長野

白馬・安曇野

HAKUBA / AZUMINO

壮大な北アルプスの麓に広がる、自然を生かしたエリア

日本の代表的山岳リゾートとなる白馬から、北アルプスの恵みである湧き水が豊富となる安曇野市一帯、そして長野県で2番目に人口の多い松本市までのエリア。白馬村は1998年(平成10)の冬季オリンピック開催地となったことからウインターシーズンのイメージが強いが、最近では春から秋にかけたグリーンシーズンに、アクティビティやカフェを楽しめるスキー場施設が多くなっている。安曇野市周辺には田園風景が広がり、春の田植え前には山々を映す鏡となる。日本一広大なワサビ園「大王わさび農場」は代表的観光地。点在する美術館や博物館を結ぶ「安曇野アートライン」の出発点となる芸術的側面もある。松本市は、上高地や美ケ原高原などの山岳に囲まれる立地でありながら「セイジ・オザワ松本フェスティバル」や「信州・まつもと大歌舞伎」を開催するなど文化芸術を重んじる地域。国宝「松本城」を中心に栄えてきた城下町には、カフェやバーなど魅力的な店舗が多い。

recommend spot

エリアの見どころ

  • spot 01
    松本城
    北アルプスを背景に映える国宝の城。天守からの景色も抜群
    長野県松本市の代表的観光地「松本城」。現存する五重六階の天守のなかでは日本最古の城であり、国宝に指定されている。山々を背景に、黒漆と白漆喰のコントラストが映える姿には、息をのむほどの迫力がある。
    石垣の上にそびえる松本城。お堀には白鳥も棲む
  • spot 02
    上高地
    標高約1500mの大自然の宝庫、山岳リゾート「上高地」
    日本を代表する山岳リゾートの上高地。雄大な穂高連峰を望み、梓川の流れる麗しい景観は「特別名勝」と「特別天然記念物」に指定される。トレッキングや日帰り観光、宿泊などさまざまな楽しみ方をできる場所だ。
    穂高の山々と、梓川に架かる河童橋
  • spot 03
    河童橋
    大自然に調和する上高地のランドマーク
    上高地の風景といわれて誰もが思い浮かべるのが、壮大な山々の前面に架かる「河童橋」。上高地に来訪したからには写真に収めたい象徴的存在であり、穂高連峰や岳沢(だけさわ)、焼岳、清らかな梓川が展望できる絶好のビューポイントだ。現在の吊り橋は、1997年(平成9)に架け替えられた5代目であることはわかっているが、最初の橋が架けられた時期はわかっていない。また、名前の由来も「河童の住んでいそうな深い淵があった」「橋がなかった頃、衣類を頭に乗せて川を渡った人々の姿が河童に似ていた」など諸説あるが、こちらも本当のところはわからない謎の多い橋だ。河童橋は、上高地バスターミナルからは歩いて300mほどにある。付近にはホテルやレストラン、土産物屋が並び、最盛期の河童橋周辺は「上高地銀座」と呼ばれるほど多くの観光客で賑わっている。
    河童橋と穂高連峰
  • spot 04
    大正池
    水鏡に映し出される静寂の世界
    1915年(大正4)に焼岳が大爆発を起こし、流れ出た土石流が梓川をせき止め、一夜にして姿を現したのが大正池。穂高連峰を背景に面前に広がる大正池は、穂高の山々や森を映し出す水鏡だ。早朝や、雨上がりの朝などは、水面に靄(もや)が立ち、白くかすんだ視界のなかで、立ち枯れの木が浮き上がった景色が幻想的。風が止んで波紋が消える、一瞬の静寂を待つのもいいだろう。上高地バスターミナルからは徒歩約75分、大正池バス停からは徒歩1分で到着する。梓川の上流から流れ来る砂礫や、雨が降るたびに焼岳から流れ込む土砂が、毎年大量に堆積しているため、100年以上経った現在では面積も半分以下にまで小さくなり、枯れ木も残りわずかとなっている。
    北東にそびえる穂高岳を写す大正池
  • spot 05
    白骨温泉
    大自然のなか、森林浴をしながら乳白色の湯を楽しむ
    松本市の名湯「白骨温泉」。北アルプスの南端に位置する、乗鞍岳(のりくらだけ)の東側山腹が源泉。やさしい乳白色の彩り、硫黄の香りが人気の湯だ。中部山岳国立公園区域内にあり、国民保養温泉地にも指定されている。
    紅葉に彩られる白骨温泉街
  • spot 06
