松本城下町
松本の歴史と人々の生活に触れる城下町そぞろ歩き
戦災を免れた城下町を歩く
スタートはJR松本駅から。駅のコンコースから北アルプスの山並みを一望したら、8分ほど歩いて「松本市時計博物館」へ。貴重な古時計のコレクションを鑑賞したあとは、中町通りなどに寄り道しながら松本城へ向かおう。松本城下町が整備されたのはおもに安土桃山時代。南北に長いのが特徴で、町の中心部を二分するように女鳥羽川(めとばがわ)が流れる。城を守るために配置された川だ。町割は川の北側、城の周囲に上級武士の屋敷を、堀の外側に中級以下の屋敷を配置した。川の南側と善光寺街道沿いには町人地をおき、敵に攻め入られたときに見通しをさえぎる壁の役割をもたせた。町人地には中町など13の町があり、それらをつなぐ小路が24あった。城に続く道にはクランクや丁字路などを設け、敵に攻め込まれにくい構造にしている。現在、堀は埋められているが、道が入り組んでいたり、狭い箇所もあったりするのは当時の名残。2時間ほどかけてぐるりと歩いてみよう。
城下町の風情あふれる中町通りと縄手通り
造り酒屋などが軒を並べ、町人町の賑わいを見せていたのが「中町通り」だ。何度も大火に遭った経験から、火に強い「なまこ壁」と白壁の土蔵造りの建物が東西約400ⅿに並ぶ様子は、城下町の趣がたっぷり。松本は木材が豊富で、気候も木工に適していることから木工職人が多く、民芸、工芸の町としても名高い。中町通りには職人の手がける民芸家具の店やセンスのいいクラフトショップが数多く集まっている。店構えや内装も個性豊かで、お土産にぴったりな小物も手に入る。時間をかけて、じっくり巡ってみよう。中町通りの川向こうには、城下町の風景を再現した歩行者天国の「縄手通り」がある。女鳥羽川の土手から始まった通りで、明治時代には露店の並ぶ盛り場として栄えた。現在、露店は長屋風の店舗に生まれ変わり、雑貨店や飲食店などが立ち並ぶ。かつて女鳥羽川にカジカガエル(河鹿蛙)が美しい鳴き声を響かせていたことなどから「カエルの街」とも呼ばれていて、通りの各所でカエルの像などを目にする。
市街地には湧き水スポットが24か所も!
松本の市街地を散策していると、あちらこちらから水の音が聞こえてくる。音の発信源は、湧き水と井戸。北アルプスや美ヶ原などに囲まれた松本は、山々に浸み込んだ水が女鳥羽川と薄川(すすきがわ)の作り出した複合扇状地の地下に流れ、市街地の中心部だけでも24か所から湧き出している。これらを「まつもと城下町湧水群」と呼び、街ぐるみで保全。環境省の「平成の名水百選」にも認定されている。松本は、水の街でもあるのだ。中町通りのシンボル的存在として知られるカフェ「蔵シック館」の前にも「中町蔵の井戸」があるし、その1ブロック南の高砂通りには、1843年(天保14)刊行の『善光寺道名所図会』に「当国第一の名水」と称賛された「源智の井戸」もある。この水を使うとコーヒーや料理の味が上がると評判で、ペットボトルを抱えて汲みにくる地元の人の姿も多い。市街では思わぬところで小さな井戸に出合うこともあるので、宝探し気分で飲み比べよう。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン