ろあん松田 篠山店

そば/うどん

丹波篠山の山奥にひっそりとたたずむ蕎麦の名店

兵庫県の丹波篠山にある丸山集落という小さな里山にミシュランが1つ星を付ける蕎麦店がある。ランチは一日限定6組(11:30~、14:00の各3組・2部制)の完全予約制で、蕎麦と地元で採れた野菜などを使ったこだわりの和食を提供している。

8品からなるランチのコース「蕎麦ひとそろえ」7700円。数種提供される蕎麦の一品目は竹で編まれた美しい器に盛られた「もり蕎麦」} 8品からなるランチのコース「蕎麦ひとそろえ」7700円。数種提供される蕎麦の一品目は竹で編まれた美しい器に盛られた「もり蕎麦」

日本の原風景のような集落

JR篠山口から車で20分。ずいぶん山奥まで入ってきたなぁという印象。この辺りは多紀連山山麓にある丸山集落といい、もともとは江戸時代の1794年(寛政6)から続く山あいの農地だった。年月を重ね、住人の高齢化や過疎化によって限界集落となっていたのを2009年(平成21)、集落内の空き家を再生し、「農泊」を推進。「農泊」とは農村に宿泊し、地のものを味わい、体験する滞在型旅行のことだ。丸山集落はリノベーションした江戸時代の民家を宿泊施設として使い、季節ごとにホタル観賞や名産・黒豆の枝豆の収穫など、里山ならではの自然体験を行いながら地方創生の取り組みを成功させてきた。車はそんな丸山集落に入ってもまだまだ先へ進み、突き当たりまで来るとやっと蕎麦店「ろあん松田」が現れる。こんな山奥にあるミシュラン1つ星の蕎麦店。どんなランチを楽しめるのだろうと期待が高まった。

看板も暖簾もない数寄屋造りの「ろあん松田」は、外からでは一見民家のよう} 看板も暖簾もない数寄屋造りの「ろあん松田」は、外からでは一見民家のよう

集落の行き止まりにあるこだわりの蕎麦店

里山の風景にしっくりとなじんだ古民家風の「ろあん松田」の店内に一歩足を踏み入れると、手入れの行き届いた清潔感あふれるモダンな空間が広がっていた。玄関脇には囲炉裏をしつらえた土間の待合室があり、食事処は6人掛けのテーブル席が2席と個室だけだ。店名の「ろあん」の「ろ」はイロハのロから。「ロ庵」とも書く。人気は2番目でいいけれどおいしいものを出したい、という想いを込めて命名した。丸山集落が再生される前の1998年(平成10)にこの地を気に入って家族で移住してきたという。店主の松田慎之介氏は、父から店を受け継いで現在2代目。慎之介氏の代になっても周りに田んぼと雑木林が広がる山奥で、日々客人をもてなしてきた。大きな窓から里山の風景を一望できる席で、ゆったりと流れる時間のなか、訪れる客人一人ひとりに楽しんでもらうため、ていねいな仕事をする。ランチ、ディナーともに完全予約制の理由がわかった気がした。

大きなガラス窓から望む里山の風景もご馳走のひとつ。プライベート感を大切にした店内} 大きなガラス窓から望む里山の風景もご馳走のひとつ。プライベート感を大切にした店内

「ろあん」の若き店主・松田慎之介氏。ミシュランの星におごることなく、進化し続けている} 「ろあん」の若き店主・松田慎之介氏。ミシュランの星におごることなく、進化し続けている

素材のおいしさがそのまま伝わる滋味深い蕎麦と料理

席に座ってはじめに出てきた器のキュウリに「え?」と思ったが、聞けば、お邪魔した時期が暑い夏だったので体の熱を下げるための一品なのだという。そんな気遣いのあとに出てきた先付はふだん見かけない地元・篠山産の野菜の盛り合わせ。ミニ万願寺唐辛子やマイクロトマト、パプリカやバターナッツかぼちゃなど、夏野菜に香り高い山椒のオイルがかけられていた。続いて提供されるのは地元の食材を使った「季節の盛り合わせ」。地元の吉良農園や「ノウカ、ナガイ」から届く野菜は味が濃く、完全無農薬の体にやさしいものばかり。鹿肉のローストは直接猟師から買い付けたジビエを扱う専門店・山大から。そのほか器には食用ホオズキやミョウガの甘酢漬けなど色とりどりの品が並ぶ。味つけでごまかすことなく、それぞれの素材を生かした八寸だった。

