唐人墓
悲しい歴史を今に伝える中国様式の慰霊墓
19世紀の石垣島で起きた悲しい事件
石垣島の市街地から西側の海岸線を走る「観音堂線」沿いにある「唐人墓」は、中国風の色鮮やかな装飾が異彩を放つ慰霊墓で、ロバート・バウン号事件で犠牲となった中国福建省出身の128人が祀られている。ロバート・バウン号事件とは、1852年に中国からカリフォルニアに向けて出航したアメリカ商船、ロバート・バウン号に乗せられていた400人余りの中国人労働者が、船上での虐待行為に耐えかねて暴動を起こし、船長ら7人を殺害。その後、船が石垣島沖で座礁して380人が上陸し、島内に収容されていたが、米軍に襲撃されるなどして非業の死を遂げたという。
慰霊と平和を静かに祈る場所
現在の「唐人墓」は、島内に点在していた遺骨を集めて1971年(昭和46)に石垣市が建立したもので、資金は市民、団体からの寄附や琉球在住の華僑、台湾政府からの支援によってまかなわれた。遠く離れた異国の地で眠る中国人たちの魂が安らかであるようにと、ふるさと中国の廟(びょう)を思わせる慰霊墓となっている。また、近くには第二次世界大戦の際に墜落した石垣島で捕虜となり、暴行を受けて命を落とした米軍飛行士の慰霊碑もあり、知る人の少ない石垣島の悲しい歴史を伝える場に。観光スポットではあるが、歴史に想いを馳せて手を合わせ、心穏やかに平和を祈る時間をもちたい。
唐人墓の向かいにある観音崎灯台でひと休み
「唐人墓」へのアクセスは、南ぬ島石垣空港から車で約45分、市街地からは約15分。石垣バスターミナルから路線バス(川平リゾート線)で行くことも可能で、その場合は約15分で「唐人の墓」バス停に到着する。「唐人墓」へのお参りを終えたら、目の前にある観音崎灯台への散策がおすすめだ。ここは地元の人たちに愛されるサンセットスポットで、展望台や海岸線から望む夕焼けがすばらしく遊歩道をたどって小さなビーチに降りることもできる。また、徒歩圏内には航海安全を司る冨崎観音堂もあるので、合わせて巡ってみるのも良いだろう。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン