しずくいしYU-YU(ユウユウ)ファーム

人馬とも流鏑馬装束に身を包み、専用コースから4m先のスポーツ流鏑馬の的をめがけて矢を射る

キュートな看板猫が出迎えてくれる

県道172号線沿い舛沢(ますざわ)バス停近くの細い道を入ると「しずくいしYU-YUファーム」ののぼりと看板が見えてくる。その看板のすぐうしろには馬場があり、この日は馬が3頭、のんびりとひなたぼっこをしていた。趣味でスポーツ流鏑馬をしていた代表の柴田優行さんが元野球のグラウンドだった土地を少しずつ整備し、2016年(平成28)に「しずくいしYU-YUファーム」をオープンさせた。まずはログハウスの事務所で申し込みをと思ったら、看板猫のポポがお行儀よくお出迎え。ポポは代表が農作業をしていたときに、ボロボロの姿で近づいてきた元野良猫。そうは思えないほど人なつっこく、体をなでると気持ちよさげに目を細め、とっても愛らしい。ファーム内で栽培されているカモミールのハーブティーを飲みながら事務所で体験の手続きをしたら、乗馬体験のスタート！

手作りの看板やログハウスの事務所など、温かさを感じられるアットホームなファーム

馬場や放牧場では、馬たちがのんびり過ごしている。運がよければ、馬が寝転んでいる珍しいシーンに出合えるかも

乗馬をする人を遠くから眺めている看板猫ポポ。ブーブー、チャチャ、アミの猫3匹も気まぐれで顔を出す

リーズナブルな価格の乗馬体験メニュー

乗馬が初めての人には、最初の20分ほど前進・止まれや左右の合図といった馬の扱い方をスタッフが教えてくれる。馬は背に人を乗せただけで初心者か上級者かがわかるそうだが、初心者には性格がおとなしい馬を選んでくれるので心配いらない。乗り方を練習したら、馬場やファームの外周を一人でまわれるようになるそうだ。ゆっくりとした歩調で進む馬に乗り、馬上の少し高い位置から雄大な雫石の山々を眺めると、ふだんのストレスから一気に解放される。「しずくいしYU-YUファーム」は会員制をとっておらず、初心者乗馬体験の費用は40分4,500円のみと、かなりリーズナブル。「日本一安いかもですね。もっと高くしてもいいとよく言われます」と笑いながら話す代表だが、この価格には「馬に乗る人を増やしたい」という純粋な想いが込められている。

乗馬経験者なら「ビジター乗馬」40分6,000円でファーム周辺を自由に散策できる

初心者でも挑戦できるレアな流鏑馬体験

「しずくいしYU-YUファーム」は、数少ない流鏑馬体験ができる場所だ。流鏑馬のレンタル衣装は、代表がスポーツ流鏑馬のときに使っていたもので、花嫁の打掛などをリフォームした衣装はどれも派手で華やか。「この衣装を着て写真だけを撮りたい」と施設を訪れる人もいるという。まずは衣装の腰帯に矢を3本さし、弓の打ち方を教えてもらう。「弓道とは違って、弓を引くとき矢を目の横に当てて射ると、見た方向に矢が飛びます」と言われたが、地上でできても馬上で弓を引くのはなかなか難しそうだ。「初めてでも意外に当たりますよ」と代表。指導を受けたあと、流鏑馬専用の馬場で馬を走らせ的を狙う。どうにか矢を的に当てると、かなり爽快な気分に。流鏑馬をする勇姿を写真に収めたいなら、絶好の撮影ポジションをスタッフが教えてくれるので、事前に聞いておくといい。

勇壮な流鏑馬の衣装。この馬は日本乗系馬で名前はリベロ。矢には万が一当たってもけがをしないよう木の鏑(かぶら)がついている

動物と触れ合い子どもたちも笑顔に

より馬に乗る楽しさを感じたいなら、場内トレッキングコースをまわる「初心者体験トレッキング」40分6,500円もある。乗馬経験者には、ファームから車で25分ほどの場所で、自然のコースを歩く「春・秋限定外乗体験」約半日20,000円(1日2名限定)がおすすめ。山道を歩き、谷を下り、和賀岳(わがだけ)の自然を満喫できるぜいたくなホーストレッキングだ。子どもたちには乗った馬をスタッフが誘導して場内を1周してくれる「引き馬体験」1,000円を。ファーム内にはブランコやハンモックなどもあり、小さな子どもでも十分楽しめる。ファーム内の農園で育てた野菜のピザを提供するというプランも計画中だという。ポニーにニンジンをあげたり(エサ代500円)、猫をなでたり(無料)と、雫石の手作り感あふれるファームには、街なかとは違うゆっくりとした時間が流れていた。

馬房の馬たちも見学可能。乗用馬以外に盛岡競馬場で走っていたサラブレッドの姿も。間近で見ると、その大きさと美しさに驚く