恵文社一乗寺店

温かみを感じるレンガ造りの外観。店内はついつい長居したくなる心地よさ

本好きなら一度は訪れたい有名店

洛北の一乗寺界わいは、周辺に芸術系・ものづくり系の大学が3校あり、昔から学生文化の強い街だ。オリジナリティあふれるカフェやラーメン店が軒を連ね、行列の絶えない人気店も多い。そんな店の個性が大切にされる街にあって、中心的な存在となっているのが「恵文社 一乗寺店」だ。本屋なら自宅や職場の近所にもあるのに、それでも「わざわざ恵文社に行きたい」と思う。そんな不思議な魅力が本好きの間に広まり、全国区の人気店となっている。店へのアクセスは出町柳から叡山電車に乗車し、一乗寺駅で下車、西へ徒歩3分。おしゃれなカフェを思わせる外観は入店前から気分を高めてくれる。店舗は書店を中心に、本や暮らしにまつわる雑貨のお店、ギャラリー、イベントスペースなどを併設している。

「世界のすばらしい本屋10選」に日本で唯一選ばれたこともある

選りすぐりの本、個性的な棚づくりが特徴

恵文社 一乗寺店が誕生したのは1982年(昭和57)のこと。オーナーがどの書店に行っても同じ本が並んでいることに違和感を覚えて、「街なかではなく郊外だったらふだん見ないような本やサブカルチャーの本を置ける店舗を作ることができるのでは……」と考えたそう。以来、約50年にわたって、店長をはじめとするスタッフが長年の経験で「おもしろい」と感じた本を仕入れてきた。さらにそんな本との出合いを楽しむための仕掛けが、書棚のレイアウトに表れている。通常の書店では出版社や五十音順に本が並ぶことが多いが、恵文社では出版社やジャンルなどのカテゴリーの枠を超えて、文庫や絵本、海外文学、専門書などが並んでいる。たとえば「料理」であれば、レシピ本の近くに食に関するエッセイ本があるといった具合だ。探していた本はもちろん、思わず隣り合う本も手に取ってみたくなる。

店内にはさまざまなテーマで書籍が並んでいる。迷ったときはスタッフに相談してみよう

カラフルな色使いの児童書。インテリアとして購入する人もいるそう

上質な時間を作りだす雑貨や文具

恵文社の魅力は本だけにとどまらない。「本にまつわるあれこれのセレクトショップ」として、書籍にリンクするような生活雑貨や文具がそろい、こちらを楽しみに訪問するファンも多い。いずれもスタッフが厳選したこだわりのアイテムで、文具や雑貨をきっかけに「本を読んでみようかな」と思ったり、読書のおともにしたくなるようなカップやコーヒー豆が並ぶなど、相乗効果で生活に潤いを与えてくれる。さらに併設のギャラリー「アンフェール」では、地元の学生や国内外で活躍するアーティストたちの作品展示が行われていて、さまざまなカルチャーに触れることができる。本好きの人はもちろん、ふだん、本を読まないという人も未知のジャンルとの出合いを楽しみにぜひとも立ち寄ってみてほしい。

有機西洋人参のジャムと有機玉ねぎのジャム(各518円)。ドレッシングや隠し味におすすめ

料理本のコーナーに隣接する生活雑貨。使い心地にもこだわった逸品だ

ユーモアあふれる文具はちょっとしたプレゼントにもぴったり

お店のディスプレイはインテリアのアイデアにも