備前福岡
鎌倉時代から山陽道の商都として栄え、九州「福岡」の名の由来となった町
中世から栄え、足利尊氏も滞在した城下町
吉井川に架かる備前大橋から東の堤防を約1km進んだ辺りで古い町並みが目に入る。現在、東小路、市場小路、下小路など7本の小路で区切られた町が整然とたたずむ。山陽道に沿い、吉井川の水上交通も利用できる軍事、交通、経済の要衝地である「備前福岡」は中世の城下町。守護、守護代の城館があったため、町なかへ進むにつれて家屋が奥まっていたり、見通しを悪くするよう道が少しカーブしていたり、四つ角(十字路)は1か所のみでほかは三つ角にするなど、敵を惑わせて迎え討つ構えになっている。町の規模は山陽道でも屈指で14世紀半ばには九州に向かう足利尊氏が8000の軍勢と40日間滞在したという史実もある。国宝の刀剣「山鳥毛(さんちょうもう)」(瀬戸内市所蔵)を生んだ刀工一派「福岡一文字派」が興った場所でもある。
地元生産者との交流が楽しい備前福岡の市
鎌倉時代から定期市「福岡の市」が立ち、米や魚、備前焼などを売る小屋が並び賑わった。しかし、安土桃山時代の末、吉井川の大洪水で荒廃、同じ頃に福岡の商人の大半は岡山城下へ移ったそうだ。「往時の賑わいを再び」と、2006年(平成18年)からは毎月第4日曜に「備前福岡の市」が始まり、農産物、加工品、工芸などの店が出て地元生産者との交流ができると人気になっている。
黒田官兵衛の父の生まれた地
また、備前福岡は戦国武将黒田官兵衛(くろだかんべえ)の曽祖父高政(たかまさ)とその息子重隆(しげたか)が近江から移り住み、重隆が目薬屋を営んで家を再興した礎の地。官兵衛の父職隆(もとたか)が生まれた地でもある。司馬遼太郎が官兵衛を主人公にした『播磨灘物語』を書くためにここを訪れている。岡田准一が黒田官兵衛を演じた2016年(平成28年)のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』で「備前福岡」は注目された。官兵衛の子長政(ながまさ)は筑前の大名になり、城を築いた。先祖ゆかりの地「備前福岡」のように栄える地にしたいと「福岡城」と名づけたとされ、九州の「福岡」の名はここに由来している
歴史をひもときながら散策したい
現在、土産物店が立ち並ぶような観光地になっていないのが魅力。町並みには、「備前一文字刀工跡の記念碑」、一遍上人絵伝の一場面をデジタル高精密画像で公開している「備前福岡郷土館」(木曜、土曜、第2・第4日曜のみ開館)、黒田家の墓所がある「妙興寺」、古民家を再生した文化観光拠点施設「仲崎邸」などがあり、歴史をひもときながらの散策に適している。備前市立備前焼ミュージアム、備前長船刀剣博物館まで、いずれも車で約15分なのでぜひ合わせて見学しよう。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン
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