実相院門跡

寺院

名刹の品格が漂うたたずまいに華を添える床の輝き

皇室ゆかりの子息が代々住職を務めてきた格式高い門跡寺院。四脚門や客殿などが御所から下賜され、障壁画の数々も見ごたえがある。「滝の間」の磨きぬかれた板間に映る光景は、四季折々に美しい。

奥比叡を借景とする東の庭} 奥比叡を借景とする東の庭

洛北の岩倉の地にたたずむ門跡寺院

地下鉄・国際会館駅から京都バスに乗車し、終着となる「岩倉実相院」で下車すると、石段上で扉を開けた表門が迎えてくれる。実相院は天台宗の単立寺院。「岩倉門跡(いわくらもんぜき)」とも呼ばれ、格式高い名刹として歴史を紡いできた。創建は鎌倉時代の1229年(寛喜元)、静基(じょうき)によって紫野に開かれたといい、京都御所の近くに移転したが、応仁・文明の乱を避けるために現在地に移っている。江戸時代初期の寛永年間(1624-1644年)、室町幕府15代将軍・足利義昭の孫にあたる義尊(ぎそん)が住職となり、のちに第111代・後西天皇の皇子である義延(ぎえん)親王が入寺、以降、皇族が住職を務める門跡寺院として隆盛した。

石垣と白壁の堂々たる門が建つ} 石垣と白壁の堂々たる門が建つ

江戸時代の御所の遺構を伝える

現在の四脚門、車寄せ、そして本堂(客殿)は、第113代・東山天皇の中宮・承秋門院(じょうしゅうもんいん)の大宮御所旧殿を1720年(享保5)に移築したもので、御所建築の貴重な遺構となっている。古雅ななかにも風格をたたえる王朝建築物の造作も味わい深い。車寄せの左隣が本堂(客殿)の玄関口となり、拝観受付を済ませて堂内へ上り進んでゆくと、「七仙人の間」「公卿の間」などの各部屋は、狩野派による襖絵などの障壁画で埋め尽くされ、さながら近世絵画の展覧会を見るようだ。

門跡寺院らしい気品が漂う} 門跡寺院らしい気品が漂う

自然が織りなす美を堪能する

本尊は仏間に安置される不動明王立像。そして、お参りをして左手に少し進んだ先が、実相院本堂のなかでひときわ目をひく「滝の間」だ。磨きこまれた床板に前庭のカエデが映り込むことで知られ、特に秋の「床もみじ」が名高く、燃えるような紅葉の光景がすばらしい。春から初夏にかけて鮮やかな新緑の「床みどり」もさることながら、冬の「雪化床(ゆきげしょう)」など、季節ごとの美しい景色を映す床は、四季を通じて見る人の心をとらえてしまう。いちばん美しく見られる時間は、太陽が高く昇る正午頃なのだとか(床もみじ」を含む室内は撮影不可) 。西側には山水庭園があり、深山幽谷の趣ある緑豊かな空間が広がる。自然の風に吹かれながら心ゆくまで眺めてみたい。

西側の庭園の池は、初夏にモリアオガエルが産卵するくらい清らかだ} 西側の庭園の池は、初夏にモリアオガエルが産卵するくらい清らかだ

市民参加で造り上げた庭園

実相院には趣の異なる庭園がもうひとつある。東側に設けられた石庭で「こころのお庭」と呼ばれる。元は蹴鞠の庭であったというがのちに枯山水庭園となり、2013年(平成25)には「御庭植治(おんにわうえじ)」の小川勝章氏監修のもと、市民参加の庭造りによって新しい庭園に生まれ変わった。秋にはカエデが赤く染まり、白砂とのコントラストが見事だ。実相院をあとにするときには表門でしばし立ち止まり、目の前に見える比叡山の美しい山容を楽しもう。実相院の南方向には、岩倉具視幽棲旧宅(いわくらともみゆうせいきゅうたく)があり、具視が約5年間隠棲した場所がほど近い。

市内中心部より気温が低い。桜は少し遅れて咲き、紅葉の色付きは早めだ} 市内中心部より気温が低い。桜は少し遅れて咲き、紅葉の色付きは早めだ

モリアオガエルをモチーフにしたお守り} モリアオガエルをモチーフにしたお守り

スポット詳細

住所
京都府京都市左京区岩倉上蔵町121 map map 地図
電話番号
0757815464
時間
9:00-17:00
休業日
不定休
料金
[拝観料]大人500円、小・中学生250円
駐車場
あり
※秋期(11月中旬-12月初旬)は利用不可
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
可(PayPay)
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
0-30分
備考
※文化財保護のため、「床もみじ」「床みどり」含む屋内での撮影禁止

情報提供: ナビタイムジャパン

このスポットを紹介している記事

クチコミ

  • 小さいけれど静謐な場所
    4.0 投稿日 : 2023.04.29
    バスで降りたら直ぐのところにあるので迷うことはありません。「床紅葉」が有名ですが、早春で全く関係ない時期。緑の季節もきれいだろうなと、思います。決して大きなお寺ではありませんが、多くの人の愛でこのお寺は維持れているのを感じました。
  • 有名な「床紅葉」は撮影禁止です。撮影されると減ったり消えたりする?のかな。
    2.0 投稿日 : 2021.08.02
    庭園はそこそこのものだが、正直言って、何度も訪問はしたくないと思う場所。建物内は何故か写真撮影禁止、写真に撮ると減ったり、傷んだりするのかな?科学的根拠を明示して禁止としてほしいものですねぇ。ここは天台宗単立寺院、山号は岩倉山、本尊は不動明王、創建は1229年、開山は静基、実相院門跡とか岩倉門跡とも呼ばれるらしいが、地元に70年以上住んでいるけど、未だに実相院としか聞いたことがない。重文も保管して...
  • 日程的に可能であれば 床紅葉(紅葉や青もみじ)や 何か特別公開の時期に 訪問した方が良いかも知れません
    3.0 投稿日 : 2021.04.06
    春の特別公開 ([つるの間(襖絵:群鶴図)] 期間:2021年3月21日-5月8日)の前日である3月20日に訪問したので 訪問客も数人と静かな環境でしたが 一方で 少々 物足りなさが残ります。 やはり こちらへの訪問は 床紅葉(紅葉や青もみじ)や 何か特別公開の時期に 訪問した方が良いかも知れません。

TripAdvisorクチコミ評価

もっと見る

アクセス

map map 地図

最寄り

          周辺の駅はありません。 周辺のバス停はありません。 周辺の駐車場はありません。 周辺のインターチェンジはありません。

          このスポットを共有

          back

          クリップボードにコピーしました