齋彌酒造店
敷地内11棟が国の重要有形文化財。1902年(明治35)創業の酒蔵
江戸時代には港町として栄えた石脇地区
日本海から約3kmほど内陸に入った、秋田県南西部の由利本荘市石脇地区。江戸時代に日本海水運の港町として栄え、亀田藩の重要商業地帯だったエリアに立つ、明治創業の老舗「齋彌酒造店(さいやしゅぞうてん)」。大正時代には石脇地区の通り沿いに、5つの醸造元が立ち並んでいたという。豊富で上質な伏流水が湧くことから、酒造りはもちろん、味噌や醤油、うどんなどの製造も行われ、今もヤマキチ味噌醤油醸造元、マルイチしょうゆみそ醸造元などの老舗が軒を連ねて営業している。齋彌酒造店は創業当時から現在の傾斜地に建てられ、高低差が約6mあるいちばん上の精米所に米を運ぶところから酒造りが始まる。次に敷地内で湧き出す伏流水を使って仕込まれ、工程が進むに連れて下に移動し、徐々に日本酒に仕上がっていくというユニークな造り。自然の地形を利用することで、工業化されていなかった時代には原料の移動にも有利に働き、蔵内の風通しもよくなっていた。酒造りの工程途中で余計な負荷を与えないという当時のコンセプトは、現代にも受け継がれている。
敷地内の11棟が国の重要有形文化財
石脇地区の通りに面した齋彌酒造店住宅・店舗は1902年(明治35)創業当時の建物で、改築を重ねながら昭和初期の姿を今に残している。また敷地内にある旧米蔵・漬物蔵・壜蔵(びんぐら)・中蔵・文庫蔵と、齋彌酒造店門も1902年(明治35)の建造物。昭和初期に建造された事務所や釜場などとあわせて、敷地内には11もの国登録有形文化財が残されている。ちなみに現在はコロナウイルス感染予防対策のため、これら酒蔵見学は休止中になっている。齋彌酒造店の酒造りは、原料へのこだわりから始まる。原料米には兵庫県黒田庄産の契約栽培米「山田錦」や、おもに蔵人たち自らが栽培する「秋田酒こまち」を使い、蔵内の湧水を仕込み水として使う。酒造りの主役である酵母は、30年以上前から取り組んでいる自家培養酵母を使用。また、その酵母が活性化する環境を守るためにも、掃除などは化学薬品に頼らないなど国内業界初のオーガニック醸造所としても注目されている。
酒造りの最大の特徴「三無い造り」とは
齋彌酒造店の中心ブランドである「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)」は、秋田の美酒のなかでも日本酒ファンの人気が高く、全国新酒鑑評会では平成に入ってからすでに22回も金賞を受賞するなどの評価を得ている。独特の華やかな香りとうまみを生み出す酒造りの最大の特徴が、もろみをかき混ぜる「櫂(かい)入れ」という作業を行わず、仕込みタンク内の発酵による自然対流を生かす技法だ。ほかに加水なし・ろ過なしという特徴も含めて「三無い造り」と呼ばれ、秋田では唯一無二の醸造法として知られる。あくまで自家培養酵母と米の磨きにこだわった酒造りで、独自の香味をまとった名酒を生み出している。2019年(令和元)には道路を挟んだ目の前に、齋彌酒造店がプロデュースする発酵グルメをテーマにした複合施設「発酵小路田屋(はっこうこうじたや)」がオープン。店内には石脇地区の特産品なども購入できるショップや酒造の仕込み水を使った自家製パン工房や、自家製パンのほかにもさまざまな発酵グルメを楽しめるカフェも併設。ドライブついでに立ち寄れるスポットとしてもおすすめだ。
スポット詳細
- 住所
- 秋田県由利本荘市石脇石脇53 地図
- エリア
- 由利本荘・鳥海エリア
- 電話番号
- 0184220536
情報提供: ナビタイムジャパン
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クチコミ
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- 老舗の酒蔵で好きな吟醸酒発見!
- 酒蔵の見学と試飲をして、気に入った日本酒に出会いました。『雪の茅舎(ぼうしゃ) 純米吟醸 生酒』です。吟醸酒の繊細かつふくよかな味わいがあります。生酒の新鮮さと旨味が感じられました。若干甘みもありますが、後味にしつこさはなく、すっきりしています。
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