工場見学(うね乃本店)
「だし」の老舗で体感!「だし」のおいしさを学ぶワークショップ
120年の歴史ある老舗が行うワークショップ
世界遺産・東寺の近くある「うね乃本店」は、今からおよそ120年前に創業した「だし」の老舗だ。初代店主が滋賀県で、米と乾物の店を開いたのが始まり。2代目店主の頃に京都に移り、乾物を中心とした商いを始めるようになり、現在の当主は4代目。料亭や社寺の御用達を務める一方、一般の人にも「だしのおいしさを知ってもらいたい」とさまざまな形で発信をしている。「うね乃本店」のキッチンスペース「ODAIDOKO(おだいどこ)」で行うワークショップもその一環。予約すればだしの飲みくらべや座学など、だしをより身近に感じられる体験をできる。「だしのおいしい取り方を教えてほしい」「産地や素材によって異なる味わいを学びたい」など、個別のテーマも相談可能。教えてほしいテーマがある場合は、予約時にリクエストしてみよう。
組み合わせで味わいが深まる
この日はオーソドックスな「利きだしワークショップ」に参加。体験は1名からでも参加可能だ。初めに2種類の昆布のだしを飲み比べる。この日は利尻昆布と羅臼昆布のだしが登場。利尻昆布はすっきりとした味わいで、京都をはじめ関西で使われることが多く、一方の羅臼昆布は甘みのあるしっかりとした味わいで、関東で使われることが多いという。ちなみに、だしを取るには前日から8時間ほど水出しするのがおすすめだが、時間がない時は、60℃のお湯でも15分ほどで取ることもできる。ただし、それ以上の温度になると、えぐみが出てしまうので要注意だ。
昆布のだしを飲み比べたら、今度はそこにかつお節を入れる。それぞれを飲み比べると、味に深みが出ていることに驚かされる。複数の昆布同士をあわせてもおいしさが増すことは少ないが、昆布とほかの素材をあわせることによって、うまみが増すのだという。さらにこちらに塩を少し加えると、それだけで和風スープのようなおいしさを感じられる。
素材によって味わいが変わる「縁の下の力持ち」
ちなみに、だしに使われる「節」は、カツオが身近だが、さばやマグロ、うるめいわしなどさまざまあり、それぞれに味わいは異なる。また、複数をブレントしたり、削り方を変えるだけでも風味は異なってくるので、いろいろ試して好みを見つけるのも楽しい。「うね乃本店」では、あくまで「だし」は引き立て役で、主張し過ぎないことを大切にしている。「だしが利いている」と感じるのは、比較的「利き過ぎている」ことが多いそうで、だしが利き過ぎると素材そのもののおいしさを邪魔してしまうのだとか。また、だしとは本来、素材と調味料の間をつなぎ、味をまとめてくれる存在であるという。「うね乃本店」では、そうした考え方のもと、素材の味を引き立てるような、控えめでありながらも味わい深いだしを楽しんでもらえる商品を作り続けている。
併設の喫茶室でゆるりとした時間を過ごす
「利きだしワークショップ」の最後には、羅臼昆布とまぐろ節のだしにオリーブオイルを加えたもの、そこにトマトジュースを加えたもの、さらにブラックペッパーを加えたものをステップごとに飲み比べる。ステップごとに飲み比べることで、これといった味つけはしていないにもかかわらず、だしの存在によってしっかり調理された味わいになっていることを実感することができる。
「利きだしワークショップ」のあとは、隣接する工場見学へ。昔ながらの削り機を使ってかつお節を削っていく、職人の熟練の技を間近に見ることができる。削り立てのかつお節は試食も可能。その香り高さをぜひ堪能してほしい。またワークショップはお土産付きで、工場見学の際に、目の前で職人が削ってくれたかつお節を特別に持ち帰ることができる。120年続く老舗のワークショップに参加して、「だし」のおいしさを再発見してみよう。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン