JR各社では、おトクなフリーパスタイプのきっぷを独自に発売している。その中でも、ユニークもののひとつが、JR四国の「バースデイきっぷ」だ。その名の通り、バースデイ・プレゼントとしてJR四国が割安な値段で発売してくれるものだ。今回は、この「バースデイきっぷ」の購入方法から旅程までをまとめてご紹介する。
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01
「バースデイきっぷ」と誕生日の関係
もっとも、各自の誕生日に使えるものとすると、使えない人が大勢出てしまうので、各自の誕生月に3日間連続で利用できるものとしている。
例えば、4月生まれであれば、4月1日から4月30日までの好きな日からきっぷを使いはじめることができる。4月1日から3日までとか4月15日から17日までというように各自の都合に合わせて期間が設定できる。4月30日からスタートするのも可能で、この場合終わりは5月2日になる。誕生月以外にはみ出せるのは使用開始が4月の場合だけであって、例えば3月31日から4月2日までというような設定は不可である。 -
02
乗車場所と利用範囲について
乗車できるのはJR四国全線のほか、第3セクターの土佐くろしお鉄道全線、阿佐海岸鉄道全線、それにJR四国バスのうちの路線バスもOKだ。
列車に関しては、普通列車のほか特急列車にも乗れるけれど、寝台特急「サンライズ瀬戸」だけは除外される。JR四国の区間以外の指定券、寝台券を持っているからといって、JR四国の高松~児島間の乗車券をバースデイきっぷで賄うことはできない。
サンライズ瀬戸に乗る場合は、全区間バースデイきっぷは使えないのである。 -
03
実はグリーン車がお得。さらに四国在住者以外の上手な活用方法も
バースデイきっぷには、グリーン車用(13000円)と普通車自由席用(9500円)の2種類がある。もっとも、JR四国のグリーン車は、予讃線と土讃線の特急、瀬戸大橋線のマリンライナー、観光列車「伊予灘ものがたり」「四国まんなか千年ものがたり」に限られ、すべての特急にグリーン車が連結されているわけではない。
四国まんなか千年ものがたり
グリーン車がない列車の場合は普通車指定席に座ることになる。それなら、普通車自由席用でも充分だと考える人も出てくるであろう。
ただし、JR四国の特急列車は、「しおかぜ」以外は編成が短く、時期によっては自由席が満員のこともある。途中駅から乗車する場合は、座れればラッキーで、窓側の席に座ってのんびり車窓を楽しめない場合も珍しいことではない。優雅に旅を楽しみたいのなら、やや値段が高くなるけれど、グリーン車用がおススメである。バースデイきっぷの面白いところは、同行者3名までバースデイきっぷの恩恵にあずかれることだ。全行程を一緒に旅することが条件で、「お連れ様用」を発行してもらえる。ということは家族や友人で誕生月が異なれば、年に何回もバースデイきっぷを利用できるということになる。
四国に住んでいないと、バースデイきっぷを事前に購入するのは、ちょっと面倒だ。Webで申し込めるのだが、きっぷは郵送なので、ぎりぎりで申し込むのは危険かもしれない。
使用開始当日でも購入できるので、岡山から瀬戸大橋線経由で四国入りするときは、坂出駅で下車し、駅の窓口できっぷを買えばよい。誕生日の証明として、運転免許証などの公的証明書を提示するのが条件である。 -
04
旅の実例①3日間の旅程
では、バースデイきっぷを使って、どんな旅ができるのか、実例を挙げながら話を進めていきたい。
◆1日目
坂出から丸亀まで普通列車に乗り、丸亀から特急「南風」で高知へ。
<例>
1日目
坂出 12:30⇒快速サンポート⇒12:37 丸亀
丸亀 12:44⇒特急南風9号 ⇒14:42 高知
特急券 自由席=1830円、グリーン車=4580円
高知市内観光(高知城、はりまや橋、桂浜など)特急南風
◆2日目
高知 8:20⇒特急しまんと1号⇒9:26 窪川
特急券 自由席=1180円、グリーン車=2460円
窪川 9:40⇒鉄道ホビートレイン⇒12:15 宇和島 ここまで坂出からの乗車券 5450円
0系新幹線をイメージした愉快な観光列車
