永観堂 禅林寺

寺院

「みかえり阿弥陀」の思いやりと深き慈悲に包まれて

古来「もみじの永観堂」と称えられてきた古刹。平安貴族も和歌に詠んだ風光の地は時の文化人も虜にしてきた。見返る姿をした仏像「みかえり阿弥陀」が安置されることでも知られている。

東山の山並みに抱かれるように建つ伽藍} 東山の山並みに抱かれるように建つ伽藍

山懐に抱かれて長い歴史を紡ぐ古刹

南禅寺・永観堂前でバスを降り、東へ向かうとほどなくして若王子(にゃくおうじ)山を背にした永観堂の総門が見えてくる。歴史を感じる総門や中門を経た先には、広々として開放的な境内が広がっている。拝観受付を済ませ、大玄関からは釈迦堂や開山堂、御影堂や阿弥陀堂といった諸堂が回廊でつながっているので、順にお参りができるようになっている。永観堂は正式名称を禅林寺といい、浄土宗西山禅林寺派の総本山で、南禅寺の北に位置している。863年(貞観5)に空海(弘法大師)の弟子の真紹(しんじょう)が、第56代・清和天皇の許しを得て寺院を建立したのが始まりで、千年以上の歴史を重ねてきた古刹だ。

優美な唐破風屋根を備えた唐門(勅使門)} 優美な唐破風屋根を備えた唐門(勅使門)

釘を使わずに組み立てられたという臥龍廊。近くに水琴窟もある} 釘を使わずに組み立てられたという臥龍廊。近くに水琴窟もある

思いやりの声をかけてくれた仏様

創建から時を経て住職となった永観(えいかん、ようかん)が寺院再興に尽力し、また経済的に困窮する人びとを救ったことから、いつしか寺名は通称「永観堂」と呼ばれるようになったのだとか。本堂(阿弥陀堂)に安置される本尊は、平安時代後期に刻まれたという阿弥陀如来立像で「みかえり阿弥陀」と呼ばれ、左うしろのほうへ振り返る珍しい姿をしている。1082年(永保2)のある日の早朝、永観が念仏を唱え修行をしている最中、壇上から下りた阿弥陀如来が先導をはじめ、驚いて立ち尽くす永観に、左に見返り「永観、おそし」と呼びかけたのだとか。この言葉が語り伝えられ、のちに見返る姿をした像が多くの信仰を集めることになったという。見返る阿弥陀様の姿は遅れるものを待つやさしさ、思いやり深く周りを見つめる姿を表しているという。

本尊・みかえり阿弥陀を安置する阿弥陀堂。復元された彩色が美しい} 本尊・みかえり阿弥陀を安置する阿弥陀堂。復元された彩色が美しい

境内には伝説や不思議がたくさん

諸堂を巡るお参りの最中には、永観堂の七不思議も確認してみよう。たとえば、対面所(孔雀の間)の欄間には雀と燕が計30羽描かれていたはずなのに、1羽がいなくなったという「抜け雀」や、持っていれば3つの福を授かるという「三鈷(さんこ)の松」などだ。この松の葉は長くて3本ある珍しいもの。若王子山の中腹に立つ多宝塔からは、京都の街並みを一望できるので上がってみよう。本尊の阿弥陀如来がお祀りされている本堂は、永観堂で最古の建物といい、慶長年間(1596-1615年)に大坂から移築された。諸堂をはじめ境内には見どころがたくさんあるので、ゆっくりまわって拝観したい。

庭園のみならず建物内部を彩る襖絵も見どころだ} 庭園のみならず建物内部を彩る襖絵も見どころだ

昔から多くの称賛を受けてきた景色

古くからモミジの美しさで知られ、平安時代初期にはすでに『古今和歌集』にも詠まれるほどであった。現在、境内のカエデは3000本を超えるといい、秋のモミジもさることながら、夏の青モミジも鮮やかな緑で堂宇を染める。放生池(ほうしょうち)を中心にした庭園を巡り、境内の風景も楽しみたい。放生池越しに眺める多宝塔は絵になる景色のひとつだ。池の周りをたどると、明治の歌人・与謝野晶子が訪れたときに詠んだ歌碑も見つけることができる。永観堂は南禅寺から歩いて5分ほどなので、周辺を散策しながら訪れるのもおすすめだ。

京都屈指の紅葉名所。秋には夜間拝観も行われる} 京都屈指の紅葉名所。秋には夜間拝観も行われる

緑がまぶしい新緑の頃もおすすめだ} 緑がまぶしい新緑の頃もおすすめだ

スポット詳細

住所
京都府京都市左京区永観堂町48 map map 地図
電話番号
0757610007
時間
9:00-17:00(最終受付16:00)
休業日
無休
料金
【拝観料】
[一般]600円
[小・中・高生]400円
※秋の寺宝展開催時を除く
駐車場
あり(15台)
※寺宝展期間中は利用不可
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可

情報提供: ナビタイムジャパン

このスポットを紹介している記事

クチコミ

  • 何処を切り取っても絵になります
    5.0 投稿日 : 2023.02.22
    東山にある紅葉の名所です。南禅寺から鹿ケ谷通をまっすぐ北に行けば直ぐです。紅葉の時期であれば周辺が大混雑しているので、直ぐに判ると思います。紅葉の永観堂と謳われるだけあって、本当に紅葉は目を見張るほど美しいです。紅葉を目当てに何度も訪問していますが、何度来ても飽きません。総門から中門にかけての白塀から覗く紅葉は期待を高めてくれますし、諸堂から見える庭園の紅葉も美しいです。特に、御影堂からの紅葉越...
  • 紅葉の名所
    4.0 投稿日 : 2022.12.06
    京都に数多くある紅葉の名所の一つ。秋になると観光客でいっぱいになる。他の寺院と同様、紅葉の期間は拝観料が割増しになったりするが、永観堂の紅葉は1000円を出しても一軒の価値がある。南禅寺や平安神宮から近いので、組み合わせて訪れるといい。
  • 燃えるような紅の紅葉
    5.0 投稿日 : 2022.11.30
    正式名称:聖衆来迎山 無量寿院 禅林寺 「南禅寺永観堂道」バス停で下車し徒歩数分で到着しました。訪問した際には天候も良く陽を浴びた紅葉の葉は燃えるような紅でした。紅葉散策だけであれば高低差がなく歩けるためほぼバリアフリーです。

TripAdvisorクチコミ評価

もっと見る

アクセス

map map 地図

最寄り

          周辺の駅はありません。 周辺のバス停はありません。 周辺の駐車場はありません。 周辺のインターチェンジはありません。

          このスポットを共有

          back

          クリップボードにコピーしました