岡山

備前牛窓周辺

AROUND BIZEN AND USHIMADO

歴史ある備前焼、備前刀の産地と日本のエーゲ海といわれる瀬戸内の町を散策しよう

岡山県東部の備前市は中世から窯の火を絶やしたことがない日本六古窯のひとつ備前焼の窯場だ。JR伊部駅のある備前市伊部地区には窯元や個人作家の工房、店舗が軒を連ねる。ショーウインドウをのぞきながら、日常使いの品から現代アート的なセンスの作品まで多様な炎と土の芸術を見て歩くだけでも楽しい。備前市東部にある日生港ではご当地グルメの「カキオコ」を味わいたい。備前市に隣接する瀬戸内市の「備前福岡」には、中世の城下町の薫りを残す町並みが残る。「福岡の市」が有名で戦国時代の軍師黒田官兵衛ゆかりの地でもあり、黒田家の墓所のある妙興寺がある。また、瀬戸内市の長船は古くから備前刀の産地として知られ、「備前長船刀剣博物館」は近年、刀剣女子たちのあこがれのスポットに。瀬戸内市の南部、牛窓では日本のエーゲ海といわれる風光明媚な景色が眺められる。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    備前焼伝統産業会館
    備前焼のギャラリーや観光案内所があり、土ひねり体験もできる
    JR赤穂線伊部駅に併設した建物が備前焼伝統産業会館になっている。備前焼にちなんで建物全体が登り窯の形になっているので、少し離れたところから建物全体を眺めてみよう。会館の1階には観光案内所「伊部観光情報センター」がある。液晶タッチパネル方式で市内の観光名所や地図を紹介、子どもも楽しめるよう工夫された電子案内板を設置している。日本語だけでなく、英語、中国語、韓国語に対応している。自転車の貸し出し(一般の自転車、電動自転車)も行う。甘酒やお茶セットでひと息つくこともでき、備前の特産品も販売している。2階では、岡山県備前焼陶友会の会員による作品を展示販売。土・日曜、祝日には土ひねり体験もできる(要予約)。伊部を訪れたら、まずここで備前焼の歴史や文化を知り、情報を仕入れてから町を散策するのがおすすめだ。
    登り窯の形をした備前焼伝統産業会館の外観
  • spot 02
    備前福岡
    鎌倉時代から山陽道の商都として栄え、九州「福岡」の名の由来となった町
    「備前福岡」は鎌倉時代から商都として栄えたところで、現在では戦国武将黒田官兵衛ゆかりの地として有名になっている。かつての「福岡の市」は絵巻物『一遍上人絵伝(いっぺんしょうにんえでん)』(国宝)にも描かれているほど賑わっていた町だ。
    古い町並み。広い道路で整然と区画されているのは珍しいそうだ
  • spot 03
    旧閑谷学校
    現存する世界最古の「庶民のための公立学校」
    岡山藩主池田光政(いけだみつまさ)によって1670年(寛文10)に創建された国内最古の庶民の学校が、国の特別史跡「旧閑谷学校」だ。足利学校跡、咸宜園(かんぎえん)跡、旧弘道館とともに日本遺産「近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源-」に認定されている。
    大屋根と花頭窓が荘厳な講堂。最初は茅葺きだったが改築され備前焼瓦に葺き替えられた
  • spot 04
    備前長船刀剣博物館
    刀剣ファンから熱い視線の注がれるミュージアム
    鎌倉時代から日本刀の産地として栄えた現在の瀬戸内市長船町。長船地域を中心とした備前国で製作された備前刀は国宝・重要文化財の刀剣類の約4割を占める。備前刀を中心とした刀剣をテーマに展示紹介するユニークな公立博物館だ。
    日本刀の刀身を作る刀匠(とうしょう)の仕事場を公開している「備前長船鍛刀場」
  • spot 05
    牛窓オリーブ園
    瀬戸内海の風景を眺められる楽しいスポットいっぱいのオリーブ園
    「日本のエーゲ海」と称される瀬戸内海の多島美のパノラマが目前に広がる丘陵地に、約2000本のオリーブの植えられた牛窓オリーブ園がある。園内にはそこからの展望が美しい広場やオリーブショップ、コーヒー専門店などがあり、ゆっくり散策できる。
    瀬戸内海を望む南斜面にあり、大小の島の点在する瀬戸内の穏やかな景色が広がる
  • spot 06
    黒島ヴィーナスロード
    潮が引くと牛窓沖の小島が弓なりに結ばれる
    潮の干満によって、牛窓港の沖に浮かぶ3つの小島を弓なりに結ぶ砂の道が出現し、歩いて渡ることができる。これを地元のリゾートホテルが「黒島ヴィーナスロード」と命名し、人気スポットとなっている。
    干潮時に牛窓沖の小島がつながる
  • spot 07
    しおまち唐琴通り
    潮待ちの港として栄えた昔の牛窓の風情を満喫できる
    古くから風待ち、潮待ちの港として栄え、江戸時代には朝鮮通信使の寄港地になった瀬戸内市の牛窓地域。その潮待ち港町の風情を残し、黒い焼き板壁の古民家が立ち並ぶのが「しおまち唐琴通り」である。
    昭和30年代までの面影が残る通り
  • spot 08
    オレンジハウス
    地元産の牡蠣をたっぷり入れたお好み焼き
    瀬戸内市の牛窓から西へ行くと兵庫県との県境に備前市日生町はある。日生港を通る道路沿いには「日生カキオコ」と書かれたのぼりを立てた店が並ぶ。牡蠣入りのお好み焼きを略して「カキオコ」。今や岡山を代表するB級グルメだ。岡山県は全国有数の牡蠣の生産量を誇る。なかでも日生町は身太りのいい牡蠣が水揚げされる屈指の生産地。カキオコは養殖が盛んになった1960年代から地元の人々に親しまれていた。B級グルメブームのなかで2000年代以降、カキオコを提供する店が増えてきたという。牡蠣のシーズンは11~3月だが、冷凍を使うことで通年、味わえる店もある。オレンジハウスはそのひとつでJR日生駅から徒歩3分。あっさりした生地に刻んだキャベツと牡蠣をぜいたくに入れて焼き上げる。加熱してもあまり縮まないのが日生のカキの特徴。栄養満点で肉厚の牡蠣はお好み焼きとの相性抜群だ。
    カキオコ(1100円)は押さえずふっくら焼き上げる
  • spot 09
    BIZEN gallery Kai
    伝統的な備前焼の世界に新しい風を吹き込むギャラリー
    「六古窯」のひとつで、1000年以上の歴史をもつ「備前焼」の世界に新しい風を吹かせようと個性あふれる3人の作家が共同でギャラリーを運営。ユニークな取り組みが注目を集めている。
    小品から大作まで個性豊かな3人の作品が並ぶ店内は一見の価値あり
  • spot 10
    夢二郷土美術館 夢二生家記念館・少年山荘
    大正ロマンの画家の生家とアトリエを訪ねよう
    画家、詩人、デザイナーなどとして活躍した竹久夢二が生まれ育った現在の瀬戸内市邑久町には「生家(夢二生家記念館)」と、アトリエ兼住居の「少年山荘」が公開されている。大正ロマンの画家として名を馳せた彼の原点をたどりたい。
    夢二が晩年に自ら設計して建てたアトリエ兼住居の「少年山荘」(復元)
  • spot 11
    虫明湾
    古くから朝日が美しいことで知られる海は牡蠣の名産地
    瀬戸内市邑久町の東部に位置する虫明(むしあげ)湾。港の東には日生(ひなせ)諸島が浮かんでいる。その長島と鴻島の間、その先の大多府島と頭島の間、さらにその先の鶴島と鹿久居島の間、海と空が接する辺りから朝日が昇ると、空は真っ赤に、そして海も島も黄金色に染まる。この風景は「瀬戸の曙(あけぼの)」と呼ばれ「日本の朝日百選」に選ばれている(特に美しいのは秋頃)。朝焼けの景色だけでなく、海面に浮かぶ無数の牡蠣養殖のいかだが織りなす光景も見事だ。虫明湾は植物性プランクトンが豊富なこと、潮の干満差が大きく水代わり、潮通しがよいこと、さらにいかだを風や波から守る島陰が多いことなどが、牡蠣養殖に適しているとされる。虫明港は全国有数の生産量を誇る。牡蠣は虫明港沿いに並ぶ牡蠣小屋に運び込まれ、牡蠣打ち作業が行われる。2019(令和元)には、邑久町の牡蠣漁業が海洋管理協議会(MSC、本部・ロンドン)が定める国際規格で持続可能性に配慮した産地を証明する国際認証「海のエコラベル」と呼ばれる「MSC認証」を取得した。海上のいかだから吊るして養殖する垂下式では世界初。日本では北海道のほたて漁業や静岡県焼津市のカツオ漁業などに続いて6例目。
    平忠盛が「虫明の迫門の曙見る折ぞ都のことも忘れにけり」と詠んだことで知られる景色。ビューポイントは県道465号線を太平山へ向かう途中にある
  • spot 12
    さんちゃん
    日生のガラエビを使った「エビオコ」が絶品
    備前市日生町の養殖牡蠣は身太りがよくおいしいと評判で、そのプリプリの牡蠣をぜいたくに使った日生発祥のB級グルメ「カキオコ」は今や全国区の知名度。日生港を通る道路沿いには「日生カキオコ」と書かれたのぼりを立てた店が並ぶ。お好み焼きの「さんちゃん」は人気の店のひとつ。まず生地を鉄板に広げ、そこにキャベツを載せ、揚げ玉と削り節、青ネギをかけて、牡蠣をたっぷりと盛る。そして上から生地をかけてひっくり返し、月見にした卵を載せて完成だ。カキオコのほかにも、「焼きめし」や「手作りギョウザ」「おばあちゃんのオムライス」などメニューが豊富。そして、ぜひ味わいたいのが「エビオコ」だ。牡蠣のシーズンは、11~3月中旬。シーズンオフの時期にカキオコの代わりに食べられるのが、エビ入りのお好み焼き「エビオコ」。エビオコに使うエビは、ガラエビと呼ばれる体長5~10cmの小型のエビだ。お好み焼きに入れると牡蠣に劣らずプリプリした触感と独特の風味で、カキオコよりも好きだという人もいるほど。エビオコは通年で、日生の味を堪能できるのがうれしい。
    「カキオコ」1200円
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旅のヒント

  1. その1

    備前へは車なら岡山ブルーライン備前ICで下りて約15分。JRなら岡山駅から赤穂線に乗り伊部駅で下車(岡山-伊部間は約40分)。備前焼の里、伊部の町は歩いて散策できる。

  2. その2

    牛窓へは車が便利。岡山ブルーライン邑久ICで下りて約15分。牛窓オリーブ園へ公共交通で行くにはJR赤穂線邑久駅からバス利用約20分で「オリーブ園入口」、そこから山道を約30分歩くことになる。

  3. その3

    牛窓から備前(伊部駅)、日生への移動はバス&JRで。牛窓-邑久駅はバス約25分。JR邑久駅から赤穂線を利用する。

  4. その4

    備前長船刀剣博物館と備前(伊部駅)は車で約10分。備前(伊部駅)と旧閑谷学校は車で約15分。JRを利用するなら赤穂線とタクシーを使えば3つをまわることができる。

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