狸谷山不動院

寺院

厄除け、交通安全、ガン封じで信仰を集める石窟の不動明王

「タヌキダニのお不動さん」として知られる不動明王を本尊とする修験道の寺院。250段の石段を上った先には、山の斜面に張り出して建てられる懸崖造(けんがいづくり)の見事な本堂が立つ。

奉納されたユーモラスな狸たちが勢ぞろい} 奉納されたユーモラスな狸たちが勢ぞろい

一乗寺エリアからさらに奥へ

市バス停・一乗寺下り松(いちじょうじさがりまつ)から東へと続く坂道を進もう。途中には、四季折々の庭園が美しい「詩仙堂」や、剣豪・宮本武蔵が吉岡一門との決闘を前に参拝したという「八大神社」があり、多くの観光客で賑わっている。詩仙堂を過ぎた辺りから道は急勾配に変わるが、道路は舗装されていて、一本道なので心配はない。500mほど歩くと、鮮やかな朱色の社殿が見えてくる。一瞬、本堂に到着したかと思うが、こちらは狸谷山不動院の「交通安全自動車祈祷殿」で、自動車のための祈願場所だ。狸谷山不動院は通称「タヌキダニさん」と呼ばれ、「交通安全のタヌキダニさん」として自家用車はもちろん、タクシーや送迎車などのプロの車両も含め、近畿一円および各地から年間1万台近くの自動車が祈祷に訪れている。

広々とした「交通安全自動車祈祷殿」。入り口付近には大きなしだれ桜があり、例年4月上旬が見頃となる} 広々とした「交通安全自動車祈祷殿」。入り口付近には大きなしだれ桜があり、例年4月上旬が見頃となる

250段の石段を上り本堂へ

自動車の祈祷所から100mほど進むと、本堂に続く250段の石段の始まりだ。京都市の東部には「東山三十六峰」と称される山並みが続いているが、タヌキダニさんが立つのは北から8峰目の瓜生山。山の中腹に建つ寺院というわけで、車で参拝に訪れた場合でも、この先は歩いていくことになる。石段下にはぎっしりと祈念石柱が立ち信仰のあつさがうかがえるだろう。さらに参拝者を迎えてくれるのが、鳥居の左側にずらりと並ぶ狸たち。老若男女、ポーズも表情も豊かな狸が入り交じり、なかには酒盛りを楽しんでいたり、寝そべっている姿もあって微笑ましい。狸たちの応援を背に鳥居をくぐって石段へ。250段の石段は長い道のりに思えるが、途中には、苦難や恐怖を除き、財宝、福利を与えてくれるという白龍弁財天や、真言宗祖・弘法大師像などがお祀りされているので、巡拝しながら少しずつ上がるのがおすすめだ。

白龍弁財天は鳥居をくぐってすぐ。朱の鳥居が周辺の木々の緑に映える} 白龍弁財天は鳥居をくぐってすぐ。朱の鳥居が周辺の木々の緑に映える

長く続く石段。途中、すれ違う参拝者と交わすあいさつに癒やされる} 長く続く石段。途中、すれ違う参拝者と交わすあいさつに癒やされる

石段の踊り場では、狸が参拝者を見守り、階段の段数を教えてくれる} 石段の踊り場では、狸が参拝者を見守り、階段の段数を教えてくれる

300年にわたる祈りの法灯

寺院は、江戸時代中期の1718年(享保3)に木食正禅上人(もくじきしょうぜんしょうにん)によって創建された。上人が修行のために洛北・一乗寺狸谷の地を訪れたとき、谷間に二丈(約6m)四方の石窟を発見し、木食行(もくじきぎょう)の実践のために入山。「木食行」とは、文字どおり「木を食べる」、つまり通常食を断って、草根木皮の生食だけを行う苦行のひとつのことである。のちに上人は石窟内に身の丈五尺(約1.5m)の石像「狸谷不動明王」を安置したと伝わっている。その石窟は現在の本堂の内陣部分にあたり、石窟をお囲みするために、現在の二代目の懸崖造の本堂が1986年(昭和61)に建立された。期間を決めて行われる特別参拝の時期には、神秘に包まれた眼力鋭い不動明王の尊顔を間近で拝することができる。2018年(平成30)には開創300年を迎えたが、実は1944年(昭和19)に亮栄和上が入山するまでの約230年間はほとんど人の手が入らず、石窟に安置された不動明王への祈りだけが継承されてきたという。

迫力満点の本堂。近くには剣豪・宮本武蔵が不動心を会得したといわれる「武蔵之滝」がある} 迫力満点の本堂。近くには剣豪・宮本武蔵が不動心を会得したといわれる「武蔵之滝」がある

狸に必勝・芸事上達の祈願を

不動明王は本来、無病息災や悪いものを断ち切るご利益がある仏様だ。そのようなこともあって、「ガン封じの寺院」としても京都では知られ、毎年1月28日の初不動の縁日には「ガン封じ笹酒」が行われている。また「狸谷」はこの辺りの地名であるが、「狸」が「他抜き」に通じるとして、スポーツ選手や芸事の上達を願う人の参拝も多い。寺院の創建当時は、岩盤斜面の洞に狸谷不動明王が祀られているだけで、周囲はうっそうとした木々に囲まれていた。その当時の面影を継承する意味から、現在も境内は山の豊かな木々に包まれすがすがしい。一般的に寺院では建造物を「伽藍(がらん)」というが、こちらでは建物のみならず、樹木、草木、一つひとつを含めて「森林伽藍(しんりんがらん)」と呼んでいる。運動と森林浴を兼ねて250段の石段を上り、「タヌキダニのお不動さん」に願いを伝えに行こう。

寺務所で授与されるキュートな「たぬきみくじ」} 寺務所で授与されるキュートな「たぬきみくじ」

車に貼って交通安全を祈願する「交通安全ステッカー」} 車に貼って交通安全を祈願する「交通安全ステッカー」

スポット詳細

住所
京都府京都市左京区一乗寺松原町6 map map 地図
電話番号
0757220025
時間
9:00-16:00

情報提供: ナビタイムジャパン

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