嚴島神社を抱く世界遺産・宮島。その玄関口である「宮島口」は、飲食店やお土産もの屋さんが立ち並ぶ賑やかな通りです。その中でもあなごめしの老舗「うえの」がスゴイ!という話を聞きつけ、さっそく行ってきました!
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あなごめしの元祖!「うえの」へのアクセスは?
「あなごめし うえの」はJR宮島口から宮島桟橋へ向かう途中の通りにあります。宮島口でいちばん賑やかで便利な場所なので、迷う心配はナシ。
宮島名物として有名なあなごめしですが、発祥は宮島口にお店を構えるこの「うえの」なんですよ。お弁当のパッケージには大正時代に描かれた大鳥居が
つまりあなごめしのパイオニア。いやが上にも期待が高まります!
さっそくお店へGO! -
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あなごめしorあなごめし弁当?迷ったときは…
こちらが広島が誇るあなごめしの老舗「うえの」。創業当時を思わせる重厚な佇まいですが、決して古くささを感じさせない清潔感と高級感のあるお店です。
「うえの」外観
「うえの」の店先には「あなごめし弁当」の販売窓口があります。
あなごの蒲焼や、「あなごめし弁当」のかわいいパッケージが陳列。
店内も観光客の方で大賑わい!あちこちから「おいしい!」なんて声があがり、あなごめしのいい香りが漂います。
「うえの」店内
さて、困りました。
名物「あなごめし」を目当てにやって来ましたが「あなごめし弁当」の方も気になる…しかし帰りの新幹線の時間も迫ってきています。
何しろ「うえの」は超人気店なので、毎日行列は当たり前。並んでいたら乗り遅れてしまうかも…
と。
「迷ってますか?」
やさしい笑顔が印象的な紳士が話しかけてくれました。そうなんです、行列に並んで「あなごめし」を食べるか「あなごめし弁当」を買って帰るか悩んでまして…
「時間がないのなら、あなごめし弁当がおすすめですよ」
え?どうして?
お話によると、なんでも「あなごめし うえの」は、明治30年(1897)に開通した宮島口駅(旧宮嶋駅)の駅弁として「うえの」の初代店主・上野他人吉が販売したのがそもそもの始まりなんだそう。店内で食べるあなごめしももちろん絶品ですが、もともと駅弁として生まれたものだからか、「うえの」の神髄はお持ち帰りの“あなごめし弁当”にあると、昔から数多の著名人や美食家を唸らせてきたんだとか。
えー!そんなこと言われたら、お弁当の方も食べたくなっちゃう!
というか、この親切な紳士はいったい何者なんでしょう?
「四代目の上野と申します」
ええー!!お店のいちばんすごい人じゃないですか!!
度肝を抜かれつつも、せっかくなので色々とお話を伺っちゃいました!「うえの」の大黒柱、四代目の上野純一さん
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老舗「うえの」の軌跡と、あなごめし弁当を食べるべき理由
宮島近海では昔から、身が肥えてずんぐりとして頭が小さく短い、という“良質”の条件を満たしたあなごがたくさん獲れており、その美味しさは「宮島の穴子優れたり」と文献で褒めたたえられるほどだったんだとか!
その後、テレビ番組で紹介されたことなどをきっかけに「あなごめし」人気は全国へ広まっていったんだそう。
60年代以降は、ダム化などの交通整備が相次ぎ、瀬戸内海の砂が少なくなったことからあなごの不漁が続き、またそれによって漁師さんの世代交代ができず、国産あなごの流通は業界の課題になっているのだとか。
「うえの」では、おいしいあなごを獲ってきてくれる漁師さんとのつながりを大切にしながら「本当においしい、本物のあなごの味を追求する」ことを哲学に掲げて日々努力を重ねているのだそう。「うえの」のあなごめし
「素材にこだわることでしか生き残れない仕事」と語ってくれた上野さんの言葉が胸にしみます。
――「あなごめし」へのこだわりにじーんとしちゃいました!でも「あなごめし弁当」が、たくさんの方にそんなに長く愛されてきたのは何が一番のポイントなんでしょうか?