宇和島散策
宇和島 16:03⇒特急宇和海22号⇒ 17:26 松山
特急券 自由席=1180円、指定席=1700円(通常期)、グリーン車なし
道後温泉泊。JR松山駅から道後温泉へは路面電車が便利。SL風車体の「坊っちゃん列車」も路面電車の線路を走っている。鉄道ホビートレイン
アンパンマン列車使用の特急宇和海
◆3日目
松山市内散策(松山城や漱石、子規など文学ゆかりの地が多い)
松山 15:28⇒特急しおかぜ24号⇒ 18:11 岡山
宇和島~児島までの乗車券 5340円
特急券 自由席=2160円、グリーン車=4910円
(児島~岡山は別料金)
松山滞在時間を延ばして高松から寝台列車で帰るプラン
松山 17:37⇒特急いしづち28号⇒ 19:56 高松
高松 21:26⇒寝台特急サンライズ瀬戸⇒7:08 東京特急しおかぜ
(全行程別料金)
宇和島~高松までの乗車券 5340円
特急券 自由席=2160円、指定席=2680円、グリーン車なし
乗車券総額=10790円、特急券自由席合計=6350円、総計=17140円
バースデイきっぷ自由席用の場合、7640円おトク
乗車券総額=10790円、特急券グリーン、指定合計=13650円、総計=24440円
バースデイきっぷグリーン車用の場合、11440円おトク -
05
旅の実例② アレンジ版
なお、2018年7月の大雨の影響により、予土線全線と予讃線一部区間が、2018年8月3日現在不通になっているので注意されたい。そこで、今すぐにでも四国へ行きたい人向けに、四国の東半分を旅したときの記録を分かりやすいようにアレンジしたものをお目に掛けよう。
◆1日目
坂出 12:30⇒快速サンポート⇒12:37 丸亀
丸亀 12:44⇒特急南風9号 ⇒13:03 琴平
特急券 グリーン車=1810円
乗車券 450円
観光 金刀比羅宮、琴平には温泉もあるのでくつろげる。JR琴平駅
◆2日目
琴平 10:59⇒特急南風5号⇒11:41 大歩危
特急券 自由席=1180円、グリーン車=2460円
乗車券 1090円
大歩危 14:21 ⇒ 観光列車「四国まんなか千年ものがたり」 ⇒17:16 多度津
特急全車グリーン車 2460円
多度津 17:26 ⇒ 特急いしづち24号 ⇒ 17:54 高松
高松 18:13 ⇒ 特急うずしお23号 ⇒ 19:24 徳島
特急券 指定席=1270+1700=2970円
乗車券(大歩危⇒徳島⇒海部) 4590円特急うずしお
3日目
徳島 9:51 ⇒ 特急むろと1号 ⇒ 10:59 牟岐
特急券 指定席=1700円
牟岐 11:05⇒普通列車⇒11:19海部11:26⇒普通列車⇒11:37甲浦
阿佐海岸鉄道の乗り鉄
甲浦 12:19⇒普通⇒12:30海部12:33⇒普通⇒12:47 牟岐
牟岐 12:52⇒特急むろと4号⇒14:01徳島
徳島 14:26⇒特急うずしお18⇒15:26栗林
特急券 指定席=1700+1700=3400円
乗車券 3780円
栗林公園散策 ミシュランガイドに「わざわざ訪れる価値のある場所」として評価された日本庭園。
栗林公園北口 18:20⇒普通列車⇒18:27 高松
乗車券(海部⇒徳島⇒高松)3180円
高松 21:26⇒寝台特急サンライズ瀬戸⇒7:08 東京
(全行程別料金)
乗車券総額=10180円、特急券グリーン、指定合計=14800円、総計=24980円
バースデイきっぷグリーン車用の場合、11980円おトク海部に停車中の普通列車
観光列車「四国まんなか千年ものがたり」は別途食事代(上り列車の場合4500円)がかかる。
とくに土休日運行の列車は早々と満席になるので、できれば1か月前の予約をおススメする。
また、バースデイきっぷ(グリーン車用)を併用する場合は、JR四国に直接申し込むのがいいと思う。
http://www.jr-shikoku.co.jp/sennenmonogatari/ticket/index.html周辺の予約制駐車場
周辺の予約制駐車場
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