暮坂峠
若山牧水の詠んだ風景がよみがえる上州の情緒あふれる峠路
国民的歌人が言葉にして伝えたかった風景
日々の感情や自然に潜む深い情緒を、豊かな表現力で詠み、日本の短歌史に偉大な足跡を残した若山牧水。彼が現在の歌壇に与えた影響は大きく、いまだ熱心なファンも多い国民的歌人のひとりだ。彼が残した作品「枯野の旅」のなかで、暮坂峠を歩いた当時の印象を詠んだものがある。その牧水の歌を刻んだ詩碑と旅姿の像がここ暮坂峠のシンボルで、峠を行き来する人をあたたかく見守っている。暮坂峠の周辺には原野ともいえる自然環境が豊富に残されており、風の音に耳を澄まし、木々が揺れる様子をぼんやり見ていると、牧水がゆっくりと峠を歩く風景が浮かび上がってくるようだ。
コーヒーの向こうに当時の空気を感じる
街道沿いの道端には、枯野の旅の文中に挿入された歌の碑が建てられ、「名も寂し暮坂峠」と詠んだ当時の風情をさらに色濃くしてくれる。若山牧水の立像が見下ろす先にはガラス張りのデザインが美しいcafe KURESAKA(旧暮坂牧水茶屋)があり、名水で淹れたコーヒーのほか軽食やスイーツを味わうことができる。車でのドライブだけでなく、自転車やバイクで訪れる人も多い道中の疲れを癒やす休憩スポットになっている。
次の100年に語り継ぐ、時代の風景
コロナ禍で開催は見送られたが、牧水が通ったとされる10月20日には、毎年盛大な牧水祭が催され、多くの牧水ファンが集い詩の朗読や、歌唱などが行われる。そのほかにも、昔ながらの地元の味が振る舞われ、物産品の直売も行われるなど、この日ばかりは「名も寂し暮坂峠」ではない盛り上がりを見せる。山道のロングドライブに疲れたら、この暮坂峠で、詩がつくる世界に思いを馳せながら、大自然に心と身体をゆだねてみてはどうだろう。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン