大歩危・小歩危

渓谷

約2億年の年月をかけて生まれた大自然の芸術

大歩危峡・小歩危峡という2つの渓谷の総称が「大歩危小歩危」だ。この総称で国の名勝と天然記念物に指定されており、ともに剣山国定公園の一部である。日本一の激流との呼び声も高く、ダイナミックな渓谷美が堪能できる。

大きく蛇行する大歩危峡はカヌーやラフティングでも人気} 大きく蛇行する大歩危峡はカヌーやラフティングでも人気

日本有数の渓谷美は地質学的にも貴重な存在

井川池田ICから国道32号を高知方面へ車を走らせると、やがて「小歩危峡(こぼけきょう)」に入ったことを知らせる道路標識が見えてくる。そこから約8kmにわたって続く渓谷が、いわゆる「大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)」である。「日本三大暴れ川」のひとつにして「四国三郎」の異名を持つ吉野川が、その豊かな水量と激しい流れで四国山地を浸食。約2億年をかけてつくりあげた大自然の芸術である。「大歩危小歩危」という漢字は「大股で歩くも危険、小股で歩くも危険」という言葉に由来するといわれるが、それは俗説のようだ。1815年(文化12)の『阿波史』には「大嶂(おおぼけ)」「小嶂(こぼけ)」とあり、この「嶂(ほき・ほけ)」とは「険しい山の峰、断崖絶壁」を意味する古語である。現在の表記は1873年(明治6)の地租改正以降に変更されたもの。いわば、近代化の産物だといえる。

太古から少しずつ形を変えてきた大歩危峡は迫力満点} 太古から少しずつ形を変えてきた大歩危峡は迫力満点

貴重な含礫片岩(がんれきへんがん)に関する詳しい説明の刻まれた石碑} 貴重な含礫片岩(がんれきへんがん)に関する詳しい説明の刻まれた石碑

ダイナミックな大歩危峡は船上から眺めよう

どこかの駐車場に車を停め、国道32号沿いを歩いてみるのも悪くはないが、やはり「大歩危小歩危」の醍醐味は、川面から眺めるダイナミックな渓谷美だろう。大歩危峡観光遊覧船は、年中無休で「レストラン大歩危峡まんなか」から運航。予約の必要はなく、おおよそ1時間に2本から3本のペースで出発する。約4㎞の大歩危峡遊覧コースの所要時間は30分程度。船頭によるガイドもあり、訪れた観光客から人気を博している。船上から見る大歩危峡は大迫力。吉野川の激流がつくりあげたV字型の渓谷や含礫片岩(がんれきへんがん)に代表される珍しい岩石群は、日本列島の成り立ちを知るうえでも非常に貴重なもの。写真映えする場所も多く、大歩危峡観光遊覧船に乗らなければ撮影できない景色も少なくない。どの季節に乗船しても美しい写真を撮影できるだろう。

観光客から人気を集める大歩危峡観光遊覧船} 観光客から人気を集める大歩危峡観光遊覧船

上から見下ろすだけではわからない迫力がある} 上から見下ろすだけではわからない迫力がある

生活の知恵として受け継がれた妖怪伝説にも注目

「大歩危小歩危」のある山城町(やましろちょう)はまた、100以上の妖怪伝説が残る土地でもある。険しい山や切り立った崖、流れの速い瀬や深い淵(ふち)など、危険な場所が多かったことから、大人たちが「そうしたところには妖怪がいる」と子どもたちに言い聞かせていたという。また、土佐(現在の高知県)や伊予(現在の愛媛県)との国境も近く、見知らぬ人の往来もあったため、妖怪伝説が生活の知恵として受け継がれていったとも考えられている。山城町をルーツとする妖怪のうち特に有名なのは、水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』によって全国的に知られるようになった「児啼爺(こなきじじい)」だ。藤川谷川沿いの県道272号(上名西宇線)には石像が立つ。また、国道32号沿いにある道の駅大歩危(妖怪屋敷と石の博物館)には、さまざまな角度から地域の妖怪伝説を紹介する「妖怪屋敷」がある。

藤川谷川沿いに立つ「児啼爺(こなきじじい)」の石像} 藤川谷川沿いに立つ「児啼爺(こなきじじい)」の石像

道の駅大歩危(妖怪屋敷と石の博物館)の妖怪たち} 道の駅大歩危(妖怪屋敷と石の博物館)の妖怪たち

スポット詳細

住所
徳島県三好市山城町重実-上名 map map 地図

情報提供: ナビタイムジャパン

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