蒸氣屋 菓々子横丁

天文館本通りのアーケード街に面する店舗の入り口

薩摩蒸氣屋で最大の売り場面積を誇る店舗

「薩摩蒸氣屋」は1988年(昭和63)から和菓子を中心とした製造、販売を行っている会社。鹿児島県をはじめ、宮崎県や福岡県に計20の店舗があり、そのなかでも最も広い売り場をもつのが、鹿児島県最大の繁華街・天文館にある「菓々子(かかし)横丁」だ。市電の天文館電停から天文館本通りのアーケード街を入ってすぐというアクセスしやすい場所にあり、70年前の木造家屋をリフォームした店舗は奥行きが約50mもある。店に入ると、和菓子、洋菓子の焼き菓子、ケーキなどの生菓子の順に売り場が並んでいる。そしてほぼ中央に休憩スペースがあり、売り場で購入した菓子をここで食べることもできる。さらにその奥には昔なつかしい駄菓子のほか、屋久杉工芸品や陶器なども販売されている。2階に上がると喫茶スペースがあり、蒸氣屋オリジナルのスイーツを味わいながらゆっくりと過ごせる。

奥へと続く売り場にさまざまな和菓子や洋菓子が並ぶ

店舗のほぼ中央にあるイートイン兼休憩スペース。滝が流れていたり、屋久杉の巨大なパネルがあったりして癒やされる

鹿児島の定番土産になっている菓子の数々

店で販売されている数多くの菓子のなかでもいちばん人気は「かすたどん」だ。鹿児島県産の卵をたっぷり使ったカスタードクリームをスポンジで包んだ蒸し菓子で、なめらかで濃厚なカスタードとふんわりやわらかなスポンジ生地は、創業以来変わらない味。名前はカスタードの「かすた」と、薩摩弁で「西郷どん」などというときに使われる「～どん」を組み合わせたものだ。

左上から時計回りに「かるかん饅頭」(130円)、「かすたどん」(120円)、「はるこま」(120円)、ゼリーなどの洋生菓子

「かるかん」は山芋と米粉、砂糖から作られた鹿児島県の伝統的な蒸し菓子で、ふわふわでモチモチした食感がたまらない。山芋はすべて自然薯(じねんじょ)を使っており、その貴重さゆえに数量限定の販売になることが多い。かるかんの中に北海道産あずきのこし餡が入った「かるかん饅頭」も人気だ。また、店を訪れたらぜひ食べてほしいのが「焼きどうなつ」。油で揚げず、専用の焼き器で作るヘルシーなドーナツで、個包装されたものは1個100円だが、店内で焼きたてを85円で購入できる。焼いてあるため表面が少しサクサクした食感で、中はしっとりふわふわ。甘さ控えめのやさしい味だ。

「焼きどうなつ」を焼く様子をガラス越しに見ることができる。アツアツのうちにいただこう

店内はかつて木造家屋だった質感を生かした内装で、屋久杉の工芸品や陶器も展示、販売されている

2階の喫茶で薩摩蒸氣屋のスイーツを満喫しよう

菓々子横丁の2階には喫茶「茶房 珈花子(かかし)」があり、オリジナルのスイーツや飲み物を味わえるほか、1階で購入した菓子を持ち込むこともできる。喫茶で人気のスイーツは、かすたどんをベースにフルーツや白玉、あずき餡、3種類のアイス(抹茶、バニラ、マロン)、生クリームが載った「かすたどんパフェ」(600円)。フルーツやアイスとかすたどんとの組み合わせに、幸せな気分になること請け合いだ。ほかにも、鹿児島名物のかき氷「白くま」(600円)や、南九州市産の知覧茶を使った「知覧深蒸し茶」(260円)、和生菓子と抹茶と深蒸し茶のセット「抹茶膳」(500円)などがおすすめだ。天文館散策の際には、休憩にうってつけの場所として覚えておきたい。

2階にある喫茶「茶房 珈花子」の客席

和風パフェ「かすたどんパフェ」と、すっきりおいしい「冷やし知覧深蒸し茶」(280円)