    国営アルプスあづみの公園「堀金・穂高地区」
    国営の自然豊かな都市公園。一日中遊べる広大なフィールド
    北アルプスのふもとに位置する、広大な公園「国営アルプスあづみの公園 堀金・穂高地区」。自然豊かなフィールドでは、花畑や水遊びのできるエリア、アスレチック、学びたっぷりの施設がそろう。
    北アルプスのふもとの公園。春には花畑が広がる
  • spot 07
    国営アルプスあづみの公園「大町・松川地区」
    「本物の自然」のなかで安全に遊べる北アルプス山麓の国営公園
    北アルプス山麓に広がる「アルプスあづみの公園大町・松川地区」は、多様な自然環境と多くの生き物の保全区域をもつ国営公園で、北アルプスの山々から流れる渓流や、深い森を舞台にさまざまなアクティビティを楽しめる。
    入り口広場とロードトレイン。背後には山々がそびえる
  • spot 08
    安曇野アートライン
    安曇野の美術館や博物館を巡るドライブルート
    「安曇野アートライン」とは、安曇野から白馬村までの50kmほどのエリアに点在する、美術館や記念館、博物館の約20館を結んだルートのこと。北アルプスのふもと、澄んだ空気のなかで、芸術や学問を楽しんでみよう。
    安曇野市穂高にある「碌山(ろくざん)美術館」はレンガ造りの建物も必見
  • spot 09
    安曇野ちひろ美術館
    絵本画家いわさきちひろの世界が広がる、美術館と公園
    安曇野ちひろ美術館では、絵本画家いわさきちひろの代表作や絵本の原画を中心に、子どもの本のイラストレーションを貴重な文化財と位置づけ、世界35の国と地域、211名のアーティストによる作品2万7500点を収蔵している(2022年5月時点)。信州は、ちひろの両親の出身地であり、ちひろにとっては幼い頃から親しんだ心のふるさと。「ちひろ美術館・東京」の開館20周年を記念してこの地に建てられた。館長は、ちひろの絵で親しまれている『窓ぎわのトットちゃん』を著した黒柳徹子さんだ。いわさきちひろの絵は、水彩絵の具に水をたっぷり含ませて、色をにじませたり、ぼかしたりした、やわらかさのある独特の色調。ちひろは生涯、「子ども」をテーマに描き続け、9600点以上の作品を残している。美術館の周囲に広がる5万3500平方メートルの安曇野ちひろ公園内には『窓ぎわのトットちゃん』の世界を楽しめるトットちゃん広場があり、物語に登場する電車の教室の見学や、物語のエピソードにちなんだ広場の散策を自由にできる。
    いわさきちひろ『緑の風のなかの少女』(1972年)
  • spot 10
    大王わさび農場
    北アルプスの湧き水で潤う「わさび」のエンターテインメント空間
    安曇野の地に広大なワサビ畑を有する入場無料の農場。ワサビ畑に癒やされながら周囲を散策、湧き水を使ったドリンクでのどを潤し、レストランでワサビを食すことができる。ワサビ尽くしの、癒やしの時間を過ごそう。
    春の大王わさび農場には梅や桜が咲く。緑とピンクのコントラストが美しい
  • spot 11
    穗髙神社
    山々に守られる、安曇野のパワースポットを参拝
    安曇野市におごそかに構える「穗高神社」。古くより日本アルプスの総鎮守、交通安全、産業安全の守り神として信仰されてきた。927年(延長5)の神社一覧「延喜式神名帳」にもその名がある、長い歴史を誇る社だ。
    20年ごとに本殿一社を建て替える大遷宮と、その間に2度修復を行う7年ごとの小遷宮が行われる
  • spot 12
    高ボッチ高原
    アクセス抜群の大パノラマ。富士山と諏訪湖が織りなす絶景
    塩尻市の東に位置する標高1665mの高原で、車で簡単にアクセスできる。諏訪湖をはじめ、富士山、八ヶ岳、南アルプス、御嶽山、北アルプスまで360度の絶景が壮観。運が良ければ雲海に浮かぶ山々を見られる。
    山頂からの富士山、諏訪湖方面の景色
  • spot 13
    大町温泉郷
    立山黒部アルペンルートやウインタースポーツの拠点
    「立山黒部アルペンルート」の長野県側の玄関口となる「大町温泉郷」。白馬村にも近い立地から、アクティビティを楽しんだり、大町の名所を巡ったりする拠点として通年選ばれる、自然あふれる温泉郷だ。
    温泉郷のすぐ横には一級河川の鹿島川が流れている。すぐ近くにスキー場がたくさんあり、冬も賑やか
  • spot 14
    ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン
    ナチュラル化粧品「ラ・カスタ」の、美と癒しの庭園
    北アルプスのふもと、長野県大町市で生まれたヘアケアブランド「ラ・カスタ」が展開する予約制ガーデン。2023年5月より新しく生まれ変わり、園内施設ファクトリーには「ラ・カスタのラボ」がテーマの植物や香りの体験エリア〈アロマバー〉や、ラ・カスタの歴史や想いを展示する〈オリジンルーム〉、そしてガーデン入口には「ラ・カスタそのもの」を体感できる旗艦店「ラ・カスタ 北アルプス本店」が新設された。
    ラ・カスタの世界観が造りこまれた庭園
  • spot 15
    鷹狩山
    北アルプスをゆったり眺める。鷹狩山山頂の穴場スポット
    北アルプスの眺望を楽しめる標高1164m、鷹狩山の山頂。南は蝶ヶ岳から北は白馬岳まで、大町市街地とともに見渡すことができる。信濃大町駅から車で20分とアクセス良好の穴場スポットだ。
    四季によって表情を変える北アルプス
  • spot 16
    仁科三湖
    大町市が誇る3つの湖。レジャーを楽しめる水のフィールド
    仁科三湖は、安曇野市と白馬村の間にある、大町市が誇る大きな3つの湖。釣りやカヌー、SUPなどのウォータースポーツや、湖畔キャンプを楽しめる。自然のパワーを感じたいアウトドアにぴったりなエリアだ。
    青木湖からは北アルプスを遠望できる
  • spot 17
    白馬岩岳マウンテンリゾート
    白馬岩岳山頂に広がる、楽しみ満載の絶景マウンテンリゾート
    白馬の岩岳エリアに広がる「白馬岩岳マウンテンリゾート」。冬はウインタースポーツ、春から秋はグリーンシーズンとしてキャンプやマウンテンバイクなどのアクティビティ、トレッキングなどを楽しめる。今回はグリーンシーズンに注目。
    白馬三山はもちろん、2019年(令和元)に日本で7番目の氷河に認定された唐松沢雪渓も見ることができる
  • spot 18
    HAKUBA MOUNTAIN HARBOR(ハクバ マウンテン ハーバー)
    白馬三山のパノラマが広がる展望テラスにカフェを併設
    標高1289mの岩岳山頂に設置された展望テラス「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」。白馬の春・夏・秋のグリーンシーズン、そしてウインターシーズン、どの季節においても魅せる姿を変えていく北アルプスを一望できる、絶景カフェ&テラスだ。
    白馬の山並みを眺めながらいただくブレンドコーヒーと、クロワッサンサンド、ビスケット
  • spot 19
    八方尾根
    山上での楽しみ方いろいろ。稜線のマウンテンリゾート。
    スキー場として知られる白馬八方尾根は、夏の楽しみも多彩。標高1400mでビーチ気分を味わったり、眺望を満喫しながらハイキングコースを歩いたり。スキー場のゴンドラやリフトを乗り継いで行く遊びのフィールドだ。
    白馬八方尾根うさぎ平のオープンテラス。パラグライダーが飛んでいる。
  • spot 20
    白馬八方温泉
    水素含有量が非常に多い、日本で唯一の天然水素温泉
    白馬八方温泉は、pH11を超える高アルカリ性の天然水素温泉。源泉かけ流しで、入浴後にはツルツルとしたお肌を期待できる。八方尾根のふもと、白馬村八方地区に湧く温泉を生かした、日帰り温泉施設4軒と足湯3か所、温泉旅館、土産屋、食事処が点在している。山上のアクティビティやウィンタースポーツで楽しんだあと、疲れた体を癒やすのにもってこいの温泉街だ。名物は、温泉水で練り上げた独特のコシと触感の「温泉うどん」や、8種類の信州産食材を使ったおやき「八方八味(はっぽうやみ)」など。温泉水を染み込ませたウェットティッシュもお土産におすすめ。また八方尾根エリアは、地底深くで形成された蛇紋岩が広範囲に露出している点でも全国的に珍しい。蛇紋岩と熱水が反応してできた温泉には、生命のもととなるメタンなどの炭化水素が含まれており、その環境は生命が誕生した40億年前の状況に近いとされ、世界の科学者の関心を集めているようだ。
