち)醤油を手がける数少ない蔵元として全国的に知られた存在。一般的に淡口醤油は出汁と一緒に炊いて素材の色味を生かす料理に使われることが多いが、末廣醤油では「つける淡口醤油、かける淡口醤油」という新しいコンセプトの「紫醤油」シリーズを立ち上げた。米麹の力でまろやかな味わいの「淡紫」は白身魚の刺身や冷奴に、三段仕込みで濃厚な「濃紫」は赤身魚の刺身に、長時間スモークした「薫紫」はさまざまな料理のアクセントに、それぞれの個性で使い分けたい。コンパクトにデザインされた瓶でお土産にもピッタリだ。
    小さな蔵元ながら新たな発想で商品作りに挑戦。写真は「紫醤油」シリーズ(左から「濃紫」「淡紫(うすむらさき)」各540円、「薫紫(かおるむらさき)」648円)
  • spot 30
    赤穂市立海洋科学館・塩の国
    日本有数の塩の産地、播州赤穂で塩田の歴史に触れる
    塩づくりの先進地であった赤穂。江戸時代、画期的な製塩技術と質のよさで全国にその名を馳せた。復元された塩田を見学し、実際に塩づくりを体験。赤穂の歴史と海について学ぶ施設へ。
    塩の国に復元された江戸時代の入浜(いりはま)式塩田
  • spot 31
    坂越の町並み
    北前船(きたまえぶね)と塩廻船(しおかいせん)がもたらした繁栄の面影を残す港町
    赤穂市の東部に位置する港町、坂越(さこし)。北前船の寄港地であり、赤穂の塩を全国へ運んだ塩廻船の出航地であった港周辺には今も往時の繁栄をしのぶ建物が並び、古い海の町の風情を感じることができる。
    石畳の大道(だいどう)沿いに白壁と焼板の町家が続いている
  • spot 32
    かましま赤穂店・お食事処
    網元直営店で播磨灘にはぐくまれた1年牡蠣を味わう
    兵庫県は広島、宮城、岡山に次ぐ牡蠣の水揚げ量を誇り、播磨灘に面した赤穂市は牡蠣の養殖が盛ん。通常牡蠣は出荷までに2~3年を要するが、播磨灘海域の牡蠣は山々から流れ込む豊富な栄養分によって約1年で出荷サイズまで成長するため「1年牡蠣」と呼ばれる。特徴はコクとうまみがありながら牡蠣特有のくせがなく、牡蠣が苦手な人でも食べやすい。そして加熱しても縮みにくく肉厚で、生とほぼ同じサイズを保つので食べごたえがある。この「1年牡蠣」を一年を通して提供しているのが、坂越湾で牡蠣を養殖するかましま水産直営の食事処だ。当日の朝に水揚げされた鮮度抜群の牡蠣を使ったメニューは豊富で、網元ならではのお得な価格も魅力。いちばん人気の「忠臣蔵御膳」は一度にいろいろな牡蠣料理が楽しめ、入っている牡蠣は全部でなんと11個。牡蠣を堪能したい人におすすめだ。ほかにも生牡蠣はもちろん、お手頃なランチメニューや丼物もそろっている。
    生牡蠣、焼き牡蠣、牡蠣フライ、牡蠣のミニ丼、牡蠣汁がセットになった「忠臣蔵御膳」(1815円)
  • spot 33
    総本家かん川 駅前店
    塩スイーツの元祖、赤穂の塩を使った伝統和菓子
    江戸時代に考案されたという赤穂の銘菓、塩味(しおみ)饅頭は、赤穂の特産品である塩を使った和菓子。塩を多めに加えた餡を、砂糖と落雁にも使われる寒梅粉(餅を白焼きにして粉にしたもの)を練り合わせた生地で包んだ饅頭で、口に入れるとやさしい感触の皮と塩味が利いた餡とのバランスが絶妙だ。江戸時代創業と伝わる老舗、総本家かん川の「しほみ饅頭」は、塩は地元赤穂産のまろやかな塩を使用し、寒梅粉に混ぜる砂糖に和三盆を用いて上品な甘さに仕上げている。決め手は中の餡で、ほどよい塩味が甘さを引き立て、あずきのうまみも感じられる。もう1つの店の看板商品が、生タイプの「しほみ饅頭」。こちらは寒梅粉の代わりに羽二重餅で餡を包んだ新しい食感が人気だ。6個入りの「しほみ饅頭」が840円、「生しほみ」は1110円。総本家かん川の路面店は2つあり、JR播州赤穂駅近くの駅前店と赤穂IC近くの新田店。電車で来ても車で来ても、観光帰りに立ち寄りやすい場所にあるのがうれしい。
    茶菓として珍重された「しほみ饅頭」(右)と、生タイプの「生しほみ」(左)
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旅のヒント

  1. その1

    姫路市は、JR姫路駅が新幹線停車駅でもあるため、電車でのアクセスが便利。郊外各方面へは、姫路駅前からバスが運行されている。

  2. その2

    たつの市へは、JR姫路駅から神姫線に乗り換え、本竜野駅下車。

  3. その3

    赤穂の観光は、JR播州赤穂駅からバスを利用。

  4. その4

    車で訪れる場合は山陽自動車道で向かい、姫路市は山陽姫路IC、たつの市は龍野IC、赤穂市は赤穂ICと、それぞれインターチェンジが近い。

  5. その5

    赤穂の瀬戸内海沿岸地域は、冬は牡蠣のシーズンになるため、比較的交通量が多い。海沿いには牡蠣小屋も登場する。

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