秋田

由利本荘・鳥海

YURIHONJO / CHOKAI

出羽富士と呼ばれる鳥海山と、日本海が織りなす大自然を楽しむ。

秋田県内で最も大きな面積を誇る由利本荘・鳥海エリア。西は日本海沿岸部から東は標高2236mの鳥海山に至るまで、一帯が「鳥海山・飛鳥ジオパーク」に認定されている。鳥海山の火山活動は約60万年前に始まり、幾たびもの噴火による溶岩層がまるでバウムクーヘンのように重なった特殊地形を形成している。日本海から鳥海山に吹き上げる季節風が、年間1万2000mmにも及ぶ雨雪を降らせ、その大量の伏流水が溶岩層を通って湧き出す。ミネラル豊富な伏流水は上質な山菜や野菜を作り、近海に流れ込みおいしい鮮魚を育てている。日本海沿いを南北に走る国道7号には4つの道の駅をはじめ、海辺のアクティビティを楽しめる海水浴場が点在。由利本荘・鳥海エリアは、日本海と鳥海山の火山地形が織りなす大自然を体感できるネイチャースポットである。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    元滝伏流水
    1日5万tもの鳥海山の伏流水があふれだす「平成の名水百選」
    日本ジオパーク認定「鳥海山・飛島ジオパーク」内の湧水観賞スポット。鳥海山に染みこんだ水が長い歳月をかけ流れ出した溶岩の末端崖からあふれだす冷たい湧き水が落差5m、幅30mの滝となって落ちる。
    目の前で観賞できる元滝伏流水。気温の高い時期には霧が立ち込める
  • spot 02
    象潟九十九島
    鳥海山麓の田園風景に点在する天然記念物の103の島々
    鳥海山麓の海に面した田園地帯に浮かんで見える島々は、約2500年前の山体崩壊と約220年前の大地震がつくり出した世界的に珍しい景観。俳聖・松尾芭蕉も訪れた歌枕(うたまくら)の地。
    水田に水が入る初夏には、まるで海に島々が浮かぶような光景が広がる
  • spot 03
    仁賀保高原土田牧場
    標高500mの仁賀保高原土田牧場でジャージーグルメを堪能
    見渡す限りの牧草地と大空。鳥海山麓標高500mの高原を開拓して、無農薬の牧草とストレスフリーな放牧で育てているのは約200頭のジャージー牛。低温殺菌のジャージー牛乳や牛肉をぜいたくに使ったオリジナルグルメを味わえるレジャー型牧場だ。低温殺菌ジャージー種のマザーズミルク「幸せのミルク」は、濃厚かつさっぱり爽やかなあと味が特徴の極上品。「セントバーナード舎」では、ウサギ・ヤギ・羊などにエサをあげる触れ合い体験を。ニューオープンした全天候型「サンバレーファミリーランド」では、本物の大型トラクターに乗って撮影したり、ミニトラクターの遊具で遊んだり。親子の触れ合いが生まれるレジャースポットにもなっている。
    草原で草をはむ放牧中のジャージー牛
  • spot 04
    獅子ケ鼻湿原
    日本最大級の異形ブナや天然記念物鳥海マリモが見られる湿原
    鳥海山麓の標高550mに広がる湿地帯とブナの原生林、周囲26万平方メートルが国指定の天然記念物。約5kmの散策コースは所要2時間20分ほどで1周できる。湧水エリアは世界でも珍しい苔の生息地としても有名。
    鳥海山系のブナ原生林から流れる流水エリア
  • spot 05
    鳥海山 木のおもちゃ美術館
    赤ちゃんからお年寄りまで安心して遊べる木のおもちゃパーク
    2018年(平成30)7月にオープン。由利本荘市が設置した、木のおもちゃで世代間交流を生みだす遊び場。秋田県最大級の現存する木造校舎をリノベーションした空間には、カフェやショップも併設している。
    木のぬくもりが伝わる木造アトラクション
  • spot 06
    桑ノ木台湿原
    残雪の鳥海山を眺めつつ標高690mの湿原をトレッキング