    白馬八方温泉のなかで最も大きな日帰り温泉「八方の湯」。八方尾根と白馬駅の中間にある
  • spot 21
    八方池
    白馬の優美な山々を水面に映し出す、標高約2060mの鏡池
    凛とした冷涼な空気のなか、山々を鏡のように映す池。北アルプス唐松岳の中腹にあり、スキー場で知られる八方尾根の上部から約90分のトレッキングで訪れる。ルートは初心者でも歩きやすく、家族連れの姿も多い。
    山を映す八方池。雲が出にくい午前中の滞在がおすすめ。
  • spot 22
    松本城下町
    松本の歴史と人々の生活に触れる城下町そぞろ歩き
    JR松本駅からスタートして松本城まで歩き、観光地としても人気の縄手(なわて)通りや中町通りを散策。名水の湧き出る井戸に立ち寄り、城下町ならではの風情を楽しみながら松本の歴史と人々の生活に触れてみよう。
    中町通りには江戸から大正時代の蔵造りの建物が並び、独特の景観が続く
  • spot 23
    松本市美術館
    草間彌生をはじめ信州ゆかりの芸術家の絵画や彫刻、書を展示
    松本市美術館は、鑑賞の場、表現の場、学習の場、交流の場の4つを柱に、地域に根ざす総合美術館として2002年(平成14)に開館。入り口では、松本市に生まれ、世界で絶大な人気を誇る前衛芸術家・草間彌生の巨大彫刻作品『幻の華』がお出迎え。1階はミュージアムショップなどがあるフロア。2階には企画展が開催される企画展示室がある。階段を上った3階フロアでは、草間彌生の特集展示を通年鑑賞できる。国内はもとより、近年では草間の作品を目当てに海外から訪れる人も少なくない。同じフロアでは松本市出身の書家・上條信山や、信州の山々をこよなく愛した洋画家・田村一男、諏訪市出身の彫刻家・細川宗英の作品のほか、松本市の文人・池上喜作(百竹亭)が生涯にわたって集めた『池上百竹亭コレクション』が展示されている。3階には美術関連書籍を備えたアートライブラリーがある。企画展は年に4回程度開催されるので最新情報を確認しよう。(画像転載不可)
    外観は草間彌生の『松本から未来へ』。彼女の代表的なモチーフ、水玉で覆われた作品だ。左に見えるのは草間彌生の『幻の華』
  • spot 24
    国宝旧開智学校校舎
    擬洋風建築の代表作といわれ、近代学校建築として初めての国宝
    松本市の国宝といえば松本城天守だが、その北側にもう1つの国宝がある。明治以降の学校建築としては初めての国宝となる旧開智学校校舎だ。松本市を訪れたら、近世と近代の国宝建造物をあわせて楽しもう。
    木造2階建で寄棟造、波型の瓦を積んだ桟瓦(さんかわら)葺き。中央にある八角形の塔屋が印象的だ
  • spot 25
    居酒屋 一歩
    ロコにも観光客にも大人気のご当地グルメ、松本山賊焼き!
    松本のソウルフード、山賊焼き。発祥は実は松本ではなく塩尻だが、すぐに松本に広がり、いまや市内で山賊焼きを提供する店は数100軒もあるとか。松本の山賊焼きは、塩尻のものに比べるとニンニクの量を控えめにして、ショウガを加えてあるのが特徴。とはいえ、松本山賊焼きは細かい定義が決められているわけではないので、店ごとの味の違いを食べ比べてみるのも楽しい。揚げ物なのに「焼き」というのは、かつては油が高価だったので少ししか使えず、揚げ焼きの状態だったためのようだ。「松本山賊焼応援団」団長の手がける店「一歩」は、松本城からほど近く、観光客にも人気。「これを知らずして、松本は語れない」と話す店主の提供する山賊焼きの決め手は、ショウガをたっぷり使った味噌ダレ。じっくり寝かせてタレのうまみをしみ込ませた国産鶏のもも肉を、衣の2度付けでカリッと揚げ、外はサクサク、中はジューシーに仕上げている。ボリュームたっぷりの定食はコスパも抜群だ。
    「信州松本山賊焼きハーフ定食」は味噌汁や小鉢付き850円。これでもハーフサイズ!フルサイズ定食は1200円
  • spot 26
    上高地帝国ホテル
    北アルプスの峰々と上高地の森に守られた、山岳リゾートの草分け
    登山がレジャーとなって間もない昭和初期に誕生した、日本初の本格的な山岳リゾートホテル。散策の途中ランチや休憩に立ち寄って、その歴史と伝統を感じてみたい。
    穂高連峰の雪がまぶしい4月下旬から、木々が赤に黄色に色づく11月上旬まで営業している
  • spot 27
    明神池
    山の守り神が鎮座するパワースポットで自然美に浸る
    「上高地」の語源にもなった神域にある静かな池。雄大な山々や可憐な花を楽しみながら歩くこと1時間。日本庭園を思わせる自然の造形を堪能し、名ガイドの小屋でいわなを頬張り、上高地のもうひとつの顔を見に行こう。
    ひょうたん型をした明神池の一之池。朱塗りの御船は毎年10月の例大祭で使われる
  • spot 28
    徳澤園
    上高地の奥座敷の草原に立つ、文人も愛した名物宿
    徳澤園のある徳沢は、明神からさらに奥へ1時間(上高地から約2時間)。ほとんど勾配もなく歩きやすい道で、途中ほんの短い間だけ梓川の向こうに常念岳が見える。さらに進んで大天井(おてんしょう)岳が見えてきたらすぐに到着だ。徳沢はハルニレやカツラの大木が影を落とす広々とした草原で、5月中旬にキャンプ場の奥に現れるニリンソウの大群落を楽しみに訪れる人も多い。高村光太郎の詩集『智恵子抄』のなかで、狂奔する牛に智恵子がおびえたとあるように、徳沢はかつて馬や牛の放牧場だった。1934年(昭和9)、国立公園指定にともなって牧場は閉鎖され、番小屋だった建物は山小屋となって多くの登山者に愛された。1955年(昭和30)、切れないはずのナイロンザイルの破断によってクライマーが滑落死して社会問題となり、翌年これを元にした小説『氷壁』を井上靖が発表。舞台となった徳沢にさらに大勢が訪れるようになった。現在の徳澤園は、イタリア製家具のある洋室やカラフルな相部屋など、洗練されたホテルのような山小屋だ。食堂も好評で、カレーや窯焼きピザ、そしてソフトクリームを楽しみに立ち寄る登山者も多い。
    高村光太郎と智恵子のように絵を描いたりして過ごすのもいいし、1泊して山の静けさに浸るのもおすすめ
  • spot 29
    乗鞍高原
    爽やかな高原を拠点に標高3000ⅿの世界を気軽に体験
    北アルプス最南端、中部山岳国立公園にある乗鞍岳。古くから山岳信仰の霊場で、特に雨乞いの山としてあがめられていたという。長野県と岐阜県にまたがっており、長野側の標高1200~1800ⅿ付近に乗鞍高原がある。湿原、池、滝、スキー場、そしてペンションや温泉宿が点在する景勝地だ。ここを拠点に乗鞍岳を楽しもう。山頂近くにある畳平まで「乗鞍エコーライン」(7~10月開通)が延びていて、マイカー規制されているためバスを利用する。約50分間の乗車中、残雪を滑るスキーヤーや、自転車でヒルクライムを楽しむ人の姿を目にするだろう。開通直後には除雪でできた雪の回廊も楽しめる。やがて岐阜県との県境を超えると、畳平に到着だ。花好きな人なら1周30分ほどの遊歩道は見逃せない。夏には多くの高山植物が咲き、クロユリやイワツメグサなどの可憐な花々を楽しむことができる。畳平ではまた登山者も多い。乗鞍岳の最高峰、標高3026ⅿの剣ヶ峰は「最も登りやすい3000m峰」といわれ、畳平から3~4時間で往復できる。ただし、バスで一気に高所へ上がるため高山病に注意を。また高山の天候は急激に崩れるので、登山の装備を忘れずに。
    のびやかな山容の乗鞍岳は23の峰々の総称。「乗鞍観光センター」に車を置き、鞍部にある畳平までバスで上がろう
  • spot 30
    安曇野の道祖神めぐり
    道端で人々を見守るカップルの神様。ユニークな図柄にも注目
    道祖神は、道路の辻(交差点)や集落の境界線などに鎮座し、外から入ろうとする邪悪なものをさえぎってくれる守り神。子孫繁栄や五穀豊穣を祈る身近な神様でもある。安曇野には道祖神が非常に多く、市全体で900近く確認されている。男神と女神を石に刻んだものが特徴的で、穂高地区だけでも150以上あり、国道の大きな交差点、住宅街の小さな角、田んぼの端などあちこちで見かける。大きさや形もさまざまで、よく見ると神様を囲むように鳥居や舟形などが刻まれている。神様の姿も、並んで立つもの、腕を組んでいるもの、キスをしているものまである。酒器や扇を手にしていたり、子どもを連れていたり、彩色されていたりとバラエティ豊かだ。裏には建立年が刻まれており、江戸時代後期のものが多い。庚申塚(こうしんづか)や二十三夜塔(月を拝む民間信仰)などと並べて祀られていることもある。歩いて見学するなら、JR大糸線の穂高駅を拠点にするといい。有名な道祖神には名前が付けられているが、案内標識はないので、駅前の観光案内所で地図を入手しておこう。車があればより多くの道祖神をまわれるが、駐車場はほとんどない。駅周辺で自転車を借りるのがおすすめだ。
    北アルプスの常念岳を背に、桜の木の下で集落と田んぼを見守る「常念道祖神」。路上駐車や田んぼへの立ち入りなどで迷惑をかけないよう、マナーよく見学を
  • spot 31
    中房温泉
    岳人にはおなじみ。北アルプスに抱かれた源泉かけ流しの湯宿
    槍ヶ岳へ続く表銀座縦走コースの起点に、200年以上の歴史をもつ人気の温泉がある。道祖神や美術館群、わさび田で知られる安曇野から山道を約40分。立ち寄り湯もあるので、野趣あふれる秘湯風情を満喫しよう。
    受付のある「招仙閣」。周囲には源泉が29もあり、あちこちから湯煙が上がる
  • spot 32
    立山黒部アルペンルート 扇沢駅
    山岳観光ルートの玄関口。元祖ダムカレーに奇跡のトロリーバスも
    全国屈指の人気を誇る山岳観光スポット「立山黒部アルペンルート」。その長野県側の拠点である扇沢駅では、元祖ダムカレーを味わうことができる。「奇跡のトロリーバス」が展示された記念館もお見逃しなく。
    扇沢駅(または立山駅)に車を置いてアルペンルートを片道利用し、到着駅まで車を回送してもらうサービスもある
  • spot 33
    白馬ジャンプ競技場
    感動の舞台に自分の足で立ち、スキージャンプのすごさを体感!
    長野オリンピックで日本団体金メダルを獲得したジャンプ台。地上約140mのスタートゲートに立つスリリングな体験が人気だ。人間業と思えない恐ろしいほどの高さに、ジャンパーたちが超人に見えてくるだろう。
    オリンピック期間中燃え続けていた聖火台。右は日本通算100個目のメダルを記念したモニュメント
  • spot 34
    蕎麦処 りき
    蕎麦の名店で味わう香ばしいガレットと信州サーモン
    白馬八方尾根の入り口にある人気の蕎麦店。周辺にはペンションが点在し、冬にはスキーを積んだ車が行き交う。JR白馬駅から20分以上かけて歩いてくるファンもいるという。人気の秘密は白く、細く、香り高い蕎麦。蕎麦粉は白馬産100%で、石臼で挽いた蕎麦粉の中心に近い部分を多く使う二八蕎麦だ。朝晩の温度差が大きく霧も多い白馬村は、上質な蕎麦粉の産地でもあるのだ。ざる蕎麦は「八方150g」から「白馬500g」まで5種類から量を選べるが、胃袋に少し余裕を残しておいて、白馬産蕎麦粉で焼いたクレープ・白馬ガレットも味わってみては?講習を受けて認定された白馬クレーピエ(クレープ職人)の焼き上げた香ばしいガレットは、外はカリッと中はモチモチ。食事のガレットとデザートガレットがあり、おすすめは信州サーモン。信州サーモンは長野県水産試験場が約10年かけて開発した品種で、ニジマスとブラウントラウトを交配した稚魚を信州の清流で育てたもの。卵を作らない1代限りの魚で、産卵にエネルギーを消費しないぶん、身に栄養価とうまみが多く含まれる。肉厚で色も美しく、甘みがあってトロリとした食感が特長。長野ならではの味をぜひお試しあれ。
    チーズとの相性抜群の信州サーモンガレット(1400円)。蕎麦とセットにしたミニガレットもある
  • spot 35
    栂池自然園
    白馬連峰を背景に広がる全国屈指の高層湿原
    中部山岳国立公園にある標高1900mの高層湿原。歩きやすい木道が整備されていて、夏には数百種にものぼる愛らしい高山植物が迎えてくれる。自然園にたどり着くまでの絶景空中散歩も大きな魅力だ。
    ミズバショウの見頃は例年6月下旬~7月初旬。ミズバショウ群生地として有名な尾瀬より1か月も遅い
recommend spot

