法界寺
ふっくらとしたお顔の阿弥陀様が迎えてくれる日野の古刹
長く日野の地を見守ってきた古寺
地下鉄東西線の石田駅から、東の丘陵地の住宅街を抜けて歩くこと約20分。法界寺の看板が白壁の築地塀に掲げられ、塀に沿って進むと現れる山門が入り口で、奥には阿弥陀堂(国宝)の姿が見えている。駅前からバスを利用するなら京阪バスで約4分、日野薬師で下車すればすぐだが、本数が少ないので事前に確認しておきたい。真言宗醍醐派の法界寺は、「日野のお薬師さん」の通称でも知られている。1051年(永承6)、藤原北家にあたる日野資業(ひのすけなり)が山荘を日野家の菩提寺としてあらため、薬師如来を祀る薬師堂を建てたことに始まるという。浄土真宗を開いた親鸞聖人は資業から5代目になり、この地で誕生した。
柔和な表情の仏様が待つ荘厳な堂宇へ
石畳の参道を進み、左手の庫裏(くり)で拝観受付をして阿弥陀堂へ。おごそかな気配に満ちるお堂は鎌倉時代に再興されたと伝わり、堂内中央で待ち受けるのは阿弥陀如来坐像(国宝)。平安時代後期の作で、像の高さは約2.8m、台座は約1.6mの大きさだ。正面から拝観すれば、ふっくらとしたやさしげな表情はまるで無垢な童(わらべ)のよう。壁面上部には、細やかな装飾が施され、描かれた花々や空に舞う飛天の姿が優美。わずかに残る色彩から往時の栄華がしのばれる。お参りのあとに外へ出て阿弥陀堂を正面から眺めると、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根のこう配がなだらかで、おごそかでありながら軽快なたたずまいだ。
参拝が絶えない霊験あらたかなお薬師さん
阿弥陀堂の南側には本堂である薬師堂が建つ。「日野のお薬師さん」の通称は、最澄(伝教大師)によって作られた創建時の小さな本尊(薬師仏)が、現在の本尊(秘仏)の胎内に納められていることに由来する。安産と授乳、子授けなどにご利益があるとして「乳薬師」とも通称され、古来、女性からのあつい信仰を受けてきた。堂内にはたくさんのよだれかけが奉納され、ご利益を授かりに多くの女性が参拝しているのがわかる。近くには旧奈良街道が通り、北に向かうと醍醐寺や隨心院といった古刹が点在しているので、合わせて参拝してみよう。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン