大室山

お椀を伏せたようなシルエットが特徴

360度見渡す解放感たっぷりの大自然

伊豆高原駅からバスでシャボテン公園行きで20分、終点が大室山の麓だ。現地に着いたらリフト入り口に建つ大鳥居をくぐりリフト乗り場へ。標高580mの頂上までは約6分、山頂を目指し、しばしの空中散歩を楽しもう。頂上に着くと眼下に伊豆半島や伊豆七島、相模灘、房総半島、富士山や南アルプスまで、さえぎるもののない見事な眺望が広がり、天気が良ければスカイツリーや横浜ランドマークまで見ることができる。山そのものが御神体として考えられ、その昔から人々の信仰を集めてきた聖地で、噴火口中腹には浅間神社が鎮座するほか、山頂には海上安全や海難防止祈願、安産祈願などの願いを込めた石仏が建立されている。

乗車券は乗り場手前の窓口で購入。中学生以上700円、4歳以上350円

ユネスコ世界ジオパーク「ジオサイト」

巨大プリンのような形の大室山は約4000年前の噴火で形成されたスコリア(火山噴出物の一種)丘。噴火の最中にふもとの2か所から大量の溶岩が流れ出し、伊豆高原や城ケ崎海岸が誕生するなど、当時の噴火は伊東の地に大きな変化を与えている。現在は環境保全のため徒歩での登山は禁止され、山頂へのアクセスはリフトのみ。小型犬など抱いて膝に乗せられるペットは同乗可能だ。2018年(平成30)に伊豆半島が「ユネスコ世界ジオパーク」に認定。大室山はジオサイト(地球の活動がわかる地質や地形がある場所)に選定された。毎年2月に行われる「山焼き」は保全を目的に700年続く行事で、現在にいたるまで美しい形状を保ち続け国の天然記念物となっている。

直径最大で300m、深さ70mの噴火口跡

山頂ぐるりと「お鉢めぐり」

山頂では絶景と澄んだ空気を満喫しながら散策できる「お鉢めぐり」をしよう。噴火口跡の周囲は約1km、1周約20～30分なので気軽に山歩きができる。山肌は、春は若草色の黄緑に、夏は鮮やかな深緑、秋はススキの黄金や銀色、冬には山焼きの黒色にと、草山ならではの景観を楽しめるのも魅力。火口には「大室山浅間神社」があり、富士山頂の木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の姉にあたる安産と縁結びの神様・大山祇神の子女「盤長姫命(いわながひめ)」が祀られ、富士山とのゆかりを感じられるパワースポットとしても人気だ。すり鉢型の噴火口跡には8台アーチェリー的が設置されており、中学生以上・身長140cm以上であれば体験可能(道具類はレンタル)。

頂上西方旧登山口の如来像。富士山に向かって安置されている

必ず写真に収めたい撮影スポット

大室山ふもとにも自然がいっぱい

山頂だけでなく、ふもと周辺の散策も楽しめる大室山。「さくらの名所100選」に認定されている「さくらの里」はリフト乗り場から歩いて10分程度の場所にある。大室山を背景に約4万平方メートルの芝生が広がり、寒桜や早咲き桜、河津桜や染井吉野など、約40種・1500本の桜が9-5月頃までの長い期間花を咲かせ、特に春の花見シーズンには多くの観光客で賑わう。敷地内では「スコリアラフト」という軽石状の火山噴火物の見物もできる。リフト乗り場前にある「伊豆シャボテン動物公園」は、140種類の動物と1500種類のサボテンや多肉植物を観賞できる人気スポットだ。

大室山のふもとにある「さくらの里」