二尊院

寺院

「見送る釈迦如来」と「迎える阿弥陀如来」を祀る寺院

現世に現われる釈迦如来と、来世に現われる阿弥陀如来の二尊を祀る「二尊院」。平安貴族にも愛された風光明媚な嵐山のほど近く、静かな小倉山のふもとにあり、風趣に満ちたこの地で『百人一首』も生まれたという。

どっしりとしたたたずまいの本堂 どっしりとしたたたずまいの本堂

小倉山の懐に包まれる平安の古刹へ

JR嵯峨野線(山陰本線)の嵯峨嵐山駅の西方向にそびえる小倉山は、藤原定家が『小倉百人一首』を編纂したと伝わる場所だ。その山麓に二尊院はある。散歩するようにのどかな道を歩いていけば、30分ほどで総門に到着する。重厚な構えの門は、1613年(慶長18)に京都の豪商・角倉了以(すみのくらりょうい)が、伏見城の薬医門を移築したという。門からまっすぐ延びる広い参道は「紅葉の馬場」と呼ばれ、約100mの間にモミジと桜が交互に植えられ四季折々に美しい。総門そばに拝観受付があり、すぐ近くには「西行法師庵の跡」の石標が立っている。平安時代末期から鎌倉時代の動乱を歌人として生きた西行もこの地に庵を結んだようだ。

総門の奥に「紅葉の馬場」がある 総門の奥に「紅葉の馬場」がある

青紅葉も美しい「紅葉の馬場」 青紅葉も美しい「紅葉の馬場」

本堂に安置される2体の仏像が寺名の由来

馬場の先、門戸を開く勅使門(唐門)をくぐれば本堂は目の前だ。二尊院の正式名称は小倉山二尊教院華台寺(おぐらさんにそんきょういんけだいじ)といい、天台宗の古刹。平安時代初期、嵯峨天皇の命によって慈覚大師が開いたという。嵯峨天皇は嵯峨野の地を愛で、のちに大覚寺となる嵯峨離宮を造営した天皇だ。寺名は釈迦如来と阿弥陀如来の二尊の本尊を祀ることに由来する。釈迦如来はこの世からあの世へと送り出してくれる「発遣(ほっけん)の釈迦如来」、阿弥陀如来が迎えに来て確実にあの世へと導いてくれる「来迎(らいごう)の阿弥陀如来」という。二尊は鎌倉時代の作とされ、ほぼ左右対称の姿だが衣の意匠に違いが見られる。

向かって右が釈迦如来、左が阿弥陀如来 向かって右が釈迦如来、左が阿弥陀如来

優美にたたずむ本堂と伝説が語り継がれる庭

室町時代の応仁・文明の乱により諸堂はすべて焼失してしまった二尊院だが、公家の三条西実隆(さんじょうにしさねたか)の支援を得て再建した。本尊が安置されている本堂は、京都御所の紫宸殿を模して建てられたという。掲げられている「二尊院」の文字は、お寺の再興を祝って後奈良天皇が直々にしたためたものだ。2016年(平成28)に約350年ぶりとなる大改修が完了し、壮麗なたたずまいが再びよみがえった。本堂南の石庭「寂光園」は極楽浄土の世界を表し、前庭は「竜神遊行の庭」と名づけられ、龍女の伝説をもとに作庭されたのだとか。庭を取り囲む円形の低い垣は「二尊院垣」と呼ばれ、蛇腹を表すという。

本堂からお庭を眺めた風景。円形の「二尊院垣」が印象的 本堂からお庭を眺めた風景。円形の「二尊院垣」が印象的

本堂へと続く勅使門。かつては天皇の使いである「勅使」のみが通れた 本堂へと続く勅使門。かつては天皇の使いである「勅使」のみが通れた

『小倉百人一首』の選者・藤原定家が愛した地

本堂の西の山中には、藤原定家が営んだ「時雨亭(しぐれてい)」があったとされ、石の台座が残っている。時雨亭は近くの常寂光寺や厭離庵(えんりあん)の辺りにあったともいわれるが、とにかく定家は小倉山の風景を好んで『小倉百人一首』を山荘にて編纂したという。また、境内には「小倉餡発祥之の地」と刻まれた石碑があり、「小倉あん」が小倉山のふもとで生まれたことを示すもので興味深い。墓地には土御門天皇、後嵯峨天皇、亀山天皇の分骨を納めたという旧三帝陵(きゅうさんていりょう)があり、旧摂関家の二条家や鷹司家、三条家、四条家、豪商の角倉家、香道の創始者・三条西家など、そして坂東妻三郎のお墓もあり、それぞれの菩提寺となっている。

「しあわせの鐘」と呼ばれる鐘楼。3回撞いて幸せを願う 「しあわせの鐘」と呼ばれる鐘楼。3回撞いて幸せを願う

スポット詳細

住所
京都府京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町27
電話番号
0758610687
時間
9:00-16:30
休業日
無休
料金
[拝観料]中学生以上500円、小学生以下無料
駐車場
あり(6台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
0-30分
ペットの入店

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 新緑の二尊院
    4.0 投稿日:2022.07.08
    嵯峨天皇の勅願を受けた慈覚大師による建立を起源とする1200年以上の名刹で、その名の通り釈迦如来と阿弥陀如来の二尊が祀られています。古来より歴代天皇や公家との関りが深く、天台宗・真言宗・律宗・浄土宗の道場としても繫栄し、鎌倉時代には法然が居を構えて説法したとのことですが、江戸時代後期以降は天台宗寺院です。閑静な小倉山山麓の境内は、伏見城から移築された総門、紅葉の名所と謳われる馬場、築地塀、石庭...
  • 本堂前から「紅葉の馬場」を振り返ってみましょう
    5.0 投稿日:2022.06.13
    嵯峨野の奥の方というんでしょうか。常寂光寺から北へ向かうと、二尊院がありました。二尊院は、小倉山の中腹にたたずむ素敵なお寺でした。 二尊院の入り口である総門から境内に入ります。そこから、「紅葉の馬場」と呼ばれる場所があり、その真ん中を走る参道は、ゆるやかに登っています。登り切った場所に本堂などのお堂が建っていました。その本堂前から今歩いてきた参道を振り返ってみてください。この「紅葉の馬場」は...
  • 紅葉時期は素晴らしかったが・・
    3.0 投稿日:2022.06.12
    ここは紅葉の季節でないと・・普段は然程のも のでもなかった。新緑も最近の猛暑で今一つ、新鮮さに欠ける程度だし・・・本尊が2つあると云うこと以外はあまり知人に説明することもなかった。愛宕念仏寺からの帰りについでに立ち寄りました。

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