妙満寺

寺院

洛北に受け継がれた「雪の庭」に、江戸時代の風流を感じて

「雪の庭」と称される名庭をもち、仏舎利大塔(ぶっしゃりおおとう)がそびえ立つ妙満寺。「安珍・清姫伝説の鐘」を祀ることでも知られている。初夏に門前を彩る3000株のツツジがすばらしい。

桜のシーズンには夜間ライトアップも行われている} 桜のシーズンには夜間ライトアップも行われている

喧騒から遠ざかり洛北岩倉の地へ

叡山電鉄鞍馬線の木野(きの)駅から歩いて約5分、静かな住宅街を抜け、丘を越えると堂宇が見えてくる。そのまま道なりに歩いてゆくと、やがて右手に妙満寺の山門が現れる。バス停は幡枝(はたえだ)が近いが、本数が少ないので利用の際には事前の確認が必要だ。妙満寺は顕本(けんぽん)法華宗の総本山で、日什(にちじゅう)によって1389年(康応元)に創建された。のちに応仁・文明の乱などの兵火によりいくたびか寺地を変え、安土桃山時代には寺町二条(現在の京都市役所の北側)に移され、「寺町二条の妙満寺」と親しまれたという。しかし、近年の都市化による喧騒から離れるため、1968年(昭和43)に現在地の岩倉に移された。

5月には色とりどりのツツジが花を咲かせる名所だ} 5月には色とりどりのツツジが花を咲かせる名所だ

「雪の庭」「安珍清姫の鐘」が拝観できる本坊} 「雪の庭」「安珍清姫の鐘」が拝観できる本坊

静かに座して眺める松永貞徳の庭

石橋を渡って山門をくぐると一気に視界が開け、正面には重厚感ある本堂がたたずみ、その左手には仏舎利大塔がそびえ立つ。本堂手前の本坊内で拝観受付をして客殿へ向かうと、障子が開け放たれた広間の前で松永貞徳作の「雪の庭」が待ち受ける。貞徳は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した俳諧の祖と仰がれる人で、洛中の成就院に造営した庭園は、「雪月花三名園」と称された。清水寺の成就院「月の庭」、北野の成就院(現存せず)「花の庭」、そして妙満寺の成就院「雪の庭」で、お寺が現在地へ移った際、本坊東に復元された。雪をいただく比叡山の借景が極めて美しかったことがこの名の由来なのだとか。

障子や襖を額縁に見立てた絵画のような風景が広がる} 障子や襖を額縁に見立てた絵画のような風景が広がる

ダイナミックな石で山水を表現する庭園} ダイナミックな石で山水を表現する庭園

妙満寺に鎮まる道成寺の伝説の鐘

客殿の間の緋色の毛氈の上に座り、力強さを感じる庭園の石組や木立の妙をじっくり味わってから、次の展示室へ向かおう。寺宝を展示する部屋で目をひくのは、奥に据えられた「安珍・清姫伝説の鐘」だ。和歌山県の道成寺(どうじょうじ)の霊鐘といい、能や歌舞伎で演じられてきた物語に登場する釣鐘で、不思議な縁あって妙満寺に迎えられたという。僧侶の安珍を慕った清姫が、最後には鐘の中に隠れた安珍を殺めてしまう。のちに新たな釣鐘が奉納されるが、清姫の怨霊が鐘を引きずり落とし、大蛇となって姿を現したという伝説を持つ鐘で、春には鐘供養が執り行われ、2人の霊を慰めるという。ほかには松永貞徳や、武将・加藤清正の肖像画を拝見できる。

安珍と清姫の伝説をモチーフにしたお守り付きおみくじ} 安珍と清姫の伝説をモチーフにしたお守り付きおみくじ

光あふれる境内を彩る四季の花々

展示室から続く廊下を通って本堂にお参りしたあとは、本堂正面に立ってみよう。広い境内の向こうには雄大な比叡山を望め、その眺望は圧巻だ。純日本の建築物のなかにあってひときわ目をひく仏舎利大塔は、インドのブッダガヤ大塔をイメージしたものとしては日本初の建築物という。妙満寺は春の桜や秋の紅葉など、四季を通じて花に彩られるお寺としても知られるが、特に初夏のツツジが名高い。周辺には比叡山を借景とする庭で知られる圓通寺もあり、霊峰・比叡山の姿をそこここで楽しめるエリアになっている。

比叡山の雄姿とブッダガヤ大塔の競演が見事} 比叡山の雄姿とブッダガヤ大塔の競演が見事

スポット詳細

住所
京都府京都市左京区岩倉幡枝町91 map map 地図
電話番号
0757917171
時間
[境内]6:00-17:00
[本坊(本堂・雪の庭・展示室)]9:00-16:00
休業日
無休
料金
【境内】
無料(有料期間あり)

【本坊(本堂・雪の庭・展示室)】
[大人]500円
[小・中学生]350円
[小学生未満]無料
駐車場
あり(20台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可(休憩所のみ可)
平均予算
【昼】1-1,000円
【夜】1-1,000円
滞在目安時間
30-60分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 掃除が行き届いた綺麗な境内の寺院です
    4.0 投稿日 : 2021.12.22
    そこそこ良い寺院です。近くのため何度も参拝しています。顕本法華寺総本山です・。境内はいつも清掃が行き届いていて綺麗、僧侶の対応も慇懃無礼で丁寧、親切、日蓮宗・法華宗関連寺院全般の特徴です、閉鎖的な浄土宗関連寺院とは雲泥の差がある。1389年創建と云うことはまだ、630年そこそこしか経過していないので、京都や奈良の都では古寺と云う程のものではない。元々は、ここも京都市内の寺町二条辺りから現地へ移転し...
  • 桜鑑賞の穴場かな?
    4.0 投稿日 : 2021.03.24
    毎年訪れています。今年は少し訪れるのが早かったので、大書院傍の桜園の枝垂れはまだつぼみが多かったです。ここの枝垂れは満開になるとたいそう綺麗で、見応えがあります。叡山電鉄鞍馬線の木野が最寄りの駅で、チュートリアルの徳井さんが卒業した?北稜高校の直ぐ傍です。市内から少し離れているせいか、いつ伺っても人は少なく、桜の鑑賞や撮影には最適で、穴場ですね。
  • 顕本法華宗の総本山
    4.0 投稿日 : 2020.08.14
    敷地内には沢山のお寺があり顕本法華宗の総本山。展示室には、安珍清姫ゆかりの鐘が安置されている。本坊の雪の庭は、松永貞徳が造園した雪月花三名園の一つ。市街地から離れているので観光客は少ないです。

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アクセス

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最寄り

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