    国指定史跡である鳥海山の周囲に広がる鳥海国定公園内の標高690mに広がる約8万平方メートルの低層湿原。一部で高層湿原と同じような植生を観賞できる、珍しいトレッキングスポットとして人気。
    整備された木道は幅50cmほどですれ違いが難しいため、時計回りに巡るルールになっている
  • spot 07
    由利高原鉄道
    鳥海山(ちょうかいさん)を眺めて田園風景を走る40分のローカル列車の旅へ
    JR羽越本線の羽後本荘駅から矢島駅までの全長23kmを結ぶローカル列車。雄大な鳥海山を仰ぎながら、ノスタルジックな田園風景の真ん中を、子吉川(こよしがわ)に沿って走る。エンタメ要素あふれるサービスも注目だ。
    由利本荘の自然をモチーフにした3色(緑・青・赤)のデザインがあるYR3001号車
  • spot 08
    鳥海山・鉾立展望台
    鳥海山5合目から日本海を一望できる絶景ビュースポット
    秋田と山形の県境にそびえたち、かつてより出羽富士と称されてきた東北第2位の高山「鳥海山」。その5合目辺り標高1150m付近にある鉾立展望台へ。日本海東北道象潟ICから眺望豊かな鳥海山ブルーラインを走ること30分ほどで到着。300台ほどが停車できる駐車場も完備しているので、軽装でも気軽に高山旅行気分を味わえる人気ビュースポットだ。断崖絶壁にせりだしている展望台から、山側に目を向けると標高2236mの鳥海山を望み、眼下には東京タワーがすっぽり埋まる深さというV字型の奈曽(なそ)渓谷が一望できる。海側に目を向けると日本海の水平線が広がり、天気のよい日は遠くに男鹿半島や飛島まで眺めることができるという。展望台のほかに鳥海山の成り立ちや生態系について展示、解説している「鉾立ビジターセンター」、軽食から定食メニューまで充実した山荘グルメを堪能できる「稲倉山荘(いなくらさんそう)」なども併設。鳥海山に登る象潟登山道の入り口にもなっているため、グリーンシーズンは登山客や日帰りのドライブ客などで賑わっている。
    展望台から北西方面の眺め。条件がよければ遠くに男鹿半島が見えることも
  • spot 09
    鳥海高原花立牧場公園
    鳥海山麓(ちょうかいさんろく)の高原エリアに家族一緒に遊べる体験スポットが大集合
    鳥海山の北側に広がる高原エリアの一角にある、牧場を中心とした複合レジャースポット「鳥海高原花立牧場公園」。新鮮なミルクを使ったグルメスポットや、ポニーランド、ゴーカート場などがあり、子どもから大人までまる一日楽しめる。
    緑の草原が広がるエリアでは、かわいいポニーとエサやり体験や引き馬体験で触れ合える
  • spot 10
    蚶満寺
    かつて松尾芭蕉や菅江真澄(すがえますみ)も訪れた853年(仁寿3)開創の古刹(こさつ)
    松尾芭蕉が『奥の細道』で訪れた最北の地。江戸の大地震以前は「日本三景松島」と並び称された象潟にある古刹(こさつ)。853年(仁寿3)開創という古い歴史で伝説や言い伝えも多く、蚶満寺の七不思議として残っている。
    1689年(元禄2)にこの地を訪れた松尾芭蕉の像。芭蕉が訪れた頃の象潟(きさかた)は松島と並び称される景勝地であった
  • spot 11
    法体の滝
    「日本の滝百選」のひとつ流長100m、落差57mの荘厳な白滝
    「日本百名山」の鳥海山(ちょうかいさん)が源流で、山頂方面に向かって流れ落ちる全国でも珍しい滝。鳥海山・飛島ジオパークのジオサイトにも認定された景勝地で、隣接する公園は無料キャンプが可能なフリーサイトとしても人気。
    特に春から初夏の雪どけシーズンは水量も多く迫力が増す
  • spot 12
    TDK歴史みらい館
    チームラボの体験型シアターを常設した科学技術体験スポット
