割烹蒲焼わかな

懐石/割烹

横浜っ子なら誰もが知っている割烹うなぎ店

1872年(明治5)創業の老舗「わかな」はJR関内駅から徒歩1分。昨今のうなぎ店はうな重が主流だが、「わかな」の常連客はうな丼を食す。最大40名の座敷席もあり、慶弔などにも使われる横浜っ子の御用達店だ。

地元客に人気の「うな丼(3900円)」と「肝吸い(450円)」} 地元客に人気の「うな丼(3900円)」と「肝吸い(450円)」

現在の店主は6代目。せんべい屋から150年続くうなぎ屋へ

初代の橋本吉蔵はもともと人気のせんべい屋「亀の子煎餅・若菜屋」の長男として生まれたが、遊び人で煎餅屋を継ぐ気はなかったという。ある日、金に困ったうなぎ職人ふたりの面倒をみたことから、このふたりが感謝の気持ちを込めて、「わたしたちが一生懸命働くのでうなぎ屋をやってみては?」と提案し、吉蔵がこれを受けたのが「わかな」の始まりといわれている。なんとも日本昔話のような逸話だが、これはちょうど横浜~新橋間に初めて鉄道が通った頃の話で、その後、各代の店主たちは料理人のプライドをもって「わかな」の暖簾を守ってきた。初代のひょうひょうとした気質が受け継がれてか、150年続く老舗店でありながら「わかな」には気取ったところがなく、長きにわたって横浜の庶民に愛されてきた。

通し営業なので、いつでもおいしいうなぎを食べられる} 通し営業なので、いつでもおいしいうなぎを食べられる

気さくな老舗店の気配り

訪れたのは平日の16時頃だったので客はまばらだった。2階の食堂では老紳士が定位置と思われる席に座り、ビールのグラスを傾けている。昭和時代のお姉さま方がきびきびと接客してくれる店内は、よく見るとなかなかモダンなたたずまいだ。先先代である4代目「吉蔵」は特に一徹な職人気質をもった料理人で、味だけでなく、器や空間からもおいしさを提供したいと考え、実践した。その教えは5代目~6代目へと受け継がれ、壁に和風の瓦の彫刻が飾られた店内には日々季節の生花が飾られ、居心地は抜群。支店をもたず、その分、この1店舗にすべてを注いできた老舗の姿勢が感じられる空間が広がっていた。

2階の食堂。予約がなくてもこちらでうな丼や親子丼、そのほかの料理をいただける} 2階の食堂。予約がなくてもこちらでうな丼や親子丼、そのほかの料理をいただける

彫刻家・速水志朗氏による瓦を題材とした和モダンなアートが店内の空間を演出} 彫刻家・速水志朗氏による瓦を題材とした和モダンなアートが店内の空間を演出

唯一無二「わかな」のうな丼

うなぎ屋では、うな重とうな丼のどちらを選ぶだろう。せっかく高級なうなぎを食べるならうな重、と思う向きもあるだろうが、「わかな」に限っていえばぜひどんぶりを試してもらいたい。「わかな」のうなぎは三河一色産など、こだわりのものを仕入れ備長炭で焼き上げる。作り置きはせず、焼きたてのうなぎと炊き立てのご飯が提供されるのはもちろんだが、「わかな」のどんぶりといえば、ご飯が驚くほど熱い。裂きや串打ち、焼きなど7~8人の職人がいるなか、ご飯炊きにも専門がいるという。ぎりぎりまでどんぶりを温め、炊き立てのご飯を盛る。作り置きをしないからといって時間をかけるのではなく、少しでも早くテーブルに届けられるよう、実は6代目店主が時間帯ごと、季節ごと、また雨や雪の日など、例年のデータが細かく書かれたえんま帳を見ながら、ご飯の炊き上がりとうなぎの焼き上がりのベストタイミングを計っている。そんな気配りがあって、ここまで熱々のうな丼が提供されるのだ。また、「わかな」のどんぶり飯は一杯が1.5合あるのも特徴。タレが1か所にとどまることなくまんべんなくご飯に行きわたるように、との配慮からこの量になったというが、高級なうなぎ料理を丼でかっこむ醍醐味は「わかな」でしか味わえないものだ。少し硬めに炊かれた熱々ご飯はさっぱりとしたタレによくあい、先ほどビールを飲んでいた老紳士もどんぶりを抱えて満足そうに食べている。また、ご飯は少なめにしてもらうことも可能なので「1.5合飯」に自信がなければ注文時に伝えよう。少し減らしてもらっても十分お腹いっぱいになる。