人気スポット

recommend spot

旅のヒント

  1. その1

    長野自動車道(E19)(長野道)を利用する。塩尻市は塩尻ICや塩尻北IC、松本市は松本ICや梓川スマートIC、安曇野市や白馬村周辺は、安曇野ICが最寄りとなる。JRの場合、塩尻駅や松本駅を起点に。東京方面からは「特急あずさ」、名古屋方面からは「特急しなの」を利用する。白馬方面へは、松本駅で大糸線へ乗り換える。

  2. その2

    松本市中心部から白馬村中心部までの距離は60kmほど。白馬・安曇野・松本は、大きなエリアのため、目的地への移動距離や滞在時間などを計算しながら、余裕を持って計画を立てたい。大町地域や松本地域、安曇野地域に宿泊しながら巡るのもいいだろう。駅から遠い観光地も多いため、駅からの移動はレンタカーやレンタル自転車が便利。冬季期間は休業する施設もあるため、事前確認が必要。

  3. その3

    上高地観光の前日は、白骨温泉の宿泊がおすすめ。上高地に早朝に到着できたら、爽やかな空気を、まだ人通りが少ないなかで味わえる。

  4. その4

    白馬岩岳(HAKUBA MOUNTAIN HARBOR)と白馬八方尾根(八方池)は、白馬エリアの近隣施設にはなるが、リフトの営業時間や疲労などを考えると、別日で楽しむのがおすすめ。

  5. その5

    同じ北アルプスといわれる山脈でも、白馬村エリアと、上高地エリアは9kmほど離れている。エリア移動や散策、エリア内移動にかかる時間を考えても、1日で巡ることは難しいだろう。ほかの観光地を訪れながらゆったり巡る場合には、観光目的にもよるが2泊3日以上は滞在したい。

recommend spot

関連記事

記事一覧
recommend spot

モデルプラン

長野のその他のエリア

+ -
back
open

白馬・安曇野エリア