柴田慶信商店
呼吸をする弁当箱「白木の曲げわっぱ」作りを体験
自分で作る曲げわっぱは愛着もひとしお
木を曲げて加工する木工品のなかで、唯一、国の伝統的工芸品に指定されている「大館曲げわっぱ」(2022年時点)。大館市内には曲げわっぱの製造・販売所がいくつかあり、なかでも「柴田慶信商店」は、創業当時から変わらず無塗装(白木)にこだわっているのが特徴だ。杉の木の長所である調湿作用や抗菌効果を生かした白木の器は、食材のおいしさを最大限に引き出してくれる。弁当箱の場合、適度にご飯の水分を吸ってくれるので、ご飯が冷めてもふっくらしたやわらかさをキープしてくれる。パン皿も同様で、焼きたてのトーストを置いてもお皿と接する部分が湿気てしまうことなく、サクサクの状態で味わうことができる。また、杉の抗菌効果によって弁当の中身が傷みにくいのもうれしいポイント。そんな曲げわっぱ弁当箱とパン皿の製作体験をしてみよう(要予約。対象は小学校低学年以上)。
ていねいな作業がきれいな仕上がりへのカギ
同店はJR大館駅前のわっぱビルヂング1階にあり、店舗の一角に体験スペースを設けている。初めに、製作の大まかな流れについて説明を聞き、体験がスタート。最初の工程は、80℃のお湯に浸けた部材(薄くスライスした杉の木)を持ち、両手でぐっと力を入れて型にあわせて輪を作る「曲げ加工」。柔軟性の高い天然杉は曲げやすく、加工中に割れたり、削げたりすることが少ないのだそう。次に、輪っかのつなぎ目部分を薄くて丈夫な山桜の木皮でとじる「樺綴じ(かばとじ)」を行う。そして底板の周りに接着剤(食品衛生法に適合)を付け、曲げ加工をした部材に木槌(きづち)を使って底板をはめこむ「底入れ」作業に入る。はみ出た接着剤は、布の表と裏を使い分け、細かな部分は木の細い棒を使いながらきれいに拭き取っていく。後半は鉋(かんな)を使った面取りや、やすりがけなど細かい仕上げ作業をして完成だ。体験中、大館曲げわっぱの歴史や豆知識を教わると、曲げわっぱがいっそう身近なものに感じられる。
長く使うためには正しい使用方法で
同店の曲げわっぱは無塗装のため、使い方にコツがある。弁当箱を使用するときは、内側をサッと水で濡らし、乾いた布で軽く拭いてから食品を入れる。こうすることで、においや汚れ、ご飯粒などがこびりつくのを防ぐことができる。使い終わったら、研磨剤入りのクレンザーかクエン酸を使いタワシでゴシゴシ洗う(漂白剤や中性洗剤は使わないこと)。洗ったあとは十分にすすぎ、時間をかけて完全に乾かす。体験後には手入れ方法のリーフレットをもらえるので、よく読んで大切に使いたい。ていねいに手入れをすることで20年でも30年でも長く使うことができる。同店では、長らく愛用した曲げわっぱに「シバキ塗り(漆塗り)」を施し生まれ変わらせるサービスを行っている。年月が経つとあめ色に変化してくるので、さらに愛着を感じることだろう(曲げわっぱ製作体験は、現在予約受付中止している。詳細は問い合わせを)。
スポット詳細
- 住所
- 秋田県大館市御成町1-12-27 地図
- エリア
- 十和田八幡平・白神エリア
- 電話番号
- 0186597123
- 時間
- 10:30-17:00(体験は要事前電話申し込み)
- 休業日
- 火
情報提供: ナビタイムジャパン