福山城

城/城址

「令和の大普請」で往時の姿がよみがえった西国鎮衛の要の名城

「日本100名城」のひとつに数えられる福山城。国宝だった天守閣は大空襲で焼失してしまったが、再建されたコンクリートの城が往時の姿に復元。焼け残った伏見櫓や筋鉄御門とともに、ありし日の壮観をほうふつさせる。

「福山城博物館」となっている天守閣は、北側壁面に「鉄板張り」が施され、往時の姿に復元された。博物館も2022年(令和4)8月に内容を一新してリニューアルオープン} 「福山城博物館」となっている天守閣は、北側壁面に「鉄板張り」が施され、往時の姿に復元された。博物館も2022年(令和4)8月に内容を一新してリニューアルオープン

大空襲で焼失した国宝の天守閣

JR福山駅の目の前に、堂々たる城がそびえ立つ。それが「日本100名城」の福山城で、JR福山駅に隣接して立つというより、もともと城内の一角、三の丸南側に駅ができたという。江戸時代に譜代大名の水野勝成(みずのかつなり)が備後10万石の領主となり、西国鎮衛の拠点として1622年(元和8)に築城。国宝だった天守閣は1945年(昭和20)の福山大空襲で多くの建造物とともに焼失してしまったが、焼け残った伏見櫓(ふしみやぐら)・筋鉄御門(すじがねごもん)がともに国の重要文化財、本丸・二の丸などが国の史跡となっている。天守閣は1966年(昭和41)にコンクリートの城として再建され、「福山城博物館」として、歴代藩主ゆかりの品を中心に収蔵・展示する。2018年(平成30)には福山城跡の「天守閣部分」が、広島県で初の「景観重要建造物」に指定された。そして、往時の天守閣の姿をさらに忠実に再現すべく「令和の大普請」が行われ、築城400周年にあたる2022年(令和4)、天守閣の装いも新たに、博物館も映像を駆使したモダンな展示方法でリニューアルオープンした。

往時の姿で現存する伏見櫓(左)と筋鉄御門(右)は、新幹線のホームからも正面に望める} 往時の姿で現存する伏見櫓(左)と筋鉄御門(右)は、新幹線のホームからも正面に望める

福山城博物館は、「火縄銃体験」などのさまざまな体験コンテンツや映像シアターなどを導入して、大人も子どもも楽しめる施設に生まれ変わった} 福山城博物館は、「火縄銃体験」などのさまざまな体験コンテンツや映像シアターなどを導入して、大人も子どもも楽しめる施設に生まれ変わった

10万石の城とは思えない壮大な城郭

福山城は、西国の外様大名に幕府の権威を示すため、10万石とは思えないような巨城として築かれたものだ。自然の山を削って造成された本丸は、姫路城や熊本城など名だたる城をしのぎ、「平山城」としては全国最大級の規模を誇る。ひな壇になった石垣の上に、五重の天守閣をはじめ6基の天守級の三重櫓、16基の二重櫓、延長573mに及ぶ多門櫓が立ち並ぶさまは壮観で、江戸時代の軍学で「一二三(ひふみ)段」と呼ばれ、理想の城とされた。城の南側に残る三重櫓の「伏見櫓」は、福山城の築城にあたり、ときの2代将軍徳川秀忠が伏見城から移築させたものという。また、天守の北側外壁には「鉄板張り」が施されていた。大砲などで攻め込まれた際の対策と考えられているが、そんな「鉄板張りの天守」があったのは全国でここだけだ。そして、その黒塗りの「鉄板張りの天守」が「令和の大普請」で復元され、往時の姿が現代によみがえった。

伏見城松の丸の東櫓を移築した伏見櫓は、熊本城の宇土櫓(うとやぐら)とともに日本で現存する最古の櫓という。例年11月3日の文化の日のみ内部が公開される} 伏見城松の丸の東櫓を移築した伏見櫓は、熊本城の宇土櫓(うとやぐら)とともに日本で現存する最古の櫓という。例年11月3日の文化の日のみ内部が公開される

伏見櫓と向かい合うように立つ筋鉄御門は本丸の正門。1622年(元和8)に伏見櫓とともに伏見城から移築されたとされる} 伏見櫓と向かい合うように立つ筋鉄御門は本丸の正門。1622年(元和8)に伏見櫓とともに伏見城から移築されたとされる

城の周辺一帯が一大文化ゾーン

西に浅野の広島藩、東に池田の岡山藩という外様の大藩に挟まれた福山城は、内堀・外堀の2重の堀に囲まれ、太平の江戸時代にあってなお「西国の要」として周囲ににらみを利かせる巨大にして堅固な城塞だった。今は城跡には堀も残らず、壮観な雄姿がそのまま見られるわけではないが、二の丸に伏見櫓・筋鉄御門が残るほか、数々の櫓や門などの遺構が点在し、それぞれ案内板が設置されているので、遺構巡りを楽しむこともできる。「福山城公園」として整備された一帯は、藩祖・水野勝成や名君の誉れ高い福山藩阿部家7代藩主・阿部正弘の像なども立ち、緑の木々に包まれ、芝生が広がる市民の憩いの場でもある。そこに「ふくやま美術館」「ふくやま文学館」「広島県立歴史博物館」が集まり、広島県東部の一大文化ゾーンとなっている。城を訪ね、博物館に学び、史跡や遺構を巡って往時をしのぶ。国宝の天守閣や多くの櫓は失われたが、城マニアならずとも一度は訪れたい名城スポットだ。

本丸南側に立つ御湯殿は、名前のとおり藩主が使用するための風呂場。天守閣同様に国宝だったが、戦災により焼失。現在の建物は、1966年(昭和41)に天守や月見櫓とともに再建されたものだ} 本丸南側に立つ御湯殿は、名前のとおり藩主が使用するための風呂場。天守閣同様に国宝だったが、戦災により焼失。現在の建物は、1966年(昭和41)に天守や月見櫓とともに再建されたものだ

天守閣(福山城博物館)の最上階5階「天空の間」からは、福山市街が一望できる} 天守閣(福山城博物館)の最上階5階「天空の間」からは、福山市街が一望できる

福山城博物館では、映像やパネル展示で福山城の今昔をわかりやすく学ぶことができる} 福山城博物館では、映像やパネル展示で福山城の今昔をわかりやすく学ぶことができる

スポット詳細

住所
広島県福山市丸之内1-8 map map 地図
電話番号
0849222117
時間
9:00-17:00(最終入館16:30)
休業日
月(月が祝日の場合は翌火)、12/28-12/31
料金
[一般]500円
[高校生以下]無料
※特別展は別に定める
駐車場
あり(20台)
クレジットカード
可(VISA)
電子マネー/スマートフォン決済
可(PASMO、iD、nanaco、楽天Edy、PayPay、楽天ペイ、メルPAY、d払い、auPAY、ICOCA、ゆうちょPay)
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 鏡櫓
    4.0 投稿日 : 2020.04.01
    昔、鏡を収納していたことからその名前がついたと言われる鏡櫓です。再建してコンクリート造りになっていますが、歴史を感じさせるたたずまいです。
  • 文書館
    3.0 投稿日 : 2020.03.07
    明治6年の廃城の際に取り壊されたものを昭和48年に外観復元されたもので、福山城博物館の文書館として使われています。博物館の耐震工事の関係だと思いますが、ここも中にブルーシートがしかれていました。

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アクセス

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最寄り

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