東大寺

寺院

祈りは大仏様とともにあり。天平時代の栄華を伝える東の大寺

若草山のふもとに鎮座する南都仏教の華厳宗の大本山。広大な境内に大仏殿をはじめとする多くの堂宇(どうう)が点在している。また、奈良公園とも一体化しており、塔や講堂の跡地を巡り、ゆっくりと散策しながら拝観を楽しみたい。

鏡池から中門越しに大仏殿を望む} 鏡池から中門越しに大仏殿を望む

聖武天皇の祈りから国家鎮護の寺へ

聖武天皇は夭折(ようせつ)した基皇子(もといのみこ)の菩提を弔うため、728年(神亀5)に金鐘山寺(きんしょうさんじ)を建立した。これが東大寺の源流となる寺院とされている。東大寺創建以前の建造物や遺構は上院地区と呼ばれる丘陵地にあり、ぜひとも足を運んでみたい。
当時は天災や天然痘の流行などで混乱を極めており、聖武天皇はまだ誰も見たことのない盧舎那仏(るしゃなぶつ)の造立を思い立った。資金や物資を集め、当時の最新技術を取り入れ、多くの民衆も協力して大仏様は造られ、752年(天平勝宝4)に開眼供養会が行われた。聖武天皇の祈りから始まるこの大寺は国家鎮護を祈る場だけでなく、仏教の教理研究の道場でもあった。それらは今にも脈々と受け継がれ、境内のそこかしこに天平の香がほのかに漂っている。

国宝の大鐘は大仏開眼の際にも鳴らされた} 国宝の大鐘は大仏開眼の際にも鳴らされた

天平から連なり重なる歴史を体感

やはり最初に目指すのは「大仏殿」となろうが、案内図にも目を通して「南大門」などを有する広い境内を確認しておきたい。お参りをしたい堂宇のほかにも、2基の塔跡や大仏殿裏手の講堂跡、境内に点在する塔頭寺院の風情にも心ひかれる。見どころ満載でできればゆっくり時間をとって回りたいもの。また多くの貴重な仏像に出合い、天平文化の精華を目の当たりにするだけでなく、鎌倉仏師の手による傑作にもここで出合うことができる。
いにしえに歌われた奈良八重桜や手向山(たむけやま)の紅葉など、自然が織りなす四季折々の絵巻物のなかに、祈る心で境内を巡る自分を見つけることになるかもしれない。もちろんそこかしこにシカの群れもたたずんでいる。

宋から伝わった建築様式の南大門は木組みにも注目!} 宋から伝わった建築様式の南大門は木組みにも注目!

大仏殿はいうまでもなく東大寺の金堂(本堂)} 大仏殿はいうまでもなく東大寺の金堂(本堂)

再建を繰り返して今へ

東大寺は戦火や天災に見舞われ、幾度か堂塔を失ってきた。まず有名な鎌倉期の南都焼き討ちでは、残ったのが二月堂、法華堂、転害門くらいというありさまであった。当時の僧・重源(ちょうげん)の活躍で大仏の修復や伽藍の復興がなされ、源頼朝を迎えての大仏殿落慶法要も行われた。
戦国期の松永・三好の兵火では大仏殿が焼け落ち大仏様も損傷し、仮堂でしのいでいたが大風雨で倒壊してしまった。公慶(こうけい)の粉骨砕身による大仏様と大仏殿再興は江戸時代に入ってからのこととなった。威容を誇る大仏様だが、長い歴史のなかで損傷したまま雨ざらしの時期があったことも心にとどめておきたい。

転害門には戦火を免れた天平期の柱も残存} 転害門には戦火を免れた天平期の柱も残存

今一度、広く大きく奥深い寺へ

境内は奈良公園と境目もなく、門で囲われてもおらず、世界遺産でありながらいつでも自由に行き来ができる希有な場所といえよう。拝観料が必要なのは大仏殿、法華堂や東大寺ミュージアムなどに限られており、古い歴史と仏教文化の奥深さを感じることもできる、気軽な散策場所だ。
二月堂などの上院地区は若草山のふもとでもあり、奈良盆地や生駒山のパノラマの景色をこころゆくまで堪能できる。大仏池や鏡池などカメラに納めたい絶景もそこかしこにある。遠足や修学旅行の定番の行先であるのはもちろんだが、改めて今、訪ねてみると、大きいのは建物や大仏様だけでなく、時間のスケールや関わった人々の志であることに気づくこととなるだろう。

法華堂の奥に二月堂の屋根。上院地区ははずせない} 法華堂の奥に二月堂の屋根。上院地区ははずせない

ミュージアム併設のカフェメニューには抹茶も} ミュージアム併設のカフェメニューには抹茶も

スポット詳細

更新日:2024.04.26

住所
奈良県奈良市雑司町406-1 map map 地図
電話番号
0742225511
時間
【4-10月】
[大仏殿]7:30-17:30
[東大寺ミュージアム]9:30-17:30(最終入館17:00)
[法華堂・千手堂]8:30-16:00

【11-3月】
[大仏殿]8:00-17:00
[東大寺ミュージアム]9:30-17:00(最終入館16:30)
[法華堂・千手堂]8:30-16:00
休業日
無休
※ミュージアムは臨時休館日あり
※千手堂は毎年2/15-3/5拝観停止(令和5年7月頃まで)
料金
[入堂・拝観料]600円
※大仏殿・法華堂・千手堂、東大寺ミュージアムそれぞれ必要
※大仏殿・東大寺ミュージアムのセット券あり
駐車場
なし
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
車椅子での入店
可(大仏殿、ミュージアムは可)
乳幼児の入店
ペットの入店
可(大仏殿のみ可、建物内は抱っこやキャリーに入れて地面に足をつけないようにしてください)

情報提供: ナビタイムジャパン

このスポットを紹介している記事

クチコミ

  • 大仏殿と鹿
    3.0 投稿日 : 2023.06.08
    賑やかな観光スポットになっていた。寺に参るというよりは大仏様を見に行くといった感じ。お土産も子供が喜びそうな被り物やグッズばかりで、ありがたみは無いかな。参道は鹿せんべいを持った子供が走り回っているので、趣は全くない。
  • 奈良の象徴
    5.0 投稿日 : 2023.05.29
    728年、聖武天皇の皇太子の菩提を弔う為に作られた山房を起源とし、国分寺・国分尼寺(金光明寺・法華寺)建立に際して、(現・甲賀市から)平城京への遷都に伴う盧舎那大仏と大仏殿建立の開始が、東大寺整備の基礎となっています。戦国時代には、僅かな伽藍を残して焼失し、江戸時代にようやく復興されたとのことですが、古に、聖武天皇が国力を挙げて取り組んだ偉業が、古都奈良の代表的寺院として現代に継承されていること...
  • 奈良のシンボル大仏様
    5.0 投稿日 : 2023.02.21
    ツアーで訪問し、境内はフリー。ゆっくり一人で見て回りました。廬舎那仏を本尊とする華厳宗大本山です。聖武天皇が早世した皇太子のために建てた金鐘山寺が寺の始まりで、752年大仏開眼。奈良時代末までに大仏殿を中心とする空前絶後の大伽藍が築かれました。戦乱に巻き込まれたものの、復興を遂げ現在に至っています。

TripAdvisorクチコミ評価

もっと見る

アクセス

map map 地図

最寄り

          周辺の駅はありません。 周辺のバス停はありません。 周辺の駐車場はありません。 周辺のインターチェンジはありません。

          このスポットを共有

          back

          クリップボードにコピーしました