日本を代表する観光地である鎌倉にはたくさんの名物があるが「野菜」もそのひとつ。鎌倉の周辺は土壌の水はけがよく、冬は温暖で夏は極端な暑さがない野菜作りに適した土地。通年露地栽培ができるため、昔からたくさんの種類の野菜が作られてきた。現在、食材にこだわりのある市内の多くのレストランで味わうことができるし、直売所で手に入れることもできる。寺社巡りも楽しいが「鎌倉野菜」をテーマに散策を楽しんでみるのはどうだろう。
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新しいブランド野菜「鎌倉野菜」
ブランド野菜とは、地域の気候や風土に合わせて栽培され、土地の歴史や文化が感じられる付加価値をもった野菜のこと。例えば「聖護院だいこん」や「賀茂なす」など、昔から京都の食文化に密接に結びついた特定の品種の野菜は「京野菜」として知られている。「鎌倉野菜」もブランド野菜という意味では同じだが、特定の品種ではなく、鎌倉市内と隣接する藤沢市や横浜市の一部の畑で生産される野菜を指す言葉。トマトやレタスなど、普通に使われている一般的な野菜でも、このエリアで栽培されているものは「鎌倉野菜」だ。1990年代後半から、鎌倉市と生産者、そしてJAが連携してこの地域で生産される野菜のブランド化を進め、当初は「鎌倉ブランド野菜」として売り出し始めた。できるだけ農薬や化学肥料を使わず、自然に近い形で育てられた安全でおいしい野菜は、地域のレストランでこぞって使われるようになり、「鎌倉野菜」の名前が知られるようになった。
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鎌倉野菜の特徴は?
一番の特徴は野菜の種類が多いこと。このエリアの農家は比較的小規模な生産者が多いが、ひとつの畑で何種類もの野菜を栽培するのは普通で、北部の関谷・城廻地区の畑は「七色畑」と呼ばれるほどだ。また契約しているレストラン向けに珍しい西洋野菜やハーブなどの栽培をしている生産者も多く、1年で100種類以上の野菜を栽培している人も。鎌倉駅から徒歩3分のところにある鎌倉市農協連即売所に行けば、そこに並ぶ野菜の品種の多さにきっと驚くことだろう。
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【Osteria Gioia】自家農園で栽培された野菜で季節を感じる
メインの食材を大いに引き立てる野菜たち
店のオーナーが自ら畑で育てた旬の野菜を提供するイタリアン。関谷地区にある畑で午前中に収穫作業をしたオーナーは、午後にはソムリエとして店に立つ。ひとつの菜園で年間100種類以上の野菜を収穫する、多品種少量生産の典型的な鎌倉野菜の生産者であり、農薬を一切使わず、有機肥料だけで育てた野菜は、市場にでることなく、この店でのみ味わうことができる。前菜だけでなくパスタ料理、魚、肉それぞれのメイン料理、またデザートにいたるまで自家栽培の野菜が使われており、決して添え物ではなくメインを引き立てるうまみになっている。野菜の味を知り尽くしたオーナーが選ぶワインと鎌倉野菜のマリアージュが楽しもう。
- Osteria Gioia(オステリア ジョイア)
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4.5
18件の口コミ -
- 神奈川県鎌倉市雪ノ下1-9-30 田中屋ビル102
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- 0467246623
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- 11:30-14:30(L.O.15:30)/17:30…
すべて表示周辺の予約制駐車場
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【北鎌倉ぬふ・いち】野菜のおいしさをスープカレーで味わう
野菜のおいしさをスープカレーで味わう
個性的な食事処が点在する北鎌倉周辺で、鎌倉野菜を味わうならここがおすすめ。使用する野菜のおよそ8割を地元の契約農家から仕入れており、入荷する15種類以上の野菜は収穫次第なので、その日に使う野菜はリストになって壁に張り出されている。馴染みのあるものもあるが、見たこともないような野菜との出合いは、この店を訪れる楽しみのひとつだ。鎌倉のレストランは自宅の一部が店舗になって営業しているところが多く、「ぬふ・いち」も北鎌倉の駅から歩いて7~8分、丘の上の一軒家を改装して店舗にしている。
周辺の予約制駐車場
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鎌倉野菜を手に入れて自分で料理してみよう
鎌倉市農協連即売所で売られている見た目も美しい色とりどりの野菜たち
鎌倉野菜は少量生産で一般の流通には乗らないため、鎌倉市内のスーパーで見かけることはあるものの、他ではなかなか買うことができない。とはいえ限られたレストランのみで味わえる特別な食材ではなく、誰もが手に入れることができる野菜だ。でもその野菜を買うなら、ちょっと早起きをして鎌倉を訪れる必要がある。鎌倉駅東口から徒歩約3分。若宮大路の下馬(げば)交差点近くにある市場、鎌倉市農協連即売所は1928年(昭和3)から続く鎌倉野菜の直売所。出店者は鎌倉野菜を生産する22軒の生産者で、4班に分かれて4日ごとにローテーションを組んで出店する。生産者にもよるが、野菜は朝8時頃から並び始め、閉店は野菜がなくなるか日没まで。1軒が出品する野菜はだいたい30種類で、日常よく使う一般的な野菜からプロの料理人たちに人気のあまり馴染みのない西洋野菜まで、それぞれのブースに様々な野菜がならんでいる。生産者の直販なので値段も安いし、なによりもすべて新鮮採れたて。たくさんの野菜が並んでいる様子を眺めるだけでも楽しい。
ブラジル原産のビキーニョは、マイルドでフルーティな不思議な香りの唐辛子。教わったとおりピクルスに
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【一閑人】ボリューム満点の麺と鎌倉野菜のコラボを楽しむ
野菜の味が濃い「鎌倉サラダ」
江ノ電・和田塚駅から徒歩2分の由比ガ浜大通り沿いにある、一見するとカフェのようなおしゃれな外観のラーメン屋。ボリューム満点のつけ麺と優しい味わいの豆乳ラーメンが人気の店で、鎌倉野菜を味わいたい人はサイドメニューの「鎌倉サラダ」を注文しよう。毎日仕入れる色とりどりの鎌倉野菜を使った新鮮なサラダは、毎回異なる旬な野菜が使われる。かぼちゃの一種、コリンキーなど珍しい鎌倉野菜も使われるので、何が出るかはその日のお楽しみ。麺もたっぷり、野菜もたっぷりで、女性にも男性にもうれしい店だ。
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【Rans Kamakura】地産地消をモットーとする小町通りのイタリアン
人気メニューの「鎌倉野菜のバーニャカウダ」
相模湾が目の前に広がる鎌倉は、野菜だけでなく海の幸にも恵まれた土地。ここは鎌倉の豊かな食材が存分に味わえるイタリアンレストラン。シェフが毎朝市場で仕入れる食材で、日々メニューが変わり、野菜はもちろん、相模湾で揚がる魚介、地元のブランド豚「湘南みやじ豚」などを使った豊富なメニューが楽しめる。賑やかな小町通りにあるが、ちょっと奥まった場所なので通りの雑踏からは気にならず、アンティーク調のインテリアでまとめられた店内は、落ち着いた大人のための空間になっている。
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