波佐見町 陶郷中尾山

伝統的町並み/家並み

レンガ造りの煙突、陶磁器の橋……陶磁器で栄える美しい山里

陶磁器で有名な波佐見町のなかでも多くの窯元が集まる中尾山は、「やきものの町」ならではの珍しくも懐かしい景色が広がる。器探しや陶芸体験などいろいろな楽しみ方のできる場所だ。そぞろ歩きながらその魅力に触れてみよう。

「中尾山展望所」からはこの町の全景を望める} 「中尾山展望所」からはこの町の全景を望める

この土地だからこそ「やきものの町」は誕生した

中尾山は山に囲まれた小さな集落で、創始は17世紀中頃。陶石が採掘できたこと、土地に傾斜があること、陶芸に必要な水が河川から手に入ったことなどの立地条件が非常に適していたことから、陶磁器が作られるようになったという。今でも多くの窯元が集まるこの地では、坂道を上っていくと工房やギャラリー、赤レンガの煙突がいたるところに見られる。細い路地、瓦屋根の家々からは古きよき昭和の懐かしい香りが漂う。磁器を使った橋も架かり、この土地の個性が感じられる。中尾山では4月上旬に「桜陶祭(おうとうさい)」、10月下旬には「秋陶めぐり」を開催。どちらも地域一帯を散策しながら工房巡りを楽しむイベントだ。お茶の振る舞いを受けながら窯元の人たちと会話をしたり、オリジナルの磁器に入ったお弁当(陶箱弁当、要予約)が購入できたりと、買い物以外の楽しみも多く、例年多くの人で賑わっている。

空高く伸びる煙突を町のあちこちで見かける} 空高く伸びる煙突を町のあちこちで見かける

橋の欄干(らんかん)や柱に磁器が使われていて優美だ} 橋の欄干(らんかん)や柱に磁器が使われていて優美だ

世界最大級の巨大な登り窯がこの中尾山に!

中尾山には、現在確認されているなかで世界第一の規模を誇る全長約170mの登り窯「大新登窯跡(おおしんのぼりがまあと)」と、全長約160mで世界第2位の「中尾上登窯跡」が残っている。これらの窯で作られた磁器は「くらわんか碗」として日本各地に流通したばかりではなく、「コンプラ瓶」としてオランダをはじめとするヨーロッパ諸国へと運ばれていった。「くらわんか碗」とは、元禄年間(1688-1704年)から幕末まで波佐見で大量生産していた器だ。大阪-京都の淀川で「あん餅くらわんか、酒くらわんか」と小舟で行商していた者たちが使っていた、使い捨てされるほど安価だった器を由来とする。「コンプラ瓶」は、海外輸出用の醤油や酒などを入れていた瓶。波佐見で生産されたコンプラ瓶は長崎へ運ばれて中身が詰められたあと、海外へと旅立っていった。日本の輸出の一端をこの登り窯は支えていたのだ。1992年(平成4)から発掘調査が始まった「中尾上登窯跡」は整備が進み、今は自由に見学できるようになった。実際に歩いてその大きさを体感してほしい。

1640年(寛永17)から1929年(昭和4)まで使われていたという「中尾上登窯跡」。窯室は33室ある} 1640年(寛永17)から1929年(昭和4)まで使われていたという「中尾上登窯跡」。窯室は33室ある

せっかく「やきものの町」へ来たのなら、陶芸体験してみよう

広川原通りを上り切ったところにある「中尾山伝習館」では、クレヨン絵付けや筆絵付けといった陶芸体験を楽しむことができる。クレヨン絵付けは10色のクレヨンを使って素焼きの器に好きな絵を描いていくもの。器は数種類から好きなものを選ぶことができ、器によって値段が変わる(体験料は2500円-)。手軽で年齢制限もないので、幼児でも楽しめる。筆絵付けは絵筆を使い、波佐見焼き特有の「呉須(ごす)」という藍色で器を彩っていくもの。鉛筆で下書きをしたあとに、濃淡の違う2種の染料で描いていく。筆の立て方で線の太さが変わり、重ね塗りすることで絵柄の表情が変化するのでおもしろい。「ろくろ」を使ったら円形も正確に描ける。

「中尾山伝習館」の体験の様子。筆絵付け(体験料2000円-)も3種類の皿やサラダボウルなど好きな器から選べる} 「中尾山伝習館」の体験の様子。筆絵付け(体験料2000円-)も3種類の皿やサラダボウルなど好きな器から選べる

焼き上げてもらった作品を後日郵送してもらうため、送料が別途必要。直接取りに行くことも可能} 焼き上げてもらった作品を後日郵送してもらうため、送料が別途必要。直接取りに行くことも可能

中尾山の全窯元の作品がそろうギャラリーで自分好みの器を発見!

「中尾山伝統館」向かいの「中尾山交流館」もぜひ立ち寄ってほしいスポット。中尾山のやきものに関する歴史史料や古陶磁器が見られるほか、地元の人たちが運営しているギャラリーもある。このギャラリーでは、中尾山内にある全16の窯元と1か所の個人運営の工房の商品が一堂にそろう。それぞれの窯ごとに作風がガラリと違うことがわかるはずだ。お気に入りが見つかったらその場で購入することもできるが、直接窯元まで行ってさらにいろんな作品を見て回るのがおすすめ。ギャラリーのある2階のテラスでは中尾山の景色を一望できる。地元の人たちと会話しながら地域のこと、中尾山の歴史のこと、器のことなどを教えてもらうのも楽しみのひとつ。中尾山の温かな地域性に触れられる場所だ。

中尾山には駐車場が少ないが、この施設には10台ほどの駐車スペースがあって便利} 中尾山には駐車場が少ないが、この施設には10台ほどの駐車スペースがあって便利

スポット詳細

住所
長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷 map map 地図
電話番号
0956852273

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • コロナで平日、訪問者少なく、窯元の集まるのんびりした焼きものの郷
    4.0 投稿日 : 2020.07.02
    有田焼に隣接する波佐見焼、ICは、共通。 その陶磁器の町 江戸期の日常生活用品の大量生産で全国を制覇した「波佐見焼」の中でも、今も中小の窯元が集まる中尾山。世界最大級の1・2位の登窯跡や、煉瓦造りの煙突、陶器やその破片で構成された、歩道や欄干の路地など、登窯跡に登れば、小さな街を一望できます。 好みの窯元に、気楽に入って 今では、伝統とともに芸術的、創造的な作品を見て回り、お得な買い物をする...
  • 静かな山
    5.0 投稿日 : 2019.11.26
    波佐見焼のショップをいくつか見てまわった後に、車で中尾山を登りました。途中たくさんの窯元の名前が書いたプレートが並んでいました。車を駐車する場所がわからず一番上まで一気に登ってしまいましたが、お目当ての窯元があれば事前に調べてから行ったほうがいいです。山頂から煙突を眼下に見ると雰囲気がありました。
  • 公衆トイレまでおもてなし感あり
    5.0 投稿日 : 2019.11.06
    普段は波佐見の町の中?の西海陶器さんなどに行くのですが、西海さんで見つけた器の窯元をどうしても訪れてみたくなり、中尾山へ。静かでのどかでとても良い集落でした。お手洗いに行きたくなり探したら公衆トイレがありました。とてもきれいに保たれておりこの町の皆さんの心意気を感じました。また必ず伺います

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