MIRAIZAKA OSAKA-JO

元第四師団司令部庁舎をリノベーションした「MIRAIZA OSAKA-JO」

大阪城天守閣近くに誕生した複合施設

大阪城の天守閣がある本丸跡へ行くには、南側の桜門と北側の極楽橋の2つのルートがある。メインルートともいうべき桜門をくぐり抜けて本丸跡に足を踏み入れると、真正面に天守閣が現れると同時に、右手にクラシックな近代建築が目に入ってくる。2017年(平成29)にオープンした複合施設「MIRAIZA OSAKA-JO(ミライザ大阪城)」である。地上3階地下1階の建物で、カフェや土産物店、大阪城の歴史を紹介する展示室「特別史跡 大阪城跡」のほか、忍者グッズや戦国グッズのそろう「忍屋」、海洋堂の人気のフィギュアが勢ぞろいした「海洋堂フィギュアミュージアム　ミライザ大阪城」など、人気の施設も入居している。大阪城公園は非常に広く、天守閣周辺には休憩できる施設が少ないので、歩き疲れたときはぶらっと立ち寄ってみるのもいいだろう。

大阪城天守閣は目と鼻の先。見学時の休憩にちょうどいい

陸軍の司令部として建設された昭和初期の近代建築

「MIRAIZA OSAKA-JO」として使われている建物は、昭和天皇即位記念として、大阪城天守閣とともに1931年(昭和6)に市民の寄付によって建てられた。ヨーロッパの古城を思わせるロマネスク様式の洋風建築であり、竣工後は陸軍第四師団司令部庁舎として使われている。第四師団は大阪鎮台の流れを汲む、大阪を本拠地とする歩兵師団であり、庁舎完成前は同じ本丸跡にあった紀州御殿(和歌山城二の丸御殿の一部が1885年(明治18)に移築されたもの。現存しない)に司令部があった。第二次世界大戦後、司令部庁舎は警察の庁舎を経て、1960年(昭和35)から2001年(平成13)まで大阪市立博物館として使われている。その後は16年間にわたり、ほぼ使われていない状況であったものの、改修工事を経て2017年(平成29)に「MIRAIZA OSAKA-JO」として生まれ変わったのである。

建物内にはいたるところに昔の写真が飾られている

2階～屋上階は、レトロな雰囲気と眺望を満喫できるレストラン

元司令部庁舎として建てられただけあり、外観はもちろん、内部も正面の階段や天井のアーチ、照明や窓枠などの意匠はとても見ごたえがある。2階と3階・屋上階は「THE LANDMARK SQUARE OSAKA(ざらんどまーくすくえあおおさか)」として運営され、レストランやパーティ会場などに使われているが、結婚式が行われている際には、正面の階段で記念撮影するカップルを見かけることもできるだろう。また2階のレストラン「crossfield with TERRACE LOUNGE(くろすふぃーるどうぃずてらすらうんじ)」は、かつての貴賓室や、貴賓室からつながるテラスラウンジでの食事が可能。そして屋上階の「BLUE BIRDS ROOF TOP TERRACE(ぶるーばーずるーふとっぷてらす)」(冬季休業)では、BBQを楽しみながら、大阪城天守閣を一望することができる。

風格ある正面の階段。ドラマのロケなどでも使用される

展示室「特別史跡 大阪城跡」では、ボランティアガイドによる解説を聞くこともできる