    世界中の電子機器に使われる磁性材料フェライトを日本で初めて工業化したTDK。これまでどんな製品を作ってきたのかを知る歴史ゾーンと、未来の科学技術を体験できるみらいゾーンで遊べる展示体験スポット。
    特別展示など体験設備が定期的に入れ替わり、さまざまな驚きを提供してくれる「みらいゾーン」
  • spot 13
    ガーデンカフェTime
    鳥海山麓の小さな集落にたたずむ本格イングリッシュガーデンカフェ
    JR象潟駅から車で10分ほど、鳥海山麓にあるにかほ市大竹集落。近くの大竹会館に駐車して民家が立ち並ぶ路地を3分ほど進むと、季節ごとの草花に彩られた本格的なイングリッシュガーデンが現れる。広々とした庭には約500種以上の草花やハーブが息づき、庭園内に入るとふんわりとハーブの香りが漂う。究極のナチュラルガーデンとして世界的に知られるターシャ・テューダーの庭園に似ていると評判になり、今では「秋田のターシャの庭」と呼ばれ、全国からガーデニングファンが訪れている。元は竹林だったという庭を開墾して花々が咲く庭に育て上げてきたのが、ガーデナー&フラワーコーディネーターとしても活躍する佐々木利子さんだ。庭のあちこちに配された茶色の石は、鳥海山の噴火石を積み上げたもので、唯一無二の景観をつくり上げている。敷地内にはウッドデッキ付きのノスタルジックな小屋があり、3日前までの完全予約制で季節のランチやスイーツセットを提供。庭のハーブや地元産の食材をふんだんに使ったメニューをいただきながら、季節ごとに表情が変化する庭を眺めつつ至福の時間を堪能できる(ランチ営業時間10時〜15時/毎週火・水・木曜定休)。
    初夏にはアジサイやさまざまな品種のバラが咲き誇り庭がいっそう賑やかになる
  • spot 14
    齋彌酒造店
    敷地内11棟が国の重要有形文化財。1902年(明治35)創業の酒蔵
    1902年(明治35)に初代齋藤彌太郎(さいとうやたろう)が創業した老舗酒蔵で、高低差6mの傾斜地を利用して造られた「のぼり蔵」が特徴的。国内の醸造業界のなかでは、初めてオーガニック醸造工場の認定を受けた名酒蔵。
    1階が大規模な町屋造り、2階が洋風造りというクラシカルモダンな店舗
  • spot 15
    発酵小路田屋
    明治創業の老舗酒造が監修「発酵&郷土グルメ」の拠点スポット
    日本海東北道本荘ICより車で15分ほど。明治や大正に創業した老舗の味噌醤油醸造所や酒蔵が立ち並ぶ石脇地区の一角に、1902年(明治35)創業の齋彌酒造店(さいやしゅぞうてん)がある。発酵小路田屋は、オリジナルブランド「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)」で全国の日本酒ファンに知られる、この老舗酒造がプロデュースして、2019年(令和元)に誕生した発酵グルメをテーマにした複合施設だ。敷地内にはカフェ、ショップ、ギャラリー、自家製パン工房があり、雪の茅舎の仕込み水を使った発酵グルメのほかにも、石脇地区で造られる味噌や醤油、名物本荘うどんなどに出合える。また、昭和初期の古民家をリノベーションした館内にはもともとの民家の意匠を残しながら、地域の歴史をつないでいく配慮があちこちに見られる。カフェでは雪の茅舎の仕込み水を使用した自家製パンや、塩麹で漬け込んだチキンなど、発酵にこだわったメニューが人気。自家製の「つぶつぶあま酒」や雪の茅舎の酒粕を使用したデザートなど、酒蔵ならではのメニューも充実している。
    ランチの人気メニュー「厚切りトーストと塩こうじのローストチキン」
  • spot 16
    土田水産 道の駅直売所
    日本海を望む道の駅「ねむの丘」にある行列のできる岩牡蠣直売所
    目の前に広大な日本海が広がる国道7号線沿い、日本海東北道象潟ICより車で15分で到着する道の駅象潟(きさかた)「ねむの丘」。道の駅の施設内に店舗を構える土田水産は、秋田県産の鮮度抜群な岩牡蠣をお得なご当地価格で楽しめる直売所として人気だ。特に旬を迎える6月中旬から8月までは、貴重な旬の岩牡蠣を目的に訪れる人たちの行列ができている。店頭には産地や大きさ、値段の異なる岩牡蠣が山積みになってズラリと並ぶ。スタッフに教えてもらいながら自分の好みで牡蠣を選ぶことができ、1つから購入できるのもうれしい。金浦(このうら)産、道川(みちかわ)産、小砂川(こさがわ)産、象潟(きさかた)産など、店頭にはその日仕入れた最もおいしい産地の牡蠣が並ぶため、産地の違いや大きさの違いで食べ比べてみては。注文すると厨房できれいに殻を剝いて、レモンやポン酢を添えた状態にしてくれるので、店舗前のテラス席や道の駅内のフードコートでゆっくりいただくことができる。道の駅には鳥海山、九十九島、日本海、男鹿半島まで見渡せる無料の展望台や、日本海を眺めて入れる温泉もあり。ぜひ旬の岩牡蠣とセットで楽しんでいただきたい。
    店頭で購入した牡蠣は、その場で食べることもお土産として持ち帰ることもOK
  • spot 17
    湯の台食堂
    手間暇かけた自家製手打ち麺&化学調味料無添加スープの行列店
    日本海東北道象潟(きさかた)ICを降りて、鳥海山方面へ車で5分ほどの里山集落にポツンとたたずむ「湯の台食堂」。かつて東京ミシュランビブグルマン選出の名店「麺や七彩(めんやしちさい)」などで修業したご主人が、生まれ故郷にある食堂を引き継ぐ形で2017年(平成29)にリニューアル。自家製麺と動物系+魚介系のダブルスープ、老舗醸造元に特別オーダーする生醤油、バラ肉と肩ロースの自家製チャーシューなどが特徴だ。特に常連を虜にしているのが打ちたての麺で、使用する小麦粉は大潟(おおがた)村産「銀河のちから」をメインに国産小麦数種をブレンド。お湯に通す直前に手作業でちぢれ麺に仕上げるというこだわり。だしはオスの親鳥とゲンコツや背ガラを使用した動物系に、羅臼昆布や伊吹いりこ、かつお節やさば節の魚介系をあわせたダブルスープ。味の決め手になるのが、秋田県湯沢市の老舗石孫本店にオーダーして作ってもらう非加熱生醤油だ。スープをまとった太ちぢれ麺をすすると、生醤油の芳醇な香りが口の中に広がり、モチモチの麺を嚙みしめるたびうまみがしみ出す。替え玉の細麺を投入すると味わいが一気に変わるので、ぜひお試しあれ。
    しっかり煮込んだ豚バラと低温調理で丹念に仕込む肩ロースがたっぷり載った定番の「肉そば」。トッピングは半熟ゆで卵
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旅のヒント

  1. その1

    JR利用の場合は秋田新幹線こまちに乗り終点JR秋田駅で下車、羽越本線に乗り換えてJR羽後本荘駅で下りると便利。

  2. その2

    由利本荘の中心部から鳥海高原まで運んでくれる「由利高原鉄道」で、車窓から見える田園風景や高原の森をのんびり眺めるローカル鉄道の旅が人気。

  3. その3

    海岸線を走る国道7号沿いに点在する、4つの道の駅を巡るドライブも楽しい。特に「道の駅象潟」では、日本海を見渡せる展望温泉や新鮮な魚介を味わえるテナントも充実。道の駅は商品ラインナップに個性があるので、地酒やご当地グルメを探してはしごしてほしい。

  4. その4

    鳥海山・飛鳥ジオパークの自然景勝地のトレッキングは、散策路が整備されているものの登山靴やスニーカーの用意を忘れずに。

  5. その5

    鳥海山・飛鳥ジオパーク事務局の運営しているネイチャーガイドがおすすめ。予約すれば見どころをガイドしてくれるだけではなく、季節に合わせたベストな観光ルートも教えてくれる。

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