府中市上下歴史文化資料館

資料/郷土/展示/文学館

かつて江戸幕府の天領だった「石州街道」の宿場町

尾道・福山と三次のほぼ中間付近に、美しい白壁の町並みを見られる上下の町がある。上下はかつて石州街道の要所で、商業や金融業で栄えた町だ。観光的な要素は少ないが、タイムトリップ気分で町歩きが楽しめる。

町のシンボルとなっている「上下キリスト教会」が目をひく白壁の町並み。この地に暮らす人々が日常生活の買い物をする商店街だが、建物の多くが白壁に統一されている} 町のシンボルとなっている「上下キリスト教会」が目をひく白壁の町並み。この地に暮らす人々が日常生活の買い物をする商店街だが、建物の多くが白壁に統一されている

「石見銀山街道」の宿場町のひとつ

石見(いわみ)銀山から銀を運ぶには、温泉津(ゆのつ)港から海路も利用されたが、瀬戸内の尾道・福山方面へ、中国山地を横断して陸路も利用された。それが「銀の道」とも呼ばれた「石見銀山街道」で、銀山から尾道まで約130kmを3泊4日で銀を運んだといわれる。そして沿道には、三次(みよし)をはじめ宿場町が点在する。広島県東部の山中にある、府中市上下(じょうげ)町は、宿場町としても発展したが、1700年(元禄13)に江戸幕府の直轄地となり陣屋(上下代官所)がおかれた。その後、1717年(享保2)には石見銀山大森代官所の出張陣屋となり、幕府を後ろ盾とした金融業で栄えた。幕末には上下の町並みに33軒もの金融業者があったといわれるほど発達した。町のメインストリート「上下町商店街」には、白壁なまこ壁の土蔵造り、格子戸の美しい町並みが続き、往時の面影を今に伝えている。

上下白壁の町並みの観光拠点となる「上下歴史文化資料館」は、上下出身の女流文学者・岡田美知代の生家を改築したもの。観光案内所として上下の魅力も発信している} 上下白壁の町並みの観光拠点となる「上下歴史文化資料館」は、上下出身の女流文学者・岡田美知代の生家を改築したもの。観光案内所として上下の魅力も発信している

町並みにあわせて街灯も行灯(あんどん)をイメージした造り。最近では町並みを着物姿で歩く観光客も増えている} 町並みにあわせて街灯も行灯(あんどん)をイメージした造り。最近では町並みを着物姿で歩く観光客も増えている

銀の運用で栄えた商業・金融の町

「上下」という地名は、付近が日本海へ注ぐ江の川(ごうのかわ)水系と、瀬戸内海へ注ぐ芦田川(あしだがわ)水系を分ける「峠」となっていることから、「峠の字」から山を除いて「上下」となったという説もある。尾道方面と府中・福山方面への街道が合流する交通の要所で、陣屋がおかれたことで地域の政治経済的な中心地となった。上下の商人たちが貸し付けたお金は「上下銀」とも呼ばれて広島藩領や福山藩領に広く流通し、上下の町の発展をもたらした。さまざまな商人も集まり、商業・金融の町として繫栄した。そして、今の町並みが形成されたと考えられている。

「上下キリスト教会」は蔵だった建物を1950年(昭和25)にキリスト教会にしたもの。塔は見張り櫓(やぐら)だったもので避雷針に十字架を取り付けたといわれている} 「上下キリスト教会」は蔵だった建物を1950年(昭和25)にキリスト教会にしたもの。塔は見張り櫓(やぐら)だったもので避雷針に十字架を取り付けたといわれている

旧警察署の建物の屋根の上には、明治時代の火の見櫓が往時の姿のまま残る} 旧警察署の建物の屋根の上には、明治時代の火の見櫓が往時の姿のまま残る

観光地とは趣の違った町巡りを楽しみたい

上下の白壁の町並みはふだん使いの商店街で、そこに土産物屋や食事処が並ぶわけではなく、観光色は希薄だが、一般の商店や銀行などでも白壁なまこ壁の建物が多く見られる。そうでない建物でも、昔ながらの畳屋や写真館など懐かしさを感じさせる店が並び、火の見櫓のある旧警察署が残るなど、町並み全体が郷愁にあふれている。町並みには「広島県文化百選」となっている「上下キリスト教会」や、女流文学者・岡田美知代の生家を改築した「上下歴史文化資料館」、江戸時代の掛屋「旧田辺邸」、中国地方で唯一現存する大正時代の木造建築の芝居小屋「翁座(おきなざ)」などの見どころもあるので、それらを訪ねつつ、ノスタルジックな町並みのそぞろ歩きを楽しみたい。この上下は、瀬戸内海沿岸部の尾道や福山と、県北部の中核都市・三次のほぼ中間にあり、それぞれ車で1時間とかからない。また、花畑が広がる「せら高原」へは10km余り、車で20分足らずと近い。メジャーな観光ルートからははずれた場所にあるが、ドライブで訪れるには好適だ。

大正時代に建てられた「翁座」は、芝居や映画が上演されていた劇場で、昭和30年代まで営業していた。土・日曜、祝日に一般公開} 大正時代に建てられた「翁座」は、芝居や映画が上演されていた劇場で、昭和30年代まで営業していた。土・日曜、祝日に一般公開

風情ある外観の「上下画廊」は、有名人の訪問も多いという隠れた名店カフェ。店内にはたくさんのランプが吊るされ、珍しいひな人形が所狭しと並ぶ} 風情ある外観の「上下画廊」は、有名人の訪問も多いという隠れた名店カフェ。店内にはたくさんのランプが吊るされ、珍しいひな人形が所狭しと並ぶ

築100年を超える商家をリノベーションした「泊まれる町家 天領上下」は上下キリスト教会の向かいにある。端正な中庭や細工が施された欄間など、建物の造作も見事} 築100年を超える商家をリノベーションした「泊まれる町家 天領上下」は上下キリスト教会の向かいにある。端正な中庭や細工が施された欄間など、建物の造作も見事

スポット詳細

住所
広島県府中市上下町上下1006 map map 地図
エリア
北部エリア
電話番号
0847623999
時間
10:00-17:00
休業日
料金
[入館料]無料
駐車場
あり(4台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
喫煙
不可(当施設前の駐車場内に灰皿設置されています。)
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
乳幼児の入店
ペットの入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 上下白壁の町並みの観光拠点、展示物が素晴らしい
    5.0 投稿日 : 2020.02.25
    上下出身の作家「岡田美知代」の生家を改築した資料館です。上下の歴史や昔話、住民の作品など、2階は岡田美千代関係の資料が展示されています。武田信玄の軍師 山本勘助の具足なども展示されています。「上下ひなまつり」の時期だったので、展示されている雛人形も見事でした。入館無料です。

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アクセス

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