うな丼のご飯はどんぶりに付いた最後の一粒まで熱々} うな丼のご飯はどんぶりに付いた最後の一粒まで熱々

山椒は鮮やかな緑色。ぴりりと舌が痺れるほどの辛味がうなぎとよくあう} 山椒は鮮やかな緑色。ぴりりと舌が痺れるほどの辛味がうなぎとよくあう

伝統の和食をいただける3階座敷席

3階は座敷席で、同窓会や慶弔など団体の予約に使われる。女将によって月ごとに架け替えられる掛け軸は、橋本関雪(かんせつ)、川合玉堂(ぎょくどう)、鏑木清方(かぶらききよかた)など、著名な日本画家による四季折々が描れた作品。また、ガラス棚には長年使われてきた陶工の器が並べられ、まるで美術館にでもいるような風情がある。伝統と職人技はもちろん、「うまいものを食べてもらいたい、と思う真心があって料理は完成する」という4代目の教えは、座敷席の空間や器にも生かされていた。ここでいただけるのは自慢の会席料理。何品もの季節料理をいただいたあとはうなぎの蒲焼で締める。客の誰もが「待ってました!」と思うふわっとした肉厚のうなぎは「わかな」のスペシャリテ。蒲焼は予約時に小丼のうな丼にすることも可能だ。締めにもまた熱々ご飯にふっくらうなぎをいただけると思うと幸せな気持ちに胸が踊る。こだわりの食材を使い、老舗ならではの考えられたメニューの会席料理と、なかなか見ることのできない美術品が飾られた空間の座敷席には受け継がれてきた伝統が感じられる。それでもうな丼が食べたい庶民の気持ちを汲んでくれるのが「わかな」といううなぎ屋だ。

貴重な掛け軸がかけられた3階の座敷席。お年寄りでも座りやすいよう椅子席も設けている} 貴重な掛け軸がかけられた3階の座敷席。お年寄りでも座りやすいよう椅子席も設けている

3階に展示されているわかなの美しい器} 3階に展示されているわかなの美しい器

スポット詳細

住所
神奈川県横浜市中区港町5-20 map map 地図
電話番号
0456811404
時間
11:00-20:30(L.O.)
休業日
ホームページ要確認
駐車場
なし
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、Diners Club)
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり(写真入り主要メニューのみ)
滞在目安時間
60-120分
車椅子での入店
乳幼児の入店
備考
※定休日カレンダーをご確認ください
https://www.yokohama-wakana.com/annai.php

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 温めた丼に熱々のご飯! 蒲焼もふわふわ
    4.0 投稿日 : 2023.02.21
    日曜の11:20頃に到着したのが敗因。2階席がちょうど埋まったところか、40分列んで正午に入店となりました。さて、何と言ってもこの店の一推しは、温めておいた丼に熱々のご飯を押し付けて盛り、蒲焼を載せたうな丼。鰻重ではお重は熱々に出来ませんからね。きも吸を付けましたが、昨今の高騰の中では比較的安めかと思います。
  • 夏の暑い日に
    4.0 投稿日 : 2021.09.04
    コロナ禍の夏に元気を貰いたくて行ってしまいました。隣テーブルは空けて対策している様でした。味は旨い。今回は鰻重でしたが、鰻丼でもいいかな?でも肝吸は必須です。
  • 味は良いが接客は最低
    3.0 投稿日 : 2020.12.10
    席が空いている中通されたのはレジの前の席、後から来た客には此方側も此方がも空いてますと伝えていました。また、上鰻重を頼んだ際「上は5000円になりますがよろしいんですか?」と小馬鹿にした態度。気分が悪くなりました。

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アクセス

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最寄り

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