京都市学校歴史博物館

博物館/科学館

ノスタルジックな元小学校で学ぶ、京都の教育の歴史

日本で最初に学区制小学校がつくられた京都。日本で最初に学区制小学校がつくられた京都。旧暦の明治2年である1869年2月11日~1870年1月31日の間に開校した64の小学校は、「番組小学校」と呼ばれた。そんな番組小学校をはじめとする京都の教育の歴史を知ることができるのが、「京都市学校歴史博物館」だ。

写真提供:京都市学校歴史博物館\正門は1901年(明治34)に建築された高麗門で、1918年(大正7)築の石塀とともに国の登録有形文化財に登録されている} 写真提供:京都市学校歴史博物館\正門は1901年(明治34)に建築された高麗門で、1918年(大正7)築の石塀とともに国の登録有形文化財に登録されている

昭和初期に建てられた元小学校を改修

京都市学校歴史博物館へは、阪急電車の京都河原町駅から徒歩10分。10番出口を出て御幸町通を南へ2筋ほど進めば、佛光寺通とぶつかる。佛光寺通を越えてさらに進めば、敷地をぐるりと囲む大きな石塀が見えてくる。これが京都市学校歴史博物館だ。まるでお寺やお城の入り口のようなどっしりとした正門は、大きな石塀とともに国の登録有形文化財に登録されている。正門をくぐると広がるのは、グラウンドとレトロな学校の校舎のような建物。実はこの京都市学校歴史博物館は、番組小学校のひとつである元「開智(かいち)小学校」を改修した施設なのだ(建物は昭和初期に建造)。ノスタルジックな雰囲気をそのまま感じられるのも、この施設の魅力だ。

ミュージアムグッズである昔懐かしいアルマイト食器セット300円。4点がセットになっている} ミュージアムグッズである昔懐かしいアルマイト食器セット300円。4点がセットになっている

京都の危機を救った「教育」

そもそも番組小学校とは、衰退の一途をたどる明治期の京都を救うため、主に京都の町衆たちの熱意によりつくられた教育の基盤となったもの。当時は、幕末の動乱による戦禍や明治維新後に明治天皇が東京へ行ったことなどから、京都は急速に衰退していったという。そんな京都を復興させるため、京都の人たちは琵琶湖疏水事業や勧業政策などさまざまな近代化政策を実施してきたが、なかでもとりわけ力を入れたのが「教育」であった。京都の人たちは、「まちづくりは人づくりから」との信念により、日本で最初の学区制小学校である64校の「番組小学校」を開校。これは、1872年(明治5)の学制公布に先立ってのことであった。

歴史の順に、教育についての資料を展示する} 歴史の順に、教育についての資料を展示する

幕末から戦後の教育にまつわる資料が集結

常設展の展示室に入ると、エントランスにある「学校のたからもの」コーナーに目を奪われる。なんと北大路魯山人(きたおおじろさんじん)、楠部彌弌(くすべやいち)、5代目清水六兵衛(きよみずろくべえ)といった京都を代表する芸術家の作品が並んでいるのだ。実はこちらは、それぞれの芸術家が自身の出身校などに贈ったもの。京都の学校には、その学校の卒業生や学区の住人である芸術家たちから寄贈されたものを含む美術品や工芸品が、約1000点も所蔵されているのだとか。こうした一面も数多くの芸術家や文化人を生んだ京都ならではといえる。エントランスの向かいには、映像ホールがあり、番組小学校の誕生やその歴史、教育の特徴などを紹介する映像を観ることができる。映像ホールを抜けるといよいよ教育に関する資料の展示である。「幕末の学校」「小学校と市民の情熱」「明治時代の教育」「伝統産業と学校教育」「大正・昭和初期の教育」「戦時中の教育」「戦後の教育」などと、時代やテーマに沿ってエントランスや映像ホールを含め15のコーナーに分かれているので、理解を深めながら次の展示に進むことができる。

左から楠部彌弌、北大路魯山人、5代目清水六兵衛の作品} 左から楠部彌弌、北大路魯山人、5代目清水六兵衛の作品

どこか懐かしい木製の椅子が並ぶ映像ホール} どこか懐かしい木製の椅子が並ぶ映像ホール

寺子屋で使われていた貴重な本} 寺子屋で使われていた貴重な本

教科書を通して感じる歴史の流れ

どの展示も興味深いが、なかでも目を引くのは明治初期から昭和後期までの各時代の教科書が並ぶ、「教科書の部屋」だ。ずらりと並ぶ教科書(レプリカ)は実際に手にとって見ることができる。番組小学校開設当時の教科書である「論語」や、1904年(明治37)に誕生した「国定教科書」、戦時中に使用された「墨塗り教科書」などさまざま。意外とカラフルでかわいらしい装丁の教科書もあるなど、教科書を通して歴史の流れを感じることができる。ほかにも、学校給食の歴史と移り変わりを知ることができるメニューサンプルの展示も人気。現代との違いや共通点を探してみるのもおすすめの楽しみ方だ。各展示コーナーには、年齢にあわせた子ども向けの解説パンフレットが用意されているので、そちらもぜひチェックしてみて。

各時代の教科書が並ぶ。明治期の教科書は文字が多く、時代が進むとイラストなどが描かれ明るい雰囲気に} 各時代の教科書が並ぶ。明治期の教科書は文字が多く、時代が進むとイラストなどが描かれ明るい雰囲気に

1970年(昭和45)の給食メニューサンプル。脱脂粉乳が廃止され、瓶入りの牛乳に変わった頃のもの} 1970年(昭和45)の給食メニューサンプル。脱脂粉乳が廃止され、瓶入りの牛乳に変わった頃のもの

スポット詳細

住所
京都府京都市下京区御幸町通仏光寺下る橘町437 map map 地図
電話番号
0753441305
時間
9:00-17:00(最終入館16:30)
休業日
水(休日の場合は翌平日)、12/28-1/4
料金
【入館料】
[大人]300円
[小人(小・中・高)]150円
※企画展・特別展期間中は、大人の入館料が変更になる場合があります。
駐車場
なし

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 個人的興味からは全く入る気はしませんでした・・・私の小学校も左京区では一番古い部類の学校でしたが・・・
    2.0 投稿日 : 2021.02.28
    特定の日は無料で開放されます。2020年11月14日と15日は無料です。他の日でも建物の中へ入らなければ、この写真に写っているグランド、建物前までは無料で入れます。特別展とか建物内は有料となります。日本で最初に開設された小学校、幼稚園(開智)の跡地です。興味ある人には良いけど、こう云う古いだけの歴史的建造物には興味が無い(江戸時代以前は別にして)と云う私みたいな人間には有料で入る気はしませんでした...
  • 懐かしい給食コーナー。
    3.0 投稿日 : 2020.11.14
    知り合いに教えてもらい初めて訪問しました。1935年(S10)京都市営繕課により建てられた旧京都市立開智小学校跡に史料館として開館。校内の施設が残されて当時の様子が垣間見えます。教科書コーナー、給食の変遷が興味深かったです。原則禁止マークの場所は撮影禁止ですが、1階については記入申込で撮影許可が出ます。
  • ちょっとそこまで、京都市学校歴史博物館 ヘ !
    4.0 投稿日 : 2020.03.05
    京都には日本で最初に小学校が開設しています。この京都市学校歴史博物館は番組小学校に関する資料や卒業生などから学校に寄贈された数々の美術工芸品など貴重な品々を展示しています。きっと懐かしく感じ取れますよ。四条通りから御幸町通りを下がり仏光寺通を過ぎ西側にあります。

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アクセス

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