なんの変哲もないキュウリに見えるが、実は3つとも味が違う。左から酒粕麴漬け、ごま油漬け、玉ねぎと唐辛子漬け} なんの変哲もないキュウリに見えるが、実は3つとも味が違う。左から酒粕麴漬け、ごま油漬け、玉ねぎと唐辛子漬け

地元の野菜やジビエを盛り込んだ「季節の盛り合わせ」} 地元の野菜やジビエを盛り込んだ「季節の盛り合わせ」

続いて蕎麦1品目のもり蕎麦。殻を取り除いた玄蕎麦をブレンドした蕎麦はワサビだけで食べてもそばつゆにつけてもおいしくいただける。そばつゆは、本枯節(ほんかれぶし)を使った先代から引き継がれた味だ。冷やした焼きナスを挟んで、香り豊かな宮崎県椎葉村産のそば粉を使用したあらびき蕎麦がでてきた。まずはメキシコ産の塩で味わう。きめの細かい塩なので蕎麦によくなじむ。続いてつゆにくぐらせていただく。備長炭で焼いてから削る焼き節を使ったつゆはもり蕎麦のつゆとは別の味わいで、蕎麦ごとにつゆを変えるこだわりに驚かされた。そのあと出てきたのは、福井県丸岡町産の細いそばを使った手巻き寿司。穴子の入ったぜいたくな一品で、蕎麦になじみやすい酸の利いた初めての味だ。幸せな蕎麦三昧のあと、〆は福井県丸岡産のそば粉を使った一品。山いもか大根おろしをセレクトできる。選んだ粘り強い山いもは蕎麦によくからみ、のどごしもいい。最後に出てきたのは香の物とそば湯。そば湯に梅干を入れほぐしていただくのだが、これがなんともいい塩梅(あんばい)だった。

蕎麦をいろいろ味わえる。上段・左から「もり蕎麦」「あらあらびき蕎麦」 下段・左から「蕎麦手巻き寿司」「山かけ蕎麦」} 蕎麦をいろいろ味わえる。上段・左から「もり蕎麦」「あらあらびき蕎麦」 下段・左から「蕎麦手巻き寿司」「山かけ蕎麦」

〆のデザートも忘れずに味わいたい

最後に提供されるデザートも絶品。暑い夏の時期に登場するかき氷は人気の一品だ。ふんわりとした食感の氷の上に載った大納言あずきのつぶ餡は甘さ控えめ。ろあんならではの蕎麦白玉もお楽しみのひとつだ。冷たいかき氷の合間にいただく熱い蕎麦茶も心にしみた。季節にあわせて、蕎麦団子入りのお汁粉や栗もちなども提供されるそう。別の季節のデザートめあてに、ぜひまた訪れたいと思ったが、夜の1万780円のコースは蕎麦がきなど品数が3品ほど増えて酒も楽しめると聞いて、こちらが先かなぁと思いをめぐらせた。

夏の風物詩・ろあんのかき氷。蕎麦粉で作った白玉を添えて、和三盆の蜜をかけていただく} 夏の風物詩・ろあんのかき氷。蕎麦粉で作った白玉を添えて、和三盆の蜜をかけていただく

スポット詳細

住所
兵庫県丹波篠山市丸山154 map map 地図
電話番号
0795527755
時間
[昼一部]11:30-[昼二部]14:00-
[夜の部]18:00-(すべて予約制)
休業日
火、水
駐車場
あり
備考
※料金にはサービス料が追加されます。

情報提供: ナビタイムジャパン

アクセス

map map 地図

最寄り

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