「「うえの」がもともと駅弁として誕生したお店というお話はしましたよね。うちのあなごめし弁当は、冷めてもおいしい、むしろ冷めると一層おいしさが際立つとしてたくさんの人々に愛されてきました。穴子の旨みがじっくり、ゆっくりしみ込んだお弁当は本当においしいですよ。それに、お弁当ならお待たせすることなくお出しできます」
――そうかぁ!新幹線の中で広島の思い出に浸りつつ食べるのもありってわけですね?
「おっしゃるとおり。新幹線に乗るなら、コンビニなどできゅうりの酢の物を買って一緒に食べるのもおすすめです。あなごめしとの相性もバツグンですよ」
「うえの」人気の理由は、老舗のブランド力よりも素材・味にこだわり抜いた、長年の努力と研究の積み重ねなんですね。 -
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「うえの」の神髄!あなごめし弁当
上野さんのお話に感銘を受け、あなごめし弁当をひとつお持ち帰り!
レッテル(お弁当をつつむパッケージ)も何とも言えずレトロです。
レッテルは種類も豊富!こんなに色々あるんです。
明治の創業当時から、大正時代、昭和時代と「うえの」を縁の下の力持ちとして支えてきたこのレッテルも、よくよく見れば時代の世相を反映した宣伝文や、国鉄(当時のJR)の広告文など、デザインだけではなく長い歴史を感じさせてくれる味わい深い箇所が随所にあります。
ネクタイや薬の広告も当時のもの
さて、いよいよお待ちかねのあなごめし実食!
新幹線の中でいただきます。
まずあなごをひとくち。
こ、これは…
おいし~い!!
今まで食べていたあなごってなんだったんだろう?と思うくらい、柔らかで味わい深いあなごの味。脂の乗りもちょうどよく、ギトギト…なんてことはないのに、しっかりと本物の脂の味が舌に広がります。
思わずどんどん箸が進んでしまうけれど、食べても食べても飽きの来ない味わい。「冷めてもおいしい」の言葉通り、店先で受け取ってから2時間以上は経過しているにも関わらず、あなごもご飯も柔らかく、まったく固くありません。
あなごの下に隠れたご飯はほんのりとした味付けで、くどくなく、ご飯だけでもパクパク食べられてしまいます!味がしみる、ってこういうことか~!
写真には写っていませんが、上野さんのアドバイス通りコンビニで買った酢の物との相性も◎!
生まれてから食べてきたあなご、いや、駅弁の中で文句なしにいちばんおいしい!と言える逸品です。
付属のお箸は、食べ終わったあとお弁当の中にすっぽり入るサイズで、こういう小さな気遣いも旅人には嬉しいポイントです。
ほかとは一線を画す、本物の味を食べた!という満足感。上野さん、ごちそうさまでした! -
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「うえの」の混雑情報とあなごめしサイズ表
「あなごめし弁当」は期待以上のおいしさでしたが、きっとお店で食べる「あなごめし」にはまた違った美味しさがあるんだろうな~。
行列必至の「うえの」が最も混雑する時間帯は、週末のお昼どき(11:00~13:00)だそう。行列を避けたいなら、オープン直後の10時を狙うのがおすすめです。朝食代わりにあなごめしをいただいたら、朝から宮島のめぐみを受けて元気な一日を過ごせそう!(朝からたくさん食べられないかも…という方には、少なめのサイズもあります)
逆に宮島観光のあとで、というならおすすめはやはり「あなごめし弁当」。宮島に持って行って、嚴島神社の大鳥居を眺めながら食べるのもツウの楽しみ方のひとつです。
あなごの食べごろは秋の終わり、10月末から11月にかけて。脂の乗ったおいしいあなごを食べたい!という方は、時期を狙ってみるのもいいですね。
ぜひ「うえの」の、本物のあなごを味わいに訪れてみてください。
◆店頭で食べられるあなごめしサイズ表と価格◆
・あなごめし(小) 1750円(税込)
・あなごめし(上) 2000円(税込)
・あなごめし(特上) 2400円(税込)
◆あなごめし弁当のサイズ表と価格◆
・ミニあなごめし弁当 1404円(税込)
・小サイズあなごめし弁当 1728円(税込)
・レギュラーあなごめし弁当 1944円(税込)
・特上あなごめし弁当 2376円(税込)
※量が異なるだけで味に変わりはありません。周辺の予約制駐車場