泉屋博古館

美術館

住友が誇る青銅器が一堂に会したミュージアム

選りすぐりの名品がそろう住友コレクションの古代中国青銅器。4つのテーマに沿って展示された青銅器の精緻な装飾がすばらしい。ミュージアムの落ち着いた建築空間も魅力のひとつとなっている。

第一室にはミュージアムの顔ともいえる青銅器の名品がそろう} 第一室にはミュージアムの顔ともいえる青銅器の名品がそろう

始まりは住友グループが賓客をもてなした迎賓施設

館名の「泉屋」は、江戸時代に住友家が銅の精錬業を営んでいた当時の屋号だ。鉱山の経営なども手がけ、この分野ではゆるぎない地位を築いていた。その後、明治維新を迎えた住友家に新しい風が吹く。第15代当主・住友吉左衞門(春翠)は、社会文化事業を重んじ、芸術文化にも高い関心があった。煎茶を嗜むことをきっかけに青銅器に興味を持ち、家業の産銅にもちなむことから青銅器の収集を始め、春翠の青銅器コレクションは世界でも有数のものとして高く評価された。春翠はこれらを広く公開したり図録を刊行するなどして、研究分野にも大きく貢献した。そうしてこれら青銅器コレクションは保存・公開のため財団に寄贈され、現在の1号館が完成したのは1970年(昭和45)。当初は住友グループが大阪万博を訪れる賓客をもてなすための迎賓施設として使われ、本格的な一般公開が始まったのは1981年(昭和56)のことであった。

入り口の付近の地面には、廃線となった京都の市電の敷石が敷き詰められている} 入り口の付近の地面には、廃線となった京都の市電の敷石が敷き詰められている

国宝や重要文化財を含む青銅器コレクション

1号館では、3000年以上前の殷の時代からの青銅器コレクションがテーマに沿って展示されている。第一室では、住友コレクションのなかでも歴史的にも造形的にも優れた名品を厳選して展示。展示室に入ると青銅器の太鼓『夔神鼓(きじんこ)』に施された怪物が両手を広げて迎えてくれる。第二室には祭や儀式に使われた食器、酒器、楽器、水器などを展示。青銅器は特別な道具であったことが繊細かつ複雑な造形から見てとれる。第三室は毎年テーマを設けて企画展示、たとえば取材時のテーマは中国古代の説話と文様。古代の人々が青銅器に込めた物語や思想的な背景を知ったうえで青銅器を見るとおもしろみも倍増。最後の第四室は青銅文化の展開。秦漢時代以降の新しい青銅器や銅鏡を中心に紹介する。

第一室の『夔神鼓』の『夔』はその皮で太鼓を作ると、叩いた音が五百里先まで届くという怪物} 第一室の『夔神鼓』の『夔』はその皮で太鼓を作ると、叩いた音が五百里先まで届くという怪物

第二室ではレプリカの楽器を実際に叩いて音を出すこともできる} 第二室ではレプリカの楽器を実際に叩いて音を出すこともできる

第三室の『虎卣(こゆう)』。虎が人を飲み込もうとしている} 第三室の『虎卣(こゆう)』。虎が人を飲み込もうとしている

第四室には社会の教科書でおなじみの銅鏡がずらりと並ぶ} 第四室には社会の教科書でおなじみの銅鏡がずらりと並ぶ

青銅器の美と出合う空間、建築にも注目を

迎賓施設として誕生した泉屋博古館は、歴史的な品々を鑑賞するための物語性、賓客をもてなすための優美性、春翠が邸宅を設けたゆかりの地であることを考慮して設計された。1号館は東山のふもとに位置することから土地の高低差を生かした意匠。ガラス張りのロビーからは芝生の美しい中庭が広がり、その先には2号館。1号館竣工から15年後に絵画や茶道具の展示に対応するため増設され、今では企画展の会場として使われている。また、鹿ケ谷通(ししがたにとおり)に沿っては森のような前庭「泉屋博古の庭」が。せせらぎの水源となる泉には住友の商標である井桁をイメージした造形がなされ、高くそびえる檜は銅精錬事業を支えた愛媛県別子銅山から移植されたものである。

撮影:守屋友樹\2号館は平屋建てのシンプルなデザイン} 撮影:守屋友樹\2号館は平屋建てのシンプルなデザイン

11代目小川治兵衞(おがわじへい)が作庭した泉屋博古の庭} 11代目小川治兵衞(おがわじへい)が作庭した泉屋博古の庭

スポット詳細

住所
京都府京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24 map map 地図
電話番号
0757716411
時間
10:00-17:00(最終入館16:30)
休業日
月(祝日の場合は翌平日)、展示替期間、年末年始、臨時休館
駐車場
あり(10台)
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、DISCOVER、Diners Club)
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、Kitaca、toica、manaca、ICOCA、SUGOCA、minoca、はやかけん)
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
可(敷地内喫煙所は屋外に一箇所)
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
60-120分
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい
備考
※改修工事のため、2024年は休館いたします。

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 素晴らしい
    5.0 投稿日 : 2022.06.19
    泉屋博古館の「東洋の美を彩る素材」に行きました。建物もお庭も素敵ですし、何より常設の青銅器のコレクションが素晴らしい。素人でも驚くレベルですが、詳しい方が見たら興奮が止まらないのではと思います。企画展よりこちらのほうが楽しめました。
  • 雨の日も楽しめます
    5.0 投稿日 : 2022.05.01
    新緑の京都を訪れましたが、あいにくの雨。以前訪れたここのお庭を思い出して再訪しました。以前と同じく、訪れる人も少なく、大画面でお庭を眺められるラウンジも無料のホットドリンクでゆっくりでき、雨の日も存分に楽しめる美術館でした。大人にお薦めのスポットです。
  • 私は庭園を味わいに行っただけです
    3.0 投稿日 : 2021.06.11
    財閥所有の美術品が展示されています。美術品には造詣も浅く、興味もないがここの庭園は素晴らしかった。昨今の物珍しさだけの造園じゃなくて、ここは小川治兵衛作の由緒ある庭園でした。紅葉時期が特に素晴らしい場所です。ここに800円も出して何度も入館する意思は無かったのだが、観光案内の市外の方々のリクエストで仕方なく帯同しました。

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アクセス

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最寄り

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