ロームシアター京都

五花街の芸舞妓による日本舞踊公演が行われたこともある

思い出を未来につなぐ役割を担う

ロームシアター京都は、バス停の岡崎公園 ロームシアター京都・平安神宮で降りればすぐ目の前に位置する。北側には平安神宮があり、東隣には岡崎公園の広がる、劇場にいながらもさりげなく自然を感じられる施設だ。ロームシアター京都がリニューアルオープンしたのは、2016年(平成28)のこと。もともとは「京都会館」として1960年(昭和35)に誕生し、 京都市民を中心に愛され続けてきたホールだ。開館からおよそ50年の月日が流れ、施設全般の老朽化やホール機能の最新化の要望などをきっかけに、再生の計画が持ち上がり、開館当時の建物をできるだけ保存すること、すなわち京都の人たちの思い出を未来に残すことを前提にリニューアルすることが決まった。

二条通から冷泉通までつながるロビー空間「プロムナード」。内部の壁面には開館当時は外壁だった煉瓦タイルが

新たな可能性が詰まった複合施設に

リニューアルオープン後は、「創造」「育成」「交流」「生活」の4つの要素を柱にした、劇場にカフェや書店などを併設する複合的な施設へと生まれ変わった。劇場はメインホール、サウスホール、ノースホールの3つがあり、なかでもメインホールは約2000席を有する大ホールだ。オペラなど総合舞台芸術公演の幅広い演出にも対応できるよう、舞台の奥行や高さを確保するなどあらゆる工夫が用いられている。また、L字型の建物の中心に位置する中庭は「ローム・スクエア」と名づけられ、隣接する岡崎公園と一体となっておりなんとも開放的。ときに野外イベントが行われることもある憩いの場になっている。

建物全体を見渡せる「ローム・スクエア」。モダン建築好きにはたまらない空間

「ローム・スクエア」で建物に背を向ければ、東山の山並みがどっしりと広がる

劇場だけじゃない！　併設ショップにも注目を

また館内1階には、「スターバックスコーヒー」と融合した「京都岡崎 蔦屋書店」が併設されているので、劇場で鑑賞したあと、公演に関連する書籍を探して知識を深めてみるのもおすすめ。コーヒーを片手にゆったりと読書をするひとときを楽しもう。小腹が空いたら2階にあるレストラン「京都モダンテラス」へ。さりげなく京都らしさを散りばめた店内では、朝食からティータイム、ディナーまで、京都の旬の食材を用いたメニューを味わえる。

天気の良い日はテラス席で心地良い時間を過ごそう

穴場は3階！　芸術との出合いが待っている

ロームシアター京都に来たらぜひ3階まで足を運んでほしい。3階には「ミュージックサロン」があり、クラシック音楽とさまざまな形で触れ合うことができる。クラシック音楽と聞くと少し小難しいイメージを覚える方もいるかもしれないが、こちらを訪れればそのイメージが覆されるはず。

展示内容は時期によって異なる。この日はオペラ作品の舞台衣裳や装置模型などを展示

フロア全体は、「BOOK & ART GALLERIA(ぶっくあんどあーとぎゃれりあ)」と名づけられた本の展示スペースになっており、1階のスターバックスで購入した商品をこちらに持ち込むこともできる。おすすめの書籍をピックアップして設置しており、なかでも劇場公演の演目をもっと知るための「劇場文化を知る」区画、岡崎エリアの美術館で開催される展示や芸術の知識を深める「アートを感じる」区画、コンシェルジュが選んだ「Kyoto Culture's Bookshelf(きょうとかるちゃーずぶっくしぇるふ)」区画の3つの棚は特に人気。ラインナップされたタイトルを眺めていると、これまで触れたことのない新たな世界との出合いがあることも。劇場でそして併設施設で、文化や芸術との交流をたっぷりと楽しもう。

思いおもいの場所でリラックスして過ごせる「BOOK & ART GALLERIA」